可愛いが好きで何が悪い6

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 送られてきた写真には姉の他にもう一人女性が写っていたし、当然姉の友人も居るだろうとは思っていたが、その人数は思っていたより多かった。姉を含めて5人もの女性の中に、男は自分だけという状況に逃げ帰ろうかと思ったが、もちろんそんなことが許されるはずもない。
 ただすぐに、彼女らの目的は当然自分ではなく、すっかり王子扱いの彼でしかないことを思い知る。
 バイト先だという海の家に顔を出した瞬間から、周りのテンションが一気に上ったからだ。友人である自分への、客に対するものより数段気安い態度がお気に召したらしい。
 どうやら、自分が訪れることで、普段は聞けない話なども聞けるかも的な下心で集まったようだ。ますます馬鹿らしくはなったが、施設利用料や飲食代などは全部彼女らが負担してくれると言うので諦めて一日付き合った。
 なお、本当の狙いは休憩時間などでもっとプライベートな会話を聞けないかと思っていたようだが、その日はすこぶる天気が良かったせいで彼女らの目論見は半分以上外れたと思う。つまり、めちゃくちゃ賑わっていたのもあって、彼はろくな休憩時間が貰えなかった。
 せっかく久々に会ったんだろうから、仕事が終わるまで待って食事でも一緒にと誘えという訴えもあったが、さすがにそこまで付き合う気はない。彼の方も察していたのか、相手からもそんな誘いはなかった。
 帰り際、リベンジを目論む姉とその友人たちとには、二度と付き合わないと宣言しておく。
 5人ものお姉様がたに囲まれてハーレム気分が味わえたでしょう、などとも言われたが、自分なんてほぼほぼ眼中になかったのもわかっている。あそこまであからさまな王子狙いを見せておいて何を言うと鼻で笑って、切り捨てた。
 でもまぁ油断はできないと思ったとおりに、こちらに戻る前から約束していて彼が事前に休みを申請していたその日、当たり前みたいな顔をして姉が付いてこようとする。彼がその日に休みを貰っているという情報は姉も既に握っていたようで、一緒に遊びに行くんでしょと言い当てられてしまった。
「そうだけど、だからってついて来ようとすんのおかしいだろ!」
「ちょっとくらいいいじゃない。お金ならだすよ?」
 あんたの分も王子の分もとまで言い出すので、無茶を言っている自覚は多分あるんだろうとは思う。
「そういう問題じゃ。ってか、またあの4人も合流する気じゃないだろうな」
「するする。てか少しでいいから私達とお茶する時間作ってよ〜」
「ヤダって言ったろ。狙うなとは言わないけど、そういうのは俺抜きでやれってば」
「それはそれとして、やっぱバイト以外での顔も見ておきたいファン心理的なの、あるでしょ?」
「いや知らねぇって。てか待ち合わせに遅れるからもう行く。マジついてくんなよ」
 言い捨てて家を飛び出したが、こちらの言う事など聞きやしないでついてくる。最寄りの駅前というわかりやすい待ち合わせ場所にしてしまったのもあって、結局、相手の前に姉同伴で姿を見せる羽目になってしまった。
 こちらの姿を見て少し驚いたような顔を見せたのは一瞬で、すぐに状況は理解したんだろう。
「ちょっと予想はしてたけど、本当にお姉さんと一緒にくるとは思ってなかった」
 不満があるような顔ではないが、でも姉の前だから気を遣っている可能性もある。
「ごめん」
「まぁ来ちゃったものを追い返すのは可愛そうだし、いいけど」
「受け入れんなよ。お前が邪魔って言ったら帰るかもだぞ」
「それはほら、俺のキャラじゃないっていうか、ね」
「さすが王子!」
 にこっと姉に笑いかけるもんだから、姉がすっかり舞い上がって勝ち誇る。
「このあとどうする? お姉さん一緒で、コースは予定通り?」
「あー、」
「ねぇ、私だけなら、一日一緒に居ても良かったりする?」
 友人らが合流するらしいと言いかけたところで、姉が先に割り込んでくる。
「は? 合流するんじゃないのかよ。私らとお茶する時間作れって言ってたのは?」
「そうだけど、まだどこでとか決めてないし。2人に一緒していいなら、あとでレポート書いて提出すれば多分許される、はず」
「レポート……」
 彼とのプライベートな会話をレポート形式で纏めて友人らに配布する気だろうか。
「まさかと思うけど、レコーダーとか忍ばせてないよな? え、マジ?」
 姉の持つカバンを指さしたら焦った様子を見せたので、本気で引いた。
「てかキモい。だせ。預かる」
