親父のものだと思ってた23

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 熱を吐き出した余韻でぼんやりとしながら、互いに息を整える。先に復活したのは相手の方で、もともと寄せてあったティッシュの箱から数枚抜き取り汚れを拭っていく。
「自分で」
「ぅん」
 言えば小さく頷かれて、新たに抜き取ったティッシュが数枚押し付けられた。
「聞きたいこと色々あるんだけど」
 汚れを拭き、摺り下げていた下着やズボンを戻しながら問えば、いいよと簡単に返される。
 相手も脱ぎ去っていた下着やズボンを身に着け終えて、でも再度ソファの前に腰をおろすことはなかったから、追いかけるようにこちらもその隣に座って、そっと相手を窺った。
「聞きにくいようなこと?」
 なかなか口を開けずにいれば、当然不思議に思うだろう。そりゃもちろん、聞いていいか躊躇う内容も含んではいるが、どちらかというと何から聞いていくかを迷っていた。
「ていうより、色々有りすぎて何から聞こうか迷ってて」
「なるほど。じゃあ待ってる」
「あ、じゃあ、えっと、口でされるの、本気で嫌だった?」
 待ってると言ってくれたけれど、考えたところで正解なんてわからない。だったら気になっている順だったり聞きやすい順でいいかと、口を開いた。
「最初びっくりしたけど、嫌じゃなかったし気持ちよかったよ」
「じゃあなんで、途中で止めさせたの?」
 無理って言ったよねと続ける声は、やはり少し恨みがましい。あそこで強引に中断されたのは本当に酷いと思ったし、結果的に、出来るとしてもまだまだ当分先と思っていた兜合わせで気持ちよくなりはしたけど、だからって、あの瞬間のやるせない気持ちをなかったことには出来そうにない。
「一緒にイこう、って言ったよ。それが一番の理由だけど、無理って言って引き離したのは、待ってって言ったのに止まってくれなかったから。はっきり無理って言わないと、本気で一度止まって、って思ってるのも、無視されるって気づいたから」
「止められなくても、多分、一緒にイケてたと思うんだけど」
「そうかも知れないけど、それは俺の、一緒にイキたい気持ちを満たしてくれないし。というか、お前が自分を気持ちよくし始めたから、俺もお前に触りたくなっちゃったの」
 一方的に口でされてるだけなら、あのままお前の口の中でイッてた。かも知れない、らしい。
「本当に?」
「本当に。というか口でイッて欲しかったのに、っていう恨み言であってる?」
「あってない」
 そりゃまぁ、口でイカせられてたら、それはそれで嬉しかったり安心したりしただろうけれど。でも口でイッて欲しかったのに、という気持ちがあったわけじゃない。そんなことはチラリとも考えなかった気がする。
「なら、一生懸命俺を気持ちよくしようとしてるのを中断させて、強引に一緒に気持ちよくなったのが不満?」
「それもなんか違う気がする。ちんこ重ねて扱いて気持ちよくなるの、憧れではあったし」
「そうなんだ。てか、俺がお前を気持ちよくするときは、何もしないで身を任せて貰ってる。ってのを考えれば、その不満はわからなくないなって思ったんだけど」
「正直、なんでそっち主導で気持ちよくなってんだろ、みたいな不満はあった気もする。でも引っかかってんのそれじゃなくてさ、」
「うん」
「あー……俺がマジに耐えられないなら『無理』って言って、って言ったからか……」
 何がそんなに引っかかってるのかと考えていたら、そこに辿り着いてしまった。てことは、自業自得なのかも知れない。
「どういうこと?」
「自業自得だったのかもだけど、無理って言われた瞬間に、そんなに嫌だったのかって思っちゃったんだよね」
「それは、」
「うん。ちょっと待って、すら俺が聞き入れないから、そう言うしかなかった。てのはもうわかってる。ただあの時点ではさ、本気で嫌がられたって思ったし、俺はもう自分がイクの止まらないってのもわかってたから、嫌だって拒否られた状態で、その拒否った相手の前で、拒否った相手のこと考えながら一人でオナニーしてイクんだって思って、」
 口に出したらまたジワッと涙が滲んできて、慌てて目元を擦ってしまう。そうしたら、相手の手が伸びてきて、優しく引き寄せられて抱きしめられた。
「ゴメン。そんな風に思わせてたとは思わなかった」
 口でして貰うのは嫌じゃなかったし気持ちよかったよと、再度繰り返す相手の声は穏やかで優しい。

