理解できない10

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 そう何度も機会があったわけではないけれど、風呂場への突撃は数回繰り返していたので、家の風呂場ではないものの、躊躇いも戸惑いもない。いつもどおり背中と腕とを力強くゴシゴシと擦ったあとは相手の手に泡立つボディスポンジを差し出した。
 手持ち無沙汰に相手が体を洗っていくのをじっと見守っていれば、すぐにおいでと声がかかる。慣れた調子で相手が立ち上がったあとのバスチェアに腰を下ろせば、相手も慣れた様子で背中と腕とを擦ってくれた。
 ただ、いつもどおりだったのはそこまでで、ボディスポンジを受け取ろうとした手はそっと降ろされ、後ろから回ってきた手が胸元や腹を擦っていく。慣れない感触のくすぐったさに軽く身を竦めながら、さすがに戸惑いどうしたのかと問いかける。
「どうしたって、そりゃ、卒業旅行終わったからだよ」
「どういうこと?」
「保護者と家族卒業したんだから、もう、お前にどう触っても、どこ触っても、いいかなと思って」
 これも前戯みたいなもんだろと続いた言葉を否定する気はないけれど、だったら、自分だって彼の背中と腕以外を洗っても良かったのではないかと思う。
「なにそれズルい。俺だって洗ってあげたかったよ?」
「言うと思った。けど、先にお前に好き勝手いたずらされたら、こっちが持たない」
「いたずらって?」
「んー、こういうこととか?」
 言われながらスポンジを持たない方の手まで前に回ってきて、えっと思った次の瞬間には、その大きな手のひらの中にキュッとペニスを握り込まれた。
「ひゃっ!?」
 突然の衝撃に驚き、肩を跳ね上げながら奇声をあげてしまう。
「いー反応」
 可愛いなと言いつつもおかしそうに笑って、その手はくにゅくにゅとまだ柔らかなペニスをいじり続ける。その刺激に反応して、ペニスが形を変えるのはあっという間だった。
「ちょ、えっ、やっ、やだっ」
「でもここもしっかり洗わないと」
「ぜ、絶対、それだけじゃ、ないっ」
 洗われていると言えないこともない手付きは、絶対に勃起したペニスの形を確かめている。相手はやっぱりおかしそうに笑って、だって前戯だしと悪びれる様子もなく告げてくる。更には、スポンジを手放した手が股の間にヌルっと差し込まれてくるから、またしても盛大に驚いた。
 変な形の椅子だとは思っていたけれど、見るのは初めてだったし用途もよくわかっていなかった。でも凹みに腕を突っ込まれたことでその形の意味は理解できたし、よく出来ていると感心してしまう気持ちもなくはない。ただ、すごい椅子だなどと、のんきに思っている余裕はないのだ。
 たまらず浮きかける腰を、ペニスを握る方の腕でぐっと抑え込むようにして阻止されて、下から股の間を探られる。泡立つボディスポンジを握っていた手はボディソープをまとってよく滑り、ぬるぬる擦られるだけでぞわぞわとあちこちの肌が粟立った。
「やっ、やっ、やぁあ」
 気持ちがいいというよりはくすぐったさの方が強くて、足をばたつかせてしまう。こちらが暴れたせいだろう。ペニスを握っていた手が外されて、背後からギュッと抱えられてしまった。
 拘束された、という意識に体がこわばる。それに気づいたらしい相手が、あっさり腕の力を抜いたのがわかった。

続きました→

 
 
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