 姉のカバンに手を伸ばす自分と、取られまいと逃げる姉とを止めたのは、もちろんその場に居たもう一人だ。しかもなんだか楽しげに。
「笑うなよ」
「いやだって、羨ましくて」
「え、羨ましい? どこが?」
「一緒に海来たのもちょっと驚いたけど、仲いいよなぁって思って」
「あー、まぁ、俺の趣味否定しないどころかむしろ協力的だし。というか俺の趣味に影響与えた一人だしなぁ」
「ああ、そういえば聞いたかも。てかお前はお姉さんみたいに可愛い服着たいとかないの?」
 姉は今日もふわっとした感じの可愛い寄りなワンピースを着ている。夏の海通いですっかり日焼けしたことを気にしてか、せっかく「可愛い」服と言ってもらったのに、なんだか少し恥ずかしそうだ。
「俺が着てどうすんだよ。てか園児でもあの似合わなさだったんだぞ。キモいわ」
「似合うかと着たいかは別じゃない? あと、メイクとか立ち居振る舞いでだいぶ変わるものじゃない?」
「んー、姉貴と違って、俺は別に自分が可愛くなりたいわけじゃないしなぁ。ひらひらドレスとそれが似合うプリンセスが好きってだけで」
「なんだ、そうなのか」
「なんでそこでお前がちょっとがっかりするわけ?」
「そんなの、今のあんたに女装してみて欲しいからでしょ」
 プライベートな会話を盗み聞いてほくそ笑んでるのかと思いきや、姉が口を挟んでくる。しかもその内容が酷い。
「なんでだよ!」
「初恋相手の少女があんただったって聞いてるけど」
「聞いてんのかよ! てかこいつの目、絶対おかしいから!」
「ええ、ホント酷いな」
「てかなんか注目集まってきて辛いんだけど。もうやだ。早く移動したい」
 ただでさえ目立つ男とさえない男が、気合の入った可愛い服を着た女性一人を挟んで何やら言い合っている状況だということに気づいて、いたたまれなくなる。
「取り敢えず電車には乗ろうか。お姉さんの友達呼んでお茶するか、そのまま3人で観光するかは電車の中で決めよう」
 彼と違ってこちらは人の視線に晒されることになど慣れていないと気づいてくれたらしい。本気ですぐにでもこの場を離れたかったので、その提案には即座に頷いた。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い5

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 親から帰省を促す連絡が来るより先に、姉から大量のメッセージと1枚の画像が届いた。画像は彼のバイト先と思われる海の家を背景に、水着姿の彼の両脇に、同じく水着姿の姉とその友人らしき女性が腕を絡めるようにくっついていて、3人とも笑顔にピースで随分と楽しげだ。
 メッセージの内容はこんな王子と友達になったなんて知らなかったというもので、イケメンだの美形だのの単語を使わず、躊躇いなく王子と書き込んでいる辺りなんとも姉らしい。とは思うものの、全体的に随分とテンションが高い上にあれこれと非難めいてもいて、思わずため息がこぼれた。
 いわく、あんたが余計なことを言ってなければ私にもワンチャンあったかも、だそうで、状況はこちらが危惧していたのとは真逆の様相を呈している。そもそも、姉が友人らと遊びに行った先で見つけた王子だったそうで、どうやら出会いそのものは偶然だったようだ。
 ただ、声を掛けたのは彼の方からで、しかも、初っ端からこちらの名前を出して、もしかしてお姉さんじゃないかと聞いたというのだから、あいつの目はやはり何か特殊だと思う。男の自分は当然のことながら、姉だって、あの写真に並んでいた少女とはすぐに結びつかない程度の成長はしているはずだ。
 昔から知っている親戚やら近所のおばちゃんやらには、たしかに何度か似た姉弟と言われたことがあるけれど、今の自分を基準に姉と判断したとも思いにくい。今でも隣に並んで姉弟なんですと言えば血の繋がりくらいは感じられるかも知れないが、似てるなんて言われていたのは中学に入って背が伸びだす前くらいまでだったはずだ。
 一通り姉のメッセージを読んだあと、姉ではなく、彼に当てて短なメッセージを送る。
『下半身だらしないなんて言って悪かった』
 姉からの情報によると、友人にそう言われて反省したから、夏バイト中の誘惑には乗らないことにしているらしい。マジかよと思う気持ちと、本当に気にしているなら勢いで酷いことを言ってしまったという気持ちとが胸の中で混ざり合って、取り敢えず謝罪はしておこうという結論に達したからだ。
