CHAT NOVEL(@CHATNOVEL)さんで公開された「俺が眠らせてあげるから」(リンク先は試し読みのWeb版で3章まで読めます)がアプリで読めなくなったので全文公開します。
1章 オーナーからの紹介
【ピコン♪】
バイト先のオーナーであるシュンからLINEが届いた。
ケイ:(あれ、シュンさんからのLINE?)
シュンLINE:突然で悪いんだけど、男性客取る気ないか?
ケイ:(え、ちょ、なんで?)
:(うちの店、女性専用じゃなかった??)
ケイLINE:本当に突然ですね
:何か事情があるんですか?
シュンLINE:知り合いが相当ひどい不眠らしくて、つい、
:うちのキャスト試せよって言っちゃったよね
ケイLINE:あー……で、俺に行けと
シュンLINE:嫌?
ケイLINE:嫌というか、自信ないです
:男性客取ったことないですもん
シュンLINE:指名No.1の売れっ子が何言ってんの
:男相手でもケイなら大丈夫って俺が保証するよ
:というか、うちのキャストではケイが一番
:あいつと相性良さそうなんだよね
ケイLINE:相性どうこう言えるほど相手のこと知ってるんです?
シュンLINE:学生時代に可愛がってた後輩だからな
ケイ:(シュンさんが可愛がってた後輩かぁ)
:(それはちょっと気になる)
ケイLINE:なら行ってもいいですけど
:でもあんまり期待しないでくださいよ
シュンLINE:わかってるよ
:そもそもお試しだからあまり気負わなくていいぞ
:ケイでだめならキャスト変えたってダメだろうし
ケイLINE:そうなんです?
シュンLINE:そうそう
:あいつ最初かなり渋ってたし、そこまで乗り気でもないから
ケイLINE:そんな相手の所へ俺を送り込むんだ……
シュンLINE:嫌な思いさせたら悪いな
:まぁその分、給料割増で出すからさ
ケイLINE:シュンさんが?
シュンLINE:そう、俺が
:今回の依頼は俺からって事で頼むよ
ケイ:(シュンさんにここまでさせる相手、ますます気になる)
ケイLINE:わかりましたー
:コースどうします?
:依頼者がシュンさんなら、シュンさんが決めるんですか?
シュンLINE:あー、そうだな
:そこ臨機応変でってのでもいい?
ケイLINE:臨機応変、ってのは?
シュンLINE:相手が眠るか追い返されるかしたら終了みたいな
ケイLINE:あー、なるほど了解
:終えたらシュンさんに連絡でいいです?
シュンLINE:うん、それで頼む
ケイLINE:じゃあ相手の情報とか希望日とか送って下さい
シュンLINE:わかった
【修司の家の前】
ケイ:(さて、どんな男が出てくるのかな)
チャイムを鳴らして暫く待つ。
【ガチャ】
ケイ:初めましてケイです!
修司:……
ボサボサ頭に無精ひげの陰気な男だ。
ジロリと見られて怯みかけるが笑顔を保つ。
ケイ:(あーこれは……)
:(確かにやばいレベルで睡眠取れてない感じ)
:シュンさんからの依頼で伺ったんですけど
:えっとぉ
:まずはお家、お邪魔していいですか?
修司:……
男は無言のまま踵を返した。
ケイは男に続いて家の中へ入っていく。
ケイ:おじゃましまぁす
:(ああ、フラフラしてる)
:(これ初回の説明とか飛ばしていいかな?)
:(臨機応変でって言ってたし、いいよね?)
:あの!
:いきなりですけどもう布団行っちゃいましょう
:あ、俺が添い寝するのでダメじゃなければ
修司:じゃ、ぁ
:ケホッ
:ここ、が
ケイ:(久しく喋ってないのか……)
:(この状態なら納得だけど)
:無理して喋ろうとしなくていいですよ
:そこが寝室?
頷く男の後に続いて寝室へ入る。
しかし男はベッドの前で立ちすくんでしまう。
ケイは男の隣に立って相手の顔をそっと窺った。
ケイ:(渋ってたって言ってたしなぁ)
:(でも寝室へ入れてくれたってことは)
:(全くダメでもないんだよな?)
:立ってたら辛いですよね?
:まずはあなただけでも座って、って
:あー……
:呼び名対応も出来るんですけど
:希望の呼び名がなければ修司さんで
:そう呼んで、いいです?
修司:ん
ケイ:じゃあ修司さん、座って下さい
修司は促されるままベッドに腰掛ける。
その前に跪いて顔を見上げながら。
ケイ:返事は頷くか、首を振ってくれればいいので
:俺がシュンさんの依頼で添い寝に来たのはわかってますよね
修司:ん
ケイ:俺が横で寝ても、いいですか?
修司:ん
ケイ:そこに薬がありますね
:今日の分はもう飲みました?
修司:……
ケイ:(薬のせいでぼんやりしてるわけじゃないってことか)
:えっと、飲まずに寝ます?
修司:ん
ケイ:まぁ薬飲んじゃったら、添い寝で寝れたかわからないですもんね
:じゃあ目を閉じて、まずは横になりましょうか
修司はやはり促されるまま目を閉じ横になる。
布団を掛けてやりその隣に滑り込んだ。
ケイ:素直ないい子ですね
:頭なでられるの、嫌じゃない?
修司:ん
ケイ:ん、じゃあ、暫くこうしてるので
修司:スー……
ケイ:(えっ!?)
:(いやちょっと待って、早い)
頭を撫でるのを止めても深い呼吸は変わらない。
そのまま暫く様子を見てみる。
変化がないのでベッドを抜け出した。
ケイ:修司さん?
:起きてませんね?
【修司の家の廊下】
ケイ:はぁ……
:(超展開すぎた)
:(え、で、どうしよこれ)
:(ま、まずはシュンさんに報告と相談だ)
ケイLINE:シュンさんどうしましょう!!
シュンLINE:何があった?
ケイLINE:修司さん、寝ました
シュンLINE:は?
:慌てさせんなよ、さすがだな
:いやでも早すぎないか?
ケイLINE:そうなんですよ!
:しかも俺、鍵渡されてないんです、まだ
シュンLINE:あれ?
:用意しとくよう言ったぞ俺は
ケイLINE:それがその、あんまり辛そうなんで寝室直行しちゃって
:ほとんど会話ないまま眠られちゃって
:ていうか、鍵もらい忘れた俺のミスです
:すみません
シュンLINE:あー……
:リビング場所わかる?
:テーブルの上確認してみて
ケイLINE:許可なく勝手にうろついたら問題あるんじゃ
シュンLINE:俺が許可する
:だから自力で鍵探せ
ケイLINE:はーい
リビングを探して移動する。
シュンLINE:てかそんな酷かったか?
ケイLINE:かなり酷かったですね
:あ、鍵発見しました
シュンLINE:じゃあそれ使って
:ポスト入れて帰宅な
ケイLINE:了解です!
シュンLINE:お疲れ様
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