生きる喜びおすそ分け28

1話戻る→   目次へ→

 だってそのせいで振られてきたんでしょう、と言えば、腑に落ちない様子のまま、それはそうだけどと返される。
「愛情たっぷりに、あんな気持ちぃセックスされてたら、半年に一回だっていいから恋人でいたいって思う女の子、居たんじゃないかなって、思っちゃったんですよね。だから、そういうの、あんまり伝わってこないセックスで、良かったなって」
 彼女と続いてたら、恋人になんてなれなかった。恋人を作ることを諦めてしまうくらい、過去の彼女たちが彼の想いを上手に受け取れないタイプで良かった。
 それを伝えたら、君にも満足いくレベルでは感じられなかったって言われたばっかりなんだけど、と困惑されてしまう。
「直接感じられなくても、間接的には充分感じてるから、いいんです。頑張ってくれてるのはわかった、って言いましたよね」
「間接的に?」
「そ、です。俺ね、あなたは嘘つきじゃないって、知ってるんですよ」
「はい?」
 唐突に話が変わったように思うのか、相手の語尾があがって、ますますわけがわからないという顔をされた。
「その場限りで適当なこと、言わないでしょ。仕事でも、プライベートでも。出来ないことを安請け合いしない人だって知ってるから、俺を好きって気持ちがあるってことも、セックス一緒に楽しんだって言葉も、疑う気にはなれないんです」
「うん、それは、ありがたいけど。でも俺にその気持ちが事実あることと、それで君が満足いくかは別問題じゃない?」
「あなたの言葉が信じられる、ってことが重要なんですって。だって、気持ちが伝わってこない、って話なんですから。好きだよとか、可愛いよとか、気持ちのこもらない上滑りな言葉を告げられたら、悲しくなったり虚しくなったりするんですよ。セックス中に相手の興奮が見えなくて、自分一人が発情してるって思わされるのも、キツイです」
「ん゛ん゛っ」
 痛いところを突かれたという顔で言葉を詰まらせるから、過去の彼女たちにも指摘された事があるのかもしれない。
「えーと、それは、セックスのダメ出し……?」
 おずおずと聞かれて、なんでそうなる、と思う。
「違いますって。そんなセックスされても、好きだよも可愛いよも嘘じゃないって信じられてれば、頑張って口に出して想いを伝えようとしてくれてるんだって思えるし、興奮して見えなくたって俺だけ一人で発情してるなんて思わなくて済む、って話でしょ」
「あぁ、なるほど」
 ホッと安堵する相手ににじりよって、無造作に投げ出されていた手にそっと自分の手を重ねる。
「ん?」
 どうした? と問いたげな視線を避けるように瞳を伏せて、そのまま相手の肩口に頭を寄せた。
「ぎゅって、して下さい」
 たっぷり甘える気持ちを込めて、ゆるっと吐き出せば、躊躇う様子もなく相手の腕が背に回される。
「好きです」
「ああ、俺も、好きだよ」
 こちらからも抱き返して次の言葉を伝えれば、やはり躊躇いなく好きだの言葉が返る。相変わらず素直な反応だなぁと思いながら、相手と抱き合ったまま、ふふふっと笑いだしてしまう。
「で、これは何か意味があってしてるの?」
「はい。というかセックス中も、俺がぎゅってして好きって言ったら、ちゃんと好きだよって返してくれたでしょ。今も、さっきも、ちゃんと気持ち、乗ってましたけど、それ自覚あります?」
「気持ちが乗ってた?」
「ああ、やっぱり自覚ないんだ。あのね、俺はあなたの言葉を信じられるし、今みたいに俺から誘って、あなたの気持ち引っ張りだすことも、出来るんですよ」
 しかも今後彼とのセックスを繰り返して慣れるほど、最中に相手の気持ちを感じられる瞬間が確実に増えていくはずだ。
「君は、」
 感嘆するみたいにどこか呆然と漏れた声に、寄せていた体を少しばかり離して相手の顔を確かめる。
「本当に、凄いな」
 やっぱりどこか呆然とした顔をしている相手に、気が早いなと思う。感動するなら結論を聞いてからにして欲しい。なんてことを思いながら。
「だから、半年に一回頑張ってくれるなら、とりあえず、半年後目指してお付き合い続けてみてもいいかな、って気持ちには、なってます」
 伝えた途端、背に回ったままの腕にぎゅっと強く抱きしめられた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