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親父のものだと思ってた22

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 そのままゆるゆると舌を這わせ、最後にパクリと咥え込んだ。
「うぁ、んんっ」
 口の中に広がる苦いようなしょっぱいような味に嫌悪はない。さすがに美味しいとは思わないが、好きな人のペニスを咥えているという事実に感動はしていた。
「ん、ぁ、ぁ、ん、んっ、ぁっ」
 手で扱くよりも感じるらしく、堪えきれない様子でひっきりなしに小さな喘ぎが聞こえてくる。噛みしめる口も、それを覆っている手も、力が入らないのかも知れない。ついでに、ずっと落ち着きなく腰が揺れてもいた。
 相手の興奮が伝わってきて煽られる。
 いつか、自分も口でしてもらえる日が来るだろうか。なんてことを考えながら、自分がされる場面を脳内に思い描いてしまったり、自分だったらどうされたいかを考えながら、結構熱心に舐めしゃぶる。そうしていると、釣られるようにだんだんと自身の欲も高まってしまう。
 相手と同時にイキたい、という願いはまだ難しいだろうと思っているのに、我慢しきれずに自分の股間へ手を伸ばした。スボンと下着を摺り下げて、取り出した自身のペニスを片手で扱きながら、咥えたペニスをさらに熱心に愛撫する。というよりも、イカせたい欲求とイキたい欲求が混ざって、扱くのに合わせて頭を上下に動かした。
「ぁ、ゃ、まって、ま、って」
 激しい刺激に相手がはっきりと静止を求める声を上げたが、無理とは言われていないから、を言い訳にスルーを決め込む。それどころか、早くイッてくれという気持ちを込めて、更に頭を上下するスピードを上げた。
「ちょ、ま、むりむりむり」
 悲鳴に近い声と、両肩を掴んで引き離そうとする力。仕方なく咥えていたペニスは開放したけれど、昂ぶってしまった自身のペニスから手を離すことまでは出来なかった。
「酷っ」
 このタイミングで止めるとか、本当に酷いと思う。このまま一人で、相手の前で自身のペニスを扱いて吐精するのかと思うと、なんだか惨めで悲しくなる。
「違くて」
 滲み始める涙を隠そうと俯けば、そんなことを言いながら相手がずるっとソファを滑り降りてきた。そして、何が違うんだと思う間もなく、相手の手が股間に伸びてきてこちらの手ごとペニスを握った。
「どうせなら、ちゃんと、一緒にイこう。俺にも、させてよ」
 抱きしめられて、相手の体がグッと近づいてくる。
「手、開いて」
 耳元の囁きに従って手を開けば、相手のペニスが自身のペニスに添えられて、それを自分の手ごと相手の手が握り込んだ。しかも、最初からラストスパートな勢いというか、イカせる気満々の刺激を送ってくる。
 更に言うなら、相手のグチャグチャに濡れたペニスと擦れ合うのは、めちゃくちゃに気持ちが良かった。兜合わせと呼ぶ行為だというのは知っているし、男同士の性行為では割とメジャーな行為という認識だが、こんなに気持ちがいいんだと驚きとともに納得してもいる。
 なんでこのタイミングで、相手主導で行っているんだ。という小さな不満はあるものの、気持ちよさの前では些細なものでしかなかった。
「ぁあっ、いく、いっちゃう」
「俺も」
 熱い吐息が耳に掛かって、本当に一緒にイク気なんだと、嬉しくなった。
「うれ、しぃ」
 そのまま口に出せば、やっぱり俺もと返されたあと。
「キス、したいんだけど」
 していい? と窺う相手に、否を返すわけがない。むしろ、直前まで相手のペニスを咥えていた口なんだけど、相手こそ平気なんだろうか。なんて思いながらも、ピタリと寄っていた上半身を離した。
 すぐに唇が塞がれてしまったので、じっくり見ている余裕はなかったけれど、相手のこんなに興奮した顔は初めて見る。自分の前で相手がイクのが初めてなのだから、当然とも言えるけど。ただ、随分と嬉しそうにも見えたのが、少し意外ではあった。
 けれどそんな疑問も一瞬で、キスの気持ちよさとペニスで直接受け取る快感とで、あっさり上り詰める。相手のペニスを直に握っているので、相手がほぼ同時に吐精したのもわかっていた。

