竜人がご飯4(終)

1話戻る→   目次へ→

 目覚めはスッキリとしていて体がめちゃくちゃ軽かった。隣では竜人の姿に戻った男が、まだ軽いイビキと共に眠っている。
 行為を終えたのは彼の変化の術が解ける直前で、要するに人型が保てている間いっぱいが食事の時間ということらしかった。
 竜人の姿に戻ってもわかる、色濃く漂う疲れの気配。ここでそのまま休めばいいと誘えば、相手は随分と驚いていた。躊躇う相手にこの後の予定はと聞けば、後は自室に戻って休むだけだと言うので、もう少しそばに居て欲しいと頼み込んで引き止めたのは自分だ。
 めちゃくちゃ広いベッドは、二人で横になってもまだ充分に余裕がある。だから、まぁいいかといった様子でベッドに沈んだ男の隣に寄り添えば、やはり相手は驚いたようだった。
 この姿が怖くはないのかと聞かれたが、今更過ぎて笑ってしまった。姿形は多少違っても、つい先程まで体を繋いで睦言を繰り返していた相手だ。
 倒すべき敵として対峙すれば間違いなく恐怖するだろうが、モンスター相手に戦闘を繰り広げていた記憶は既に遠い過去のものになっている。むしろ、殺してやれないと言って謝るような相手を、どう恐怖すればいいのかわからない。
 そう告げれば、そうかと言ったきり、彼はあっさり眠りに落ちてしまった。やはり相当疲れていたらしい。
 無防備に眠る姿は、こちらへの警戒心がまるでない証のようだ。事実、眠る彼に傷をつける術など一切ないし、そんな気持ちも微塵もない。
 どちらかと言えば、相手に対して感じるのは深い興味と好奇心だった。相手は本来の自分の実力では到底お目にかかれないレベルの竜人だ。しかも敵意も悪意もなく、自分を生かすために精を分け与えるという、信じがたい行動を見せている。
 疲れた様子の彼を起こしてしまうのが忍びなくて我慢していたが、一眠りした後の今なら、少しくらいは触れても大丈夫だろうか。
 体に掛かる布をそろりとどければ、仰向けに転がる相手の腹が見えた。確かに彼の性器をこの体に受け入れていたはずが、下腹部もツルリとして何もない。
 不思議に思って体を起こし、その周辺に顔を寄せて確かめる。それは見た目より先に香りで気付いた。
 覚えのある甘い芳香が、下腹部の一部から漏れ出ている。食事前だったら、迷わずそこへ舌を伸ばして舐め啜っていただろう。
 なるほど、性交時以外は体内に収まる仕組みらしい。
 人のように、その近辺を刺激したら、勃起して飛び出してくるのだろうか。などという下世話な興味で、その香りが濃い部分周辺を撫で擦ってみた。
 勃起したペニスが飛び出てくることはなかったが、香りが強くなるのを感じ、腹の隙間にじわりと汁が滲み出る。その汁に誘われて、とうとうその場所へ舌を伸ばしてしまった。ちろりと舐めとった汁は、キスによって与えられる彼の唾液とはまた違った、少し酸味のある旨さだ。
 性器を収めているのだろう袋の中は、濃厚な先走りの液体で満たされていて、差し込んだ舌ですくうようにベロベロと舐め回す。
「こら。なにをしてる」
 つい夢中になって舐め啜っていたら、どうやら起きたらしい男の声が静かに響いた。
「食べ足りない、ということはないだろう?」
 そっと肩を捕まれ引き剥がされる。
「もっと食べれそう。って言ったらまだ俺を抱く?」
 勃起させてよと言ったらダメだとそっけなく返され少し残念だった。
「この姿で抱いたらお前の体を傷つける。次に人型が取れるまで少し待ってくれ。それに今日は他に予定が詰まっている」
「それは残念。というか、次回もあるのか?」
「無事に食事が摂れたのだから、暫くは私がお前の食事として定期的に供される事になる」
 それを聞いてホッとする。
「なるべく、早く、来て」
 縋るように頼んでしまうのは、この部屋に一人閉じ込められる時間を思い出して、どうにも寂しく感じてしまったからだ。目の前の男にさんざん優しく抱かれたせいで、気持ちが弱っているのかもしれない。
「私が来れない間、できればお前を世話する者を戻したいのだが……」
「え、あいつにまた会えるのか?」
「無断でスリットに舌を差し込んで舐め回す、などということをされてしまうと、彼の身が危険な気がして考え中だ」
 初心な彼を襲わずにいられるならと言われて、うーんと唸ってしまった。美味しそうな香りを撒き散らすのは彼もまた同じだからだ。しかも、目の前の男からたくさんの栄養を貰って、体はメキメキと回復している。小さくても竜人だから力比べで勝てるとは思わないが、前ほど簡単に振り払われる事もないかもしれない。
「まぁ、だいぶ元気になったようだし、私が来れない間の暇が潰せるよう、何かしら考慮はしておこう」
 そう言い残して彼が部屋を去ってから程なくして、パタパタと走ってくる軽い足音が近づき、もどかしげに鍵を開けて飛び込んできたのは世話係の小さな竜人だった。
 体力が回復したおかげで、この部屋に運び込まれて初めてベッドを降り、部屋の中をウロウロ見まわっていた自分に、飛びつく勢いで抱きついてくる。
「凄い、お前、歩ける」
「あー、うん。腹いっぱい食べたら、元気でた」
「おまえ、食事、出来た。良かった」
 半泣きの声に、随分と心配をかけていたようだと気付いて、腹にまとわりつく小さな竜人の頭をそっと撫でた。撫でながら、さてどうしようかと思う。
 腹は満たされているからか、尻穴や腸内が蠢くことはないけれど、やはり甘い香りが鼻腔をくすぐってくるのだ。
 再度彼に逃げられたくはないからもちろん我慢するけれど、竜人の味をはっきりと知ってしまった上に体が動くようになった今となっては、これは結構きつい状況かもしれない。
 次の食事がいつなのかはっきりしないから不安でしょうがない。腹が減ってこの小さな竜人に襲いかかってしまう前に、はやくもう一度食事担当の彼に戻ってもらいたいと切に願った。

