親父のものだと思ってた29

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 どんどんと落ちていく腰を支えるために、尻を持ち上げるように押し当てていた左手を外し、開かれた足の合間に差し込んだ。
「ぅぁんっ」
 ペニスを握り込んだ瞬間に、ビクッと大きく体が跳ねて高い声が上がったから、相当驚かせてしまったらしい。
「ごめん、驚かせるつもりはなかった。てかすごいビショビショ。勃ってないのに」
 思わず謝りながらも握ったペニスを確かめるように撫で擦る。言葉通り、我慢汁は大量に出ているものの、ガチガチに張り詰めた射精待ちという状況ではなさそうだ。
 というかこれってどんな状態なんだろう。勃ってないのに先走りばかり垂らす、という経験がないのでよくわからない。
「ぁ、……ゃっ、……あぁ、や、ぁ、ああ」
 ただ、弄っているうちに手の中のペニスはあっという間に質量を増して、連動するようにお尻に埋まったままの指をキュウキュウと締め付けてくる上に、堪えきれないとばかりに漏れ出す声もあって、かなり気持ちが良さそうだ。もっと早く気づいて、ペニスも一緒に触ってあげるべきだったなと思う。
「勃ってきたね。気持ちよさそうな声も出てる。かわぃー声」
 嬉しくて声が弾んでしまう。
「確か、ちんこ気持ちぃのとお尻気持ちぃの錯覚させて、お尻の開発するみたいなのあったよね?」
「し、しらなっ、ぁ、ぁあん」
「そう? でも多分あったはずだから、その方向で気持ちよくなってみよ」
 ペニスを扱く手は止めないまま、お尻に埋めた指の動きも再開する。
「ぁっ、ああっ」
「どう? ちゃんと気持ちぃ?」
「うぅ……ちんちんは、きも、ちぃ、……けど、ぁ、やっ」
「お尻はやっぱ気持ちよくない、みたいな?」
「ん、ぅ、わか、ない……ぁ、なんか、なんか、」
「なんか、なんだろ?」
「あ、やっ、ちょ、あ、まっ」
「恥ずかしいとか善すぎて辛い、とかなら止めないよ?」
 待って、という言葉が出かかったのを察して、釘を差してしまう。もちろん、本当に待っての言葉が出たら、一度止まるつもりはあるのだけれど。でもかなり気持ちが良さそうに見えるから、そのまま快楽に流されてしまえという思いが強い。
「ぅ、でも、ぁあっっ」
「え、どした?」
 突然上がった声に思わず一旦動きを止めてしまったが、相手は口を閉じたままで、暫く待ってみても言葉もなければ動きもない。
 どういうことだ?
 頭に疑問符を浮かべながら、それでもこのままじゃ埒が明かないと、ゆっくりと動きを再開させた。
「ぅあっ、ああっ、ま、まって、まって」
 再度、今度ははっきりと「待って」の言葉が発されて動きを止める。
「そ、そこ、やだ。だめ、へんな感じ、する」
「そこ……って、……」
 明確な何かがあるらしい。というかそれって前立腺かなと思うものの、こちらは未だその存在を把握できていない。
 でも確実にあるうえに、こちらの指がそこに何度も触れている。既に触れているなら、ここより奥にはないのだ。というか深い場所ではない、という知識は元々ある。
 なので、中を探りつつゆっくりと指を引き抜いていく。
「これ?」
「やぁあっっ」
 けっこう引き抜いたところで触れたしこりを意識的に軽く押し込めば、相手の体が震えて嬌声が上がった。ついでに、手の中のペニスが先端からドプッと多めの先走りを零したのもわかった。
「あー……つまりこれが前立腺?」
 でもさっきまではなかったような……と思ったところで、そういや勃起したほうがわかりやすい、という情報があったことも思い出す。ほんと、もっと早くペニスも一緒に触ってあげればよかった。
「うう、やだ、も、さわ、ないで」
「って言われても、こんな手前だと、指突っ込んだらどのみち当たっちゃうでしょ」
 その場所を刺激していたのは指の節だと思うから、避けろと言われても難しい。

続きました→

年内の更新は多分今日が最後です。
1年間お付き合いどうもありがとうございました。
年明けは6日の金曜日から再開の予定です。
突発的に続きが投下される可能性がほんのりあるのと、新年の挨拶は書きたいと思ってます。