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親父のものだと思ってた21

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「わかった。じゃあ、やだ、はイヤよイヤよもってヤツだと思うことにするから、マジに耐えられないと思ったら無理って言って」
 それだけ言って、再度手を伸ばした。めちゃくちゃ気まずそうな様子に、多少強引にでも続けてしまわないと最悪中断されかねないと思ったからだ。
「うぅ、も、いろいろしんどい」
「本気で止めてって意味じゃない『やだぁ』なら、可愛いだけだから問題ないって」
「それはそれでどーな、ぁ、んっ」
「よかった。まだちゃんと気持ちぃね?」
 気持ちが萎えたら、当然ペニスにだって大きく影響する。色々しんどい、とは言っていても、すぐに反応してくれる程度には、相手にもまだちゃんと熱が残っている。
「んっ、んんっ」
「気持ちぃ、って声、聞かせてくれないの?」
 口を両手で塞いでしまった相手は、首を横に振って拒否を示した。やだ、と漏らした事が、それであっさり中断されたことが、そんなに気になっているんだろうか。
 相手の抵抗感を気にしすぎて、惜しいことをしてしまったかも知れない。
 他者に与えられる快感に戸惑って、イヤだイヤだと口走っていると考えたら、こちらとしてはむしろ興奮が増すんだけれど。自分よりもずっと年上の相手が、行為慣れしてない事実を目の当たりにして、興奮しないわけがない。
 でも、あの時のやだぁは、泣きそうな声に聞こえてしまったたから。思わず手を離してしまったのも、仕方がなかったと思う。
 やっぱり、先にもうちょっとトラウマ話を聞いておけばよかった。せめて、見られただけなのか、触られたのか、それで気持ちよくなったのか、辺りは、聞けるなら聞きたいと今この瞬間でさえかなり強く思っている。
 何かを抱えているのはわかっているから深く問い詰める気はないが、はっきりとは教えてもらえない過去に、勝手な嫉妬と独占欲を膨らませている自覚はある。
 このペニスに触れた他人が、自分だけならいいのに。
「ん、…んっ、……っ」
 チラチラと窺い見てしまう相手と視線が絡む。相手は目を閉じてはおらず、扱かれるペニスの様子をしっかり見ているからだ。
 潤んだ瞳と、寄せられた眉に、ただ快感をこらえているだけならいいんだけど、と思う。視線が合うと、やっぱり少し気まずそうに視線が揺れるから不安だった。
 興味があって見ているわけではなく、目を閉じて何をされるかわからない恐怖から、目を開けているのではと思ってしまう気持ちがある。
 嫌じゃないか、無理してないか、口に出して確かめたい。けれど、もし慣れない快感に戸惑っているだけなら、あまりこちらの不安を晒したくはなかった。
 気持ちいいねと煽って、恥ずかしい音を立てて、何かしら反応するだろう相手に可愛いと繰り返したい。うんと気持ちよくなってほしいし、人の手で与えられる快楽を楽しんでほしい。
 本当はどうすると気持ちがいいのか聞きながら、相手をこの手でイカせてあげたいだけだった。はずだ。でも口を覆ってしまった相手にそんな余裕はなさそうだし、もし、気持ちいいよりも何がしかのトラウマと戦っているなら、と考えてしまうと、気持ちがいいねと煽る行為も躊躇われてしまう。
 手の中で固く張り詰め先走りの蜜を零しているペニスだけは、間違いなく気持ちよさそうではあるけれど。
 自分のより幾分小ぶりなそれが、先端の小さな穴をクパクパと開閉させ蜜を吐き出すさまが、必死で快感を訴えているようでなんとも可愛らしい。ペニスだけに意識を向ければ、間違いなく、そのイヤラシクさに興奮する。
 引き寄せられるように顔を寄せたら、あからさまに相手の腰が揺れて、意識がペニスから相手へと戻った。思わず見上げた相手は、驚きにか大きく目を見開いて、こちらを凝視している。
 相手が何を考えて驚いたかはすぐにわかった。だから相手の目を見つめ返しながら、ゆっくりと舌を伸ばしてペニスの先端に触れさせる。
「ぁ、っっ」
 ビクビクっとまた大きく腰が揺れたが、口元の手は外されることなく、無理だと言われることもなかった。
 相手がいまどんな心情で居るのかわからないが、もし本気でもう耐えられないと思ったなら、こちらが提示した通りに、無理だと言って中断させると、信じている。

