エイプリルフールの攻防・エンド直後5

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「俺だけが昔っからずっとお前を好きで、そのせいで色々拗らせてお前と友達にすらなれないって落ち込んでたから、いくらお前が甘くてチョロくても、素直に告白してお前に好きになって貰う努力、なんて出来なかったんだって」
 言葉にはしなかったが、もっと早く言っとけよと思った気持ちは伝わったらしい。
「でもそれでお前苦しめたのは事実だから、お前の嘘みたいに可愛いお願いは全力で叶えるつもりなんだけど」
 そこで一度言葉を区切って、ゆっくりとまたベッドに押し倒される。しかもジッと見下されて、何を言われるんだろうという不安にドキドキが加速していく。全力で叶えるつもり、だけなら期待でドキドキしたと思うのに。
「慣らしてあるから弄るの無しで、は無しで」
「……え?」
「優しく抱いてって言っときながら、尻穴弄られる想定してなかったってどういうことだよ。ってのと、自分で弄って広げてた、なんて聞いたら余計やる気でるだろっての」
「えっ、ええっ? なんで!?」
「端的に言うと、ちゃんと前戯させろ」
「え、それ、ほんとにそんな意味で言ってた?」
 なんかもっと不穏な気配が強かったというか、ちゃんと前戯がしたいって言ってるようには聞こえなかったんだけど。
「言ってた」
 けれどそう言い切った相手は、やっぱりキョロっとあたりを見回した後、小さな舌打ちを一つ残してベッドを降りてしまう。何が起きてるかわからなくてその背を視線が追ってしまったけれど、相手はどうやら自分の荷物を取りに行っただけらしい。
「んな不安そうな顔されると困るんだけど」
 すぐに戻ってきた相手は、へにょっと眉尻を下げながら、数度優しく髪を梳いてくれた。じゃあ舌打ち直後にベッド降りるとかは止めて欲しい。
「いやどう考えてもお前のせいだよね?」
「それは確かにそう。必要なもの取ってくるだけだって言えば良かったな」
「で、何が入ってんの?」
「ローションとゴム」
 言いながらカバンに手を突っ込んだ相手が、その2点を取り出しベッドに転がした。
「てかお前、自分で準備したって言ってたけど、ローションとかどこあるの?」
「あー……風呂場置きっぱ」
「勃起ちんこすんなり入るくらい広げ済みだから、セックス中には追加でローション必要ないって思ってた?」
 それともお腹の中にたっぷりローション仕込んでたりすんの? と聞かれて、正直に、たっぷりではないけど多少はと返せば、それに対する返答はなく、ゴムは? と返ってくる。
「あー……それも風呂場」
 衛生面などを考慮して、自分でお尻をいじるときには指にゴムを着用しているせいだ。
「一応聞くけど、生で突っ込まれたいつもりだった?」
「正直、そういうのあんまり考えてなかった」
「お前、抱かれたいとか言って自分で自分の体準備するくせに、俺に尻穴弄られる想定してなかったり、ゴムもローションもベッド周りに置いてなかったり、色々詰めが甘くねぇ?」
「だって俺も割といっぱいいっぱいっつうか、お前と両想いエッチ出来るとか思ってなかったし、流血大惨事のトラウマだけは避けたくて頑張っただけっていうか」
 痛がって辛い辛いと泣き顔を見せたりしたら萎えられそうだから、というのが自分の体を慣らした一番の理由だし、正直に言えば、具体的に相手にどうこうされる想像はしにくかった。
 好きだ可愛い感じてくれて嬉しいと甘く囁く声は、リアルでも聞いたことがあるから想像できたけれど、自分の体に相手がちゃんと興奮したり、お尻の穴を弄って広げてくれるような前戯が出来るかは微妙だと思っていた。というか無理かもって思っていた。
 だって、年に一度の遊びが続いているのは自分の反応が面白いからで、暇人だとか、奇特なやつだとかは思っていたけど、本気で好かれてるとは考えなかった。本気で好きな相手への態度として、自分なら絶対に選ばないせいだ。
「お前と友だちになれなかったの、こういうのも影響してそう」
「なんだよ突然」
「俺達似たとこあんまないんだよね、って話」
「俺はそこに惹かれてるんだけどな」
「でもほら、ローションもゴムも用意しないで抱いて欲しいとか言っちゃうから、それでお前、俺に呆れるわけじゃん」
「詰めが甘くて可愛いなぁ。であって、呆れてるわけでは。いやまぁ、呆れてるけど」
「ほらぁ。やっぱほらぁ」
 でもそれが良いのも事実だし。と言いながら、寄ってきた顔がチュッと唇を吸っていく。

続きました→

 
 
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