雷が怖いので プレイ28

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 金が足りないかという問いかけにはもちろん首を横に振ったけれど、なら早く抱かれたいからかという問いには首を横に振ることも頷くことも出来ない。
 想いを自覚してから、抱いてとねだることはしなくなったけれど、もちろん彼に抱かれたい気持ちが消えたわけじゃない。でも早く抱かれたいから嫌だと言ったわけではなかった。
 少しでもたくさんバイトに通いたい理由を、彼への想いを隠して告げるのは難しい。そして何も言えずただ黙って固まる自分は、彼からすれば肯定しているも同然だったんだろう。
「お前、自宅で自分で拡げる練習とかする気、ある?」
「ど、ゆ、……いみ」
「気が乗らなくてキツイおしおき食らうより、その分家で頑張りますって方がいいかと思って。家で頑張った分も給料は出してやるし、期間が開いてせっかく慣らしてるアナルが閉じる心配も減るだろ」
 ああ、全然わかってない。でも早く抱かれたいせいで嫌がっていると思っているなら、こんな提案も仕方がないのかもしれない。ただ、お前に構う時間を減らしたいっていう意味合いの提案とも取れるから、不安で気持ちがグラグラと揺れた。
「俺が、バイト来るの、迷惑ですか? 自分でアナル開発して、ここに来る時は即あなたのペニスが入るようにしとけって、思うように、なった?」
 以前、そんなことまで要求する気はないと言っていたけれど、別の特別な相手が出来てその子に構う分、こちらの相手が面倒になってきたという可能性は大いにあると思う。そしてそんなことを考えてしまったせいで、じわじわどころじゃなく涙が溢れて、こらえきれずにしゃくりあげた。
「は? なんでそうなる。てかそんなこと全く思ってないから、そんなに泣くな」
 いきなり激しく泣き始めてしまったことに焦った様子で、宥めるように何度も背を撫でられる。
「だってぇ……」
「だって、なんだよ」
「俺に時間割くより、他の子とするほうが、良くなったかも、……って」
「他の子? なんだそれ」
「俺以外に雇ってる、愛人」
「んなの居ないけど?」
 思いっきり不審気な声がする。でも愛人じゃなくて奴隷とかペットかもしれないし、間違いなくこの部屋を別の誰かと使ったのだから、居ないなんて言葉を信じられるわけがなかった。
「じゃあ、奴隷? ペット?」
「いや居ないって。てか今までそういうの、気にしたことなかったろ。どうしたんだよ」
「だって……今までは、隠してくれた、から」
「隠すって何を?」
「俺以外の、存在」
「いやだから、隠すも何も、んなの居ないって言ってんだろ」
 イラつきの混ざる困惑が伝わってくる。なぜ気付かれたか思いつかないのか、言い繕うような様子が一切ないから、それが却って彼の言葉に真実味を持たせている。嘘をついているようには感じなかった。
「でも今日、この部屋入った時、微かに塩素の匂い、残ってました、よ」
 騙されてなんかやらないという気持ちで伝えれば、緩やかに背を擦り続けていた手がピタリと止まる。思案するような沈黙が落ちて、ほらみろと思いながら、零れそうになるため息を飲み込んだ。
「お前、まさかと思うけど、今日、気が散ってたのって、それが原因?」
 やがて恐る恐るといった様子で尋ねられる。珍しい彼の様子に、やはりそれくらい動揺させる事案だったんだと思いながら、小さく息を吐いて頷いた。
「お前……」
 続く言葉はなくて、代わりに随分と大きなため息が聞こえてくる。こちらが怒られる謂れはないはずだけれど、それでもそのため息に反応して身が竦む。それに気付いた相手が、別に怒ってるわけじゃないがと前置いてから口を開く。
「俺が他の愛人なり奴隷なりペットなりとプレイした痕跡に気付いたってのを俺に知らせることが、お前にとっては、キツイおしおき受けるより躊躇うことだってのが、まったく理解できない」
「やっぱり、居るんだ……」
「居ないっつってんだろ。じゃあ先そっちの誤解から解いとくか」
 部屋貸しただけだよと続いた言葉に、今度はこちらが呆けた声を出してしまった。

続きました→

 
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