「どうして、って……」
本当には発情期なんて来ない身である以上、彼がいない日を狙っての自慰行為だったのは明白だけど、見つかる想定がなかったので言い訳だって考えていない。
「そういや何がゴメンだったのかも聞きそびれてんだけど。もしかしてこの巣作りと関係してる?」
勝手に服とか小物とか持ち出してゴメンって意味だった? と続いた言葉に、そうだと頷くことは出来なかった。だって、絶対違うだろって確信してる。
ちょっとくらいはそういう気持ちも混ざってのゴメンだったんだけど。ただ実際には、一人で欲求不満を持て余してる、という事実が単純に申し訳ないなって気持ちが大きかった。
ちゃんと恋人になったのに、抱いて貰えない切なさに浸って一人で処理する、というのが、なんとなく相手への裏切り行為のように感じている。もっと頻繁に抱いて欲しいとねだったら、きっと叶えてくれるだろうと思ってもいるから尚更だ。
「お前がいるのに、一人でしようとして、ごめん……みたいな。あと、お前の物、勝手に持ち出したのも、ゴメンって思ってる、よ」
「一人でするのが好きで、俺が居ない日狙ってた。ってわけじゃないんだよな?」
「うん」
「俺を直接誘おうとは思わなかった理由って何?」
「それは、誘ったら付き合ってくれるとは思ったけど、でも、言い出しにくくて……」
「だからそれはなんでだよ」
自分から誘う前に相手が手を出してくれることが多いけれど、自分から誘ったこともなくはない。でも、何の躊躇いもなく誘えていたと思わないで欲しい。
「なぁ、俺だって、お前がしたいって思ったときには誘って欲しんだけど?」
「そ、れは、……だから、ごめん、って」
「だーからっ! 俺も、謝られたいわけじゃないんだっつの。てかもしかして、一緒に住んでるからこそ誘うタイミングが難しい、みたいな話?」
「そういうのとはちょっと違う。でも、どれくらいの頻度なら、お前が呆れずに付き合ってくれるのか知りたい、とは思う」
「頻度?」
「もうさ、ぶっちゃけて言うけど」
これもう相手が納得行くまで追求が止まないな、と思ってしまって、仕方なく口を開いた。
さっきはこちらの欲を優先して抱いてくれたけれど、それだって、聞きたいことは後回しにして色々飲み込んでたってだけなんだろう。だから今度はこちらが相手の求めに応じなくちゃいけない。
「恥ずかしい話、俺、お前より性欲強いのかもで」
「は?」
突然何を言い出したと言いたげに驚かれたけど、いいから聞いてと黙らせる。
「お前が誘ってくれるのすげー待ってることあるし、俺から誘うのも、どれくらい期間開けたら怪しまれないか考えて誘ってんだよね。だってお前に淫乱とかはしたないとか思われたくないし、誘って断られたらと思うと怖いし、あんまり頻繁にねだって呆れられたり飽きられたりも怖いし。なら、お前にばれないように一人で解消するしかないじゃん。巣作りしたのは、一人でするのに都合が良かったから、だよ」
「色々言いたいことがありすぎんだけど、巣作りが都合いいって、どんなとこが?」
「うぅっ……」
まず聞くのがそこなのかと思って、小さく唸った。
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