 彼にメッセージを送ったあと、姉にはあまり友人困らせるようなことはしないでくれと言うのと、昔話などでこっちの情報を相手に与えないでくれという2点を返したけれど、書きながらこれは多分意味がないお願いだと思ったとおりに、すぐさま、もう色々話しちゃったと悪びれもないメッセージが戻ってきた。ですよね。
 彼からは夜になって、女の子のお誘い断るのにいい口実になってるというメッセージと、にこにこ笑って親指を立てている猫っぽい動物のスタンプが送られてきた。やっぱりね。
 そのあと、お姉さんから色々お前の話聞けて凄く楽しかったと、やっぱりにこにこ笑ってバンザイする、同じ猫っぽい動物のスタンプが続いていたから、親指を下に向けた凶暴そうな顔つきの、なんだかよくわからないキャラのスタンプだけ返しておいた。

 そんな事前のやり取りがあったせいで、正直、あまり実家に戻りたくはなかった。けれど親どころか姉や彼からも帰省を促すメッセージが届いて、仕方なく、8月の半ばに実家へ向かった。
 姉はどうやら彼のバイトする海の家にそこそこの頻度で遊びに行っているらしく、送られてきた画像に比べて随分と肌が焼けている。健康的でいいじゃんと思ったが、本人的には結構気にしているらしい。まぁ、姉は今でもひらひらふわふわした可愛い服が好きなので、日焼けを気にするのもわからなくはないのだけど。
 でも、王子の誘惑には敵わなくてと続いた言葉にげんなりする。文字だけではなく音としても「王子」の単語を聞くとは思わなかった。
「なぁ、まさか本人相手にも王子とか呼んでんの?」
「呼んでる呼んでる。なんかね、最初は思わずって感じで言っちゃっただけなんだけど、向こうも面白がってというか気に入ってて? 最近は結構みんなから王子って呼ばれてるよ」
「嘘だろ」
「ホントほんと。てかあんたも海の家には遊びに行くんでしょ? だったらそう呼ばれてるとこ見れるんじゃない?」
「うわ〜行きたくない」
 友達がいがないだのと姉に批判されたけれど、王子と呼ばれてキラキラ笑顔を振りまいている彼を見たいとは、やはり欠片も思えない。
 しかし、翌日にはウキウキで誘ってくる姉に半ば引きずられるようにして、彼のバイト先へ向かうことになってしまった。

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可愛いが好きで何が悪い4

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 互いに互いが初恋相手だろうと、そもそも性別の認識が違っていたわけだし、そこから何かが進展するはずもない。写真を交換して、ちょっと昔を懐かしんで、それで終わりなはずだった。
 しかし、付属高校からの持ち上がり組だという彼の人脈に白旗を揚げて、夏休みを目前にしてすっかり友人のポジションに収まっている。テストの過去問は正直言って魅力的すぎたし、彼の周りは何かと有益な情報が多いからだ。
 利用していいよと言われて断れるほど、自分の頭脳に自信が持てなかった。
 ただし、間違いなく友人と呼べる親しさで付き合いが続いているが、学科内に自分たちの仲の良さを知る人間は多分いない。なぜなら、趣味を隠したいからあまり目立ちたくない。仲の良い友人と認識されるのは迷惑だ。という割と失礼な訴えを、相手があっさり受け入れたからだ。
 まぁ、代わりに結構な頻度で自宅アパートを提供する羽目になっているのだけど。
 自宅から通学している彼は片道2時間弱かけて大学に通っているそうで、つまりは翌日1限から授業がある日は友人宅に泊まれたら楽だよねってことらしい。
 ずうずうしいにもほどがある。とは思うものの、それを喜んで受け入れる人間がいることも知っている。というか寄生先はどうやら複数あるらしく、ここもその中の一つに仲間入りというわけだ。
 他にも寄生先があるからか、頻繁とは言っても連日入り浸りというわけではないのと、一応気を使ってか色々と差し入れを買ってくるのと、こちらの趣味を一切否定しないどころかむしろ興味を持って聞いてくれる節があって、今日いいかと聞かれたらついつい受け入れてしまう。初めて彼が訪れたときには仕舞っていたアレコレも、今はもう、当たり前に飾られていた。
 なお、平然と同じ布団に潜ってこようとするので、何度も泊まる気でいるなら布団は自分で用意しろと怒ったら、翌々日には布団一式が届いてしまった。そこまでしてうちに泊まりたいのかという呆れもあったが、自分用の布団を置かせてくれるなんてありがたすぎると喜ばれてしまって、その件にはあまり触れられなかった。
