雷が怖いので14

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 そこを弄られるのはまだ四回目なのに、お腹の中を洗って、お尻にアナルストッパーを入れられて、ペニスはほぼ完勃ちだった。というか、自分で弄って出しなさいと言われて、必死に弄ったせいでもある。
 要するに、言われた通りには出来なかった。
 だって与えられた時間が短かったし、相手に後ろを慣らされながらだったし、なにより、オナニー披露も経験済みとはいえ、やっぱり自分自身で弄ってイくところを見せることに慣れていない。
 そんな状態で、用意されていたカジュアル寄りのスーツを着せられて、もしかしなくてもこのまま食事に連れ出されるのだと思って血の気が引いた。
「股間パンパンに膨らませて、誰かに気づかれるかもと思いながら過ごすの、楽しそうだろ?」
 自分と違って着替えるというほどではなく、ジャケットを羽織ってネクタイを締めていた相手が、こちらの不安に気づいた様子で顔を覗きこんでくる。ニヤつく顔はいつも通りなのに、なぜか一瞬見惚れてしまったのは、多分見慣れない格好のせいだろう。
 家でしか会わないから、知らなかった。カジュアル寄りとはいえ、きっと七五三状態で似合ってない自分と違って、なんの違和感もないどころかしっくり嵌って格好良いなんて、なんかズルいし詐欺っぽいし騙されたって気がする。
「ん? どうした?」
 股間に血が行き過ぎて頭回ってないのか? なんて、やっぱりからかうみたいに言われて恥ずかしい。だからって、見惚れてたなんて言えるわけがなかった。
「な、んでも、ない」
「俺に見惚れてたって、言やいいのに」
「なっ!?」
「お前わかりやすいんだよ。多分こういうの好きそうと思ってたけど、ちょい予想以上ではあったかな」
 ぐっと寄せられた顔にとっさに仰け反ってしまえば、後ろに倒れこまないようにと背に腕が回って抱き寄せられてしまう。
「ほら、キスしてって言ってみな?」
「…………きす、……して」
「はいよく言えました」
 吐き出す声は明らかに震えていたが、相手はそれをからかうことなく、にこりと笑って口を塞いでくる。初めは優しく触れるだけ。繰り返されて少しずつ啄まれて焦らされて、自らもっととねだるように舌を差し出せば、それを待っていたというように深いキスを与えられる。
 こんなことをしてたら、更に興奮してしまうのに。頭ではちゃんとわかっているのに。少しでも股間を鎮めるべき場面で、真逆の行為に浸っている。
「んっ、……ふぁっ……」
 甘えるように吐息をこぼしながら、いっそ夕飯なんてなしにして、このままプレイを続けて欲しい。なんて思ってしまう中、部屋にチャイムが響き渡ってビクリと体が跳ねた。
「ああ、時間だな」
 熱心に口の中を蹂躙していたはずの相手は、あっさりキスを終えて体を離してしまう。
「凄くイヤラしくていい顔だ。さ、行こうか」
 濡れた口元を指で軽く拭ってはくれたが、落ち着く時間は一切くれない気らしい。途端に泣きそうな気分になりながら、手を引かれてベッドの置かれた部屋を連れだされる。
「はいじゃあ、ここ座って」
「え?」
 隣の部屋の、バースデーケーキが乗ったままのテーブルセットの椅子を引かれて、訳がわからず驚いた。
「まぁ、外に連れ出すのはさすがにまだ難易度高いってわかってるからな」
 夕飯はルームサービスと言われて、安堵のあまり涙がホロリと流れ落ちた。

続きました→

 
 
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