タチ予定だったのにネコにされた1

 ノリと勢いと酒の力で長年胸の奥に燻っていた想いを告げたのは三ヶ月ほど前で、その告白を嬉しいと言って喜んだのは、告白相手だったはずの男の隣りに座っていた別の友人だった。
 なぜそんな誤解を生んだのかわからない。会話の流れ的に、ずっと好きだったの言葉が誰に向けられたかはわかったはずだ。
 多分、きっと、おそらく。
 イマイチ自信を持って言い切れないのは、自分自身相当酔っていた自覚があるからで、もしかしたらそう誤解されるような何かを言うかするかしたのかもしれない。そうでなければ、いくらノリ良い連中ばかりとは言え、周りがあんな反応だったのが解せない。
 結局酔っ払い共に囃し立てられながら、あれよあれよと恋愛的な意味でなんて欠片も意識したことなどなかった男と、恋人という関係になっていた。
 もちろん酔いが覚めた翌日には、昨夜のは冗談だったで関係解消を試みようとした。しかしこちらが恋人なんて関係を続けられないと伝えるより先に、ずっと好きだったから本当に嬉しいと告げられてしまって、結局今もずるずると関係は続いている。
 元々友人ではあったけれど、今までは仲間内で集まる時に同席する程度で、そこまで親しくしていたわけではないような相手だったから、恋人なんてことになって初めて、二人きりで出歩くようになった。恋人である以上、多分これらはデートなんだろう。
 二人きりでもつまらないなんてことはなかったし、むしろ相手と過ごす時間は心地よかった。ずっと好きだったらしいから、こちらを気遣っているというか、機嫌を損ねないようにと振る舞っている可能性も高いけれど。
 ただ、恋人になってデートを重ねた所で、恋愛的に好きになれるかというと難しい。だって本当に想いを告げたいと思っていた友人と、重なるような部分がほとんどない。端的に言えば好みじゃない。
 それでも雰囲気に流されてキスは何度かした。さすがに嫌悪はないが、だからといって興奮もない。積極的に抱きたい感情は皆無で、むしろこんな状態でベッドに乗ったら、いろいろな意味で相手を失望させそうだ。
 相手はキスの先を望んでいる気配が濃厚だったけれど、それには気付かぬふりで、のらりくらりと避けていたのは認める。
 だからってこんな強行手段に出るとは思わなかった。外で夕飯兼ねて軽く飲んでいたはずが、気づけば相手の家に連れ込まれていて、しかもベッドの上であちこち拘束されていた。
「お前、俺にいったい何盛った?」
 どれくらい眠っていたのかわからないが、酔いはすっかり覚めているらしく、頭はスッキリしている。しかし寝ている間に弄られまくったらしい下半身は、握って数度強めに擦られたらあっさり達してしまいそうなくらいビキビキに張っていたし、尻穴の周りから腹の奥の方までが熱を持ってジンジンと疼いていた。
「飲ませたのは睡眠導入剤。お酒と併用ダメってわかってたから、そっちにはちょっとしか入れなかったけど、それでも随分効いたよね」
 たっぷり入っていたのは、帰宅後に水分補給しておきなよと渡されたペットボトルの水の方らしい。味がどうだったかは覚えていないが、そういえば渡された時、既にキャップは開いていた。
 ああ、でも、なんだか納得した。酒にはそこまで弱くないのに、あんなに眠いのはオカシイと思ってたんだ。
「それだけじゃない、だろ」
 どう考えたって精力剤とかのたぐいも使ってるはずだ。じゃなきゃ下半身がこんなになってるはずがない。
「後は媚薬クリームだね」
 アナニーサイトのレビューで高評価だったやつなどという、かなりどうでもいい情報と共に小さなケースを見せられた。

続きました→

 
 