 
 
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親父のものだと思ってた28

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 興奮が見えたほうが安心する、などと言っていたくせに、仰向けに転がって足を開くのは恥ずかしすぎるらしい。最初は四つ這いだったけれど、あっという間に上体を支える腕が折れて枕に頭を押し付けているし、膝だってしっかり支えているとは言い難いくらい曲がってしまって、腰の位置は随分と低い。
 ただ、気持ちが良すぎて体に力が入らないなどの嬉しい現象ではなく、どうやら元ニートのおっさんの筋力なんてそんなもん、ってことらしい。
 なるほど?
 納得しきれないのは、多分それなりに気持ちよくなれてるっぽいのと、それも含めて恥ずかしくてたまらないだけなんじゃ、と思う気持ちがあるせいだ。
 一応は懸命にお尻を掲げようと頑張ってくれているのだが、中を探る指を締め付けるのに合わせて腰が揺れたり震えたりするのは、気持ちがいいと言われているような気になってしまうし、元々の体質もあるのだろうけれど、最後に海やらプールやらで肌を晒したのがもう10年以上前だという相手の背中は白くて、それがうっすらと赤く色づいている。それだけなら興奮とも思えるけれど、首の裏や耳まで赤いのは、やっぱ興奮ってより羞恥かなと思ってしまう。
 いやまぁ、興奮して赤くなってるなら、それはそれで嬉しいんだけど。
 なんて事を考えながら、差し込んだ2本の指をゆっくりと前後させる。
 自己開発した上に突っ込まれるのを試したいと言っていた相手は、当然事前に準備を済ませていて、ローションを使ってある程度解されてもいたから、最初っから指はするりと入れられた。1本から2本に増えるのは早く、実は既に3本入ることも確認済みだ。
 最初はまだ余裕を見せていた相手が、充分に広がることを確認させたがったせいで、多分、そのまま挿入という展開を狙ったのだと思う。
 1本目の指を含ませたときから、エロい凄いと素直に興奮し、早くここに挿れたい期待を口走っていたから、相手にも期待させたのかも知れない。でも自分だけが気持ちよくなるより、相手と一緒に気持ちよくなりたい気持ちのが断然大きいのだ。
 3本入った指はあっさり2本に戻して、ちゃんと気持ちよくなれるとこを探すのだと宣言してやった。そんなわけで、前立腺を探しているのだが、イマイチよくわからなかった。
 確かそんなに深い場所ではないはず。というのはわかっていても、ついつい、ぬるぬると入り込むのに合わせて指を根本まで含ませるのを止められないのが原因かも知れない。ぐっと押し込んで一旦止めた時の、指の付け根をキュムキュムと食む括約筋の動きが、なんとも卑猥で気持ちがいい。
 ペニスを入れてこんな風に締め付けられることを想像して、股間はとっくに宣言通りギンギンだ。全然見てもらえないから、時々、ほらもうこんなに興奮してるよ、だとか、興奮しすぎてちっとも萎えないと言いながら、相手の太ももに擦り付けてやる。
 そうすると、触れた太ももがわなないて埋めた指をギュウと締め付けてくるのも、期待されてるみたいで嬉しかった。早く挿れてって言われているみたいだ。
「ぁ、も、はや、く」
 それどころか、言葉でもはっきり急かされてしまう。でもその誘惑には絶対負けない。
「だーめ。言ったろ、お尻いじられてアンアン出来るまで挿れないよ。挿れて欲しいなら、気持ちいいとこ教えて。気持ちいいって時に、もっと声出してよ」
「うぅ、……や、だぁ」
 枕に頭を押し当てているから声しか聞こえないけれど、まだまだ快楽に濡れた声とは言い難い。もちろん、苦痛を堪えているような声でもないけれど。
 体の反応を見てるとそれなりに気持ちよくなれてそうなのに。それとも、お尻が揺れたり震えたり、指を食む動きは反射のようなもので、実際はやっぱりちっとも気持ちよく感じてはいないってことだろうか。
 そういやお尻の中を弄ることばっかりに熱中して、相手のペニスの状態を確かめていなかった。仰向けだったら自然と目に入っていただろうけれど、背中を向けられている上に、四つ這いが崩れてかなり腰が落ちている。
 意識して確かめなければ、簡単に目に触れる状態じゃない。