生きる喜びおすそ分け27

1話戻る→   目次へ→

 お腹の中で、相手のペニスがどくどくと脈打っている。多分間違いなく、射精している。
 良かったと思ったらやっぱりふへっと笑うみたいな息が漏れて、応じるみたいにふふっと笑い返される。先程安心すると言われたせいもあるだろうけれど、柔らかに笑われて、素直に、安心したんだな、と思ってしまった。
「よか、った」
 今度は口に出して、またふへへと笑ってしまえば、相手はどうやら苦笑している。
「君、本当に面白いよね」
「おもしろい?」
「うん。あと、不思議な子だなぁとも思ってる」
 どういう意味だと聞きたかったけれど、それより先に抜くよと宣言されて、お尻からぬるんと相手のペニスが抜けていった。抱え上げられていた腰も下ろされて、相手の体が離れていく。
 そのまま後始末を始める相手に倣って身を起こし、こちらの汚れを拭いてくれようとする手を断って、差し出されたティッシュケースから数枚引き抜き腹に散った自身の精液や股の間のローションとを拭った。
 腰を高く持ち上げられていたので、胸の辺りまで濡れてしまっていたのが恥ずかしい。その水分の多くが、イキたいのにイキたくないという状況に、大量に垂れ流した先走りだとわかっていたからだ。
 自身の体をざっと拭き終えて、改めて確認したベッドの上は、思ったほど汚れてはいない。どうやら犠牲になったのはこちらが風呂上がりに羽織ったバスローブと、腰の下に差し込まれていた枕に巻いていたバスタオルくらいらしい。
「なんかほんと、器用、ですね。器用ってか、準備がいい?」
 だって腰の下に枕入れようって言われてから、バスタオルを巻いたわけじゃない。まったく気付いてなかったし、もっと言うなら、彼がバスタオルを剥がしているのを見てようやくその事実に気付いたくらい全く意識されていなかった。つまりは、最初から枕を使うことも、それで汚してしまうことも想定し、こちらが部屋に戻る前に、枕にバスタオルを巻いていたってことだ。
「えっ?」
「だってベッド、綺麗なままだから」
「ああ、うん、まぁ、やっぱりある程度は気を遣わないと」
「ラブホじゃないから?」
「それも多少はあるけど、元々派手に汚すのが楽しい的な嗜好がないよね。もしかしてそれが不満だったりする?」
 終わった後にシーツごとドロドロになってるほうが、激しくセックスした感じがして好きかと聞かれて、慌てて違うと首を振った。
「そういうとこまで気を配りながらすると、ああなるのか、って思っただけというか」
「ああなる、って?」
「一緒に楽しんでくれてないみたいに感じる、っていう」
「あー……」
「あ、でも、それは誤解っぽいってのはもうわかってるんで大丈夫です」
「それはまさか、俺も一緒に楽しんだよ、ってのが君が満足するくらい伝わったってこと?」
「まさかって」
 なんでそんなに驚かれるんだと笑いながら、楽しかったですかと聞いてみる。もちろん、楽しくなかったなんて絶対言われないのをわかっている上での質問だ。
「実際どうなんです? 俺とのセックス、あなたも楽しめました?」
「そりゃ、楽しい気持ちも嬉しい気持ちも、もちろんあったよ。ただ、さっきも言ったけど、俺がちょっと楽しいなとか嬉しいなとか思ったところで、それらは君の満足行くレベルの感情ではないだろう、って思うだけで」
「確かにわかりにくいな、とは思うんですけど、でも、ちょっとってほど少なくもなさそうかな、って思いましたけど。まぁ、本当にちょっとだとしたら、俺の満足レベルがあなたが思うよりずっと低いって事じゃないですかね」
「なるほど。その発想はなかった。というかそれ本気で言ってる? よね?」
「本気ですけど」
「本当に満足行くレベルだった?」
 疑り深いと笑ってしまえば、信じられなくてと返される。
「じゃあ正直に言います。一緒に楽しんでくれてる、ってのが満足レベルで感じられたか、といえば、そこまでではないんですけど」
「ほらやっぱり」
「まぁ最後まで聞いてくださいよ。俺に満足したって言われるセックスをしようと張り切ってるってのは、ちゃんと伝わりましたから。本当にちゃんと頑張ってくれてる、ってわかるのは、凄く嬉しかった。あと、実を言うと、あなたが俺とのセックスを一緒に楽しんでるとか、俺を好きでたまらないから手放したくなくて頑張ってるとか、そういうの、あんまり伝わってこないのが、逆に、良かったって安心しちゃった部分もあって」
「えっ!?」
 逆に良かったなんて言われるとは思ってなかっただろう。ほぼ予想通りではあるけれど、随分と盛大に驚かれてしまった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