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昨夜の記録

 少々遠方への二泊三日の出張が決まった時、その地方に就職した学生時代の友人に、久々に会えないかと連絡を取ったら、あっさりオッケーだったどころか最終日の金曜とその翌日の土曜はウチに泊まってけばと宿の提供まで申し出てくれた。行きたいところがあれば観光地の案内もしてくれるらしい。
 そんなわけで金曜夜に待ち合わせて、久々に会った友人と楽しく飲んだ。
 そして、飲んで潰れて翌日は昼過ぎから遊びに出かけてやっぱり飲んで潰れてを繰り返した日曜の昼近く。目覚めた自分の隣の布団では、友人がまだ気持ちよさそうに眠っていた。
 昨日の朝もそうだったし、学生時代に何度も繰り返した光景でもある。自分もそこまで酒に弱いわけではないはずなのに、彼と飲むと先に潰れてしまうことが多かった。
 しかも潰れるほど深酒した割に、目覚めがなんだかスッキリしているのもどこか懐かしい感覚だ。話し上手で聞き上手な友人だからか、普段溜め込みがちな鬱憤をあれこれ聞いて貰うことも多く、だから気持ちごと体まで軽くなるような気がするのかもしれない。
 友人を起こしてしまわないように起き出して、隣のリビングへと移動する。テーブルの上は既にあらかた片付けてあったが、だからこそデジカメがポツンと残されているのが目についた。
 自分なんかは携帯のカメラで十分派だけれど、彼に言わせれば全然違うようだ。昨日も一緒に出かけた観光地であちこちシャッターを切りまくっていたし、酒を飲みながらわざわざテレビに繋げてそこそこの大画面で見せられたそれらの写真は、確かに綺麗と言えば綺麗だった。
 ふとした悪戯心から、そのデジカメを手に取り電源を入れる。気持ちよさそうに眠る相手の寝顔を、こっそり撮ってやれと思ったのだ。
 出来れば自分が帰った後で、その悪戯に気付いて欲しい。なんてことを思いながら、手の中のデジカメをあれこれ弄る。うっかりフラッシュをたいてしまって友人が起きたら困るし、操作音やらシャッター音のオンオフ機能もありそうだ。
「なんだ、これ……?」
 いきなり動画が再生されて焦ったのも束の間、そこに流れる映像に目が釘付けになる。映っているのは目を閉じて布団の上に横たわる自分自身だった。
『今夜もぐっすりだね。ホント、無防備で可愛い』
 カメラがぐっと顔に近寄り、そんな囁きが聞こえてくる。どことなく甘ったるい声は友人のものに違いないが、友人のこんな声をリアルで聞いたことはない。
 背中に冷や汗が流れる気がした。鼓動は速くなり、嫌な予感もビンビンなのに、画面から目が離せない。
 顔を映していたカメラはその後遠ざかり、やがてどこかに置かれたようだった。カメラを手放した友人が、眠る自分に近づく姿が映っている。
 躊躇いなく顔を寄せた友人が、眠る自分にキスを繰り返す。寝間着代わりのシャツを捲り上げ、腹から胸までをゆっくり撫でる手の動きがイヤラシイ。
 画面は小さいが明かりは煌々と点けられたままなので、何をしているか、されているのかは嫌でもわかってしまう。眠る自分が気持ちよさそうに吐息を零したのも、それを満足気に眺める友人も、可愛いねと繰り返される囁きも、触れた唇が離れる時の少し湿ったリップ音でさえ、そこには収められている。
 部屋は確かに静かだが、それらは随分と生々しい。もしかしたら集音マイクでも使っているのかもしれない。
 やがて友人の手は下腹部にも伸びて、下着ごとズボンを下ろされた。下半身だけ剥き出しになって眠る自分はなんとも不格好で居た堪れないのに、全く記憶にないせいか、自分なのに自分ではないようにも見えてくる。画面の中の友人だって、姿形は友人でも、やっぱり自分が知っている彼とは別人のようで現実感がない。
