Wバツゲーム8

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 結局、高校入学してからバスケを始めたという後輩に付き合って、体育の授業以外で久々にバスケットボールに触った。日曜日は試合でもない限り部活がないから、バスケットゴールのある近くのスポーツ広場に繰り出して、教えるというよりは一緒に遊んだ。遊びつつもなんだかんだ相手に口を出してしまったから、結果としては、彼の望んだ通りになってもいた。
 数年ぶりだろうと、中学時代に詰め込まれた感覚やら知識やらは一応体にも頭の中にも残っていたようで、初心者相手に遅れを取るようなことは一切なかったし、これまた久々に先輩風吹かしてあれこれ後輩に教えるのも、それを尊敬の眼差しで見られるのも、楽しくないと言えば嘘になる。
 そんな週末を重ねた本日、そのスポーツ広場にゾロゾロと顔を出したのは、男子バスケ部の三年生たちだ。三年部員全員ではないようだが、そこに居たのは少なくとも中学時代から知った顔ばかりだった。
 もっかいお前とバスケがしたかっただとか、せっかく同じチームでプレイできると思ったのにガッカリだったとか、ある意味ありがたい言葉を貰いながら、乱入してきた彼らとゲーム形式でのバスケを楽しんでしまった。
 昨年度、当時の三年生が引退した後くらいから、バスケ部からの勧誘が増えたなとは思っていたし、なんで今更と強く思っても居たのだが、まさか戦力を当てにされていたのではなく、一緒にバスケがしたいというだけの誘いだったとは考えつきもしなかった。文句を言いそうな先輩らが引退した後だから、もう大っぴらに誘ってもいいだろうという判断だったらしい。
 出身中学の影響から、即戦力として期待されていたのは知っている。入学した当時は、それこそ当時の部長から直々に呼び出されて、入部するよう促されもした。
 けれど突然の一人暮らしに戸惑って、生活も気持ちも落ち着くまでかなり時間が掛かってしまったし、バスケを嫌いになったわけではなかったが、落ち着いた後でさえ部活を頑張ろうなんて気持ちにはどうしてもなれなかった。というよりも、その頃にはもう、入部するタイミングを完全に逸してしまっていた。
 たいして強くない、そこまで熱心な活動をしている部ではないとは言え、体育会系の面倒な上下関係がしっかり存在していることはわかっていたし、自分なりの事情があったにしろ、中学時代に県大会をスタメンで経験していたような自分が中途で入部することで、部内に波風を立てたくなかったというのも大きい。親から半ば捨てられた状態に気付いて精神的に弱っているところに、好きなバスケでも人間関係を拗らせたらと思うと怖すぎた。
 だからこそ、向こうから好意を示して付き合って欲しいと言ってくれる女の子と遊んだし、バスケにはもう興味がないような素振りをしてきた。興味が無い素振りで、バスケットボールにも触れない生活を続けていれば、いつしかそれが本当になる。実際、未練なんて感じたことはなかった。今だってバスケ部に入らなかったことを未練に思う気持ちはない。
 ただ今回、こうして罰ゲームの延長上で久々にバスケに触れたことで、その楽しさを思い出しはした。でもそれが、最初っから全部仕組まれたことだったとは、全く欠片も気付いていなかった。
 それは自発的に気付いたわけではなく、ゲームの合間の休憩時間に聞かされて知った。
 言われてみれば、思い当たる節は色々とある。
 フリー時の告白をお断りすることなんて殆どないし、結構な頻度で恋人が変わるにしてもよほどの事がなければ一ヶ月も持たずに別れることはないのに、変な罰ゲームだと内容を聞いた瞬間には確かに思っていたのだ。でもあっと言う間に広まった噂に、すぐさまこれは、同じように誰かの罰ゲームの餌になるだろうことも、だから告白してくるのは男の可能性が高いことも理解したし、単純に、そういう遊びに巻き込まれたくらいの感覚で居た。
 まさか始めから全部、自分が負けることも告白してくる相手が彼になることも、決定済みだったなんて思わなかった。
 あの日一緒にゲームをしてた友人らの中にバスケ部は一人しか居なかったし、メインで罰ゲームの内容を楽しげに決めたのはそのバスケ部の友人ではなかった。純粋に勝負に負けたのだと思っていたが、あの時一緒にゲームをした友人らの殆どに根回しされていただなんて。裏で繋がっていたなら、自分に勝ち目なんてあるわけがない。
 まさか嵌められてゲームに負けた上での罰ゲームだったなんて考えたことがなかったから、流石に聞いた直後はショックでテンションが下がりまくったけれど、企画に関わった奴らからの出資による、学食二週間奢りで手打ちにした。
 彼らの誘いを一緒にバスケを楽しもうという意味だなんて欠片も思わず、今更だからとつれなく断り続けた結果だということもわかっていたし、なんだかんだ久々のバスケを楽しんでしまったのも事実だからだ。ついでに言うと、相当賑やかなランチタイムになるだろう、その二週間が楽しみでもあった。

続きました→

 
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