 家が遠いからと言う理由以外に、家に帰りたくない理由でもあって、あちこち寄生先を作っているのかも知れない。その寄生先の大半が女性なのも多分間違ってはいなくて、彼が代価に何を支払っているかも、わざわざ聞きはしないがなんとなく察してもいた。
 変な揉め事に発展しなきゃいいけどと心配はしても、それをモテて羨ましいという気には到底なれない。察しているからと言って、それを確かめるようなことも言わない。
 結局、夏休みの間はどうするんだ、とも聞けないまま最後のテストが終わってしまった。明日から夏休みだ。
 今からいいかと連絡が来たのは、夜も8時を過ぎていて、何をしていたのかと思ったら学科の友人たちとテスト終了の打ち上げでカラオケに行っていたらしい。その流れでなんでうちなんだと思いながら、別にいいけどと返せば、およそ30分後にチャイムが鳴った。
「アイス買ってきたから一緒に食べよ〜」
 テスト終わったお祝いと笑って差し出された袋の中には、ちょっとお高い有名アイスと、明日の朝食用かなと思われるサンドイッチがいくつか入っている。量的に、サンドイッチも多分2人分だ。
「いいけど先にシャワー浴びろよ」
「ごめん、臭い?」
「それもあるけど、汗かいてるだろ」
 カラオケ独特の臭いに混じって、汗と、あと香水か何かの臭いがしていた。
「そうだね、じゃちょっと行ってくるから待ってて」
 素直にバスルームへ直行した相手が戻ってくるのをこちらも素直に待ち、一緒にアイスを齧る。
「そういや夏休みってどうする予定?」
 こちらからは聞けなかった話題が、相手の口からするりと飛び出してきて少しばかり身構えてしまう。こちらの予定にはやましいことなど何もないのに。
「どう、って、基本バイトと夢の国通いしかしないけど」
「実家帰んないの?」
「あー……お盆前後に帰ってこいとは言われるかも」
「帰ってこいって言われたら帰る?」
「まぁ、多分」
「じゃあ、帰る時に連絡してよ」
「ああ、うち泊まるつもりが家主不在じゃ困るもんな」
「え、違う違う。俺、今年の夏はリゾートバイトでお前の実家近辺にいる予定だから」
「は?」
 実家がどの辺りかは以前何かで話したことがあるが、まさかそんな返答がくるとは思っていなくて驚いた。
「ここなんだけどさ」
 そういって差し出された住所は確かに実家からそう遠くはない。
「って海の家?」
「そうそう。住み込みOKだし、交通費出るし、お前の実家近いし、ここだなって思って決めた」
「俺の家が近いの、なんか利点あるわけ?」
「え、夏休み、俺と一緒に遊べる時間欲しくない?」
 その自信はどこからくるんだとツッコミを入れる気も起きない。こういう奴だというのはこのさして長くもない付き合いで既にわかっている。
「欲しくないけど」
「連れないなぁ。てかまぁ、下心は別にあるんだけどさ」
「下心?」
「お姉さん、見てみたいなぁって」
「却下」
「なんで!?」
「なんでって、そもそも会って姉貴をどうする気だよ」
「どうするって、仲良くなる?」
 仲良くなってどうするんだってのを聞いているんだけど。
「お前、あの写真見て、姉貴と初恋相手間違えないくらいには違うって言ってたろ」
「あー、それ、覚えてたか。でもほら、やっぱ一応確認しておきたい的な」
「何を確認するんだよ。てか確認した結果、姉貴に惚れたとか絶対なしだからな」
「なんで? 姉貴じゃなくて俺を見てよ、みたいな?」
「なんでそうなる。実の姉が、下半身がだらしない男の魔の手に掛かるのなんて、黙って見てられるわけ無いだろ」
「あー、ね。でもほら、選ぶのはお姉さんなわけだし?」
「とにかく絶対会わせないから」
 絶対に譲らないと強い意志を持って言えば、わかったと言って引いてくれたけど。でも一緒に遊びには行こうよねと笑う相手を、どうしても疑いの目で見てしまう。

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可愛いが好きで何が悪い3

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 母からはすぐに大量の写真が送られてきた。懐かしがってか、テンション高めのメッセージも頻繁に混ざり込む中、並んだ幼い自分のドレス姿にため息をこぼす。
 似合ってるか似合っていないかを率直に言えば似合っていない。
 顔は笑っていて満足げだし、様々なポーズを披露しているところからも楽しんでいるのは明白だが、どれもこれもなんというか色々雑だ。というか格好とちぐはぐなポーズばかりを取っている。