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親父のものだと思ってた20

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 誰にどんな状況で見られたのかも、その時のペニスの状態も一切聞いていないのに、見知らぬ誰かに先を越されていたという一点だけで、どうやらその誰かに対抗している。
 父親相手にあんなこともこんなことも経験済みだと思っていたら、実は何もかも未経験の童貞と知って、自分の中で勝手に無垢な存在に仕立て上げていたのかも知れない。対人関係でニートだった彼には機会がなかっただけで、そういったことへの興味も知識もそれなりにある、なんてことは自分の体で知っていたのに。
 頭の隅にはそんな自覚がありつつも、初めて見る他者の勃起ペニスに、単純に興味津々だった。しかも持ち主は愛しい恋人だ。
 つい今しがたまで握っていたそれは、脱いだという状況か、それとも近くで見たいという訴えのせいか、下着の中で握ったときよりは確実に萎れている。
「触るよ」
「うん」
 了承の頷きとともに、まずは先程と同じ様に片手で握ってゆるゆると上下に動かした。
「っ……」
 先程にじみ出たぬるぬるを指先に絡め取って先端に塗り拡げてやれば、小さく息を詰める気配がする。気持ちがいい、という吐息とは違う。
「大丈夫? 辛くない?」
「へ、……き」
 口ではそう言うけれど、新たに先走りが滲み出る様子はないし、握ったペニスの反応もイマイチだ。握って扱けば、すぐにさっきと同じくらいの質量に戻るかと思っていたが、そんな簡単な話ではないらしい。
 相手に直接触られり、観察されたりが、簡単に興奮材料になる自分とはやはり違う。見られるのがトラウマと言っていた相手の性器を、こんな間近に見つめているのだから、むしろどんどん萎えられていないだけマシだろうか。
「そっか、こっちに顔近づけてると、キス、できないな」
 相手の興奮を煽ったり、トラウマから意識を逸してもらう何か。と思って真っ先に浮かんだのはキスをすることだったけれど、相手の顔が遠すぎる。
 しかし思わず相手の顔を見上げてしまえば、その顔がどんどんと近づいてくるから、慌てて背筋を伸ばしてこちらからも顔を近づけた。きっと相手も、キスがしたいと思っていたんだろう。
 両頬を相手の手に挟まれて、カプッと齧りつくみたいな勢いでキスを仕掛けられたから、応じるように舌先を差し出しはしたものの、意識の大半は手の中のペニスに向かっていた。
 さっきもキスと連動して反応していたのを覚えている。
 キスに集中して気が紛れたのか、興奮が増したのか、先程よりも鈍くはあったが、手の中で相手のペニスが育っていく。
「ん……、ふ、ぅっ……ん」
 再度滲み出す先走りを絡め取って敏感な先端で指先を滑らせれば、相手の舌が震えて甘く鼻が鳴った。ホッとしながら暫くそのままくるくると先端を撫で続けていたら、とうとう相手がキスを中断して顔を離していく。
「も、……それ、」
「先っぽ敏感だね。気持ちよすぎて辛くなった?」
 先端ばかりを弄っていた指を止めて、握った竿を扱く動作に戻ってやれば、相手が安堵の息を漏らすのが聞こえてきた。もう、大丈夫そうだなと思う。
 伸ばしていた背を戻して、視線を手の中に向けても、時折甘やかな吐息が零れ落ちてくる。先走りも次々と溢れ出ていた。
「んっ、ぁ、ぁっ……」
 滑りが良くなって気持ちよさが増したらしく、聞こえる吐息が増えて、胸の中に愛しさと嬉しさと興奮とが湧き上がる。
「ぁ、ぅ、それっ」
「ね、聞こえる? ぬるぬるいっぱい出て、エッチな音してる」
 わざとらしくクチュクチュと音を鳴らして、少し激しめに扱いてやれば、相手の腰が震えて随分と気持ちが良さそうだ。なのに。
「や、だぁ」
 泣きそうな声の訴えに、思わずパッと手を離してしまった。
「ぁ……」
「あ、ごめん。もしかしなくても、続けてよかったやつ?」
「うぅっ……」
 呆気にとられたような、残念そうな。そんな相手の気配を察知して、思わず謝罪と確認をしてしまったけれど、相手は困ったように唸るだけだった。