<終>

遅刻すみません。最後がどうにも迷って時間食いました。
適当ファンタジーにお付き合いどうもありがとうございました。いつか竜人受も書いてみたい……

竜人受け有りの続編が出来ました。読む→

 
萌えたらポチッと応援よろしくお願いします。

1話完結作品/コネタ・短編 続き物/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  • 初めてコメントさせていただきます。

    竜人がご飯、とても楽しく読まさせていただきました。
    大きい竜人はとても素敵だし、小さい竜人はとても可愛くて
    続きが待ち遠しかったです。

    他のお話しも大好きです。
    短くまとめられたお話しの構成力の高さにいつも感嘆し、
    きゅんきゅんはぁはぁしながら勉強させていただいてます。

    また新しいお話しを楽しみにしております。

    by ぽこ 2016年1月15日 2:14 PM

  • ぽこさん、初めまして。
    竜人がご飯、スライムだの竜人だの書いてて楽しいけど大丈夫なのかこれ?と思いつつ書いていたので、楽しんで頂けたの凄くホッとしてます。
    なるべく短くと思いつつ書いてる事が多いので、構成力が高いと言って頂けたのも凄く嬉しいです。
    今後もあれこれ書いていくと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
    コメント、どうもありがとうございました〜(≧∇≦)

    by レイ 2016年1月15日 5:19 PM

  • 今回も楽しく読ませていただきました。
    ありがとうございました。
    竜人受も読んでみたいです。
    いつか書いていただけたら嬉しいです。

    by 草木 栞 2016年1月16日 4:05 AM

  • 草木さんもコメントありがとうございます!
    楽しんでいただけて良かったです~
    しかも最後思わず漏らした竜人受にまで触れて下さってありがとうございます。
    竜人受、大丈夫そうですか?
    これ書いたせいかここのとこ脳内が竜人いじりめいてるので、いつかポロッと形になって出てきちゃうかもなと思ってたりです(´∀`*)