生きる喜びおすそ分け26

1話戻る→   目次へ→

 痛くはない。けれどさすがに少し苦しくて、熱い。
 もしかして相手のペニスに擦られて摩擦熱が生まれてるんじゃ、なんて思ってしまうくらい、彼のペニスと触れ合う部分が熱かった。特に、相手のペニスにずりずり擦られるアナルの縁とか、カリの段差に引っかかるのかコリコリ刺激される前立腺とか、グッと奥まで入られた時にペニスの先端がグニグニと撫でていく腸壁辺りとか。その辺りが中心になって、じくじくと熱を生んでいる気がする。
「ぁっ、あっ、あんっ、はぁ、ぁっ」
 突かれるたびに、連動して押し出されるみたいな声を上げながら、なるべく彼の顔に視線を送る。真面目で真剣な観察者の顔が、どう変わっていくのか気になった。なにより、少しでも気持ちが良さそうだとか、余裕がなさそうな顔が見れたらいいなと思う。
 だんだんと相手の息も上がっていくのが嬉しい。
「きもちぃ、です、か?」
「ん? ああ、うん」
 ニヤリと笑って聞けば返答はそっけなかったけれど、でもむしろそれが余裕のなさっぽくて良かった。
「ふへっ、へへっ、もっと、よく、なって?」
 アンアン言わされながらもヘラヘラと笑っているだろう自分は、彼の目にどう映っているんだろう。こんなでも、ちゃんと安堵してくれているんだろうか。
 そんな中、足を肩に掛けるようにしてグッと前傾された。また腰が高く持ち上げられて、ペニスに突かれる角度や深さも当然変わってしまう。
 試すように少しゆっくり目に何度か腰を前後させた後、またズポズポと激しめに擦られて、体の中を痺れるみたいな快感が走る。
「ひぁあっ!? ま、ま、って、それっ、はっ」
「きもちいい?」
 ニヤリと笑い返されてドキリとした。
「ぁんっ、はい、でもっ、ぁっ、あんっ」
 間違いなく気持ちがいい。怖いくらいに気持ちがいい。だけど。
「ゃっ、やっ、だめっ」
「何がダメ? 一緒に気持ちよく、なってよ」
「でも、ぁっ、でもっ、そこっ」
「うん、凄く、イイとこ」
「ぁ、ぁあっ、やっ」
「このまま一緒にいこうか」
 お尻だけでイクとこを見せてと続いた言葉に慌てる。でも慌てたからって、相手の動きをどうこう出来る力はない。上から抑え込むみたいにのしかかられて、お尻の穴をズポズポ擦られている状態から、起き上がったり相手を押しのけたりする方法なんてわからない。
 それでも身を捩りながら、必死に無理だと訴えた。
「ぁんっ、むり、ぁ、むりっ、やっ、できなっ」
「本当に出来なかったら、その時は触ってあげるから」
 チャレンジはさせてと言われて、更に動きが激しくなる。前立腺を狙うみたいにその近辺ばっかり何度も亀頭を前後されたり、かと思えば、グッと奥まで押し込まれて体が跳ねる。
 射精感はたしかにどんどん高まって、でも、触れられずにイッた経験なんて無いから、気持ちいいのが体の奥にどんどん溜まって燻って、どうしようもなくイキたいのにイケなくて、苦しくて怖かった。
「ゃっ、やぁ、イキ、たいっ、イカせて、も、触って、イカせてぇっ」
 すすり泣いて懇願すれば、仕方ないなとでも言うみたいにペニスを握られホッとする。
 なのにほんの数回だけ扱いてすぐに手を外されてしまい、がっかりというよりは焦燥感が募っていく。
「ぁんっ、なんでぇ、も、っとぉ」
「一緒に、イク、んだろっ」
「んんっ、ぁ、も、ね、イッて、はやくっ、ね、おれで、きもちく、なって、ぁ、ぁあっ、あああっ、ゃっ、やぁっ、あんんっ」
 激しく腰を打ち付けられて肌が鳴る。ああ、これは射精するための動きだ、という認識のもと、煽るつもりで精一杯甘えた声を上げれば、また弱いところをゴリゴリと擦られて甘い悲鳴に変わってしまう。
「俺で、きもちく、イッてくれ」
「ひぁあああっっ」
 切羽詰まった声音に促されて、頭の中が白く爆ぜた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