 同じようなドレスを着て隣に並んでいる姉と比べるとなおさら顕著で、言うなればお淑やかさがまるでないのだ。
 可愛いものが好きなのと、自分自身が可愛くなりたいかは全くの別物だ。ということもわからなかった幼い頃の話だし、可愛いドレスそのものにテンションが上っていただけなのもわかっている。ついでに言えば、見知らぬ男に飛び蹴りをかませる活発さも持っていた。
 こんなものを今更見たくはなかったが、しかし、交換条件が初恋のリトルプリンセスの写真となれば仕方がない。
 連絡先は交換済みで、先日のように講義の後に連れ立って空き教室で2人きり、などという状態は避けたかったので、さっそく相手を自宅に呼びつけた。相手がどこ住みかは知らないが、こちらは大学近くにアパートを借りているのだから問題ないだろう。人に見られたり聞かれたりするのを避けたい話題でもあるのだし。
 地図アプリがあるから迎えは必要ないと返してきた相手は、約束した時間を少し過ぎてやってきた。
「オジャマします」
 まともに話したのは先日が初めて、などという相手の家に招待されるのは緊張するのか、相手はどこかぎこちない。けれど部屋に入れれば、興味深そうにあちこちキョロキョロと視線を巡らせている。
「あんまジロジロさぐんなよ」
「あー、うんゴメン。でもちょっと意外で」
「意外?」
「ひとりで遊びに行っちゃうくらいなら、部屋の中もグッズで溢れてたりするのかと思ってた」
「お前が来る前に仕舞ったに決まってんだろ」
「え、なんで!?」
 それは驚くようなことなのか。男の部屋にひらひらドレスを纏ったかわいらしいぬいぐるみやらが置かれていたら、普通は引くものだ。という認識なんだけど。
「それより、写真、交換するんだろ」
 さっさと目的を終えようと、相手を座卓前のクッションに導いた。
「親に頼んだら結構な数送られてきたんだけど、面倒だから欲しいの自分で選べよ」
 母とのメッセージのやり取りまで全部見られるのはどうかとも思ったが、わざわざ写真だけ抜き出す手間を惜しんだのと、写真フォルダにそんなものを入れたくない気持ちがあって、写真の投稿が始まった辺りを画面に映したスマホを差し出す。
「え、全部くれないの?」
「お前が同じ枚数だけ、お前の写真俺によこすってならいいけど」
「成長した俺の写真でもいい?」
「却下。交換するのはプリンセスの写真だけに決まってんだろ」
 他にもあるなら見たい、という下心はもちろんある。
「コス写真、この前見せた2枚しかないんだけど」
「残念。じゃあ2枚な」
「わかったよ」
 残念そうに了承を告げてスマホを手にした相手が、食い入るようにスマホに魅入っている。しかもすぐに口元がにへらと緩んでいくから、ちょっと不気味だ。
「何笑ってんだよ」
 相手が見ている画像がわかっているから、そんな顔をされるとなんだかむず痒くて黙っていられなかった。
「え、可愛いなぁって思って」
「ウソつけ。ってか本気なら、お前の目、やっぱ腐ってんじゃねぇの」
「ひどっ! 俺、この前、この子が初恋だったって言ったよね?」
「マジでそいつが初恋なの? お前の目、大丈夫? あ、ヤバいのは目じゃなくて頭とか?」
「この子が初恋で間違ってません〜。てかお前こそ、なんでそんなに自分に否定的なの?」
「否定的っていうか、別に可愛くねぇじゃん、それ」
「いやいやいや。可愛いだろ」
「ドレスはな」
「ドレスはどうでもいいかな。中身が可愛い」
「どこが!?」
「めっちゃノリノリでポーズ決めてるとことか。そのポーズが戦隊物とかライダー物なとことか?」
 くふふっと笑う顔は優しげで、本気で可愛いものを見つめる顔だと思ったけれど、だからこそ受け入れがたくて声を荒げてしまう。
「ちぐはぐすぎんだろ!」
 母や姉からすれば女児向けアニメを見るついで、みたいなものだったかもしれないが、その流れで戦隊シリーズもライダーシリーズもしっかり見ていたのだ。中身は活発な方だったので、そちらも存分に楽しんでいたし、可愛いものが好きなのとカッコイイものが好きなのは両立する。
 成長するにつれて可愛いものが好きを隠すようにはなったが、それを隠すだけで済んだのは、カッコイイものが好きって気持ちも持ち合わせていたからだろうなと思っている。
「あー、ほんと、これ、お前なんだなぁ」
「なんだよ突然」
「ほらこれとか」
 そう言って差し出された画像は、ポーズを決めた全身図ではなく、顔のアップ写真だった。
「面影めっちゃある」
「え、嘘だろ?」