    by レイ 2016年1月16日 7:50 AM

  • こんばんは、初めてコメントさせて頂きます。

    竜人がご飯良かったです。
    2人がイチャイチャしてるのもっと読んでみたいです。
    お世話係の竜人が元気になったことを喜んでるのホロリとしました。

    ぜひ竜人受もお願いします。

    by おもち 2017年6月19日 8:46 PM

  • おもちさん、初めまして。コメントありがとうございます!
    楽しく読んでもらえて嬉しいです(*^_^*)

    竜人受も時々思い出しては気になりつつ、結局書かないまま来てしまいましたが、もし書くよと言ったら
    ・魔法で人型の竜人受
    ・竜人そのまま受
    ・世話係のちっちゃな竜人受
    のどれが気になりますか?
    色々考えすぎて、自分じゃどれも選べない感じなんですよね……
    書くにしても先日雑記で触れた通り、当分先まで書く予定のものが決まっているので、相当お待たせしてしまうことになりそうですが、それでも良ければどの竜人受が気になるかご意見お聞かせ下さい〜

    by レイ 2017年6月20日 9:29 AM

  • コメント返しありがとうございます。

    すごい悩みますが
    ・竜人そのまま受
    ・世話係のちっちゃな竜人受
    ・魔法で人型の竜人受
    の順ですかね。

    竜人そのままって
    どうやってやるのか気になるところです。
    組み合わせは同じ竜人なのかしら?それとも人間?
    いろいろ妄想がひろがります。

    前のコメントの時恥ずかしくて書けなかったんですけど、使わない時は収まってるっていいです!

    他の作品を読みながら待ってますので、竜人受はご自身のペースでお書き下さいませ。

    by おもち 2017年6月21日 8:52 PM

  • どの竜人受けが気になるかのご意見、ありがとうございました〜
    登場人物を増やす気はないので、人間が元気になっていく過程で、自分も男なので突っ込みたい衝動がとか言いだすんじゃないかと思ってますが、書き出すのは当分先なので、その頃には別の案になっているかもしれません。

    そういやこれ書いてる時、ワニとか蛇とかトカゲの性器を検索しまくったのを思い出しました。笑。
    ワニは勃起状態のペニスを収納しているそうですよ。
    竜人も勃起しっぱなしで収納してるのかはわかりませんが、やはり人より爬虫類に近いイメージで書いてます。

    それでは、書くものリストの中に竜人受けも入れましたので、のんびりお待ちくださいませ〜(*´∇`)ノ

    by レイ 2017年6月22日 9:03 AM

  • レイさま
    竜人がごはんとってもほのぼので癒されました。
    ぜひちっちゃい竜人さんとのほのぼの番外も読ませていただきたいです。
    純粋な世話係がかわいくて仕方ないです。素敵なお話しありがとうございます。

    by 匿名 2017年11月26日 8:47 AM

  • 旭さん、で良いのでしょうか?
    はじめまして、コメントありがとうございます。

    出だしスライム姦とか入ってますが、ほのぼのと言って下さってありがとうございます。ほのぼの癒やし効果発揮してるのは、どう考えても小さな竜人の存在ですよね。そんな彼を気に入って下さり、かわいいと言って貰えて嬉しいです(^^♪
    今書いてる「竜人はご飯だったはずなのに」でも小さな竜人とのあれこれを書いては居ますが、まだどう進むかはっきりしてないので、もしエンド付いた後にも、もっと小さな竜人との話が読みたいと思って下さった場合は、ぜひ再度そう言っていただけると嬉しいです〜

    by レイ 2017年11月26日 12:56 PM

コメントを残す




Menu

HOME

TOP