竜人はご飯だったはずなのに19

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 たしかあの時は、世話係の彼の権限ではどこまで話していいかわからないというのと、人である自分が彼らの繁殖について知るのは良くないと思うと言われたんだった。さて、こちらの彼はどういう判断をするんだろう?
「なぁ、お前らって好きな相手と繁殖期が揃わなかった場合って、どうすんの? 繁殖行為も仕事の一つってのは聞いたけど、好きとか関係なく繁殖期同士でセックスしてんの? それとも子供作れなくても、好きな相手とセックス楽しんだりする?」
 知っちゃいけないことなら言わなくてもいいけどと付け加えれば、相手は少し考えたあとで口を開く。
「仕事として行う子作りはもちろんある。繁殖期同士のものが顔を合わせて、合意に至れば子を作る。正確には、繁殖期が来た雌の目に叶えば、自分の子を成せる」
 圧倒的に雌の数が少ないんだと言った相手は、雌の竜人と戦ったことはないだろうと聞いてくる。言われてみれば確かに、雌の竜人なんて一度も見たことがない。
「彼女たちは大切に守られていて、子を産み育てるのが仕事で戦闘はしないんだ」
 仕事で行う繁殖の場合、自分の子を成せるとは言いつつ、その生まれてくる子供に会うことすら出来ないらしい。繁殖に関しては雄は種を提供するまでが仕事で、雌ともその繁殖期間だけの付き合いになるようだ。
「なら仕事じゃない子作りは? 夫婦で繁殖期揃わなかったらどうすんだよ」
「そもそも雌雄で夫婦という概念が、特別な階級のものにしか当てはならないんだが、そういった階級のものであれば例の薬を使って雄が雌の繁殖期に合わせて自身を発情させて対応する」
 人の世界とは繁殖のあり方が大きく違うのはわかっているから、理解できなくても仕方がないと彼は言う。
「えーと、じゃあ、その特別階級以外は、好きになった女口説いて結婚して一緒に暮らしたり、好きな女に自分の子を産んでもらって一緒に育てる、みたいなことは出来ないってこと?」
「そもそも特定の場所で守られ生活している彼女たちと、成人後に会話できるのなんて、繁殖期のお見合いくらいなんだが」
「マジか。てことは繁殖期に数少ない雌に選ばれなかった奴って、その性欲どうすんだよ」
 聞けば当然一人で処理すると返された。ただし幾つかの例外パターンもあるようで、一番多いのが別種族の雌との合意あるセックスで、その次が同族の雄相手の合意あるセックスで、数はかなり少ないが別種族の雄に相手をして貰うこともなくはないようだ。
 ごくごく稀に、相性が抜群に良い相手となら、別種族との間でも子が成せる場合もあるようだし、相手次第だけれど育児に関われる可能性も高くなる上に、ハーフの子はどういった力を持って生まれてくるか全く謎なところも大層魅力的らしく、常から別種族の雌と懇意になる機会を狙っている雄は多いらしい。
 ついでに言うなら、禁止されていて発覚すれば下手したら殺されるほどの罪になるのが、合意のない相手をむりやりに襲うことで、繁殖期の己の理性に自信がない奴らが閉じこもるための、専用施設まであるというのだから驚きだった。
 そして、好きな相手の発情を受け止めるのが嬉しい、というのは、同族の雄が相手を務める場合の話らしい。受け止める側は発情しているわけじゃないから、基本的には気持ちが良くなれるわけではないけれど、それでも好きな相手との行為は素晴らしいというのが定説だそうだ。
「基本的にはってことは、気持ちよくなれる場合もあんの?」
「雌雄での夫婦という形態は特別階級にしか存在しないと言ったが、雄同士で決まった相手と長年続けているペアはそこそこ居る。相性が良い相手と何度も行為を繰り返すと、発情して無くても気持ちよくなれるらしいとは聞いたことがあるが、ペアを組みたいような相手が居るわけでもなかったし、さすがにその詳細までは気にしたことがなかったんだが……」
 少し言いにくそうに言葉を切った相手は、受け入れる側が訓練すれば発情無く快感を受け取れるようになるのは事実だと、自分の体で実感していると言って、困惑と羞恥を混ぜたような顔をした。

続きました→

 
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