「え、本気で言ってる? そういや俺の写真にも、全然似てないみたいなこと言ってたな。お前こそ、目、大丈夫?」
 先程の仕返しだろうか。逆にこちらの目を心配されてしまった。
「てかさ、元々お前のこと、なんか気なるなって思ってたんだよ。機会があったら、お姉さんか妹いないか聞いてみよって思ってたくらいには、初恋のあの子の関係者じゃないかって疑ってた」
「ま、じで……?」
「じゃなきゃ、名前とか把握してないって」
 それもそうだ。こちらなんて、連絡先を交換する時に相手の名前を聞いてしまった。
「これ、隣りにいるのお姉さんだろ。似てるなとは思うけど、初恋のあの子がどっち、って言われたら間違いなくこっちだって言うくらいには、違う」
 愛しげにスマホを見つめながらしみじみと、初恋がお前かぁ、などとと呟くように言われて、じわりと鼓動が跳ねていく。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い2

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 全く意味がわからないまま、散々、酷いとか夢がどうとか男だなんて聞いてないと言われまくったあと、ようやく気が済んだらしい相手が、気まずそうな顔をして「あのときはありがとう」と言った。ずっとお礼が言えなかったことを気にしていたらしい。
「てか、何の話?」
「ちょっ……だからぁ、これ、俺なんだけど!?」
 再度スマホの中の写真を突きつけられて、引き寄せられるように凝視する。ほんと、可愛い。まじプリンセス。
 どうせなら全身見えるショットが見たかったと思いながら、他にもないのと聞いてみる。
「他?」
「他の写真、ない? できれば全身写ってるやつ見たい」
「あー……」
 呆れたような声を出しながらもスマホを弄った相手が、まさに望んでいた通りの画像を差し出してくる。
「これでいい?」
「うっわ、かっわいい」
「だっろ」
 あの日出会ったリトルプリンセスそのままの姿に思わず感嘆の声が漏れれば、自慢気に同意されてしまった。
「てかこれがお前とか絶対ウソ」
「おい、失礼だな。俺は今でも充分に美形だぞ」
 別にそれは否定しないけど、でもそういうことじゃなく。というかナルシストっぷりが酷いな。
「いやだって、これがこう成長するとか詐欺じゃん。てか髪の色違うし。目の色もちょっと違う気がする」
「成長したら全体的に色素濃くなったんだよ。でも面影あるだろ。目元とか、口元とか、耳とか鼻の形とか!」
 よく見ろと顔を寄せられて、慌ててのけぞって逃げた。
「必死か!」
「いやだって、これが俺って認められなかったら、話進まないし」
「あー、うん、じゃあ取り敢えずそのテイでいいから話すすめて」
「すげぇ引っかかる言い方なんだけど」
「そりゃ信じたくないし」
「はぁ、もういいわ。じゃあ話進めるけど、この格好した昔の俺のこと、助けてくれたよな?」
「夢の国で?」
「そう」
 昨日迷子の女の子に声を掛けていたのを、どうやら見ていたらしい。そして躊躇いなく助けに走った姿に、もしかしてと思ったようだ。
「やっぱ俺、助けてた?」
「やっぱってなに」
「俺はプリンセスを助けたつもりだったけど、周りからすると、俺は突然知らない男に蹴りいれたクソガキで、あのあとしこたま怒られたんだよな。助けたはずのプリンセス、男がコケて俺に怒鳴ってる間に居なくなってたし、男もそんな女の子知らないとか言いやがったし」
 遠い記憶にあるのは、泣きそうにうろつくめちゃくちゃ可愛い小さなプリンセスと、それに声を掛けたおっさんと、嫌そうに手を振りほどこうとする女の子を助けようととっさに飛び蹴りをかました自分だ。でも衝撃で転んだ男が何しやがると喚いている間にそのプリンセスは消えていて、男自身もそんな子は知らないと言ったので、自分が悪者になったという残念過ぎる結果になった。
 それが嫌な思い出としてではなく、未だにそこそこはっきりと記憶に残っているのは、その助けたはずのプリンセスに思いっきり気持ちを持っていかれていたせいだ。初恋で、ひらひらドレスのプリンセスを大好きになったきっかけも、間違いなく彼女だった。
「だから俺、もしかしたらこの子は実在してないかもって思ってた。実は、園に居着いてる幽霊とかなら、また会えないかなとかも思ってた。そっか、実在してたのか」
「その、あのときは逃げて、ごめん」
「なんで逃げたの?」
