雷が怖いので プレイおまけ5

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 酷くスッキリとした目覚めだったが、目を開けて飛び込んできた景色には驚いた。
 プレイ途中で休憩と言う名の軽い睡眠を取ることは今までもあったけれど、目覚める場所はたいがい休憩を開始した場所で、もし移動させられたとしてもあの防音室から出ることなんてなかったのに、今日はどうやら寝ている間にリビングへ運ばれたらしい。
 寝かされていたのはソファだったらしく、慌てて起き上がった拍子に掛けられていた毛布がずり落ちていく。咄嗟に掴んだそれは柔らかで酷く肌触りが良かったが、こんなものをあの部屋で見たことはない。きっとどこか別の部屋から持ってきたものなんだろう。
「目が覚めたか。気分はどうだ?」
 どうやら彼はテーブルセットの方に居たらしい。声のした方へ顔を向ければ、ちょうど椅子から立ち上がるところだった。
「気分は、いい、です」
 そうかと言いながらキッチンスペースへ消えた彼は、暫くしてから温められたタオルとスポーツドリンクのペットボトルを手に戻ってくると、汗を拭いて服を着たら水分補給をするようにと促した。着てきた服はソファ脇に置かれたカゴの中に入れてあるらしい。
「はい」
 言われるままタオルを受け取って、それから自分の体にそのタオルを当てようとして、ようやく自分が裸ではないことに気づいた。毛布を掴んだ時も、タオルを受け取った時も、捲られた袖は目に映っていたはずなのに、少し眠ってスッキリした気でいたけれど、やはりまだぼんやりしているのかもしれない。
 というか、どう考えても着せられているシャツのサイズがおかしい。
「あの、これ、って……」
「ああ。何かで汚した時用にお前サイズの服も多少用意してあるが、さすがに寝間着類までは揃えてなかったから、取り敢えずで俺のを着せた」
 彼は今度揃えておくよと続けたけれど、正直あまりしっかり聞こえていなかった。パジャマとは言え彼シャツだ、と思ってしまったら心臓がドクンと跳ねてしまって、それどころじゃない。
「どうした?」
 訝しげな声と共に、彼の手の平が額を覆う。
「熱は下がってそうだけどな」
「え、熱?」
「その話は後だ。とにかく着替えて、水分補給を済ませなさい」
 声音が硬い。そういえば、言われるまま着替えようとしているけれど、さっき彼は休憩と言っていたのに、この様子だと今日のバイトは終わりってことなんだろうか。
 寝ている間にリビングへ連れてこられたことも、彼の寝間着を着せられていたことも、早く着替えろと言われていることも。なんだか状況がちっとも飲み込めなくて、胸の中に不安が広がっていく。
「あの、プレイの続き、は?」
 ソファの脇に立つ彼を見上げておずおずと尋ねれば、呆れた様子で眉を少しひそめながら、今日はここまでだよと返された。そんな様子も、やっぱり硬さが目立つ声音も、全く知らないものではない。心臓がキリキリと締め上げられて痛い。
「あの、俺、何かしちゃいました、か?」
 尋ねる声が微かに震える。多分間違いなく、何かしらやらかしている。でも、思い当たることがないのが、ますます不安を煽ってくるようだった。
「したかしてないかで言えば、したね」
「怒って、ますよね……」
「そうだね。少し」
 肯定された。何をしたんだろう。なんで怒らせてしまったんだろう。
 少し休憩と言われる前、自分はどんな状態だったか、彼に何をしてしまったか、必死で思い出そうとするのに、記憶にはぼやっと霞がかって、今日はどんなプレイをされていたかも正直はっきり思い出せない。
 もしかして、行為に集中できなかったことを怒っているんだろうか。それは薬のせいで、だから彼もおしおきなどとは言い出さずに許してくれているのだと思っていたけれど、やっぱり不快だったのかもしれない。
「プレイに集中できなくて、ごめん、なさい」
「怒ってるのはそこじゃない」
 そう言うと、彼はソファの隙間に腰を下ろした。伸びてきた手が優しく頭を撫でてくれたから、彼を怒らせたと震える気持ちが少しばかり宥められるようだった。

続きました→

 
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