親父のものだと思ってた7

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 もしかしたら自分が抱かれる側になるのかもしれない。なんて、全く考えていなかった可能性を提示されてめちゃくちゃビビってしまったが、追々考えればいいの言葉通り、キスやらハグやらが日常生活の中に溶け込んでも、お前が抱かれる側になれという積極的なアプローチはなかった。
 だからって相手が抱かれる側にまわってくれそうな気配もないので、本当に、そういうことは先延ばしってだけなんだろう。
 恋人関係を進展させたい。まずは触ったり触られたりが出来る関係になりたい。というこちらの希望にも適っているので、キスやハグが増えるのはもちろん嬉しいのだけれど、でも相手が数をこなすごとにあからさまに慣れていくのがわかるから、内心微妙なところはある。微妙というか、戦々恐々というか、つまりは嬉しいとは思うけれど素直には喜べない状況だ。
 だって相手の思惑が透けて見えてもいる。
 ずっと実家の家政夫の真似事をしていたことを、ぬるま湯環境でのリハビリと称していたように、彼の対人関係は長いこと狭い範囲に限定されていた。人間関係につまずいてニート、という部分にどこまで踏み込んでいいのかわからなくてあまり深くは聞いていないけれど、どうやら何かがあったのは高校時代で、辛うじて卒業だけはしたという相手にとって、自分はやはり初めての恋人らしい。初めてキスをした時にちらっと思った通りに、恋愛未経験者の童貞、というのが当たりだったようだ。
 でも人間関係の問題で経験する機会がなかったというだけで、きちんとコミュニケーションが取れる相手と関係を深めていくことには何の問題も抱えておらず、手際よく美味しい料理を作ってくれることからもわかるように、どちらかというと器用な方でもある。つまり、数をこなして慣れさえすれば、恋愛未経験だとか童貞だとかはなんの障害にもなりそうになかった。
 自分が抱く側となり、未経験でぎこちない相手をリードする。なんて展開はどうにも起こりそうにない。それどころか、長いこと母親代わりにあれこれ世話を焼いてきた経験を最大限に生かして、頼りがいのある年上彼氏にクラスチェンジした気配さえある。
 うん。これはやばい。まずい。
 今はまだ、どっちが抱くとか抱かれるとかの話は棚上げされているけれど、この調子で相手がじわじわと恋人と触れ合う経験を積み上げていけば、抱かれる側になるのはきっと自分の方だ。
 そもそも、お前で童貞捨てさせて、なんて言われたら断れる気がしない。むしろそれはそれで嬉しいんじゃ、とか思いかねない。
 だって現状、じわじわと経験を積み上げていく、という選択をしている相手なら、この身を任せたところで強引に突っ込んできたりはしないだろう。同じように、じわじわと体を開発されていく未来が見えてしまう。
 うん。これはやばい。まずい。そんな展開に流されたくない。
 だとしたら、自分が取るべき道は何か。考えた結果、相手がこれ以上あれこれ慣れてしまうまえに、積極的に抱きたいアピールをしつつ、相手の慣れるスピードよりも速く関係を深めていくしかないと結論づけた。嫌われたくないから無理にどうこうする気はない、というのは今も思っているけれど、相手のペースに任せてじわじわと進展するのを待つのはやめるべきだろう。
 幸いにして、キスやハグは日常に溶け込むレベルで増えているが、一緒に気持ちよくなるような性的な触れ合いはまだ殆どといっていいほどしていない。
 深いキスをして、互いの体をまさぐって、興奮で形を変えたペニスを服の上から無であったことはある。でもそこから先、直接互いの性器を握って扱き合うようなことにはならなかった。今日はここまでと相手に身を引かれてしまったからだ。
 もちろん、その後自室でしっかり抜いた。多分相手だって、一人で処理したと思う。
 あのときもっと強引に、気持ちよくイケるまで付き合わせてしまえば良かった。無理に付き合わせるのではなく、上手におねだりの方向で、相手が受け入れてくれる範囲をもっと探るべきだった。

続きました→

 
 
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