続きました→

 
 
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親父のものだと思ってた27

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 ベッドに腰掛け来てと誘えば、少し困ったような顔をしているものの、何も言わずに近づいてくる。
 真正面に立った相手の手を引けば、やっぱり大人しく隣に腰掛け、顔を近づければ察して瞼が下ろされた。キスをしながらゆっくりと相手の肩を押していけば、またしても察した様子で上体を倒していく。
 多少は抵抗されるかと思っていたので若干拍子抜けだ。
「俺が今から何しようとしてるか、わかってる?」
「まぁ、多分」
 俺がどれだけ自己開発したか指突っ込んで確かめたりするんだろ、という、割とド直球な返答に面食らう。というかそれをわかっていて抵抗しないのがいっそ不思議だ。
「嫌がらないの?」
「色々恥ずかしいとか、お前に触られてどうなるかわからない不安とかはあるけど。いやまぁ、嫌かといえば嫌なんだけど」
「嫌なんじゃん」
「そ、だけど。でも、俺が頑張るから俺の好きにさせて、ってのはお前が嫌なんだろ」
「そーだけど。でも、大人しく譲ってくれるとも思ってなかったっていうか」
 絶対に抱く側がいい、などの譲れないことは主張しても、いつだって、相手の気持ちの準備がしっかり出来るまで待ってきたつもりだ。嫌なことを無理強いする気はない。
 それは相手にも伝わっているはずで、だから嫌だと思っているのに受け入れようとするのは、少し違和感を覚えてしまう。というか無理して付き合ってくれた結果、途中で派手に拒絶されたり、2度目が来なくなったりするのは避けたい展開だと、つい考えてしまう。
「恋人なのに相談もなく勝手に自己開発した、という後ろめたさがあるのと、こうなるのもある程度予測済みだったから、かな」
 抱かれる覚悟が出来てきたって言ったろ、と続けた後、恥ずかしそうに目を伏せて口元をきゅっと引き結ぶ。
「寝そべってちんこ勃てとけってだけじゃなくて、俺にお尻弄られてアンアンする姿見せてもいいって、思ってくれてたんだ……」
「アンアンできない可能性も高いけどね」
「どういうこと?」
「多分問題なく入る、という開発はしたけど、自分で弄っててお尻気持ちいいってなったわけじゃないんだよ」
「あー……そういう感じか」
「そう。そんな感じ。ただ、俺としては、お前が入れて気持ちよくなれるかを試してみたかったけど、お前はきっとそうは考えないだろうな、ってのもわかってたっていうか、俺がお前に弄られてアンアンするようになるまで抱かない、とか言い出すんだろうな、みたいな予感はあって、だからまぁ、そういう覚悟も一応してる」
「ああ、うん、言うね。てかそれっぽいこと既に言ったね」
「ただほんと、絶対恥ずかしいし、気持ちよくなれても、なれなくても、色々不安はあるから、手加減はして欲しい。てか待ってって言った時は、できれば一度、待って欲しい」
「わかってる。あと、これ以上は本気で無理って思った時は、もう無理って言って。でもほんと、本気で中断するときだけにして。それ以外はヤダって言って」
「ん、わかった」
「じゃあ、脱がしていい?」
「いいけど、お前も脱いで」
「俺も?」
「お前が興奮してるか、見えたほうが安心できそう。てわけで、お前が興奮してないって理由で、無理って中断になる可能性もあるから」
「なにそれ!?」
「なにがなんでも抱く側って主張して、30オーバーのおっさんにお尻差し出させてるんだから、気合で勃たせてくれないとこっちの立場がないっていうか、お前が萎えてたらあまりにいたたまれなさすぎて、もう無理ってなるのも仕方ないと思うよ?」
「わかった。ギンギンに勃たせてやるから、そのおっさんの体に俺がどれだけ興奮するのか思い知ればいいよ」
 自信満々にフフンと笑ってやれば、相手はどこか安堵を滲ませながら、ぜひ思い知らせてくれと笑った。

