雷が怖いので プレイおまけ13(終)

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 アナルに彼の熱を押しあてられながら、まだイッちゃダメだよとは言われた。でもペニスの根本を戒めていた指はもう離れていたし、焦らされ切った体は否応なしに昇りつめていく。
「ダメダメいっちゃ、も、いっちゃ、ぁ、でちゃ、ぅぁあああああ」
 ダメと言われてもイかずに耐えきるのは無理だった。久々に、挿入されるのと同時にイッてしまった。ゆっくりと腸内を押し進んでいく彼のペニスによって、中から押し出されるみたいにしてペニスの先からドロドロと、先走りよりもずっと濃いものが溢れ落ちているのがわかる。
 強い快感に浸りながらも、おしおきされるのかなという疑問が、チラと頭の隅を掠めていった。
 強い快感の波が去っても、ジンワリとした痺れが纏わりついている。そっと撫でられるだけでも、肌の上でその痺れが弾けて小さな快感を生んでいた。
「んっ、ぁ……っ」
「おしっこお漏らしは我慢出来たのに、精液お漏らしは我慢出来なかったな」
 お漏らし我慢してって言ったのにと笑いながら、腹の上にこぼした白濁を、剃りあげツルツルの下腹部に塗り広げられる。
「ぁっ、勝手にイッて、ごめ、なさい」
「我慢出来なくて、ダメダメ出ちゃうって言いながらお漏らししちゃうの可愛かったから、かまわないよ」
「あの、おしおき、は……」
「我慢出来なかったらおしおき、なんて一言だって言ってないだろ」
 今日はそういうの無しだよと言いながら、優しく頭を撫でてくれるのが、酷く気持ちが良かった。うっとりと目を閉じれば、何度も何度も繰り返し、彼の手がサラサラと髪を梳いてくれる。
 体中の力が抜けていくような気持ち良さに身を委ねているうちに、意識が深く深く沈んでいく。ヤバいと思った時にはもう手遅れで、そのまま寝落ちてしまったらしい。

