無い物ねだりでままならない2

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 月曜2限を学食の片隅で先輩と過ごすのは楽しい。
 4年になるとゼミや就活で参加が難しくなるから、サークルでの活動は3年までがメインになるのは仕方がなく、先輩も同様に、最近はもう滅多にサークルには顔を出さなくなっている。先輩も自分も自宅外通学で大学近くにアパートを借りている身なので、今までもサークル帰りに皆で夕飯をという事は多かったのだが、それも昨年までの話だ。
 だから思いがけず、先輩と一緒に食事する時間が定期的に持てるようになったのは嬉しかった。
 他のサークルメンバーがおらず、2人きりというのもいい。相手の視線が自分にだけ向かっているという緊張もなくはないが、憧れと言って差し支えない相手を独り占めにして、サシで話ができる喜びのが断然大きい。
 先輩は自分にないものをたくさん持っている。
 大柄でちょっと人見知りっぽいところがあるせいか、一見近寄りがたい雰囲気があるものの、慣れてしまえば結構簡単に笑顔をみせてくれるし、なにより落ち着いて穏やかな所作のおかげか、一緒にいるとなんだかとても安心感がある。しょうもない話でも楽しげに相槌を打ってくれる聞き上手なとことか、困り事があったときの的確な助言とか、頼りになる男って感じがする。
 絶対モテそうって思うのに、どうやら彼女は居ないらしい。学部はともかくサークルの男女比はほぼ半分で、先輩狙いっぽい女子にも心当たりがないわけじゃないんだけど。
 ほんと、もったいない。
 自身の恋バナはちょっと苦手っぽくて、なんで恋人を作らないのか明確な理由は知らないけど、その気になればすぐ相手が見つかる的な余裕があるのかも知れない。
 羨ましいって言ったら、そっちこそモテるだろと言われたことがあるけれど、とんでもない誤解だ。女の子は自分とそう背の変わらない可愛い男を恋愛対象にしない。そこそこ仲良くなれるし、男としての意見を求められることはあるのに、異性として恋愛対象にならない矛盾を抱えている。
 男にもてても嬉しくないんすよと不貞腐れついでに、下心のある男の視線や態度の不躾さを愚痴ったら、そういうところが女子に共感されて異性として見てもらえない原因じゃないのかと指摘されたけど。そうかもって思っちゃったけど。
 しかし先輩との貴重なランチタイムは残り少ない。というか今日が最後と言っていい。
 今日が年内最後の講義がある週で、あとはもう冬休みとテストしかないし、先輩は春には卒業してしまう。
「どうした? 今日は元気がないな」
 残念だなという気持ちがだだ漏れているのか、顔を合わせるなり心配されてしまった。
「いやだって、先輩とランチするの今日で最後って思ったら……」
「ああ、そうか。もう講義ラストになるのか」
「ですよ」
「可愛がってる後輩に、元気がなくなるほど惜しまれてる、ってのは素直に嬉しいな」
 ほんのりとはにかんで笑う先輩に、ズルいと思って口を尖らせる。そこそこ可愛がられてる部類な自覚はあったけど、先輩の口から直接言われたのは初めてだ。
 先輩からはこちらの容姿に対する下心を感じないからか、可愛がられても、可愛がってるって言われても、むしろ嬉しいのだけれど、嬉しい自覚があるからこそなんだか恥ずかしい。
「じゃあ、その可愛い後輩に、もっと思い出くださいよ〜」
「思い出?」
「クリスマスデートとか、初詣デートとか。てか先輩、年末年始って実家帰ります?」
「さすがに帰る。てかデートって言ったか?」
「言いましたね」
「俺は男だが?」
「先輩は俺のことそういう目で見ないから、デートも全然ありですね。てかいつか彼女ができたときの参考にでもしようかと」
「参考にならないだろ」
 彼女が居たこともないのにと続いた言葉に、まぁいいじゃないすかと適当に濁しておく。だって別に本気で参考にしようなんてことは思ってない。
 先輩が卒業してしまう前にどっか2人で出かけたいな、という欲をかいてみただけの話で、先輩が可愛がってるだの素直に嬉しいだの言わなければ、こんなこときっと言い出してない。
「ダメですか?」
「ダメ、ではないが……」
「ではないが?」
「男にもてても嬉しくないとか言っておいて、自分で誘うのはありなのか?」
「だって先輩、俺のこと抱けるとか抱きたいとか、一度でも思ったことあります?」
「ないな」
「そういうとこですって。俺をそういう目で見ない男は貴重なんで、先輩のこと逃したくない気になりました」
「お前こそ、そういうところだぞ」
「先輩には通じないと思ってるんでオッケーです」
「いまので充分煽られたが、本気で言ってるなら、どっちがいいんだ」
「どっちも、って言ったら?」
 押せばいける気配の中、最後と思ってわがまま放題言ってみたら、呆れた顔をされたものの、結局両方承諾された。

