おにショタ要素あり
ずっと子供でいたかった。何の悩みも持たずに、仲のいい友人たちと、学校の休み時間や放課後に駆け回って遊ぶような日々を過ごしていたかった。
大人の階段、なんてもの、別にまだ上る必要はなかったのに。それがどういうものかもはっきりわからないまま、言葉巧みに誘われてついて行ってしまった。
だって、昔一緒に遊んで貰った記憶があったから。頼れるお兄さんだったから。
昔みたいに、新しいことを教えて貰ったら絶対に楽しいって思ったし、他の友だちに自慢したり広めたり出来るかなって、期待していた。
実際、大人の階段を上るのは楽しかった。お兄さんに貰ったエッチな雑誌を友だちに見せて、英雄気分を味わったりもした。
でも友人たちに話せないことも抱えるようになってしまった。内緒だよって言われなくたって、人に言っちゃいけないことをしてるんだという認識はあった。
無理やりされたわけじゃないし、そこまで強引にされたわけでもないから、もし最初にちゃんと拒んで、お兄さんの家に行くのを止めていたら……
なんて、そんなタラレバは意味がない。だって自分は拒まなかったし、イケナイコトって頭のどこかではわかってたのに、お兄さんの手を受け入れてしまった。だってお兄さんに触られるのは凄く気持ちが良かった。
ずるずると関係を続けて、流されるままにお尻まで開発されて、紛れもないセックスをお兄さんとするようになって、今更、とんでもないことをしたって後悔しても遅すぎる。
もうやめたい、って言ったら理由を聞かれて、好きな人が出来たからと言えば、じゃあ仕方がないねとあっさり終わりになったのも、結構ショックなのかも知れない。
どんな相手を好きになったの、とすら聞かれなかった。
振られたり諦めが付いたらまたおいでとは言っていたけど、あんなに色々してきたくせに、引き止めるような執着はないのだ。自分だって、好きでもなんでもない相手に好き勝手させていた、という点は思いっきり棚に上げて、都合よく遊べる体だったと突きつけられて悲しくなった。
しかもすっかり開発されきった体は、お尻を弄らないと上手く射精が出来ないまでになっている。
初めて恋愛的な意味で好きだと感じた相手が男だったのは、お兄さんとの関係があったからという可能性がかなり高いけれど、でも、女の子を好きにならなくて良かったとも思う。こんな体で、女の子相手にセックスできる気がしない。
だけど片想いの相手に抱いてもらう妄想でオナニーする虚しさと言ったらない。正直に言えば、物足りない。
でも自分から切っておいてお兄さんを頼りたくはなかったし、振られたわけでも諦めが付いたわけでもない。お兄さんなら、他に好きな人が居たままでも気にしないかも、とか思わなくもないけれど、その誘惑にはいまのところ抗えている。
「お前、最近なんか悩んでる?」
心配そうに声をかけてくれたのは、昔からの友人の一人で、お兄さんとの関係を切る切欠になった男だった。気にかけてくれるのが嬉しくて、こういうとこが好きなんだよなぁと思いはするが、でも、この悩みを打ち明けられるはずもない。
「もしかして、お兄さんとうまく行ってない感じ?」
「俺、長男だけど」
「じゃなくて、近所の頼りになる兄貴分? あのエロ本とか譲ってくれてたイイ人」
切ったと言えばめちゃくちゃ驚かれた上に、好きなんだと思ってた、なんて言われてわけがわからない。ただ、その指摘で気持ちがぐらつくのがわかってしまった。
こちらの動揺に何を誤解したのか、失恋を慰めだした相手を少し強めの言葉で黙らせる。
「違うって言ってるだろ!」
「じゃあ何があったか言えよ。言わなきゃわからないだろ」
「無理」
短く言い切れば諦めたようで、いつでも話聞くぞと言って去って行く。心配してくれてるのはわかるし、そこが相手のいいとこなんだって思うけれど、でも、この件に関してはお前はずっとわからないままでいいよ。
有坂レイさんには「ずっと子供でいたかった」で始まり、「わからないままでいいよ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば11ツイート(1540字程度)でお願いします。https://shindanmaker.com/801664
(ざっくり100字ほどオーバーしました)
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