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親父のものだと思ってた26

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 どれくらい先になるかわからないと言われた「いつか」は、思っていたより早く来た。リハビリ成功と言っていたし、躊躇う理由や怯える理由が減って残るのは、恋人ともっとエロいことがしたい欲求だってのは想像に難しくない。色々抱えて慣れるのに時間が掛かるってだけで、結構しっかり興味があるのは元々わかっていたことだ。
 ただまぁ、年齢や経験の無さやらを気にしているのも、自身の体にまったく自信が持てないらしいのも事実らしく、もっと言えば、子供の頃から知ってるどころか、半ば成長を見守ってきたような年下の男相手に、自分の体の開発を任せる気にはならなかったらしい。
 ついでに、抱かれることを了承するのと主導権を明け渡すのは別、とかも思っているかも知れない。
 つまり、「いつか」は思っていたよりも早く来たが、想像していた展開とは全く違った。
「なぁ、今日、場所変えていい?」
 いつもどおりの週末、ソファに座って数回キスを繰り返しただけの段階でそう切り出された時はまだ、ただ期待が膨らむだけだったのだけれど。
「どこに? てか変える場所なんてどっちかの部屋しかないけど」
 部屋に入れてくれるのかと聞けばすぐに肯定が返ったから、相手に先へ進む意志があるのだと思って、内心浮かれまくってたのに。まぁ、先へ進む意志がある、の部分は間違いではないか。
「抱かれる覚悟できてきたから、今日ちょっと挿れてみるの試したいんだよね」
「え? なんて?」
「抱かれるの、試してみたい」
「うん、それは俺も嬉しいけど、でもなんか言い方が引っかかったっていうか……」
「とりあえず移動しないか?」
 何が引っかかったか突き止める時間はなく、促されるまま相手の部屋へ行って、ベッドの上に準備万端に用意されていたローションやゴムの箱を見て、違和感が更に増した。
 引き寄せられるようにそのローションを手に取り、半分ほど減って居るのを確認した後、コンドームの箱を取り上げる。そちらも当然のように開封済みで、中身は少し減っているようだ。
「ねぇ、もしかしなくても、俺の突っ込めそうなくらいに自己開発、した?」
 ゴムの箱を手に相手をまっすぐに見つめて問えば、気まずそうに視線をそらされたから、こちらが何を期待して裏切られたと感じているか、多分相手に伝わっている。
「した」
「ずるいっ!」
「ずるい、って言ったって……」
「そういうの、俺が、時間かけてゆっくり慣らしてあげたいって、思ってたよ?」
「でも俺だって譲れないとこはあるよ?」
 こちらがそう思ってたことは承知してて、でもそれは嫌だったから、勝手に自分で慣らしてしまったってことだ。
「恋人なのに? 相談もなしで?」
「だって相談したらお前、絶対に自分がやるって言ってきかないだろ」
「言うけど、無理強いまではしないよ?」
「お前に知られて進捗状況聞かれたり、本当は自分がやりたいのにって圧掛けられたりするの、考えただけでキツいんだって」
「一応聞くけど、抱かれる覚悟できたってのも、俺に抱かれる覚悟じゃなくて、俺のをお尻の穴に入れる覚悟ができただけ?」
 聞いてもピンとこないようで、何を聞かれたかわからない顔をしている。
「たとえば、俺だけちんこ弄られて気持ちよくなってた時みたいに、俺に勝手なことするなって言う? 寝そべってちんこ勃てとくだけでいいから、みたいな」
「あー……」
「言うんだ」
「そうして欲しい気持ちは、ある」
「やっぱり!」
「嫌か?」
「嫌に決まってんでしょ。てか俺、前にいくらだって待つって言ったよね? てわけで抱くの試すのなし。まずは俺に気持ちよくされるの、もっと慣れてからにしよう」
 せっかく部屋に入れてくれたし、ローションやらゴムやら準備してくれてるし、わざわざリビングに戻ることはしないけれど。でも相手にこの体を差し出して、自己開発した穴に上手に入るか試したい、なんてのに応じるつもりはなかった。だって相手が気にしてるのは主に年齢差で、多分こちらが主導権を握ってあれこれされることに不安やら抵抗感が強いだけで、深刻なトラウマを抱えているとかではないとわかっているのだから。