続きました→

 
 
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無い物ねだりでままならない1

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 月曜2限は空きコマで、時間をつぶすのはもっぱら学食の片隅だ。
「よぉ。一人なのは珍しいな」
 声をかけられて手元のスマホからそちらへ顔をあげれば、サークルの先輩が昼食が乗っているのだろうトレーを手にして立っていた。
 相席の申し出にもちろん構わないと返して、相手が向かいの席につくのを待つ。本日の先輩の昼食は、どうやら生姜焼き定食だ。
「美味そうっすね」
 チラッと時計を確認して、少し早いが自分も昼を食べてしまおうかと思う。
「俺も昼飯買ってきていいですか?」
「おぅ」
「じゃちょっと行ってくるんで、荷物よろしくおねがいします」
 財布だけ握って、気持ち急ぎながら注文しに行く。昼休み前でまだ空いているので、同じく生姜焼き定食の乗ったトレーを手に戻るまでにそう時間は掛からなかったと思うけれど、どうやら先輩はこちらが戻ってくるのを待っていてくれたらしい。
「お待たせしました。てか食べてても良かったのに」
「いやだって、慌てて買いに行くの見たら、一緒に食べるかって思うだろ」
 こちらのトレーに同じ定食が乗っているのを見た先輩が、可笑しそうに笑う。つられて買いに走ったのが明白すぎて、ごまかすようにこちらも笑った。
「へへ。ありがとうございます」
「じゃ、いただきます」
「はい、いただきます」
 応じるように告げて箸を持つ。
 今日は一人で昼ごはんと思っていたから、余計に美味しく感じる気がする。声をかけて貰えてよかった。
「先輩って、いつもこの時間に昼飯なんですか?」
 先輩は4年生で、すでに講義はほとんどないらしい。だいたいは所属のゼミ室にいると聞いたことがある。時間に融通がききやすいようだから、混む昼休みを避けて学食を利用しているのかもしれない。
「今日はちょっと遅いくらいかな。俺、朝食わないから」
「へぇ」
「で、そっちは? いつもこの時間には見かけてたけど、でも先週までは誰かしら一緒だったろ?」
「あー……月曜1限とか来るのだるいっすよね。必修じゃないなら尚更」
「つまり、脱落した?」
「みたいです」
「お前は?」
「もう半分過ぎてるから、俺は今更捨てるの、なんか悔しくて。俺こう見えて真面目なんで、ここまでしっかりフルで出てるんですよね、ってのも大きいかも」
「なるほどね。じゃ来週も、てかこっから先の月曜2限は一人ってこと?」
「多分そうなりますね」
「じゃ、また見かけたら声かけていいか?」
「もちろんいいっすよ。てか今までだって、見かけてたんなら声かけてくれても良かったのに」
「それはまぁ、友達と楽しそうにしてたし、邪魔したくないし、そっちが気づいてないならいいかと」
「あー、俺のほうこそ、今まで気づかなくてすみませんってやつだコレ!」
「いやそんなのは別に全然いいんだが」
 その後も昼休みが始まるギリギリまで、軽い雑談がメインとは言え話が途切れることはなく、昼休み開始とともに、じゃあまた来週と言って先輩は食堂を出ていった。
 そうなると、同じく昼食を終えている状態でここに居座るのは気が引けてしまう。こちらはまだゼミ室などというものがないので、追加でドリンクでも買ってくるか、場所を移動するかしかない。
 迷って結局、次の講義で使う教室へ早々と移動することにした。