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親父のものだと思ってた19

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 まだ完全には勃ちきっていないペニスは、たしかにまだ、亀頭全てが露出している状態ではない。けれどゆっくりと握った手を引き下ろせば、何の抵抗もなくつるりと剥けてしまうから、仮性包茎というのも事実で、やっぱり何の問題も無いように思う。
 先端は乾いていてまだ先走りが滲んではいないようなので、そのまま包皮を上下させてゆるゆると刺激を送った。いわゆる皮オナってやつだが、相手にとっては慣れた刺激なのか、手の中の質量が増していく。
 じっと見つめてしまう先で、相手の息も上がっていた。伏せた目が、時折チラとこちらを窺ってくるのも、しっかり見つめられていることに羞恥を増していくのも、感動ものの可愛さだった。なんせ、相手が感じているところを見るのは初めてだ。
 逆の立場で散々観察されてきたので、相手も見られることは想定していたのか、恥ずかしいから見るなとは言われなかった。でも、何度もこちらを窺うくせに、すぐに視線をそらして戸惑う様子や、じわじわと頬を赤らめていく様子から、相当恥ずかしそうではある。
 めちゃくちゃ可愛い。
 口に出すのは堪えられても、口元が緩むのは抑えられそうになかった。
「えろい、顔」
 またチラっとこちらを窺った相手が、視線をそらした後でぼそりとそんなことを呟くくらいには、表情に出てしまっているらしい。
「嬉しいんだよ。俺がこの日をどんだけ待ってたかわかってる?」
「わか、ってる」
「じゃ、キスして」
 言えばすぐに顔が寄ってきて唇が触れ合った。軽く唇を解いて待てば、すぐに相手の舌が口内に差し込まれてくる。
 それを絡め取って甘噛し、舌同士をすり合わせ吸ってやれば、連動するように、手の中のペニスが震えて蜜を零しだす。
「ん……、んっ……」
 甘く鼻を鳴らすのさえ、胸のうちに愛しさがこみ上げる。この手で、感じてもらえている。気持ちがいいと、思ってくれている。
「ぬるぬる出てきたから、脱がして、いい?」
 一瞬ためらった相手に、絶対笑わないと言いきってやれば、ふっと笑うみたいな小さな息を吐いたあとで、いいよと返ってきた。
 了承とともに相手が腰を浮かし、自らズボンと下着とを下ろしていく。一度手を抜けば、そのまま相手は完全にズボンも下着も脱ぎ去ってしまう。
 いつもと真逆の光景だ。
「嫌じゃなければ、なんだけど」
 そういや結局トラウマ話を聞きそびれたな、と思ったら、口からそんな言葉が漏れていた。
「なに?」
 決死の覚悟で脱いだのだろう相手は、何を言い出すのかとほんのりと身構えているから、少しでも嫌そうにされたら諦めるつもりで口を開く。
「もっと近くで、見ても、いい?」
「そ、れは……」
「無理ならいい。無理は、しないで」
「いや、いいよ。大丈夫」
「本当に?」
 だって相手がこちらのペニスに顔を近づけて観察したことはない。散々弄られた上に射精するところまで見せてきたけれど、相手の顔は常に自分の顔の近くにあった。
 今日もそうだが、いつもソファに隣り合って座った状態でしていて、その体勢が大きく変わったことがない。
「ん、大丈夫」
 2度めの大丈夫に促されて、ソファの座面から滑り降りた。
 相手の両膝を軽く握って開かせるように力を込めれば、何も言わずに従ってくれたから、その間に入り込んで正面に腰を下ろす。
 一度相手の様子を確かめるように顔を上げれば、こちらを見下ろしていた相手とバッチリ視線が絡んだ。
「すごい絵面なんだけど」
 困ったように苦笑されたけれど、こっちはなんだか少し懐かしい。こんな風に相手を見上げていた、遠い昔を思い出す。
 まぁ、あの頃とは全く違った理由で相手を見上げているわけだけど。
「耐えられないと思ったら、早めに言ってよ」
 なので、懐かしいなどと口に出すことはせず、それだけ伝えて視線を剥き出しの股間に向けた。