「びっくりしたのと、怖かったから。変なのに声かけられたら、とにかくすき見て逃げろ離れろって教わってたのもあって。でも、あとになって、俺の代わりにあの子がひどい目にあったかもってずっと逃げたの後悔してた。助けてくれたの女の子だと思ってたし、俺は本当は男なのに、女の子身代わりにして逃げたんだって。まさか、俺同様の女装っ子とは思ってなかったし。あ、でも、自分が女装してなかったら、あの勇ましい女の子が実は男の子だった可能性には気づかなかったかも」
 やっぱり親に無理やり着せられてた系かと聞かれて、それは曖昧に濁しておいた。いわゆるコスプレ可能日で、提案してきたのは確かに親だが、嬉々としてひらひらドレスを纏ったのは自分の意志だ。
「まぁ助けてくれたのが男の子だったとしても、逃げていい場面じゃなかったよな」
 それはどうかな。とにかくすき見て逃げろ離れろと教えた周りは正解だったんじゃないかとも思う。だって一目惚れを体験させてくれたほどの可愛さだし、変なのに目をつけられる機会もきっと多かったに違いない。
 でもそれを言ったらまたドヤられそうな気がしてやめておく。自慢気に過去の可愛さを誇られるのはなんだか腹立たしいからだ。
 なので話題を変えてしまう。
「なぁ、逃げて悪かったって思ってんなら、この写真俺にも頂戴」
「え?」
「ダメか?」
「うーん……まぁ、悪用しない、なら」
「悪用って?」
「ネットに流したり、あとはほら、オカズにしたりとか?」
 ネットになんか流さないから安心しろと言う前に、続いた言葉にギョッとする。
「するかよ馬鹿っ! 俺のプリンセスを汚すんじゃねぇ」
「ちょ、俺のプリンセスって何!?」
「この子、俺の初恋だった。今、思いっきり砕け散ったけど」
 あの日の話がすんなり通じていることを思えば、目の前の男があの子の成長した姿だってのは嘘ではないんだろう。
 たとえ初恋の可愛いあの子が想像通りに成長していたって、その子と恋愛したいだとかを思っていたわけじゃないから、失恋したとは言わないけれど。でも淡い初恋の思い出が、確実にヒビ割れたとは思う。
「え、え、じゃあ、俺にもあの日のお前の写真くれたりすんの?」
「なんでだよ!」
 食い気味に写真を欲しがられて、なぜそうなるという気持ちのままに声を荒げた。
「だって俺も、多分、あの女の子が初恋だから」
「はぁ!? 目ぇ腐ってんじゃねぇの」
「ひっど! てかなんで?」
「だってあれが本当にお前だってなら、俺なんかより、鏡に映った自分のがよっぽど可愛いだろ?」
「そりゃ見た目で言えば俺のが絶対可愛いけど、でもあの子、俺のヒーローだし」
 こちらから言いだしたことだし、ただの事実だし、自分の美貌に自信があって何よりだとは思うが、でもやっぱり微妙に腹が立つなと思う。ただ、反応したのは最後の部分だった。
「ヒーロー……?」
「あー……俺が正義感強い活発な女の子がタイプなの、絶対お前のせいだから」
「だったら俺は、お前のせいでひらひらドレスのプリンセスが大好きなんだけど?」
「ああ、一人で遊びに行っちゃうほど?」
「年パス買った」
「なるほど重症」
「うるせぇ。あ、あんま言いふらすなよ。てか昨日一緒にいたのって学科同じ奴ら?」
「いや、高校からの友人。持ち上がりだから大学一緒だけど学科は違う」
「そっか」
 あれが学科の連中なら、一人で遊びに行ってるイタイ奴扱いになるかと思っていたが、ひとまずそれは回避できただろうか。
「で、写真の話に戻るけどさ、そっちの写真くれるなら俺の写真も渡すことにする」
「悪かったと思ってるなら写真くれ、って話だったはずだけど」
「お詫びは何が別のもの考える」
 写真は絶対欲しいから譲れないと言い張るので、物好きだなと思いながらも仕方なく了承する。親に言えば、あの日の自分の写真は手に入るだろう。

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可愛いが好きで何が悪い1

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 小さな頃から女の子が好むようなアニメや玩具が好きで、特に、ひらひらふわふわのドレスを纏ったプリンセスが大好きだった。母親と姉の影響も大きいというか、彼女たちも同様に可愛いものを好むたちで、自分が彼女たちと同じように可愛いものを愛でても歓迎しかされなかったから、自分が異質だということに気づいたのは小学校に上がってからだ。
 周りの男子と馴染むために、だんだんとそういった好きを隠すようにはなったが、三つ子の魂百までと言われるように、そういったものを好む傾向は大学生となった今も変わっていない。
