雷が怖いので10

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 濡れた下着の中が気持ち悪い。そして恥ずかしいのか情けないのか怒りなのか悲しみなのか、ぐちゃぐちゃな気持ちが苦しい。
「良くイケました」
 そんな中、機嫌の良い声が優しくそう告げて、褒めるようにワシワシと頭を撫でてくる。ぐちゃぐちゃの気持ちに、喜びらしきものと安堵らしきものとが混ざって、ぼろりと涙がこぼれ落ちた。
 ふはっと吐き出される笑いを含んだ息に身が竦んでしまえば、頭を撫でていた手が頬へのびて流れた涙を拭き取っていく。
「顔上げて、俺を見て?」
 優しい声に、けれど首を横に振る。
「どうして?」
 理由なんてありすぎてわからない。再度首を振ったら、小さなため息が一つ。
「顔を、あげなさい」
 その声と言葉とにビクリと肩が跳ねた。声音は優しいが逆らうことを許さない強い響きをしていた。
 首を横に振りたくて、でもそれも出来なくて、結果そのまま動けなくなる。随分とそうして躊躇っていたら、再度頭を撫でられた。今度はゆっくりと、なんとも優しい手つきだった。
 それに促されて顔をあげたら、相手は柔らかな顔で笑っていた。
「うん、いい子」
 初めて見る顔にぼんやりと見惚れていたら、その顔が近づいて目元にちゅっと唇を落としていく。胸の奥が小さくざわつく気がしたが、それが何かははっきりしない。
 交互に二回、唇を触れさせて離れていくのを、やはりぼんやりと受け止めていたら、優しそうだった笑顔が見慣れた楽しげな笑みへと変わってしまった。
「さて、とっくに一万以上の働きをして貰ったわけだけど、この後どうしたい?」
「……えっ?」
「もっと稼いで帰るってなら、汚した下着を脱がして洗濯機に放り込んで、帰るときには洗いたてふかふかパンツを渡してやるけど?」
 下着の中気持ち悪いだろ? と尋ねる声は明らかに笑っていて、ぼんやりしていた気持ちがはっきりと動き出す。というかようやく一つの感情に大きく振れて、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「や、やだっ」
「もっといっぱい、恥ずかしくて気持ちいいこと、されたくないか?」
 ぎりぎり唇が触れそうな距離で囁かれて、ぞわぞわと肌が粟立った。イッたばかりなのに下腹部がキュウと疼く気がして、慌てて顔を逸らしてしまう。
「やだって……やだって言ったのに」
 期待する自分を認めたくなくて、あの時確かに感じた恐怖を思い出すようにしながら口を開いた。
「紳士って言ったのに。俺が望まないエロいことはしないって言ったのに」
 一度口に出したら、ぼろぼろと相手を非難する言葉があふれだす。
「お前のやだはもっとしてって意味のやだだろ。まぁもう暫くは自覚なくやだやだ抵抗しててくれていいけどさ。可愛いし」
「んぁあっ」
 顔を背けたせいで晒していた耳に囁く声は淫猥で、言い終わると同時に柔く食まれた耳朶から、ゾクリとした快感が背筋を這い登っていった。

続きました→

 
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