ここがオメガバースの世界なら2

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 2人きりでのお茶に躊躇いはあるのに、それでも繰り返し訪問してしまうのは、その時間が楽しいからにほかならない。話し始めてしまえばそちらに熱中して、抵抗感も躊躇いも霧散してしまう。
 あまりに熱中してしまうから、お茶の時間はアラーム付きだ。家族の誰かが帰宅する前にお開きにして、訪問者が自分であることをなるべく隠しておきたかった。
 いくら同じ高校へ通い同じ部の後輩になったからとはいえ、上がりこんでお茶までしている理由をそう何度もごまかせるわけがないし、万が一会話を聞かれて腐男子バレするのも怖い。なのに。
 楽しげに話をしていた彼女の口が突然閉じて、目が大きく開かれる。その目が自分を通り越してリビングのドアを見つめていることに気づいて振り返れば、そこには難しい顔をした想い人が立っていた。
「な、んで……」
 思わず確認した時計は、お開きになる予定まで30分以上の余裕がある。それに、一番に帰宅するのは母親だとも聞いている。スポーツ推薦で高校入学した彼は今日も部活で出かけていて、帰宅はかなり遅くなるはずではなかったのか。
 この時間に彼が帰宅してくる想定はまるでなかった。
「体調悪くて早退した」
「そう。それで、いつから立ち聞きしてたの?」
 難しい顔をしているのは体調が悪いせいかと、彼の体調を一番に気にかけた自分と違って、目の前の彼女が硬い口調で問いかける。
「立ち聞き?」
「入ってくるときの様子がおかしかったもの」
「10分、くらい?」
 様子がおかしかったのは具合が悪いからじゃと口に出す前に、あっさり立ち聞きしていたことを認める返答をされてしまってザッと血の気が引いていく。10分程度の間に、自分はどんなことを口にしていただろうか。
「玄関に男物の靴があったし、楽しげに聞こえてくるのも男の声だし、相手、確認しておきたくて。つか、あんたらって付き合ってんの?」
「は?」
 慌てて先程までの会話を思い出そうとしていたが、一気に思考が停止する。
「ただのお友達だけど。でもそう言ったところで信じる気、ないでしょ?」
「だって彼氏にすんなら自分の趣味に理解あるやつじゃなきゃ無理、って言ってたじゃん。それに家に誰も居ないのわかってて来てんだろ」
「彼氏なら自分の部屋で話せばいいし、ちゃんと彼氏として家族に紹介するわよ」
「じゃあまだ彼氏じゃないってだけで、これから彼氏になんの?」
「会話の内容聞こえてたなら、こそこそお茶会してた理由だってわかるでしょうに」
「会話聞こえたら聞いてんだけど。告白されてたじゃん」
「えっ……?」
 鈍くなった思考でも一応は2人の会話の内容を拾っていて、意味のわからなさに戸惑いが漏れた。
「あれは私への告白なんかじゃないわよ」
「ええっっ!? ちょ、え、待って、待って」
 告白と取られるような発言をした記憶がまったくない。なのに彼女には思い当たることがあるらしい。
「告白ってなんのこと?」
「ほら、本人も全くの無自覚じゃない」
「だってもしお前がオメガなら、姉貴はきっとアルファなんだろ?」
 答えてくれるのは彼女の方だと思ったのに。しかも、オメガだのアルファだの、どう考えたってそれが何を指すかわかっている口調で彼の口から零れ出たことで、またしても思考が停止する。思わずポカンと彼の顔を凝視してしまった。
「なん、だよ……」
「え……腐男子、なの?」
「違ぇっっ!!」
 即座に激しい否定が返ったし、めちゃくちゃ嫌そうな顔をしているから、胸の奥がズキリと痛んだ。

続きました→

 
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