まだ完全には勃ちきっていないペニスは、たしかにまだ、亀頭全てが露出している状態ではない。けれどゆっくりと握った手を引き下ろせば、何の抵抗もなくつるりと剥けてしまうから、仮性包茎というのも事実で、やっぱり何の問題も無いように思う。
先端は乾いていてまだ先走りが滲んではいないようなので、そのまま包皮を上下させてゆるゆると刺激を送った。いわゆる皮オナってやつだが、相手にとっては慣れた刺激なのか、手の中の質量が増していく。
じっと見つめてしまう先で、相手の息も上がっていた。伏せた目が、時折チラとこちらを窺ってくるのも、しっかり見つめられていることに羞恥を増していくのも、感動ものの可愛さだった。なんせ、相手が感じているところを見るのは初めてだ。
逆の立場で散々観察されてきたので、相手も見られることは想定していたのか、恥ずかしいから見るなとは言われなかった。でも、何度もこちらを窺うくせに、すぐに視線をそらして戸惑う様子や、じわじわと頬を赤らめていく様子から、相当恥ずかしそうではある。
めちゃくちゃ可愛い。
口に出すのは堪えられても、口元が緩むのは抑えられそうになかった。
「えろい、顔」
またチラっとこちらを窺った相手が、視線をそらした後でぼそりとそんなことを呟くくらいには、表情に出てしまっているらしい。
「嬉しいんだよ。俺がこの日をどんだけ待ってたかわかってる?」
「わか、ってる」
「じゃ、キスして」
言えばすぐに顔が寄ってきて唇が触れ合った。軽く唇を解いて待てば、すぐに相手の舌が口内に差し込まれてくる。
それを絡め取って甘噛し、舌同士をすり合わせ吸ってやれば、連動するように、手の中のペニスが震えて蜜を零しだす。
「ん……、んっ……」
甘く鼻を鳴らすのさえ、胸のうちに愛しさがこみ上げる。この手で、感じてもらえている。気持ちがいいと、思ってくれている。
「ぬるぬる出てきたから、脱がして、いい?」
一瞬ためらった相手に、絶対笑わないと言いきってやれば、ふっと笑うみたいな小さな息を吐いたあとで、いいよと返ってきた。
了承とともに相手が腰を浮かし、自らズボンと下着とを下ろしていく。一度手を抜けば、そのまま相手は完全にズボンも下着も脱ぎ去ってしまう。
いつもと真逆の光景だ。
「嫌じゃなければ、なんだけど」
そういや結局トラウマ話を聞きそびれたな、と思ったら、口からそんな言葉が漏れていた。
「なに?」
決死の覚悟で脱いだのだろう相手は、何を言い出すのかとほんのりと身構えているから、少しでも嫌そうにされたら諦めるつもりで口を開く。
「もっと近くで、見ても、いい?」
「そ、れは……」
「無理ならいい。無理は、しないで」
「いや、いいよ。大丈夫」
「本当に?」
だって相手がこちらのペニスに顔を近づけて観察したことはない。散々弄られた上に射精するところまで見せてきたけれど、相手の顔は常に自分の顔の近くにあった。
今日もそうだが、いつもソファに隣り合って座った状態でしていて、その体勢が大きく変わったことがない。
「ん、大丈夫」
2度めの大丈夫に促されて、ソファの座面から滑り降りた。
相手の両膝を軽く握って開かせるように力を込めれば、何も言わずに従ってくれたから、その間に入り込んで正面に腰を下ろす。
一度相手の様子を確かめるように顔を上げれば、こちらを見下ろしていた相手とバッチリ視線が絡んだ。
「すごい絵面なんだけど」
困ったように苦笑されたけれど、こっちはなんだか少し懐かしい。こんな風に相手を見上げていた、遠い昔を思い出す。
まぁ、あの頃とは全く違った理由で相手を見上げているわけだけど。
「耐えられないと思ったら、早めに言ってよ」
なので、懐かしいなどと口に出すことはせず、それだけ伝えて視線を剥き出しの股間に向けた。
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■
HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