雷が怖いので END直後2

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 俺も好きですと告げる声は少し震えていたかもしれない。躊躇いなく好きだと繰り返し与えてくれる言葉が嬉しくて堪らないのに、嬉しいからこそ泣きそうだった。
 何も考えられなくなるような抱き方をされて居ないせいもあるだろう。
 今までだって、じわりと快感を引き出されていくようなセックスを、してなかったわけじゃない。特に関係を変えた後、泊まりで抱かれる時はそんなセックスが多かった。
 それだって十分に嬉しかったけれど、プレイ要素控えめに抱かれているとどうしたって好きだという気持ちが溢れ出したし、約束通りの優しいキスを貰いながら、自分の気持ちばかり押し付けるようで申し訳ないと思ってしまう気持ちを、止めることも出来なかった。好きだと返してくれない人を、恋人になれないような相手を、諦めることも出来ずに卑しく求め続けた日々に、迷いがなかったはずがない。
 思考を奪われていないせいで、やっと掴んだ幸せの前だというのに、苦しくてしんどかったアレコレを思い出してしまう。もうあんな思いはしなくて良いのだと思うと、嬉しくて嬉しくて、キュウと胸が締め付けられる。
「それは嬉し泣きだよな?」
「そ、です」
 泣きそうになっているのはバレバレで、苦笑交じりの問いかけには必死で頷き肯定を返した。
「お前は本当に可愛いな。好きだよ。何度だって言ってやるから」
 だからもっといっぱい泣いてと笑う顔は少し意地悪だったけれど、それは当然見慣れたもので、その顔を見ただけでドキドキが加速してしまう。
「っぁ……」
 連動したようにアナルがひくつき、相手を締め付けてしまったのがわかるから恥ずかしい。泣いてと言われてこの反応なところが我ながら浅ましいと思うのに、恥ずかしいと思ってしまう気持ちまでも含めて、彼的には十分満足のいく反応だったようだ。
「このまま起きれるか?」
 ハイと返せば繋がりを解かないまま、片腕を背中に差し込まれ、もう片手には腕の付け根を掴まれて、ゆっくりと引き起こされる。
「ぁ、っあ、」
 繋がったままの動きにどうしたって熱い息がこぼれ出てしまう。
「ぎゅってして」
 促されるまま、彼の胸に倒れ込むようにして抱きついた。そのまま腰を抱えられるようにして支えられながら、彼が体勢を整えるのを少しばかり待つ。
「今度はお前が動いて、自分で気持ちよく、なれるよな?」
 元気だもんなとからかう口調にまた恥ずかしさから顔が熱くなりながらも、再度ハイと返してまずは両足に力を込めた。
「俺にたくさん好きだよって言われて、泣きながら気持ちよく果てるとこ、じっくり見ててあげような」
 ゆっくりと腰を浮かそうとした所で、どこかうっとりとした声音でそんな事を言われて、思わず身を固めてしまう。
「どうした?」
「……だ、って」
 なんとか声を絞り出した。
 まだ困惑してはいるものの、なんとなく、わかってきたような気がする。
「だって?」
「気持ちに任せて抱くって、こういう事になるって、思って、なかった……から」
「激しく貪られるとでも思ったか?」
「そりゃあ……明日、使い物にならなくてもいいならなんて言われたし」
「考えが甘い。後、相変わらず迂闊だな」
 楽しそうなニヤニヤ顔をされた。でもそれが嬉しいのだから困ったものだ。
「ようやくお前を好きだと認められたんだから、今まで返せなかった分をたっぷり返してやるよ。ちゃんと俺の言葉を聞き取れて、理解もできる状態で抱き続けるに決まってるだろ。意識飛ばして逃げるみたいに終われるなんて思うなよ」
 イッてるのはお前のが断然多いけど射精はほとんどしてないんだから、後は若さで乗り切ってと続いた言葉に、確かにこれじゃあ明日は使い物にならないだろうと思った。
「もっとして、なんてねだったこと、後悔してるか?」
 フルリと小さく体を震わせればそんな風に聞かれはしたけれど、ゾクリと背中を走ったのはどちらかと言えば期待だった。そりゃあ、不安や恐怖に似た気持ちがゼロと言うわけではないけれど。
「まぁ後悔してるって言われた所で止める気ないし、後悔なんか忘れるくらい善くしてやるけどな」
 自信満々に言い切る相手に、後悔なんかするわけ無いと返して、中断していた動きを再開させる。
「いい子だ」
 それは満足気な声音だったのに、次にはとろりと甘やかな声が好きだよと続いた。

続きました→

 
 
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