『昨日より楽に入るね。どう? 気持ちいい?』
 カメラの位置は固定されたままのなので、開いた足の間に座る友人が何をしているかの詳細は見えないが、でも音と声とで何をされているかはわかってしまう。
『前立腺弄られるの、昔っから、好きだもんね。おちんちん、プルプルしてる』
 ふふっと愛しげに笑う声と、グチュグチュと響く卑猥な音と、アンアン声を上げている自分に、ますます現実感が遠ざかる。
 だってこんなに喘いでて、なのに記憶が無いってオカシイだろう?
 タチの悪い悪戯を仕込まれてて、ここに映っているのは自分たちによく似た俳優だと言われたら信じてしまいそうなくらいなのに、部屋はどう見たって昨夜の寝室で、奥の方には自分が持ち込んだカバンだって映り込んでいる。
『そろそろイキそうかな? いいよ。気持ちよく吐き出しちゃいな』
 目を閉じたままの自分の体が小さく痙攣している。まさか扱かれもせず、ケツ穴を弄られただけで射精したとでも言うのだろうか?
『さすがに昨日よりは薄いし量も少ないか』
 カメラの遠さか画面の小ささか角度的にか、見ただけでは射精したかどうかははっきりわからなかったが、間違いなくイッたらしい。しかも腹の上に吐き出されたそれへ、友人が楽しそうに舌を這わせているのが衝撃的だった。
 そうして綺麗にした後、友人は満足したのかこちらの体を丁寧に拭いて、服を着せて掛布を掛けてくれる。一連の流れをずっと見ていたのに、最後の画面だけ見れば、そこにはただただ眠る自分の姿が映っているだけだ。
「なんだ、これ……」
「昨夜の記録」
「んぎゃっ!」
 背後からの突然の声に心底驚いて体を跳ねれば、驚きすぎと笑われたけれど、こんなの驚くに決まってるだろう。
「っえ、お前、いつから」
「真剣に魅入ってたね。興奮した?」
 声は耳元で聞こえた。
 椅子に座るこちらを閉じ込めるように、相手の両手がテーブルに突かれている。ドキドキが加速して、ヤバイヤバイと頭の中を巡るのに、どうしていいかわからず固まったまま動けない。
「久々に会ったらさ、もう、寝てるお前じゃ我慢できなくなってたんだよね」
「それ、って……」
「学生時代、時々お前に薬盛って、寝てるお前に悪戯してた。でも卒業と同時にお前ごと諦めるつもりで、こっちに就職決めたのにさ。わざわざお前から連絡してくるんだもん」
「俺を、好き、なの?」
「好きだよ。ずっと好きで、でも友情壊すの怖くて言えなくて、酷い真似した。お前が気づかないからって、そのまま続けるのも怖くなって距離おいて、そのまま忘れられると思ったのに全然無理だった。今もずっと、お前が好きで、苦しいまんまなんだよ」
 テーブルに突かれていた両手が持ち上がり、背後から緩く抱きしめられる。緊張で体が強張りはしたが、振り払うことはしなかった。
「録画したのは、これを最後にお前とは完全に切れようと思って、最後の思い出にするつもりだった。でも、どうせ最後にするなら、当たって砕けるのもありかなと思って、一つ賭けをしたんだ」
「賭け?」
「お前がその録画に気付いたら、俺がやったことも、抱えてる気持ちも、全部正直に話すって」
 軽蔑してくれて構わないし二度とお前の前に現れないから、一度だけ、起きてるお前に触らせて。出来れば抱かせて欲しいけどそこまでは無理ってなら俺の口でイッてくれるだけでもいい。
 そう続いた声は必死で、本気なのだと思った。二度と会わない、という言葉までも。
 気持ちを整理する時間が欲しい。けれど考えさせてくれと頼んだとしても、結局彼は自分との連絡手段を断ってしまうだろう。
「わか、った」
 だからそう返す以外の道は選べなかった。

