初恋は今もまだ 友人6(終)

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 まだまだ夏とは言えない時期だが、男二人が密着する布団の中は本当に暑い。それを素直に口に出していたら、着ていたシャツは脱がされたし、掛けていた布団も横へ跳ね飛ばされた。
 そうするとさすがに少し肌寒くて、相手の温かな肌が触れると気持ちが良い。
 相手が長年の友人であるこいつだからという部分もあるだろうが、男の手で肌をまさぐられても、全くと言っていいほど嫌悪感が湧かないのがいっそ笑えてきた。
「ふふっ」
「どうした?」
 思わず零した笑いに、すぐさま相手が反応して聞いてくる。
「んー……エロい気分になれないのは当然にしても、案外嫌な気分にもならないもんだなって」
「そりゃあそうだろ」
「なんでよ」
「お前はお前が自覚してる以上に、自分の気持に素直だからだよ」
 言われた言葉の意味がわからず首をかしげた。明かりの消えた暗い部屋の中でも、この近さであれば相手にも気配で伝わるようだ。
「本気で俺相手にこういうことが無理だったら、お前は絶対泊まりになんか来ないし、俺と恋人関係を続けてみようなんて思わないだろ。ちゃんとお前に、エロいことする気があるって教えた後なんだから。もし絶対無理だったら、知った時点でお前はきっぱり逃げてるはずなの」
 要するにお前の自覚が追いついてないだけだと言い切られてしまったが、確かにそうなのかも知れない。
「なら、ちゃんと自覚したら、お前とエロいことしたくなったりするわけ?」
「ほんっとバカだねぇ」
「その言い方めっちゃムカつくんですけど」
「お前、俺に気持ち弄られるって自分で言ってたじゃん。俺はそれ肯定したよな? 俺とエロいことしたい方向に、お前の気持ち育てる気満々だから、それを自覚できる日をお前は楽しみに待ってりゃいいよ」
 そんなものを楽しみに出来るだろうか?
 でもそんな宣言をされても、めちゃくちゃ嫌な気持ちにならない時点で、やっぱりもうそれを受け入れているということなのかもしれない。
「ま、取り敢えず俺に触られるのが嫌じゃないって自覚できたところで、もうちょっとエロい方向試してみようか」
「えー……」
「お前が本気で嫌がったら止めるって」
 どこか楽しげな声と共に、下腹部を撫でた手がそのまま滑って下着の中に入り込む。
「んふっ」
 直接握られて弄られれば、それはあっさり硬さを増した。
「勃ってきた」
「実況すんなバカ」
「このまま俺の手でイけそう?」
 直接的な刺激はキモチイイが、だからといって友人の手でイけるかというと、それはなかなか難しそうだ。主に精神面で。
「ちょっと無理」
「ま、俺に扱かれても平気ってわかっただけで充分か」
「って言いながらも、手、離さないのかよ」
「もうちょっと触らせて。後、キスさせて」
「あ、まさかお前、興奮してんの?」
 男の勃起ペニスを握って扱いて興奮できるとか、バイとは聞いたけど、やっぱりちょっと引きかけた。
「好きな子が俺の手に反応してたら、そりゃ興奮して当たり前。むしろ俺が無反応でお前弄ってるほうが嫌だろ?」
 言葉って不思議だ。好きな子だから興奮するって言われてしまったら、確かに当たり前の現象と思ってしまう。
「ね、キスさせて?」
 再度告げる声が随分と甘えを含んで聞こえてしまい、ヤダよと突っぱねる気にはなれなかった。
「いい、よ」
 始めは軽く触れるだけ。でも繰り返すうちにだんだんと自分から唇を解いてしまい、やがて舌を触れ合わせ、相手の舌に口内を舐らせる深いものへと変わっていった。
 性器を弄られるのとはまた違った気持ちよさに、ゾクリと肌が粟立つのがわかる。
「んっ、んっ」
 甘ったるく鼻を鳴らしているのが自分だなんて、なんだか酷く不思議な気持ちだった。
「な、俺も一緒に、気持ちよくなって良いよな?」
「ど、…ゆー、こと?」
 キスの合間に交わす会話。こちらの疑問に対しては、言葉では返ってこなかった。
 また口を塞がれて触れ合う舌に意識が向かう中、下着をずるりと下げられたかと思うと、曝け出したペニスに熱く硬いモノが押し当てられる。それが、同じように下着から出された相手の性器だと気づいたのは、相手が二本のペニスを同時に握って擦りだしてからだった。
「…ッハ」
 触れ合わせた唇の隙間から、相手の熱い息がこぼれ落ちて、胸の奥がざわついてしまう。ただ相手の手に握られ扱かれるより、ずっといやらしくて、腰が重くしびれるようにキモチガイイ。
「っふ、はぁ……お前の、キモチイイ」
「うん……」
 俺も、キモチイイ。とは素直に言えないけれど、でも多分、伝わった。キスの合間、ふふっと溢れる笑いが随分と嬉しそうだ。
「一緒に、イけそう?」
 さすがにもう、ちょっと無理とは言えそうにない。頷いて、二本のペニスを握る相手の手に、自分から自分の手を添えた。自分が気持ちのいいリズムを教えるように、相手の手を握って上下させる。
「あー……お前、本当、手ぇ早すぎる」
 二人同時にとはいかなかったが、それでも互いにきっちり吐き出して、いわゆる賢者タイムに突入すれば、襲い来るのは気まずさと恥ずかしさだった。後悔や嫌悪はやはりないので、それがますます気まずさと恥ずかしさに拍車をかけている気もする。
「本気で嫌がったら止めるって言ったはずだけど?」
「うるっさい。わかってるけど、でもお前が悪い」
「はいはい。別に俺が全部悪かったって事でいーですけど」
 完全な八つ当たりも相手はあっさり受け止めて、吐き出した物を拭き取り終えた体をまた隣に横たえる。ちなみに、こちらの体に掛かった分も、相手が丁寧に拭きとってくれたので、自分はずっとダラダラ寝転がったままだった。
「自分のベッド行け」
「えーやだー」
「抜いてすっきりしたんだからもういいだろ」
「情緒来て! てかここではいはい終わりって別々に寝るとか、それ、絶対ダメなパターンだからね?」
「なんで?」
「俺がどんなにお前を好きかとか、お前がどんなに可愛かったとか、ここで語らなくていつ語れっての?」
 唖然としながらマジかよと呟けば、大マジですけどとまったくふざけた様子のない声が返された。

<終>

 
 
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