一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた7

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 再度、噛みしめるみたいに「愛しい」と呟いた後、甘えるみたいにすり寄ってきた相手の頭に手を伸ばして、何度もその髪を梳いてやる。もちろん、愛しい、という気持ちを込めて。
 しばらく黙って続けていれば、やがてうっとりと息を吐いた相手が、そういえばと話し出す。
「昼寝の後って、何するんですか?」
「ん? 今してるこれ」
「今? これ?」
「酔いが覚めたお前に、ヤれないならデートしないなんて思ってない話がしたかったのと、初めて出来た恋人との初デートに緊張してる、ってだけじゃなさそうだったから、会えなかった3週間で何考えてたのかもうちょい探りたかった感じだな」
 恋人になったらもっと積極的に会いたがるのかと思ったら真逆だったし、それを変だなって思ってたのに放置してたせいで何やら拗らせた気配がしたから、何を考えたのか引き出して変な誤解や思い込みをしてるようなら訂正しておきたかった。というのを特に言葉を選ぶことなく言ってしまえば、相手はやはり、拗らせた気配が気になるらしい。
「初っ端からこの前のアレコレを夢扱いされかけてビビったのに、俺がお前をちゃんと恋人扱いしてデートだって言った後も、夢じゃなかったんだって浮かれる感じじゃなかった。ってだけで、もうホント、お前が放置してた3週間でなにやら思い詰めた気配しかないだろ」
 恋人と行きたいデート先がすぐ言えないのだって、こちらを気にしまくった結果なのは明白だった。
「しかも男同士で問題なく使えるラブホだのご休憩だのって単語が出てきてたし、それ言ってたときのお前、なんか必死だったし。つか日帰りデートでどうやったら俺とヤレるかを考えまくったとかじゃないと、ああいう発言にならないんじゃないか。とか、じゃあなんでそれを考えたのかって言ったら、お前が抱かれたくて仕方ないってより、デートしたらヤらせないとフラれるとか考えてる可能性とかが見えてくると言うか」
 的はずれなこと言ってるかと聞いてみれば、いえ、と短な否定が返ったけれど、言い当てられて恥ずかしいのか少し身じろいだ後、結局さらに身を寄せることにしたらしい。元々かなり近かったので、身を寄せると言うよりは顔を隠したいらしく、胸元までは下がらない肩近くに相手の顔が押し当てられている。
 相変わらず反応というか行動がいちいち可愛いなと思って笑ってしまえば、ますます縮こまってしまったけれど、特に言及しないで宥めるみたいにポンポンと背中を叩いていれば復活するのも早かった。この子の扱いに、ちょっと慣れてきた気がする。
「あの、ひとつだけ、訂正したいんですけど」
「うん、何?」
「日帰りデートでもヤれるならもっといっぱい会えるようになる、って考えたのは、あなたがヤれないデートに乗り気じゃないだろうからってのは事実なんですけど、俺があなたに抱かれたいから、ってのも、なくはない、です。抱いてくれないデートはしたくないなんて言わないですけど、出来るならしたい気持ちは、俺にも、あります」
「なるほど」
 抱いて貰うんだから割り勘で良い、なんて言っていたくらいなんだから、当然それも考えるべきだった。前回、ただただ一緒に過ごす時間が欲しい、会える機会を増やしたい、という気持ちばかりを見せられていたせいか、相手が抱かれたがっている想定があまりなかった。
 というかこれを言われるってことは、前回、また抱かれたいと思うくらいに善い思いが出来たと考えられるし、それはちょっと男として誇らしいし嬉しくもあるなと思う。あと単純に、安心もする。
「むしろ、ヤりたい気持ちだけなら、俺のが上かもしれないんですけど……」
「えっ?」
「だ、だって、この前も今日も、俺ばっかりしたがってる、というか、前回なんか俺があんまり抱かれたがるから抱いてあげるよって感じだったし、今日だって、俺が準備するの止めてまずは昼寝とか言うし」
 ヤりたいから付き合うクズとか全然嘘、とまで言われてしまって苦笑するしかない。これはまぁ完全に加齢のおかげなんだけど、逆に言えば、相手はヤりたい盛りの大学生か、とも思う。というかなるほど、どうやらそれも失念していた。

続きました→

 
 
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