お題箱から <寝てる内にいたずらされて録画されていたのを発見してしまう話>
結局この後、視点の主は友人の過去ごと許して受け入れちゃうと思います。

 
 
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合宿の夜

 夏合宿最終日前日の夜、連日のハードな練習で疲れきった体は重く、初日は慣れずになかなか寝付けなかった布団でも、横になって早々眠りに落ちていた。このまま朝までぐっすりコースのはずだった。なのに無理矢理意識を浮上させられた。
 自業自得の尿意なんかじゃない。背後から誰かに抱き込まれている。その上、尻の穴で何かが蠢いてもいた。口元を大きな手の平で覆われていて、どこか息苦しいのも原因の一つかもしれない。
 だんだんと覚醒してきた頭が状況を飲み込んで、慌てて瞼を押し上げ、同時に体を起こそうとする。
「暴れないで」
 起き上がるのを阻止するように口元に当てられていた手にグッと力がこもって、耳元では優しい声が囁いてくる。こうなるのを見越していたようで、焦った様子は特になかった。
 声はよく知った友人のものだったし、友人と言いつつも時折一緒にエロいことをしあう仲になっているので、とりあえず部の誰かに襲われているわけではないらしい。ホッと体の力を抜いて身を委ねれば、押さえつける力もあっさり抜けていく。
 でも、だからといってこんな場所で寝込みを襲ってきたことを許したわけじゃない。
「そのまま大人しくしててね」
 尻穴に埋まる指が再度動き出して、しかも明らかにその場所を拡げる動きをしている。
 まさかここで突っ込む気か?
 今は合宿中で、周りには自分たちの他にもたくさんの部員が一緒に寝ているのにか?
 冗談じゃないぞと焦って、嫌がるように身をひねろうとしたが、やはりそれもあっさり押さえ込まれてしまう。
 今まで、体格差や力の差をこんな風に示されたことなんてなかった。一緒に抜きあうのがエスカレートした時、相手が抱く側になるのを許したのは、こちらを気遣い尽くし決して無茶なことはしないと信じられたからだし、事実、酷い目にあったと思ったことはないし、気持ちよくして貰っているから続いている。
 こんなのは嫌だ。場所とかももちろん問題だけれど、それよりも、いくら抱かれることにそこそこ慣れているからって、こちらの意思を無視して強引に進められるのが気に入らない。
 周りにバレる覚悟で騒ぎ立ててやろうか。でももしこんなことがバレたらどうなるんだろう?
 二人一緒に部を追い出される可能性やら、友人知人どころか親や先生にまで事情が伝わる可能性やらを考えてしまったら、やはり今だけは耐えて、朝になってから気が済むまでボコるのが正解なのかもしれない。
 嫌だ。嫌だ。悔しい。そう思いながらも奥歯をグッと噛みしめる。
「ゴメンね。本当に、ゴメン」
 泣きそうな囁きに、さすがにおかしすぎると少しばかり冷静になった。合宿中で抜けなくて溜まったから突っ込ませて、的な理由で襲われているわけではないのかもしれない。
 何があったと理由を聞いてやりたいのに、口元は依然覆われていて声は出せない。そして、うーうー唸って喋らせろと訴えるにはリスクが高すぎる。
 取り敢えず一発やれば気が済むんだろうか。
 どっちにしろ耐える気にはなっていたのだから、ボコる前にちゃんと理由を聞いてやろうと思いながら、抵抗したがる気持ちをどうにか抑えて相手に身を委ねることにした。
 こちらのそんな意思は相手にも伝わったんだろう。ありがとうと囁かれた後は黙々と尻穴を拡げられ、繋がり、ひたすら声を殺しながら互いに一度ずつ果てて終わった。
 どこに用意していたのか相手だけではなく自分も途中でゴムを装着されていたので、布団を汚すようなことはなかったはずだが、終えた後も余韻どころじゃなくテキパキと後始末を済ませていた友人が、二人分の使用済みゴムや汚れを拭ったティッシュやらを纏めてそっと部屋を出ていく。
 始めぼんやり見送ってしまったが、慌てて起き上がりその後を追った。こちらが追いかける気配にはすぐに気付いたようで、大部屋を出た廊下の少し先を歩いていた友人が苦笑顔で振り返る。