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親父のものだと思ってた18

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「それ、言質取ったって思っていいんだよね?」
「ん、いいよ」
 確認すれば、はっきりと肯定が返ってきた。
「つまり、俺に抱かれる覚悟ができたから、俺に触られるのもオッケーになったってこと?」
「そう、なのかな?」
「え、そこ疑問形?」
「正直、抱かれる覚悟が出来たかって言うと、まだそこまではっきり覚悟できてるわけじゃないんだよね」
「ええ……」
「ただ、お前が主張しまくるから、いつか先に進んだ時に、とりあえずお前が抱く側でチャレンジするのは受け入れよう、って気にはなってる。あとまぁ、俺が怯んだり躊躇ったりでなかなかちゃんとお前に抱かれることが出来なかったとしても、お前が諦めて自分が抱かれる側になるって言い出すより先に、俺が慣れて抱かれてやることが出来るんじゃないか、とも思ってる」
「マジか。めっちゃ嬉しいんだけど」
 素直に喜んだのに、相手は、そんな喜ばれると申し訳ないんだけど、なんて続けるから意味がわからない。
「いやだって、いつか、がどれくらい先になるかわかんないぞ」
「なんだ、そんなこと」
「そんなこと、か?」
「そんなこと、だよ。長期戦なのはとっくに覚悟できてるもん」
 不安だったのは、年の功やら器用さやらを駆使されて自分が抱かれる側になってしまうことだけで、恋愛未経験の童貞だという相手のペースに合わせてジリジリとしか進展しないのは、そこまで不安も不満もなかった。
 多分、相手を父親の恋人だと思いながら暮らしていた期間が長かったからだろう。
 だってこんな未来、あの頃は欠片も想像ができなかった。
 彼の手料理を食べることと、彼が家事の多くを担ってくれていることはあの頃と同じだけど、でも今は彼は自宅に帰ってしまうことがない。好きって気持ちを誤魔化したり抑え込んだりする必要が一切なくて、両想いってわかってて、恋人で。キスもハグも生活に溶け込むレベルで繰り返されている上に、恋人としての触れ合いに相手はかなり積極的だ。
 彼がニートじゃなければ、そもそも彼が家政夫として実家に通ってはくれなかったのだから、不謹慎ながらも彼の過去に感謝すらしているのに。その過去を抱えたせいで、体を繋げるセックスまでの道のりが遠いくらい、全然構わなかった。
「いくらだって待てる」
 言い切ってやれば、フフッと小さな笑いが腕の中からこぼれ落ちる。
「お前と居ると、ほんと、安心する」
「そ、なの?」
「そうだよ。だから、さ」
 耳元で囁くように、早くお前に触られたいよ、なんて言われてしまえばひとたまりもなかった。
 相手の体を抱えたまま片手をすべらせ、まずは服の上から股間をやわやわと揉んでみる。まだほとんど硬さがないそれを弄りながら、キスを求めて体を離した相手と唇を触れさせた。
 少しの間キスに集中して相手を煽れば、手の中のものが硬さを増していく。
「そろそろ、直接触るけど」
「ん、だいじょぶ」
 その言葉を受けて、以前と同じ様に、お腹から下着の中めがけて手を滑り込ませた。といってもいきなりペニスを掴んだりはせず、やはり下生えに触れた辺りで一度手を止める。
 腕の中の体は緊張からか強張っていたけれど、以前のように、何かを耐えて怯えるような様子ではない。
「ふっ……」
 小さく息を吐いて、ゆっくりと力を抜いていく。
「怖くない?」
「くない、から」
 触って、と再度囁くように告げられて、とうとう相手のペニスを握った。

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