続きました→

 
 
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親父のものだと思ってた(目次)

キャラ名ありません。全40話。
親の離婚後出入りするようになった親戚の男は父親の恋人なんだと思っていた視点の主が、そうではないと知って手に入れに行く話。
メイン部分は社会人なりたて視点の主×トラウマ持ち元ニート童貞。
明確な年齢は出してませんが年の差多め。
20代前半×30代半ばなイメージ。

父親と恋人関係ではなく、更に、視点の主の卒業後は家政夫を辞める話になっていると知って恋人に立候補した視点の主が、卒業を機に恋人となりルームシェアという名の同棲に持ち込むことに成功するものの、人間関係に失敗してニートだった過去を持つ相手と関係を深めるのに難儀します。
年齢差がそこそこあることと、子供の頃からお世話になっている関係上、相手の立場が強いです。人間関係トラウマ持ちな部分にもかなり気を遣って、視点の主がなかなか強気に出れません。
絶対に抱く側がいいと主張する視点の主に折れて、相手が抱かれる側になってくれますが、主導権は基本相手持ち。
セックス中、視点の主(攻め)が泣いてしまうシーンがあります。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 父親と恋人じゃないなら
2話 両親離婚の詳細
3話 同棲許可取得済み
4話 同棲開始の特別メニュー
5話 不慣れすぎる初キス
6話 抱かれる側はどっち?
7話 頼れる年上彼氏に危機感
8話 直接触れたい
9話 初めて見る不安げな姿
10話 抱く側になりたい 
11話 出来そうなことから少しずつ
12話 一方的に気持ちいい(R-18)
13話 手ぇ貸して(R-18)
14話 脱いで再チャレンジ(R-18)
15話 研究熱心で好奇心旺盛
16話 相手のトラウマ
17話 トラウマが気になる
18話 長期戦は覚悟済み
19話 やっと触れた相手の性器(R-18)
20話 間近に見つつ(R-18)
21話 口を寄せる(R-18)
22話 どうせなら一緒にイこう(R-18)
23話 聞きたいことがいっぱい
24話 トラウマの原因
25話 リハビリ成功
26話 想像してた展開と違う
27話 違和感と相手の覚悟
28話 前立腺が見つからない(R-18)
29話 前立腺発見(R-18)
30話 このままイカせたいのに(R-18)
31話 主導権交代
32話 騎乗位で繋がる(R-18)
33話 嬉しそうで何より
34話 上から降りて欲しい
35話 張り切っちゃうらしい
36話 急展開
37話 2回目は正常位で(R-18)
38話 気持ちよさそうなのに(R-18)
39話 めちゃくちゃ可愛い(R-18)
40話 安心したら眠い

 
 
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親父のものだと思ってた40(終)

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「よ、よか、った……」
 大きな安堵とともに色々なものを投げ捨てて、たまらず相手を抱きしめる。
 けれど腕の中、大きなため息を吐き出されてギクリとした。どう考えても、呆れの滲むため息だったからだ。
 汚れた手もそのままに相手を抱きしめてしまったし、吐き出して萎えたとは言え、相手の負担を考えずに突っ込んだまま動いてしまったし、思い当たることはたくさんある。
 でも、どうやらその想像はかなり方向違いのものだったらしい。
「泣くなよ」
 柔らかな声が響き、そんな言葉とともに優しく背を抱かれたら、緩んだ涙腺なんて簡単に決壊するに決まってる。
「だっ、てぇ」
「酷い目にあって、泣きたいのはこっちなのに」
 呆れた口調だけれど、でも泣くなと言われて増々酷くなってしまった涙を咎められることはなく、宥めるように背をさすってくれる手は変わらず優しい。
 しばらくそうして抱きしめられながら、とにかくまずは涙を止めることに意識を集中する。早く抜けとすら言われないから、そのまま甘えてしまった。
 しかし、ようやく涙を収めて身を起こした時には、相手はすっかり寝落ちていた。


