雷が怖いので プレイ27

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 おしおきを受け入れて、お尻で気持ち良くなることだけを考えて、玩具だけの刺激で吐精する。
 たぶん、した。出来たはず。
 途中から意識が随分ともうろうとしてしまったけれど、ちゃんと「良く出来ました」と褒めてくれる声も優しく頭を撫でてくれる手も覚えている。ただ、その直後に、目を閉じて少し休憩しなさいと言われて、そこで一度意識を手放してしまった。
 意識が戻ったときにはお尻の中のものはすっかり取り出されていたし、体も拭かれてすっきりしていた。おしおきは終わって、いろいろな後始末も済まされていて、どうやら彼の膝枕で寝ていたらしく、頭の下があたたかい。いつからそうしてくれていたのか、大きな手の平が何度も頭を撫でていく。
 瞼を持ち上げれば、愛しげに見下ろす彼と視線があった。
「ああ、起きたな」
 優しく笑いかけてくる彼に軽く頷いて、でもすぐに持ち上げた腕で隠れるように目元を覆う。目の奥が痛んでジワジワと涙が浮かんでくる。胸もキュウキュウと締め付けられて痛い。
 先程よりも少し強く感じる、塩素の香りのせいだった。これは最初に感じた残り香とは違う。
 一度目よりもかなり曖昧に、先走りに混ざるように白いものを零した後、玩具の振動を止められて安堵で体が弛緩した。そのときに少し漏らしてしまったのを、綺麗に片した結果の香りだ。
 おしおきの一部として、漏らすように言われたのかどうかは、イマイチはっきりと覚えていない。ただ、大丈夫だからと促す声に、甘い幸せを感じた気がする。
 でも今はその事実が、酷く辛い。
 だって名前も顔も知らない別の誰かに、対抗してしまった。同じようにこの部屋の中を汚すことで、まるで上塗りするみたいに自分の存在を残して、それを喜んでしまった。
「どこか体が辛いか?」
 泣いていることは隠せない。確認するように問う声に首を振れば、それなら起き上がれと言われた。
「泣いてていい。お前を抱きしめたいだけだ」
 頑張ったぶん甘やかしてやるからと、既にひどく甘やかな声に促されて起き上がる。
「ほら、おいで」
 ベッドのふちに座る彼の腰を跨ぐように座って、正面から抱きつくようして抱えられた。宥めるように背中をそっと擦られて、少しずつ体の力を抜いていく。大きな胸に体を預けて、ジワジワと涙が浮かび続ける目元を、肩のあたりに押し付けてやる。
 一体どれくらいの時間、そうやってただただ抱きしめられていただろう。ずっとこのまま、彼に抱っこされてあやされていたい。でもこの優しさもぬくもりも、自分だけのものじゃない。
 考えちゃいけないと思うのに、自分が金銭契約した彼の愛人であることも、それすら彼の気まぐれな提案で始まった遊びみたいなものだってことも、自覚するほどに辛くなる。彼の仕事や生活を未だにあまり知らされてないことも、自分のために用意されているのは基本土曜の午後の数時間だけだってことも、意識すれば辛くなってしまうのに。今回さらに、きっと自分以外の特別な誰かが居るはずだって、わかってしまったのが本当にしんどい。
「おしおき、そんなに辛かったか?」
 いつまでも思い出したようにグスグスと鼻を啜っては泣き続ける自分に、とうとう少し困惑した様子の声が掛かった。でも辛いのは、泣いている理由は、さっきのおしおきのせいじゃない。
 フルフルと首を横に振って否定を示したけれど、でも信じては居ない様子で、更に苦笑が深い様子の声になる。
「いつになく責めちまったし、辛くなかったわけ無いだろ。さすがに少しやりすぎたって自覚はある。悪かったな」
 謝らなくていい。彼がそうするだけのことを、多分自分はしてしまったのだから。いつだって余裕でこちらを気遣う彼に、やりすぎたと感じるくらいの衝動が湧いたというのなら、それはそれで嬉しい気もする。
 もう一度首を横に振ったけれど、でもそれもやはり、彼の困惑を深めただけかもしれない。
「なぁ、一つ提案しておきたいんだがいいか」
 疑問符もつかない問いかけに、なんとなく嫌な予感がした。でもさすがにこれに首を横に振ることは出来そうにない。コクリと頷けば、彼が小さく息をついてから口を開く。
「お前が迂闊なのは今更だが、さすがにあそこまでぼんやりされると気分が悪い。このバイトを無理強いしたつもりはないし、お前が月に必要だって言ってた額は毎月余裕で超える支払いをしてるだろ。今日は気が乗らないってだけで休んだって構わないんだから、そういう時はちゃんと断ってくれ。お前が、おしおきされるのが好き、ってタイプじゃないのはわかってる」
 とても、わかりました、なんて返せるような提案じゃない。だって彼と会えるのは週に一度のこの時間だけなのに。どんなにキツイおしおきだって、例えばさっき、お願いだから別のにしてと頼んだような、痛くて辛くてちっとも彼が楽しそうじゃないおしおきだって、それじゃなきゃダメって彼が言うなら、ちゃんとそれも受け入れるから。だから、このバイトを出来る限りたくさん、続けさせて欲しい。
「いや、です」
 ぎゅうっと相手の体にしがみついて、絞り出すように吐き出した。

続きました→

 
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