「ちゃんと見つかりそうにないとこ捨ててくるから、あのまま寝ちゃって良かったのに」
「寝れるわけ無いだろ。というか、何が、あった?」
「それは、ほんと、ゴメン」
 困ったように視線を逸らされて、ムッとしながら両腕を上げた。相手の両頬を思いっきり挟んでやって、無理矢理こちらを向かせて視線を合わせる。
「俺が聞いてるのは理由。理由によっては許してもいいって言ってんだよ。わかるだろ?」
「もし許せないような理由、だったら?」
「取り敢えずボコる。気が済むまで」
 許してやる場合はボコらない、とまでは言わないけど。
「え、それだけ?」
「どういう意味だ」
「絶交だとか、友達辞めるとか、部活ヤメロとか」
 言われてなんだか血の気が引く気がした。つまり絶交するとか友人辞めるとか部活やめろとか言わせたくて、あんな無茶をしたって言うんだろうか。
「それを俺に、言わせたいのか?」
 吐き出す声が緊張で少しかすれた。
「ち、違うっ」
 すぐさま慌てたように否定されて、ホッと安堵の息を吐く。
「じゃ、なんだよ」
「気が済むまでボコっていいけど、聞いても嫌いにならないでくれる?」
 あんな無茶しておいて、嫌いにならないでくれなんてよく言えるな。とは思ったが、嫌いになれるような相手なら理由なんてわざわざ聞かないし、速攻縁切って終わりにするだろうし、つまりはこんなバカな事を聞いてくることに湧き出す怒りのほうが大きい。
「ごちゃごちゃうるせぇ。早く言えよ」
「嫉妬、した」
「は? 嫉妬? 誰に?」
 渋々と言った様子で告げられたのは、一つ上の先輩の名だった。確かに最近アレコレ構ってくれることが多くなった気はしたし、こちらもそれなりに慕ってはいるけれど。
「最近お前可愛がってるのあからさまになってたし、この合宿で一段と距離縮めてきたし、お前も満更じゃなさそうで、なんかもう不安になりすぎて、いっそ先輩にお前は俺のだって、俺のチンコ突っ込まれて気持ちよくなってるとこ見せつけてやりたくなって、無茶、した」
「ツッコミどころ多すぎんだけど」
「わかってるよ。満更じゃなさそうでもお前に先輩と付き合う気がないこととか、お前は俺のものなんかじゃないってこととか、先輩が寝てた位置的に、先輩が気づくほど派手にやったら周り中知れ渡るとか」
「先輩が俺を狙ってるみたいなのだって、お前の勘違いだろ」
「いやそこは譲れない。というか先輩に直接お前貰うって宣言されて焦ったのもある。というか多分それが、あんな無茶した一番の、理由」
「っは、マジかよ」
 マジだよと返ってくる声は確かに、嘘や冗談を言っている感じではない。
「でも俺にそんな気ないのはわかってたんだろ」
「そんなの、先輩が本気で告白してきたら、お前がどうなるかなんてわからないよ。俺とノリで抜き合って、流されるみたいに抱かれるのまでオッケーしたお前なら、先輩とだってノリと勢いで恋人になるかもしれないだろ」
 男同士で恋人とか正直イマイチわからないのだけれど、もし先輩と恋人になったら、こいつと抜きあったりセックスしたりを続けるのは浮気って事になってしまうんだろう。それが嫌なのは、今後も都合よくエロいことをし合える友人で居たいから。なんて思えるほど、鈍いつもりはなかった。
「まぁ先輩ともノリで抜き合えるかっつったら多分平気ではあるな」
「ほらぁ」
「それより、告白されたらその気なくてもノリと勢いで恋人になるかもって思ってんのに、お前が俺の友人続けてる理由ってなに?」
「えっ?」
「嫉妬して無茶してあんな風に俺を無理矢理抱いて所有権を主張するくせに、俺とは友人として気持ちよくエロいことし続けたいってのは、あまりにお前に都合良すぎじゃねぇか?」
「え、えっ、つまり……?」
「下らない嫉妬でアホな無茶するくらいなら、お前が俺の恋人になれよって言ってんだけど」
 男同士で恋人なんてと思う気持ちがないわけじゃないけれど、でもまぁこいつとならそれも有りか、という程度には友情以上の感情も既に湧いているらしい。
 心底安堵した顔で、嬉しそうに、そのくせ泣きそうに、俺の恋人になってと告げる友人を見上げながら、きっとこれで良いんだと思った。

