「とにかく、お前が相手なら勃つのか試したいんだって」
「それはいいけど、もし勃ったらどうすんの?」
相手の反応的にダメと言われることはなさそうではあったが、了承の言葉にまずはホッとする。だって今更無理と断られる可能性も考えていた。なんせ、年末にはそういう関係はもう終わったからとあっさり帰られている。
「試していいってことは、お前にもまだ特定の相手は出来てないってことでいい?」
あの時はダメで今オッケーなのはどう考えたってこちらがフリーになったことなのだろうから、これは一応の確認であって、もちろん否定が返るなんて思っていないから、相手の返答を待たずに続けてしまう。
「お前が今もフリーだってなら、俺はもう諦めて、お前を落とそうと思ってるよ」
「は?」
「これ、もしお前相手に勃ったらどうするか、の答えな」
意味が理解できないのか、理解できるからその顔なのかはわからないが、なんとも微妙な渋面だった。眉間にシワが寄っている。
「それって、つまり……」
「お前に責任取らせたい」
「えっ?」
想定外だっただろう返答に呆気にとられた顔になった相手に、ここは強気でニヤリと笑ってやる。
「俺の体こんなにしたのお前だから、お前が責任とって?」
「え、と、……いいの?」
「いいよ」
「わか、った」
戸惑いはしたようだが、それでもあっさり了承されてしまった。ソワソワと落ち着きなく、しかも期待が滲む気配に、苦い笑いがこみ上げてくる。
相手の誘いに乗ってエロいことを受け入れてきたのはこちらなので、本音では相手だけの責任ではないと思っているけれど、そういう指摘がいっさいないどころか、責任取れの言葉にこうも嬉しそうにされてしまったら、相手の気持ちなんて聞くまでもなさそうだ。まぁ、確認も兼ねて聞くんだけども。
「お前、俺のこと好きだよな?」
もちろん恋愛的な意味でと付け加えてやれば、相手はまた眉間にシワを寄せて黙り込んでしまう。
「あれ? 違ったか?」
「ちが、わない……けど」
「けど?」
「なんか……なんか、」
「なんか、なんだよ」
「期待してた展開と、なんかぜんぜん、違う……」
へにょっと眉尻を下げて、大きなため息とともに俯いてしまう。しかも顔を両手で覆い隠して。
「ふはっ」
思わず笑ってしまえば、笑わないでよと力ない抗議が返ってくる。
「つか期待って、どんな期待してたんだよ」
「そんなの、俺にしか勃たないから俺でいいや、みたいな妥協とか諦めじゃなくてさぁ。俺のこと、好きになって欲しかったっていうか」
「だってお前が好きって言わないのに、俺から好きっていうの、なんか悔しいだろ」
「えっ!?」
「くふっ……」
バッと顔をあげてマジマジと見てくるから、やっぱり苦笑がこぼれ落ちた。
「あ、からかってる!?」
「ってない。俺だってお前が好きだよ。多分」
「たぶん……」
「お前に触られたら勃つと思ってるし、だからお前に責任とってもらうつもりだし、お前が俺を好きって認めるなら恋人になってもらう気満々だし?」
「こいびと……」
「お前に恋人作る気ないなら、セフレとかでもいいけど。まぁそこらの誰かととりあえずで性欲解消のセックスすんのは止めろ、とは言うけどな」
「しないよ。てかセフレでいいとかも止めてよ。恋人に。恋人になるから!」
必死かよと思ったら、やっぱり笑いがこみ上げた。
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■
HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