 隣でもぞもぞと動く気配がして、うつらうつらと揺蕩っていた意識を浮上させる。
 あのあと、一通り後始末をしてから、目覚める気配のない相手の隣に自身も横になって目を閉じていた。相手が起きた時に傍に居たいと思ったからだ。
「起きた?」
 まだぼんやりとする中で、それでも相手に声をかける。けれど暫く待っても返事はない。
 起きたわけではなかったのか。そう思いながらも、相手の寝顔を確認しようと身を捩った先にあったのは、布の壁だった。
「え……?」
 思わずその壁を凝視してしまったが、見つめる先でその壁がもぞりと動く。
 やっぱり起きてはいるらしい。
「息苦しくないの? てか何やってんの?」
 肩のあるあたりの布に触れて軽く揺すりながら問いかける。けれど返事はなく、逃げるみたいに布を被った塊が身を縮めた。掛布の中、こちらに背を向けながら膝を抱えて丸まっているようだ。
「えぇー……」
 想定外の反応に戸惑いの声が漏れはするが、相手の心情が察せないわけではない。なんせ互いに果てる直前、相手はびっくりするほど可愛かった。
 思い出すだけで頬が緩んで仕方がない。ただ、あんな姿を晒したくはなかっただろうなというのもわかる。相手の覚悟の中には含まれてはいなかった、もしくは、そうなる可能性はあっても当分先と思っていただろう姿を、初回から引きずり出してしまったのだと思う。
 自己拡張でお尻が感じることはなかったって言ってたし。自分が気持ちよくなるよりこちらが気持ちよくなる姿に興奮する、みたいなことも言ってたのに、まんまと気持ち良くなって、それが恐いって散々言ってたし。ついでに言えば、泣いちゃってたし。
 それらを思い返せば、居た堪れないとか合わせる顔がないとか、そんな気持ちの現われがこの塊なんだろう、という想像はつく。
 こっちも相当情けない姿を晒したはずなんだけど。童貞を捨てた時よりよっぽど余裕もなく必死な姿を晒したんだけど。縋って泣いて甘やかして貰うまでしてるのに。でも、それで相殺されたりはしなかったようだ。
 ただ、あんな姿を見てしまった後じゃ、これだって可愛くて仕方がない反応なんだけど。そこまで思い至ってはいないらしい。
 可愛いなぁという気持ちの赴くまま、布の塊をあちこち撫で擦る。そのたびに、手の平の下でピクリピクリと相手が反応しているのも、正直に言ってしまえば楽しかった。ちょっと過剰に反応しすぎって気もするから、楽しんでいる場合じゃないかもだけど。
 撫でるのを止めて、背後からギュッと抱きしめてみた。ビクッと震えはしたが、逃げ出す素振りはなく、腕の中でおとなしく息を潜めている。
 ホッと安堵の息を吐いた。
