知り合いと恋人なパラレルワールド2

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 結論から言えば、自分と先輩が恋人として付き合っているらしいパラレル世界があり、そちらの先輩とこちらの先輩がどうやら入れ替わってしまったらしい。
 なぜ入れ替わりなのかと言えば、唯一元の世界と繋がっている先輩の携帯による、向こう世界の自分情報だった。繋がっているとは言っても、現状通話は出来ないらしい。それどころか、向こうの自分とのメール以外、ほぼ全ての機能が使えないガラクタと化している。
 入れ替わり直後に自分を訪れ事が発覚した先輩はともかく、向こうへ飛んでしまった先輩は、それなりにパニックを起こしていたようだ。なぜなら、自宅の鍵が開かない上、携帯が同様に使えないガラクタと化していたからだ。
 即座に警察だとかの発想がなく、繋がらない携帯を手に、自宅前で途方に暮れていてくれたのが幸いした。
 イカレタとしか言いようのないメール内容と、全然繋がらない電話に焦れた向こうの自分が、深夜にもかかわらず先輩の暮らすアパートに押しかけたせいで、こちらの先輩は向こうの自分に保護された。さすがに目の前でやりとりした結果、向こうの自分もこの異常を受け入れたようで、混乱する先輩に事情を説明しつつ自宅へ連れ帰ったようだった。
 その後は奇妙な4人での話し合いとなった。話し合いとは言っても、当然やり取りはメールだけだ。しかも、向こうへ飛んだ先輩の携帯から、自分のアドレス宛にメールを送って貰ったりもしてみたが、それは他のアドレス宛同様、宛先不明の不着エラーが返されるとのことで、こちらの先輩と向こうの自分とだけが繋がっている。
 メールだけでチマチマと現状をやりとりするのは億劫だったが、それも仕方がない。
 結局、いくら話し合ってもわけがわからないこの状態の打開策などなく、暫く様子見ということにはなったが、それに関しても問題は山積みだ。
 向こうへ飛んだ先輩が自分の家に入れないなら、こちらへ来た先輩だって入れないに決まってる。それでも一応、確認のため先輩のアパートまで付き合って、落ち込む先輩を慰めつつ自宅へ引き返す。
 その時点でほぼ朝だった。
 怒涛の夜をこえて、二人共疲れきっている。先輩は流石に授業どころじゃないようで大学には行かないと言うし、自分も今日は午後からだったので、帰宅後ひとまず眠ることにした。
 学生の一人暮らしの部屋に、来客用の布団など存在しない。かと言って、落ち込む先輩にそこらで適当に寝て下さいとも言えず、自分だって自室の床でなど寝たくない。結果、狭いベッドに背中合わせで横になるしかなかった。
「襲わないでくださいよ」
「んな元気ねぇよ。てかそもそもお前は俺の恋人じゃないだろ」
 不機嫌そうな声が背中の向こうから返さえる。
「あ、そこちゃんと区別してくれてるんですね」
「あたり前だ。まぁ、向こうの俺の身がどうなってるかはわかったもんじゃねぇけど」
「向こうの俺って、そんな節操無く男誘うヤツなんですか?」
「まぁかなり積極的ではあったな」
「ビッチな自分とかやだなぁ」
 自分が抱かれる側というのもなんだか納得がいかない。しかも高校時代から、何度もいろんな男に抱かれる人生だったなんてゾッとする。
 先輩に抱いてくれと自分から頼んだなんて笑えない冗談にしか思えないし、それに応じた先輩にも驚きだった。今この背中の向こうにいる男は、自身より頭一つ分もデカイ男なんかに欲情出来るらしい。
「うへぇ」
 自分と先輩とのエッチを妄想しかけて思わず妙な声を漏らしてしまった。
「バカな想像してないでさっさと寝ろよ」
「頭ン中読まないでくださいよ」
「今の流れじゃわかりやすすぎんだろ。未経験のその気もない相手に、手なんか絶対出さねぇから心配すんなよ」
「心配なんてしてませんって。そんなんされたら全力で逃げますし」
「おー、そうしろそうしろ」
 投げやりに応えてから、そろそろ黙れと続けた先輩に、すみませんと返して口と目を閉じる。背中の熱はこの短いやり取りの間に既に馴染んでいて、その熱に誘われるようにして、あっという間に眠りに落ちた。

続きました→

お題提供:pic.twitter.com/W8Xk4zsnzH

 
 
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「知り合いと恋人なパラレルワールド2」への2件のフィードバック

  1. こちらも読み始めました。
    色々と笑ってしまいます。
    「うへえ」がすごい好きです。
    レイ様の会話本当に好きなんですよね自分(^O^)/

  2. 睡魔さん、次々に色々と読んで下さって本当に有難うございます。>
    笑って貰えて、会話好きって言って貰えて、嬉しいです(´∀`*)ウフフ

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