お題箱から <合宿の寝静まった大部屋で布団の中、友人にやられちゃう話>
大遅刻すみません。長くなりすぎました。分けて出そうかと思ったんですが、サクサクお題消化していきたいので全部出しです。

 
 
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寝ている友人を襲ってしまった

 尿意で目覚めてしまった早朝、さっさとトイレを済ませて二度寝しようと思ったはずが、トイレから戻る時に目にしてしまったソレが気になって、ベッドに入っても再度眠気がやってくることはない。
 早朝とは言え、起きた時に部屋は既に薄明るかった。ベッドの横に敷いた布団には、昨夜泊めた友人が気持ちよさそうに寝息を立てていたのだが、夜中に暑かったのか掛布は脇に押しやられた上、シャツがめくれて腹が見えていた。
 余計なお世話かもと思いながらも、家に泊めたせいで風邪でも引かれたら申し訳ないので、取り敢えずでシャツを引き下ろし腹を隠してやったが、今にして思えば余計な親切心など出さずにいれば良かった。
 その時、意図せずして友人の股間に手の甲が軽く掠ってしまったのだ。
 んっ、と漏れた吐息にドキリと心臓が跳ねたのは一瞬で、友人は起きる気配もなく健やかに眠り続けていたから、鼓動が早くなっていくのを感じながら、探るように見つめていた友人の顔から視線をそっとずらしていった。
 ほんの一瞬、それも手の甲に触れただけでも、友人の股間が硬く膨張しているのはわかっていた。いわゆるアサダチというやつだ。
 視線を移動した先、ラフでゆったりめの部屋着なのに、股間部分だけはっきりと盛り上がっていた。
 大っきそう。
 そう思ったらますます鼓動が早くなって、体の熱が上がった気がする。
 そこそこ長い付き合いなので、合宿やら旅行やらで一緒に風呂に入ったことはある。さすがにそうジロジロと見たりはしなかったが、通常時でも自分に比べたら断然立派だったのだから、大っきそうではなく事実大きいんだろう。
 見てみたいという衝動をどうにか堪えてベッドに潜り込んだが、そんなわけで、二度寝どころじゃなくなってしまった。
 ソワソワするような、モヤモヤが腰に溜まるような、とある場所がなんとなく切なくキュンとなってしまう、その理由ははっきりわかっている。
 好奇心から尻穴を弄る遊びを始めたのはもう随分と前で、最近では気分と体調によっては尻穴を玩具で擦って絶頂を決めれる程度に自己開発済みだ。
 別にホモってわけじゃないから男と付き合ったことはないし、付き合いたい気もサラサラないけれど、無機物じゃない本物のペニスで尻穴をズコズコされる想像を、したことがないとは言えない。というよりも最近はかなり興味がそちらへ傾いている。
 布団の中、もぞもぞと動いてズボンと下着を脱ぎ去った。どうにも我慢ができない。
 ベッド脇の棚の引き出しをそっと開けて、ローションボトルを取り出した。極力アチコチ汚さないようにと考えた結果、蓋を開けたそれを直接アナルへ押し当て、アナルを意識的に拡げながら中身を押し出していく。
(あっ、あっ、入って、く……)
 声は噛んだが、ローションを強制的に流し込む初めての感覚にゾワゾワと肌が粟立った。
 邪魔でしかない掛布を外せないまま弄るのも、感じても声を出してしまわないよう飲み込むのも、もちろん初めての経験だ。
 ベッドと布団とで多少の段差はあるものの、もし途中で友人が起きてしまったら、異変に気づかれずにすむはずがない。なのに、不自由さも友人に気づかれるかもしれない危険も、快感を倍増させていくばかりだ。
「……っは、ぁ、……ぁんっ、んんっ」
 少しずつ吐き出す息が荒くなり、堪えきれずに時折音を乗せてしまっても、未だ友人が動き出す気配がない。
 さきほど見た股間の膨らみを思い浮かべ、友人の朝勃ちペニスを引きずり出してハメたらどれほど気持ちがいいんだろう、なんてことを考えながら弄り続けたせいか、あまりに起きない友人に少しずつ大胆になる。
 まるで、友人に気づかせたいみたいだと思った所で、小さな笑いが零れ落ちた。
 気づかれたらもう友人では居られないだろう。それを残念に思う気持ちはあるが、このままだといつかまったく知らない男とアナルセックスを経験する日が来るだろうことを思えば、初めてはこいつが良いなと思ってしまっているらしい。
 そっとベッドを降りて、覚悟を決めて眠る友人のズボンと下着とを引きずり下ろした。
 少し身じろがれたが、大きな反応はなく、友人の目は閉じたままだ。
(ああ、これは……)
 もしかしなくても起きてるんじゃと思ったが、起きていて止めないのなら、それはもう合意ってことで良いんじゃないだろうか?
 勝手すぎかなと思いながらも、少しだけ勇気だか希望だかを貰ってしまったのも事実だった。
 そのまま友人を跨いで腰を落としていけば、堪えきれずに漏れる声が二種類。
「あ、ぁあっ、ぃいっっ」
「くぅっ、ぁ……」
 もちろん一つは自分ので、もう一つは友人のものだ。
「ね、全部入った、けど」
 尻が完全に相手の腰の上に乗った所で一息ついて、今更だけどようやく声を掛ければ、見下ろす先で友人の目が気まずそうに開いていく。
「おはよ」
「はよ……って、おいコラ。これ、のんきに挨拶交わせるような状況じゃなくね?」
「いつ起きたか知らないけど、起きてて止めなかったんだから同罪でしょ」
「それは、まぁ……つか、お前、これ、いつから? 普通に女好きだったよな?」
 そこそこ付き合いが長いので、実は互いの彼女を交えてのダブルデート、なんてことをした過去もある。
「あー……それは後で説明するから、取り敢えず、俺が動くかお前が動いてくれるか、どっちか選んで欲しいんだけど」
 このまま話してて萎えられたら残念すぎるという、それこそ残念すぎな思考で続きを急かした。
「え、てっきりこのまま逆レイプ的にお前が腰振るのかと思ってたけど、俺が動くのもありなの?」
「あり。ていうか、してくれるなら、されたい」
 本物チンコは初めてだから、と言ったら驚いた様子で目を瞠った後、上体を起こしてきた相手に体勢を入れ替えるように押し倒された。
「色々聞きたいことありまくりだけど、取り敢えず、いいんだな?」
「うん。あ、でも、出来れば俺も一緒に気持ちよくなれるようにやって、欲しいかも?」
 言えば、何を言っているんだとでも言いたげな顔で当たり前だろと返ってきたから、寝ている友人を襲ってしまってホント良かったと思った。