 いつもは早くても昼過ぎからなのに朝からだったし、想定外な飛行機距離の移動や、初めての旅行ではしゃいだからか、思いのほか疲れていたようだ。目覚めたらすっかり朝で、先に起き出していた相手はベッドヘッドにクッションを積んで、寄りかかるようにして朝刊を読んでいた。
 なんでもう朝なんだとガッカリしながら身を起こせば、それに気づいて相手がおはようと声を掛けてくる。
「おはよう、ございます」
「よく寝てた割に、元気がないな」
「だって昨日、あなた、イってないですよね?」
 なんであのまま寝かせたりしたんですかと聞けば、あっさり旅行だからと返された。
「お前がしてってお願いした事は、一応叶えてやったつもりだけど?」
 確かにイイとこいっぱいズポズポ突いてやる前に終わったけど、それはお前が我慢出来ずに漏らしたからだと言われて、お仕置きしないって言ったのになんだかお仕置きされたみたいだと思ってしまう。
「それは、そうかも、ですけど……」
「納得いかないのは、余計なことを考えてるからだろ」
「余計なこと? ですか?」
「バイト代出さない分お前の希望を優先するとは言ったが、俺だってちゃんと楽しんでるって言ってんだろって話。お前がしてって言った事はなるべく叶えてやるし、もちろん俺だって一緒に楽しむけど、俺のためにってのは考えなくていい」
 昨夜自分が子供みたいに扱われたいと言い出した理由を、きっとわかっているんだろうとは思っていた。でも切っ掛けは彼に何かを返したい気持ちだったとしても、あの日みたいに子供みたいな自分を可愛がって楽しむ彼の姿をもう一度見たいのも本当だった。
「一個だけ、聞いていいですか?」
「いいよ」
「俺が余計な事を考えてたから、ちゃんとしてくれないで、そのまま寝かせたの?」
 おしおきされたのかと聞けば、はっきり違うと返されて少しホッとする。
「お前は色々考え過ぎて何か誤解してるっぽいな」
 寝かせたのは旅行だからって言っただろうと苦笑しながら、彼はさらに言葉を続けた。
「あのまま朝まで起きなかったくらい、昨日は疲れてたって事だろ。朝から呼ばれて、移動して、あちこち連れまわされて。初めての旅行で気を張ってたのだってあるよな?」
 否定できる要素は何もなく、黙って頷くしかない。
「今日だってまだ連れて行きたいところがあるし、いつもみたいに朝飯食って車乗ってりゃ家の近くまでってわけに行かないんだから、夜はそりゃある程度控えるだろってだけだ。お前がねだらなくたって、最初から、それなりに焦らして気持ちよく一回イかせて終わる予定だった」
「だとしても、俺だけイってそのまま寝落ちで終わりなんて……」
「元々はお前を弄り回して喘がせてイかせるようなプレイばっかで俺には一切触れさせずに帰してたし、お前を抱くようにはなったが、だからって俺がイったかなんてのは、お前がそこまで気にするような事じゃない」
 でも一度も抱かれる前と今とでは、彼側の状況が違う。以前は自分だけ気持ちよくなるプレイばかりでも、彼は他で欲を発散出来ていた。
「そんな、……無理、です。気にします。気に、なります。気にしないとか、無理、ですよ」
「どうして?」
「だって今は、俺としかしてないって、言ってくれたじゃないですか」
 もし断れないような事情で誰かとする事があっても、きっともう彼は自分にそれを知らせないだろうと思う。事情があってさえそうだろうと思うのだから、もし欲の解消で誰かを抱くようなことがあっても、それは絶対に知らせないし悟らせないはずだ。
 だからせめて、なるべく自分と過ごす時間の中で、彼にもちゃんとイって欲しい。
「俺、あなたがそう言ってくれた日、俺だけでもあなたに満足して貰えるように頑張りますって、言いましたよね」
「なるほどな。俺がイかないと、お前以外を抱くかも、とか思うわけか」
 信用ねぇな、という言葉は音になって漏れる事はなかったけれど、でもその困惑混じりの苦笑顔から読み取ってしまった。
「ごめ、なさい」
「あー、いや、いい。お前の言い分は、まぁ、わかったよ」
 どうしてもってなら今日の観光諦めて、今からもう一度抱くけどどうすると聞かれて、そんな選択出来るわけがないと思う。
「選べません、よ」
「だろうな。だから今回だけは、俺も充分楽しんでるし満足してるって俺の言葉信じて、せっかく来たんだから観光優先させてくれ」
 もしまた旅行する事があっても、その時はお前だけイかせて終わりにすることはしないからと言われて、なんだか申し訳ない気持ちになる。結局、彼に何かを返したいって気持ちが、独り善がりの我儘となってしまった気がする。
 わかりましたと頷きながら、こぼれそうになるため息を必死で飲み込めば、やっぱりこちらの浮かない気持ちに気付いている様子の彼が、少しばかり雑な手つきでガシガシと頭を撫で回す。落ち込まなくて大丈夫だからと言ってくれる声は、ひどく穏やかで優しかった。

<終>

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せっかく下さったリクエストに長いこと気づけずすみませんでした。リクエストありがとうございました!

 
 
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「雷が怖いので プレイおまけ13(終)」への2件のフィードバック

  1. 初めまして。
    先日こちらのシリーズを読ませて頂きました。
    オリジナルのものを読むのは初めてだったのですが、凄く好きだと感じました。
    最終話付近の幸せそうな2人が特に好きです。
    上手く感想が書けなくて、すみません。
    素敵な小説をありがとうございます。
    これからも応援しています。

  2. 桜さん、初めまして。
    初オリジナルだったとのことですが、初めてでキャラに名前がないやや特殊な作りの、しかもそこそこ長いシリーズへのチャレンジ有難うございます!
    好きだと感じて貰えて本当に良かったです。

    最後まで読んで貰えただけでもとてもありがたいのに、好きの言葉や応援のコメントまで頂けて凄く嬉しいです😄
    これからものんびり書き続けて行けたらいいなと思ってますので、ぜひまた覗きに来てやって下さい。

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