 顔を見せて貰えないし返事すらして貰えないけど、そこに拒絶の気配はない。撫でても抱きしめてもされるがままなのは、彼の許容に他ならない。
 安心したら、途端に眠気が襲ってくる。
「うーん……俺としては、これはこれで有り、なんだけど。ねぇ、このまま二度寝していい? 本当に息苦しくない?」
 腕の中の塊が布越しでも温かくて、目を閉じればすぐにでも眠りに落ちそうだ。けれど、目を閉じて眠気に意識を委ねようとしたところで、腕の中の塊がもぞりと動いた。
 仕方なくもう一度意識を引っ張り上げて、どうにか目を開ければ、至近距離でこちらを見つめる相手と目があう。
「あ、やっと顔見れた」
 にへらと笑えば、相手は不満げに唇を尖らせる。それすらなんだか可愛くて、ふへへと間抜けな吐息が口から漏れた。
 今日はもう何をされても、見ても、可愛いとしか思わないのかも知れない。もしかしたら、今日どころかこれから先ずっと。
 そんなの、むしろ大歓迎だけど。
 なんてことまで思いながら、思ったままを口から零す。
「かぁわいい」
「そういうのいいから。てか、本気で寝ようとしてる?」
「うん、まぁ。安心したから、今度は本気で寝ちゃいそう」
「安心?」
「あんなに抱く側主張しておいて、無理強いする気ないとかも言ってたけど、でもやっぱ色々無理させたと思うし、上手にできなかったし、泣かしたし、泣いたし、情けないばっかりのセックスしちゃったから、起きたら何言われるんだろって思ってたんだよね。でも起きても可愛いばっかりだから、大丈夫かなって」
「いや、意味分かんないんだけど」
「んー……セックスしたら恋人がめちゃくちゃに可愛く進化したから、これからはひたすら可愛がっていけばいいだけなんだな、みたいな?」
 そうだ。泣いてしまったから仕方なく慰めるのを優先してくれただけで、寝落ちる前、酷い目にあって泣きたいのはこっちだと言っていたし、起きたら怒られたり非難されたりする可能性が高いと思っていた。覚悟だってしていた。
 でもそんな素振り全然なくて、ただただ可愛いだけだったから、安心したし、これはもう、今後はひたすらに可愛がっていけばいいのでは、みたいに思ってしまった。
 可愛い可愛いって何度か口に出しているけれど、本気で嫌がられてはいないみたいだし。彼ならきっと、年下の恋人に可愛がられるのだって、回数を重ねれば絶対慣れてくれる。
「いやいやいや。全然わかんないよ?」
「えー、もう眠い」
 また今度ゆっくり話そうという言葉は、どこまで音になっただろう。
「もう〜、仕方ないなぁ」
 閉じた目蓋が開かなくなって、意識が眠りに落ちていく。そんな中、優しく頭を撫でてくれる手が、ひたすらに気持ち良かった。

