二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった15

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 しかし口に出さなくとも、そう思ってしまったことを隠せてはいなかったらしい。
「面倒くさいこと言ってるの、わかってますよ。でも俺だって、こんな面倒なことになるって思ってなかったというか、こんないろいろ追求されると思ってなかった。だって恋人居ないのも、風俗利用しないのも、枯れたからじゃなくてセックスにお金かけたくないだけなんですよね? やりたいだけのクズって、自分で言ってましたよね?」
 つまりやりたいだけのクズなら、余計なことは聞かずにさっさと突っ込めってことだろうか。なんてことを考えていたら。
「ちっともクズっぽくないし、結局なんかいろいろ優しいし、こんなの聞いてないです。ズルい」
 拗ねたみたいな口調でそんなことを言い出すので、どう考えても笑っていい場面ではなさそうなのに、思わず笑いそうになる。ズルいってなんだ。
「もしかして、クズ相手に好きにしていいですよ。都合のいい穴扱いしていいですよ。って体差し出したら、前戯もそこそこに突っ込まれて、相手だけ気持ちよくなって終わりになって、またやらせてくれって言われる、みたいな流れになるだろって思ってた?」
「まぁ、そうです。なのになんか、俺が抱かれたがってるから抱いてあげる、みたいになってるし。俺が経験ないせいなんでしょうけど、時間かけてゆっくり抱いてくれようとするし。こんなの、思ってたのとぜんぜん違う」
「まぁやりたいってだけの理由で恋人作ってたとか、やりたい時だけ会えればいいしなるべく金も使いたくないクズだとは言ったけど、自分勝手なセックスするクズだなんてことは言ってないしな」
「それは……まぁ、たしかに」
「もひとつ言っておくと、俺は恋人か恋人になる予定の相手しか抱いたことないぞ」
「えっ?」
「まぁ、恋人になれるつもりで抱いたけどそのまま疎遠になったって経験がないとは言わないが、少なくとも、やらせてくれんならやっとくかーってだけでホテル入ったのは初めてだし、それだって、相手が男だったのと、抱かれ慣れてんだろなって誤解してたせいだからな」
 あんな誘い方してきた相手が初めてだとか、そのくせ都合の良い穴になりたいだとか、こっちだってそんなの聞いてないとか、ホテル入ってからそんなこと言い出すのはズルいとか、ちょっと言ってやりたくはある。
「なのに、じゃあやるぞってなってから初めてだって知らされて、初恋だの理想イメージだの言われて、恋愛対象外だけど抱かれてみたいとか言われたら、やらせてくれんならやっとくかーのまま抱けるわけないっつーか、そんなに抱かれたいなら抱いてやるかってなるし、処女相手の優しいセックス心がけるだろ」
「ごめんなさい……」
 呟くみたいにそう告げた後、とうとう抱えた膝に顔を埋めてしまう。
「いや、別に謝らなくっていいけどさ。ってか泣いてんの?」
 さっき一度泣きそうだなとは思ったけれど、そのまま泣き出すことはなかったのに、このタイミングで泣き出すのかと驚いてしまう。拗ねたような口調でズルいとか言っていたから、気持ちはある程度持ち直したのだと思っていた。
 何が原因だろう。
 さすがにズルいとは言わなかったけれど、もしかしなくても、そんな気持ちが言葉ににじみ出ていただろうか。それを感じ取って泣いているんだろうか。それとも、こちらが考えも及ばない何かが理由で、泣き出したのだろうか。

続きました→

 
 
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「二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった15」への2件のフィードバック

  1. pixivで読んでからめちゃめちゃファンです!!続き待ってます!!!!!

  2. pixivからブログまで読みに来てくれてありがとうございます!
    今回の話もハピエン目指して頑張っているので、ぜひ最後までお付き合いよろしくお願いします。

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