CHAT NOVEL(@CHATNOVEL)さんで公開された「俺が本当に好きな方」(リンク先は試し読みのWeb版で3章まで読めます)がアプリで読めなくなったので全文公開します。
1章 双子の弟
【一学期初日のざわつく教室】
自分の席を確認し席に着くと、隣の席の男に声をかけられた。
悟史:なぁなぁ
祐希:なに?
悟史:俺のことわかる?
祐希:隆史の双子の弟、だろ
:ちゃんと話すの初めてだけど、確かに顔は隆史そっくりだな
:(髪切ったら簡単には見分けつかなくなりそう)
悟史:悟史だよ
:そっちは祐希だろ?
:俺も祐希って呼んでいい?
祐希:別にいいけど
悟史:やった!
:ありがと
:ずっと気になってたんだ
:同じクラスになれて嬉しいよ
:席も隣だし、これからよろしくな
祐希:気になってた?
:なんで?
悟史:なんで、って、隆史の親友だろ?
:あいつが親友とか呼んでるの祐希だけだし
:よく自慢とかノロケとか聞かされてたし
祐希:え、自慢とかノロケとか?
:あいつ、弟相手に何話してんだよ
悟史:どこそこ行ったーとか、それで祐希があーしたこーしたとか
:それが面白かったとか、笑ったとか、あと、可愛かったとか
祐希:かわっ!?
:(時々可愛いとか口走ってることはあったけど……)
:(くっそ、恥ずかしい)
:(……のに、嬉しい)
悟史:照れた〜w
:あー……でも、そうだな
:ちょっと可愛いとか言いたくなるの、わかるかも
祐希:それはわからなくていいよ
:(元気で騒がしい隆史と違って、)
:(落ち着いた感じだと思ったんだけどな)
:(男に向かって、簡単に可愛いって言っちゃうんだ)
:(やっぱ性格もちょっと似てるのかも……?)
クラスが別れて気持ちの整理が出来るかもと思っていたが、隣の席がよく似た弟では、隆史のこと考えずにいられないと思いため息が漏れる。
祐希:はぁ〜……
悟史:あれ、可愛いとか言われたくなかった?
祐希:いやまぁ、それは別にいーけどさ
悟史:じゃあそのため息は?
:あ、やっぱ隆史とクラス別れて寂しかったりする?
祐希:あー……いや、別に
:寂しいわけじゃ……
悟史:強がんなくていいのに〜
:二人の仲の良さは知ってるし
:てか隆史はめちゃくちゃ残念がってたよ?
祐希:そ、そうなんだ
:(そう聞くと、やっぱちょっと嬉しいもんだな)
:今日ギリギリ登校でまだ会ってないんだ
悟史:てわけで、祐希も寂しいって認めとこ
:隆史ばっかりの片想いじゃ可愛そうだろ〜
祐希:ちょ、ばっ、何言ってんの
悟史:じゃあさぁ
:祐希は寂しくもなんともないって言ってたよー
:って、後で隆史に言っていい?
祐希:それはダメ!
悟史:ほら、ダメなんじゃん
祐希:わかった、認める
:認めるから!
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