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親父のものだと思ってた25

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 顔が広く人望もある人物と拗れた上に、その前段階でゲイ疑惑などもあったから、殴られたりなどの肉体的な被害や、カツアゲだったり物を壊されたりの金銭的な被害はほぼなかったものの、居場所のなさと好奇の目に耐えられず、学校へ通うのが苦痛になったようだ。
「ヒソヒソされたり、通りすがりに暴言吐かれたりってだけでも結構精神的に削られるんだけど、その内容がまた酷かったっていうか、ゲイだと思われてたから下品なエロ単語とか、からかい混じりのお誘いとかもあったし、本来なら諌めてくれそうなリーダーは知らんぷりで動かなかったし、そういうのを自分で上手く躱せなかったんだよね」
 人との接し方がわからなくなって引きこもっていたところに、親戚の子供のトラブルが舞い込んで、頼み込まれて相手をしているうちに恐怖心は薄れていったらしい。
「そういや親父って、その話どこまで知ってたの?」
「リーダー格の男と揉めてクラスに居場所がなくなった、くらいには知ってるかなぁ。てか親とかもその程度の認識で、そのリーダーと何があってどんな風に揉めて、なんてのはお前にしか話してないよ」
「そっか」
「こんなのなかなか言えないって」
「そ、だよね」
「聞かなきゃ良かった?」
「まさか。教えてくれてありがと。てか本当に話して平気だった? 思い出して嫌な気持ちになってたりしない?」
「大丈夫」
 お前のおかげだよと、ふわっと笑われて嬉しくなる。
「お前と恋人になったあと、どこまで出来るかってのは、期待もあったけど不安も大きくてさ。童貞男としてはエロいことに興味だってあるし、好きな子と性的なことも含めて色々したい気持ちだってあったけど、お前、俺を抱きたいって言うし、そうすると相手が男ってのはやっぱり想像以上に過去を刺激してくるんだよね」
 お前が抱かれる側を了承してても、コンプレックスとトラウマが影響するだろうから、そうすんなり致せたかはわからないけど。と彼の言葉が続いたけれど、でもこちらが素直に抱かれていれば、相手の精神的な負担はもっと少なかった可能性が高いことはわかる。
「うっ、でも、俺が抱く側になるのは譲れないというか、どう頑張っても無理ってわかるまでは諦めたくないっていうか」
「わかってるよ。それも含めて、今はもう可能だと思ってるし、それはお前が自分で掴み取った未来ってことでいいよ」
「ねぇそれ、そういう色々があったとしても、それでも俺を放したくないくらい俺のことを大好き、って思っていいやつ?」
 茶化すように聞いたけれど、でも多分、そういう話だ。
「いいよ。前にも言ったけど、俺がお前を、長いこと掛けて誑かした面がかなりあると思ってるのは事実だ。色々抱えてる俺が、それでもお前が良くて、お前を必要としてる。ついでに、間違ってなかったとも思ってる」
 お前を選んでよかったと、また彼は嬉しそうに笑っている。
「無理やり体見られたり無理やりデカイの握らされた恐怖みたいのはやっぱりあったから、俺を抱きたいって言うくせに、俺に無理強いすることなく、むしろ俺に好き勝手させてくれるの、本当に救われたっていうか、今の今まで事情言えなかったのに、散々リハビリに付き合わせてゴメンな」
「リハビリ成功?」
「そう。お前に触れるし、触られても見られても平気。口でされるの気持ちよかったし、これ以上先に過去の嫌なことが響いてくることはないと思う。まぁ、未経験ゆえの不安とか恐怖とかはあると思うけど、それは過去があってもなくても変わらない話だし」
「確かに」
「まぁ、こんなおっさんの体相手にと思う気持ちも、未だにあるんだけどね」
 でも本気で抱く側を主張してるのはわかっているし、可能なんだろうことも思い知っているらしい。
 本気で主張の部分はともかく、本当に抱けるってことを既に思い知ってるんだ。
 そう思ったら、少し笑ってしまった。

続きました→

 
 