お題箱から <尻穴をいじるのはまっていたら寝てる友人のあさだちに我慢できずについついそれを拝借してしまう話>

 
 
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そういえば一度も好きだと言っていない

 ふと気がついた。そういえば一度も好きだと言っていないな。
「好きだ」
 思った次の瞬間には、口からそう零していた。
「え、何を?」
 見下ろす先、目をぱちくりさせて聞いてくるから苦笑する。確かに突然だったとは思うが、この状況で何をと問われるとは思わなかった。
「お前を、に決まってるだろ」
「えっと、何の冗談?」
「冗談で言うかよ。本気で好きだと思ってる」
 言えば嫌そうに眉を寄せる。随分と酷い反応だ。
「今更過ぎでしょ」
「だって言ったことなかったなって思って。というかお前の反応、俺の予想と全然違うんだけどどういうことなの」
「ならどういう反応と思ってたわけ?」
「言われなくてもわかってる。もしくは、やっと言ってくれて嬉しい。のどっちか」
 大真面目にそう思っていたのに、相手はハッと鼻で笑いやがった。
「これってただの性欲処理だよね」
「まぁ最初はな」
「今もだよ。下らないこと言ってないでさっさと突っ込んで腰振れよ」
 確かにその言葉も最もだ。そろそろ挿れても大丈夫そうだと、相手の後孔から指を抜いた所だったし、見下ろす相手は両足を開いて寝転んでいる。
「ほら、早く」
「わーかったって」
 軽く持ち上げた両足を腰に絡めて引き寄せるように力を込めてくるから、悪戯に腰へ絡む足を外すようにして抱え上げた。
「ぁっ、あっ、いぃっ」
 ゆっくりと体重を掛けてペニスを埋めていけば、甘えるような声が鼓膜を震わす。
 初めてこの男を抱いた時から、挿入する際にはかなりの頻度で聞かされてきた声だ。さすが自分から誘ってくるだけあって、随分と抱かれることに慣れた体なのだと思っていた。
 なのに今はその声がわざとらしい。
 そう思うようになってしまったのは、本当に感じ入った時の彼を知ってしまったからだった。
 突っ込まれて揺すられて擦られるだけでキモチイイなんて嘘ばっかりだ。甘ったるくアンアン零すから騙されていた。
「ぅぁっ、バカっ! そこ、やめろって」
 馴染むのを待ってからゆるりと腰を動かせば、すぐさま抗議の声が上がる。
「なぁ、ココ。これが前立腺で、あってるだろ?」
「なに、言って……」
「さすがに調べたわ。というかなんで今まで調べようともしなかったんだろな」
 慣れた様子の相手に、慣れた様子で誘われて、言われるまま突っ込んでいた。突っ込む場所が尻の穴という心理的抵抗は気持ちよさの前であっさり砕けて散ったし、突っ込む側なら相手が男でも女でも大差ないな、なんてことを思っていた自分は、あまりに男同士のセックスに対して無知だった。
「なんで慣れたふりしてたの?」
「えっ?」
「やり慣れてるはずなのに前立腺すら未開発とか、俺が納得行く説明できんの?」
「ど、……ゆ、意味……」
「ホントに慣れてるってなら、最初っから前立腺擦られてイキまくってトコロテンとかいうのしたり、尻だけでイッちゃうメスアクメとかいうのキメて見せたら良かったのに」
「ちょっ、なっ……」
 すっかり言葉を失くしている相手に、もう一度真剣な気持ちと声とで伝えてみる。
「お前が、好きだよ。都合がいい性欲処理だけ続けたかったら、お前の体の変化は無視してた。だからさ、慣れたふりして誘ったのは性欲処理でいいから俺に抱かれたかったくらい、俺が好きだったからだって言ってよ」
 言った途端、相手の目にぶわわと涙が盛り上がってしまってさすがに焦る。
「あ、その、ゴメン。お前が遊び慣れた様子で誘うから、俺もなんか意地になってたのか、遊び相手に惚れたら負けだとか思ってたみたいで。とっくにバレてるだろと思ってたのもあるってのは言い訳だけど、変な意地はらずに、お前が可愛いとかお前を好きになったとか、自覚した時に言っときゃ良かったんだよな。ホント、ごめん」
 一度も好きだと言わないせいで、こちらの好意を隠すせいで、相手もまた想いを隠すのではないかと、さっきふと気づいてしまった。そしてそれは当たりだったと、もう確信している。
「今、そんなの言われたら、信じちゃうよ……」
 泣きかけた声は小さく震えていた。目の縁に溜まった今にも零れそうな涙を指先で拭いながら、出来る限り優しい声音になるよう気を遣いながら口を開く。
「信じてよ。で、お前も俺が好きって言って?」
 促すように頼み込んでやっと、ずっとお前を好きだったという言葉が、相手の口から告げられた。