<終>

エンド付けてしまいたくて遅くなりました。
そこそこ年齢差があって子供の頃から知られてる上にトラウマ持ちという中々面倒な相手に対して、視点の主が抱く側にこだわって大変でしたが、どうにか当初の予定通り初Hを済ませることが出来ました。
ここまでお付き合いありがとうございました。

1ヶ月ほどお休みを貰って、次の更新は2月27日(月)からの予定です。
目次ページは近日中に作成したいと思います。

 
 
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親父のものだと思ってた39

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 確かめるように視線を落とした先、相手のペニスは中途半端な大きさでゆるく勃起している。ビシャビシャというほどではないが、やっぱり先走りは零しているようで、先端辺りの相手の腹部分は濡れていた。
 どうやらお尻で感じると、ガチガチに張り詰めた射精待ちにはならないまま、気持ちよさで先走りだけ零すらしい。指で弄っていた時は最初もっと萎えていたから、慣れたらしっかり勃起するようになるのかも知れないけれど。
「触るよ」
「んぁっ」
 驚かせないように声をかけたけれど、触れた瞬間にはやっぱり大きく体が震えた。ついでに言えば、キュウっと穴が締まるのをペニスで感じ取る。
「ぁ、あんっ、んっ、ゃ、あ、ああっ、だ、……め、あ、やぁっ」
「すっごい、お尻キュウキュウ締め付けてくる」
 ダメだの嫌だの混じりながらも、本気で嫌がるというか逃げる様子はないし、手の中のペニスはあっさり固く張り詰めていき、連動するように括約筋が動いてペニスをグニグニと喰まれるのがなんとも気持ちがいい。
「ぁああっっ」
 気持ちよさに腰を揺すってしまえば、相手の声が一層高く響いて全身が小さく震えた。
「いいとこ当たっちゃった?」
「ぅ、そこ、ゃだ、ってぇ」
「ごめんごめん」
 言いながら、ぐぐっと奥まで押し込んでやる。これで少なくともペニスの先端やら開いた傘の段差やらが、相手の前立腺を刺激してしまうことはないはずだ。
「あ、ああっ、やぁ」
 いい所に当てているつもりはないが、それでも相手は体を震わせながら高い声を上げ、ペニスの先端からトプっと大量の先走りを吐き出した。
「あれ? まだ、いいとこ当たってる?」
「うぅ、も、やだぁ、ぜんぶ、きもちくて恐いぃ」
 そんな事を言いながら睨まれたけれど、潤んだ目と興奮か羞恥かで赤く染まった頬の愛らしさで、申し訳無さよりもさきにこちらの興奮が増してしまう。てか全部気持ち良くて恐い、という発言内容からしてかなりクル。やっばい。
「んんっ、また、おっきくしたぁ」
「ちょ、そんな、理不尽な」
 そんな非難めいたことを言われたって困る。
 てかなんだこれ。どうしよう。めちゃくちゃ可愛い。
「ぅううっっ」
 さらにペニスの質量が増したせいで恨めしげに睨まれたけれど、やっぱり可愛いばっかりで、口元がだらしなく緩みそうだった。というか緩んだ。ついでに、可愛いがあふれて口にも出してしまった。
「すごい、可愛い」
「ばかっ、ぁ、ああ、ば、かぁ」
「はは、語彙力、崩壊してる。かわい〜」
 全部気持ちいいならあまり意味はないのかなと思いつつ、一応前立腺は狙わないつもりで大きなストロークはせずに、深く埋めたまま小さく腰を前後させる。もちろん片手は相手のペニスを扱き続けているから、根元あたりはずっとキュムキュムと締め付けられているし、時折壁のようなものに先端が擦れるのもあって、充分に気持ちが良かった。
「ぅ、あ、やぁ、ばか、も、こわい、こわいぃ」
 恐い怖いと言いながらも、相手のペニスはいまにも弾けそうなほど張り詰めていて、どうみたって気持ちが良さそうなんだけど。ああ、でも、気持ちいいのが恐いんだっけ。
「恐くない。怖くない。気持ちぃだけでしょ。今度こそ、イクとこ見せてよ」
「う、ぅう、ゃっ、やぁ」
「やじゃなくて。ね、イッて。イッてよ」
 イッてイッてと繰り返しながら、グッグッと腰を押し付ける。こんなに強くしたらダメだろと思いながらも、腰の動きが止められない。ヤダヤダ怖いと口走る相手の目にはとうとう薄く涙の膜が張りだして、それがポロリとこぼれ落ちるのを見てしまったのに。それでも、どうしようもなく、自身の快感を追ってしまう。
 相手がイケないのは、もしかしたらこちらの、そんな身勝手な動きのせいかも知れない。
 痛いだとか、もう無理だとか言われていないのだけが救いだった。もし今、もう無理ヤメテと訴えられても、そこで止まれる自信がない。
 もっと相手を気遣って、相手の快感を引き出して、安心して気持ちよくイカせてあげたいのに。でももう、そこまで自身に余裕がなかった。
 早くイッてくれないと、こちらが先に果ててしまいそうで焦る。
「ねぇ、イッちゃうから。も、保たない、から。お、お願い、一緒にイッて」
 情けなくもそう懇願しながら、グッと腰を押し込んだところで射精した。してしまった。相手がイクまではと思っていたのに保たなかった。
 ただ、がっくりと落ち込むその手前。
「あ、あっ、でて、る、んぁあ」
 相手の背がしなって、手の中のペニスが震える。その先端からは、とうとう白濁が吐き出されていた。

続きました→

 
 