生きる喜びおすそ分け25

1話戻る→   目次へ→

 彼が興味を持ってくれて良かった。彼と、恋人になれて、良かった。そして、彼が手放したくないと思ってくれる、そんな自分で居続けたいと思った。
「せっくす、してってねだって、ホント、良かった、です」
「そう? それなら良かった」
 やっぱりふへへと笑いながら告げれば、相手の気配もはっきりと緩んで、柔らかに笑ってくれる。
「すごく、きもちぃ」
「うん。でももっともっと気持ちよくしてあげたい、って、思ってるよ」
 わかってると頷きながら、にやけてしまう顔も、次々とこぼれる笑いも止められない。嬉しいな、と思った。
「ね、きて」
 甘えるみたいに相手に向かって腕を伸ばせば、ちゃんと前傾してその肩に捕まらせてくれる。それを更に引き寄せて、ぎゅうと抱きついてやった。
「好き」
 相手の耳元に口を寄せて、思いっきり甘やかに囁いてやる。
「好きです」
 腕の中に抱えた体を通して、相手の驚きだか戸惑いだかが伝わってきたが、気にせずもう一度繰り返す。もちろん、甘える気持ちをたっぷり込めて。
「ん、俺も、好きだよ」
 応じるように吐かれた言葉も、釣られたみたいに甘く響いた。してやったりと思いながら、んふふと小さな笑いを口の中にこもらせる。
 甘やかなムードを作るのが苦手だって言うなら、自分で作ってしまえばいいのだ。
「ね、あなたが、俺の体で気持ちよくなってイッちゃうとこ、みたい、です」
「えっ?」
「まだ早いって、言うんでしょ、けど」
 相手の言う、もっともっと気持ちよくしてあげたい、とは違うお願いだという自覚はあった。だけど。
「でも、も、イカせて欲しぃ、し、一緒に、イッて欲しぃ、です」
「あー……うん、じゃあ、一緒に気持ちよく、なろうか」
 あっさり了承されてホッとしながら、抱きついていた腕を放した。けれどすぐには離れていかず、ちゅっちゅと唇を啄まれる。そうしながら、止まってしまっていた腰を小さく前後されれば、またすぐ気持ちよさに飲まれていく。
「んぁっ」
 歓喜の声を上げれば、すぐさま舌が入り込んできて、口の中の気持ちいいところをぬるぬると擦られたまらない。
 お尻と口の中とを同時に刺激されて、あっという間に、体が昇り詰めそうになってしまう。ペニスを握られ扱かれたら、今ならそれこそ三擦り半でイケそうだ。
「ん、……ふぁ……ん、んぁ……んむっ……」
 必死に相手の舌に自分の舌を絡ませながら、もっとと言うように腰を揺らした。正確には、相手のお腹に自分のペニスを擦り付けようとした。
 でもそれに気付いてしまったらしい相手が、キスを中断して上体を起こしてしまう。
「ひゃんっ」
 指先でつつっとペニスを根本から先端にかけてなぞられて、おかしな声を上げてしまった。
「可愛い鳴き声あげちゃって。このまま触ってたら、すぐにでもイッちゃいそうだね」
「ぁっ、ぁあっ……えっ……?」
 盛大に先走りを零して濡れる先端を、くるくると指先で数度撫でた後、スッとその手は下ろされてしまう。
「ぁ、も、さわ、って……」
 もっと触って欲しい。イカせて欲しい。
 そんな気持ちで相手を見上げてしまえば、イカせてって言えば先に一度イカせてあげるけどと言われて、選択を迫られてしまった。
「うっ……」
 イカせてって言いたいけれど、もっと触って、出来ればちゃんと握って扱いて欲しいけれど、でもイカせてとは言えなかった。一人だけ先にイクのは嫌だ。
「やっぱり一緒にイク方優先?」
「は、い」
「そっか。じゃあちょっと激しく動いちゃうけど、いい?」
 大丈夫と頷けば、ぐっと足を抱え直される。
「多分大丈夫、だとは思うんだけど、痛い時は正直に言ってね」
 宣言通り先程までとは違う速度と勢いで、相手のペニスがお尻の中を前後し始めた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

