いつか、恩返し10

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 多分、穴だけ差し出してこちらが気持ちよくなるだけだって、彼にとっては充分に満足する、好きな子とのセックスだ。こちらが抱かれる側になったって、こちらの快楽優先で抱いてくれる気でいるだろう。それは先程の会話からも明確だった。
 でもごっこだろうと、こちらにはっきりと恋愛感情だと言えるような想いがなかろうと、自分たちは恋人なのだ。今しているのは恋人同士のセックスだ。
「ごっこだろうとフリだとうと、恋人には違いないんだし、」
「ああ、うん。そうだね。わかった。いいよ」
 こちらの言葉を遮るように口を開いた相手は、続けてと先を促してくる。
「でも、さすがに前立腺いじめ抜かれる、みたいなの想定外だから、加減はしてよ。そんなとこ、自分で弄ったことなくて、自分がどうなるかわからないのは、ちょっと不安なのも、知っといて」
 なるほど、そういう理由で躊躇ったのか。
「ん、わかった。お前にしんどい思いさせたいわけじゃないし、いじめ抜く、なんて考えてない」
「ホントかよ。中弄られて感じる俺が面白くってやりすぎた、とか、ありそうで怖い」
「しないって。多分」
 多分は絶対に余計だった。相手はやっぱり諦めのにじむ呆れた息を吐きながら、ホント頼むよと念を押して、それから続きを待つように口を閉じた。
 釘を差されているので、そこばかりをしつこく弄ってしまわないように気をつけながら、指で中を探る行為を再開する。
「ぁっ…………ぁ、……ぁあ……」
 指先の動きに釣られるように、甘やかな吐息がゆるりゆるりと溢れでるのは確かに楽しい。
「ん、ぁっ、あぁっ」
 少し激しく動かせば、声も体もちゃんと大きな反応を返してくるのだって、楽しい。
 指を増やして拡げる動きに変えても辛そうな様子はなく、指の動きに合わせて甘い声を零すのも、体を震わせ腰が揺れるのも変わらなかったが、放射状に寄る皺が伸びてぐちゅぐちゅと濡れた音を立てる穴の卑猥さは格段に上がったと思う。
 ここに自分のペニスを入れて、現在指で感じている圧と蠢きを今度はペニスで感じるのだと思うほどに、興奮が増していく。
「な、も、じらさない、で」
 その声にハッとして、思わず指の動きを止めてしまった。耐えられなくなったら、その言葉で先を誘ってくれと言ったことは覚えている。
 でもどう見ても、もう耐えられなくてというより、こちらの興奮を読み取っての誘いだろうと思った。
 まぁ、相手の余裕を奪うような弄り方はせずにいられた、という意味でなら、安堵しておくべき場面かも知れないけれど。
「なぁ、も、いいだろ。も、入るよ、多分」
 だから挿れてと誘う相手に、そうだなと返しながら、埋めていた指をゆっくりと抜いていく。そしてその指が抜けた穴に、今度はペニスの先端を押し当てた。
「挿れる」
 そんな短い宣言には、うん、と小さな頷きが一つ返っただけだったけれど、さすがにもうそれ以上の言葉は不要だ。
 ぐっと腰を押し出すのに合わせて、尖端がアナルを拡げてくぷっと入り込んでいく。
「んっ……」
 少し苦しそうかとは思ったが、腰を引いたりはせず、そのままアナルを押し広げてまずはカリ首まで押し込んだ。一番太い部分を飲み込んで大きく広がったアナルが、今度は包み込むように窄まってくる。
「ぁっ……」
 どうやら相手もそれは感じ取れているらしい。

続きました→

 
 
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