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親父のものだと思ってた38

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 二度目の挿入で相手も多少は慣れたのか、こちらのペースで根本まで押し込んでも痛がる様子はない。苦しさはあるようで多少息が乱れはしたが、それでもこちらが押し込むのに合わせて、さほど抵抗なく飲み込んでくれた。
「ぜんぶ、はい、った?」
「うん」
 頷けばホッとした様子で体が少し弛緩する。馴染むまで待ったほうがいいんだろうと思っていたが、このタイミングは逃さないほうがいいかも知れない。
「ふぁ…ぁ、……んっっ」
 押し込んだときと同じくらいのペースで、今度はゆっくりと腰を引いていけば、相手の口から色の乗った甘やかな息が吐き出されてくる。すぐに慌てた様子で口を閉じてしまったし、弛緩していた体にはあっさり緊張が走ったが、それでも内心ガッツポーズを決めた。
 弛緩とまではいかないものの、緊張が解けるのを待ってまたゆっくりと腰を引く。
「んっ……」
 口は閉じたままだが、鼻から漏れる息はやっぱり充分に甘やかだ。
 この段階ですでに、相手もそれなりに感じているらしいとと思って嬉しくなる。
 本当に良かった。思っていたよりも、一緒に気持ちよくなるというハードルは高くないかもしれない。
「んっ……ん、……んぅっ……」
 相手の様子を探りながら、緩やかで長いストロークを数度繰り返す。相手は自身の快感に集中するためにか、途中から目を閉じてしまったが、そうやって自身の快感に浸る姿を見るのは珍しい。本当にこちらに身を任せてくれているのだと思うと、嬉しくて、興奮して、既に充分すぎるほど勃起したペニスがさらに膨張した気がする。
 もちろんそれは気の所為なんかじゃなく、目を閉じていた相手がチラッとこちらを見たあとで満足げに笑ったから、相手もすぐに察するほどの変化があったってことだろう。
「うっっ」
 キュッと締め付けられて思わず小さく呻けば、相手がやっぱり満足げに笑っている。
 随分と余裕が出てきたらしい。それはこちらも同じで、相手が意図的に締め付けてきたって、それで暴発したりはしなかった。
 ペニスはずっと気持ちはいいし、相手の反応に興奮だってしているが、でも、すぐにでも射精してしまいそうな危うさはない。それくらいには、気持ちも体も落ち着いている。
 そろそろいいかと、次に狙うのは相手の前立腺だ。ペニスで感じとれるかはわからないが、位置はもうわかっている。
「ん、ぁ、あっ、おまっ、そこ、はっ」
 相手の反応は早かった。しかも、嫌がるように身を捻ろうとするから、仕方なく一度動きを止めた。
 ただ、止めはしたが逃がす気はないので、足と腰とをガッツリ抱え直して下半身を固定してやる。さっき、もう後ちょっとで相手をイカせられそうなところまでいったのを、忘れてなんかいないからだ。
「ここ、いいとこ、でしょ?」
「ふぁ、ぁ、ぁあ、や、やだ、って」
 わかってるんだぞと言うように、その場所をまた少しだけ擦ってやれば、気持ちの良さそうな蕩けた声を上げながらもイヤイヤと首を振ってみせる。
「そこ、変になる、から」
「って言われて、止めれるわけないんだけど」
「ぅっ、で、でも、ほんと、そこばっか、む、……むりっ、だから」
「………ずっるい」
 躊躇う素振りはみせつつも、はっきり無理だと言われてしまったからには、約束通り引くしか無いんだろう。わかってても、不満の一つや二つは漏れても仕方がないと思う。
「わか、ってるけど、でもほんと、ごめん。し、信じてる、から」
「ますますズルいんだけど」
 信じてるってなんだよ。そんな事言われなくたって、無理とまで言われたら、前立腺をこれ以上狙って擦ったりはしないのに。でもそれくらい、必死に嫌なんだってことだけはわかった。
 結構気持ちよさそうな声、出すのになぁ。
「てか、そこ狙わなかったら、続けていいんだよね?」
「そりゃ、ここで終わり、はさすがに」
「狙わないけど擦れちゃう分は、諦めてくれるってこと?」
「うっ……それは、……」
「気持ちよくなれてるっぽいのわかってるのに、一緒にイクの拒否とか、言わないでよ?」
 イカされた後に抱かれるのが無理だというから、手でイカせるのを諦めた経緯だってあるのだ。相手が感じているのをわかっていて、自分ひとり気持ちよく果てて終わりになんて出来るはずがない。なのに。
「お、お尻が気持ちよくて、イク、とか、頭でわかってても、こわっくて、こわい、んだよっ」
 恐いが二回重なるくらい恐いのはわかった。けど、それってやっぱり、前立腺を刺激されたら気持ちいいって言ってるのと同じだよなぁと思う。てか、前立腺狙って突いたら、お尻だけで気持ちよくイケそうって意味だったりするんだろうか。
 そこんとこ詳しく。とは思ったけれど、さすがに今聞くことでもなさそうだ。だって、もう前立腺は狙わないって決まってしまった。
「じゃあ、一緒にちんこ扱けば、イッてくれる?」
「えっ?」
「さっき、ちんこ一緒に扱いたらイケそうだったよね? てか、また放置しちゃってたの、ごめんね?」
 もっと早くペニスも一緒に触ってあげればよかったって、さっきも一度思ったはずだったのに。相手を気遣いながらの腰使いに意識が持っていかれて、またしてもずっと放置だった。

続きました→

 
 
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