生きる喜びおすそ分け24

1話戻る→   目次へ→

 これを器用で済ませていいのか、悩むレベルに上手いと思う。
「き、器用貧乏にしたって、う、うますぎ、じゃない、ですか」
「それ、褒められてるの?」
「え、多分……」
「でもこっからだよ?」
「こっから、って?」
「張り切って気持ちよくしてあげる、って言ったのを、実感して貰うのは」
 大丈夫そうだから動くねと宣言された後、ゆっくりとペニスが引き抜かれていく。その感覚にぞわわと肌を粟立たせながら、視線はやはりまた股間に向かってしまう。
「ふぁ……ぁ……」
 こちらに見せつけるみたいに、先程よりも幅の広い長めのストロークで、ゆるゆるとペニスが出入りしている。それを、自身の体でも実感している。お尻の中を彼のペニスで擦られている、という事を、目で見ることでよりリアルに感じ取っている。
 それは完全にこちらの興奮を煽るのが目的だったようで、馴染ませるように、焦らすように、ゆっくりとナカを擦られて、じわじわと膨らんだ気持ちよさに身を委ねるように目を閉じてしまえば、それを待っていたとでも言うように抱え上げられていた腰が下ろされた。
 しっかりと支えられていたので、かなり高く腰を持ち上げられる体勢を取らされてもそこまで苦しくはなかったが、それでも、腰とお尻とがしっかりベッドや差し込まれた枕と触れた安心感にほっと息を吐く。ただやっぱり、ちょっと目を閉じた程度で下ろされてしまったのが少し残念だった。イヤラシく出入りするペニスを、もっと見ていたかった。
 だから多分、未練や不満を含む目を向けてしまったんだろう。そんな目を向けるなとでも言うみたいに、伸びてきた手に目元を覆われてしまった。
「少し、目、閉じてようか。目、閉じながら、おちんちんがお尻に出入りしてたの思い出して。そして今、どうされてるかを想像して?」
 お尻で感じるでしょ、わかるでしょ、と言われながら、何度かペニスを前後される。言われた通りに目を閉じて、わかると頷いて見せれば目元を覆う手は外された。
 そのまま目を閉じて、お尻を出入りしているペニスに意識を集中する。ぬるぬるとお尻の穴を前後するペニスを想像する。
「ぁ、……ぁあ……」
 蕩けるみたいに呆けた声を漏らしているのがわかる。たまらなく気持ちが良かった。
「ん、ぁっ、きも、ちぃ……」
「うん。気持ちよさそ。良かった」
 とろとろだねと言われて素直に頷いてしまえば、可愛いよと笑われる気配がする。思わず閉じていた目を開けて確認してしまえば、気配とは裏腹に真面目な顔が真剣にこちらを見下ろしていた。じっと観察されるような目には、やっぱりほとんど熱量を感じない。場合によっては、怖いとすら感じそうな目をしていると思う。
 ただ、今また可愛いと言ってくれたことを思えば、余裕がないと言いながらも、なるべくこちらの要望を叶えてくれようとする意思はかなりありそうだ。纏う雰囲気や視線からは、それらが全く伝わってこないと言うだけで。
「ふへへっ」
 ちゃんと頑張ってくれてる、と思ったら笑ってしまった。どこまで感じられるかわからないなと思っていた、張り切っての部分を、少しでもちゃんと感じられて嬉しかった。
 ついでに言うと、こんなに相手を気持ちよくするセックスが出来るのに、ムードやらを作るのは下手なのかもと思ってしまった事が可笑しかった、というのもある。
 これで甘やかな雰囲気まで上手に作れてしまうようなら、愛されているとか想われているとかを実感させてくれるセックスをされたなら、たとえ実践してくれるのが半年に一回だって、手放したくないって女の子はいそうだとも思うから、むしろこれで良かったような気さえする。というかだんだんと、これはもう良かったとしか言いようがないんじゃないか、とすら思い始める。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