有坂レイの新刊は『 ふと気がついた。そういえば一度も好きだと言っていないな。 』から始まります。https://shindanmaker.com/685954

 
 
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気付いた時にはもう全部手遅れだった1

我ながら悪趣味だなあの続きです。  最初の話から読む→

 酷い我儘だと呆れながらもどこか嬉しそうに笑った相手が、空の酒坏に酒を注いで勧めてくれたのが嬉しくて、潰れるつもりで注がれるまま杯を重ねていく。
 許された。受け入れられた。そう思ってしまったからだ。
 実際、あの後は明らかに自分たちを包む気配が柔らかに変化したと思う。
 おかげでふわふわに気持ちよく酔うことが出来たし、相手はそんな自分を仕方がないという顔をしながらもアパートへ連れ帰ってくれたし、ベッドに座らせた後で飲んでおけとグラスに注いだ水を運んでくれた。
 ああ、これは全部、告白される前と同じだ。
 嬉しくて、安心して、急激に襲う眠気にしたがい瞼を下ろす。くすっと笑った気配と、可愛いなと聞こえた言葉に眉を寄せたが、そんな細やかな抗議に、相手は益々笑ったようだった。
 まぁいいやと目を閉じたまま体を倒そうとしたら、それを阻止するように両腕を掴まれる。もう眠いのになんで邪魔をするのだと、さすがにムッとして渋々重い瞼を押し上げれば、思いの外近くにあった相手の顔に驚き息を飲んだ。
 ちゅ、と小さく響いた音と、軽く吸われた唇と、ぞわっと背筋を走った何かと。
 キスされた。そう気付いて、ますます驚き目を見張る。そうしているうちに二度目のキスが唇の上に落ちた。
「な、んで……」
「恋人になったんだから、キスくらいしてもいいだろう?」
 ああやっぱり、自分たちは恋人になったのか。なんてことをぼんやり思う。
 じゃあ恋人として宜しく、などという宣言は何もなかったが、どう考えたって自分の言葉は恋人になってというお願いだったし、相手はそれを受け入れたから自分をこうして連れ帰っている。酔っていたって、それくらいはちゃんとわかっていた。
 わかっては、いたけど。
「でもお前とセックス、考えられないよ?」
「わかってる。考えなくていい」
 大丈夫だと囁く甘い声。抱きしめるように背に回った腕が、優しく背をさすってくれる。
 そうか、考えなくて、いいのか。
 安堵とともに再度瞼を降ろせば、優しくて柔らかなキスが繰り返された。もう、驚かなかった。だって恋人になったんだから、キスくらい、したっていい。
 優しく甘やかしてくれるキスにうっとりと身を任す。任せきってしまえば、与えられるキスはなんとも気持ちが良かった。
 唇を柔らかに吸われるのも、時折繰り返し聞こえてくる可愛いという囁きも、心ごとなんだかこそばゆい。クスクスと笑う声は遠くて、笑っているのは自分自身だと、頭の隅ではわかっているのにどこか現実感が乏しかった。
「んっ、……んっ、……ぁ、はぁ……ふはっ」
 誘い出されるようにして差し出した舌を、ピチャピチャチュルチュルと舐め啜られて鼻から甘やかな息が抜ける。ぞわぞわと粟立つ肌がオカシクて笑う。
 ゾワゾワゾクゾク擽ったいのは舌だけじゃなかった。いつの間にか相手の唇は唇以外にも落とされていて、温かで大きな手も体中のアチコチをさわさわと撫でていた。
 ふはっと熱い息を吐けば、そこを重点的に舐めたり吸ったり撫で擦る。そうするとゾワゾワが這い上がって、笑いが溢れていく。ゾワゾワするのは楽しくて、多分少しキモチガイイ。
「ぁ、あっ、きも……ちぃ……」
 素直に零せば、嬉しそうにそれは良かったと返ってくるのが、自分もなんだか嬉しかった。

続きました→

 
 
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