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親父のものだと思ってた24

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「口でして貰ったの、俺が初めて?」
 抱きしめられて相手の顔が見えなくなったから、ちょっと聞きにくいことを聞いてみた。初めてじゃないって返されても、今なら、こっちからもギュッて抱きついて、嫉妬で荒れるだろう気持ちを宥められそうって気がしたのも大きい。
「初めてだよ。てか俺が恋人居ない歴を重ねてきた童貞って、知ってるでしょ」
「でも、ちんこ見られたのがトラウマだって言ってたから」
「確かに言ったけど、多分お前が考えたような状況とはかなり違うと思うよ?」
 そういうイジリだったんだよと告げる声はサラリとしている。
「イジリ……」
「まわりゴツイのに囲まれてさ、下着ごとズボン降ろされたことがあるんだよね。で、ビビって縮んでるのを見て、小さいダサいってからかわれたりしたわけ」
「は? って、色々あったの高3の時だって言ってなかった?」
 イメージ的には、せいぜい中学生までで卒業するレベルの行動に思える。
「そう。高校3年での話。信じられないのもわかるよ」
「なんでそんな目に……って、これ、聞いていい話?」
「いいよ。さっき、お前になら話しておいた方がいいかも、って言ったよね」
 そう言って聞かせてくれたのは、高校で知り合い一時期はかなり仲良くつるんでいたという男の話だった。
 他にも仲良くしていた友人たちが数人いたが、その男がグループのリーダー的な存在で、顔が広く人望もあったらしい。
 ある日、その男がどこからか無修正のAVを入手してきて仲間内での上映会が決定し、気が進まないものの回避できずに参加することになった結果、強引に性器を露出させられ、見られる羽目になったそうだ。
「初めての無修正に、真っ先にエグいと思っちゃったんだよね。しかも内容がちょっと強引な感じで女の子泣いちゃってたしで、更にドン引きして興奮するどころじゃなかったんだけど、そんな状態になってんの俺だけだったみたいでさ。みんなエロい凄いって大興奮なの」
 無修正見たことある? と聞かれて、ないと即答はしたけれど、過去に彼女が居たので、女性器を無修正どころか実際に見たことだってあるし、普通に致せた非童貞なので、自分もどちらかと言えば話に出てきた周りの男達よりかも知れない。まぁ、泣いてる女の子に興奮できるかは微妙なところだけど、イヤよイヤよもって感じだったなら、そこまで気にならない気もする。
「でさ、やっぱり最初に動くのはリーダーで、もう我慢できないって感じにナニを取り出したんだけど、それがまた驚きのデカさでさぁ。思わずガン見しちゃったらすぐに気づかれて、俺なんか見てないでお前もさっさと画面見て扱けって言うわけ。勃っても居ないのに無茶言うなって話なんだけど、いや俺はいいって言っても逃がしては貰えないよね」
 すぐに欠片も興奮していない事実にも気づかれて、それで無理やり脱がされて確かめられたついでに、ペニスをあれこれ批評されたらしい。
「それで学校行けなくなった?」
「だけじゃないよ。まぁでも、それが切っ掛けなのは確かで、その件がなかったら普通に卒業できた可能性高そうだから、もし人生やり直せるなら、何がなんでもAV上映会の参加を回避すると思う」
 とっくに寄せていた体は離れて、ただ隣り合って座っているだけの状態だけれど、窺う横顔は寂しそうだ。
「その後何があったかも、聞く?」
「聞かせてくれるなら」
「AV上映会で全く興奮できなかった俺はゲイ、って疑われるようになったよ。お前とこうなってる以上、実はけっこう的を得ていたのかもって思うけど、あの頃の俺にその自覚はなかったし、普通に女の子をおかずにしてたからゲイってからかわれるのもそれなりにキツかったんだけど、決定的だったのは、リーダーに呼び出されてあの規格外ペニスを握らされた時かな」
 あまりのデカさに凝視してしまったのもリーダーが誤解する原因になったのか、ゲイだというからかいがいつしかゲイだという決定事項のようになって、結果、もしかして自分に気があるのではと思ったようだ。
「待って待って待って。なにそれ聞き捨てならない。それ、まさか、俺以外のちんこ気持ちよくしたことあるんだよね、って話?」
「違うって。ビビって速攻逃げたよ。さすがにあっちもこんな話2人きりじゃないと出来なかったみたいで、相手一人だったからなんとかなったって感じだけど。ただ、それでリーダーと完全に拗れたんだよね」
 彼に歩み寄ろうとしたリーダーの厚意を踏みにじったから、ってことらしい。

続きました→

 
 
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