生きる喜びおすそ分け23

1話戻る→   目次へ→

 余裕がないのなんてちっともわからなかったし、張り切っての部分がどれくらい感じられるかはわからないけれど、それでもそう思ってくれている事実が嬉しい。もちろん、うんと気持ちよく、って部分への期待もある。
 思わずんふふと笑ってしまえば、相手はホッとした様子で表情を和らげた。
「俺が笑うと、やっぱ安心しますか?」
「するね。あと、可愛い」
「ふえっ!?」
 もう一度、幸せそうに笑う君は可愛いよと告げながら、ぐちゅぐちゅと指を激しく出し入れし始める。
「んぁあ、ぁあっ」
「気持ちよさそうに、声を上げてる君も可愛い」
「あ、っ、あああっ、そこ、そこはっ」
 前立腺を指先で強く擦られて、腰を揺らしてその指先から逃れようとすれば、それをやんわりと押さえられて、ますます前立腺ばかりを狙われてしまう。
「うん。ここ、凄く弱いよね。このままここ弄り続けたら、おちんちん触らなくても、多分きっとイケちゃうと思うよ」
 その言葉通り、ペニスには一切触れられていない。でも既に二度も放出しているはずのペニスは、股間でバキバキに勃ちあがってふるふると揺れている。
「そういうの、トコロテン、って言うらしいね。チャレンジしてみる?」
「し、しないっ」
「なんで? 怖い?」
 まだイカせてって言ってくれないの? なんて聞かれて、そうだったと思い出す。いきなり強い刺激を送られて頭から抜けていた。
「お、」
「お?」
「おちんちん、が、いい、から。も、指、やっ、です。俺だけ、イク、の、やだっ」
 必死に言い募れば、ふはっと笑われてビックリする。また感情の読みにくい真顔になっていたのが、いきなり崩れたその笑顔とのギャップがなんとも激しい。
「ああ、ごめん。予想よりずっと可愛かった」
 あんな拙い要求でも満足した、というのがこちらからすれば予想外ではあるのだけれど、激しく中を責め弄ってこちらを追い詰めていた指が、ゆっくりと抜け出ていくからホッとした。
 そうしてようやく、開かれた足を抱えられて、ペニスの先端がぴとっとアナルに押し当てられる。
 見えるのはほぼ自分のペニスだけだが、緊張と期待とでじっと下腹部を見つめてしまえば、グッと腰を持ち上げられた。そうすると、自分のペニスに隠れて見えなかった相手のペニスが見えてくる。
「じゃあ、入るね。痛かったら我慢しないで言ってよ」
 掛けられた体重に従って、相手のペニスがアナルに侵入してくるのが、視覚からもわかって衝撃だった。取らされている体勢も含めて、めちゃくちゃイヤラシイ。
「ぁ、ぁあ、ぁああ」
 痛くはない。ただ、押し出されるように声を漏らしながらも、視線は股間に釘付けだった。
 指では届かない辺りはやはり狭いのか、馴染ませるように何度も腰を前後させながら、ゆっくりと奥を押し広げて入ってくる。浅く出し入れされるペニスの動きがなんとも卑猥だ。
「すっごい顔してるけど、どんな顔してるか自覚ある?」
 やがてペニスが見えなくなって、相手の腰が自分の尻タブに触れたところで、そんな声が落ちてきて慌てて視線を股間から相手の顔へと移動する。
「ど、どんな、顔、してます?」
「興奮しまくった、凄くえっちな顔」
「う、ぁ、だっ……て、」
「お尻におちんちん入ってくとこ見せられて、興奮した?」
「わ、わざと……」
「いや、どっちかというと角度の問題」
 結構すんなり入ったでしょと言われて、確かに思っていた以上にするりと入ってしまったと思い至る。きっちり慣らした後でも、最初の挿入はもっと圧迫感や軽い痛みが付き物だったはずなのに。
 過去の男と比べて彼のペニスが小さい、なんてことはないどころか、今お尻に入っているペニスのほうが太さにしろ長さにしろ若干大きいような気もするから、言われてみれば驚きしか無い。というか、すんなり入っただろと言われるまで気づきもしなかった、という部分が一番の驚きだった。
 だってエロイだとかイヤラシイだとか卑猥だとか思って興奮するばっかりで、挿入時にどうしたって感じる違和感や苦痛をほとんど意識せずに居た。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