 大学は下心満載で某夢の国へ通えそうな範囲を狙ったし、さっそく年パスも購入した。そうしてウキウキで通うこと数ヶ月。園内で初めて名前を呼ばれて振り返る。
 そこには男子3人に女子6人という小さな集団が居て、声を掛けてきたのは男だった。顔に見覚えはある。というか学科が一緒の同級生だというのはわかった。
 目立つ容姿と、だいたいいつも人が集まっているので辛うじて覚えている。ということは、もしかして全員同じ学科の生徒だろうか。大いに有り得る。
 思わず周りの顔を確認してしまうが、そんな気もするし全然知らないって気もして、正直イマイチ自信がなかった。入学してまだ数ヶ月というのもあるが、この趣味をおおっぴらにしたくはなくて、親しい友人を作る気がないというのも大きい。
「こんなとこで奇遇だな。誰かと来てんの?」
 その集団から小走りで近づいてきた男は、気さくに話しかけてくる。
「てかもし一人なら俺たちにまざんない?」
 正直に一人だと答えるのが得策には思えず黙り込んでいれば、次にはそんな突拍子もない提案をしてくるから驚く。
「は? なんで?」
「こっち男の数少ないからさ。あと、一人で来るくらい好きなら、ここの面白小話とかも色々知ってそう。って思って」
「そーいうのはちょっと……それに、」
 言いながら、視線を先程まで見ていた方向へ向けた。そこには半泣きの女の子と、その手を繋いで歩いている男性がいる。先程までは存在しなかったその男に嫌なものを感じて、慌てて会話を切り上げた。
「悪い、俺、急いでるから」
 軽く走って、その女の子と男性との距離を詰める。自分もちょうど、迷子らしき子を見かけてしまって、気になって声を掛けようとしていたところだったのだ。
 その男性が、迷子センターへ向かうかキャストに迷子を預けるなら黙って見守るつもりだったけれど、嫌な予感そのままに、男性が向かうのはどうやらトイレらしい。小さく舌打ちして更に距離を詰め、男の肩を叩いて呼び止めた。
「すみません。その女の子のお父さん、……じゃない、ですよね?」
 お父さんですかと聞くまでもなく、相手の挙動がおかしくなって確信する。
「迷子センターそっちじゃないですよ」
 にっこり笑ってやってから、女の子の前にしゃがみこむ。
「トイレもう少しだけ我慢できる? トイレに行きたいなら、一緒に行ってってキャストのお姉さんに頼んであげる」
「トイレじゃないの」
 首をふるふると横に振った女の子は、ママが居ないのと言って、とうとう泣き出してしまった。
「じゃあ、ママを探してってお願いしに行こう」
 大丈夫だからとなだめていると、異変を察知したキャストさんが飛んでくる。男は女の子が泣き出した瞬間には逃げ出していて、当然この場に居はしない。
 そのキャストと一緒に迷子の女の子を迷子センターまで送り届けて、保護した状況や不審な男の特徴などを一通り告げている間にその迷子のお母さんが見つかったので、泣いていた女の子のキラキラの笑顔とありがとうを貰って、気分よくその場を後にした。
 それが昨日の話で、こちらの顔を見るなり飛んできた男に、大事な話があるから講義の後にちょっと付き合ってと言われたのが1時間半ほど前だ。そしていま現在、妙に深刻な顔をしたイケメンに拉致られて、人気のない空き教室で2人きりというわけのわからない状況に追い込まれている。
 いやもうほんと、意味がわからない。
 まさか昨日の誘いを素気なく断わったことを根に持ってるなどとは思えないが、けれどそこ以外にまるで接点がないのだ。
「で、要件って、何?」
 出来ればさっさと済ませたい。早く開放して欲しい。そんな気持ちで急かせば、相手はスマホを何やら弄った後、画面をこちらに向けてくる。
「あのさ、突然変なこと聞くけど、この子に会ったこと、ない?」
 そこに写っていた少女に目を見開く。
 会ったことは確かにあった。1度だけだけだけれど、忘れられるはずもない。だって、初恋の女の子だ。
「やっぱ、会ったことあるんだ……」
「え、お前、これ、知り合いか?」
「知り合いっていうか、俺」
「はっ? えっ?」
 俺? 俺って言ったか? つまりは目の前のこの男が、初恋の女の子ってことか?
「ああああ、まじ、ショック〜」
 混乱に感情がついていかない中、なぜか目の前の男がショックだと言って嘆いている。

続きました→

 
 
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