兄は疲れ切っている25

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 これはこれでもちろん興奮するのだけれど、いくら誘い込むような動きをされていようと、さすがにこのまま指を埋め込む訳にはいかない。慣らさないでなんて、言わないほうが良かっただろうか。
「ぁ、……ぁっ……ぁんっ、んっ……」
「ね、ローション、取るから」
 縋る力が強くなっていたので声をかければ、ハッとした様子で力が抜けた。
「ごめ……」
「いやいや、謝るの俺の方。慣らすの全部俺にやらせてって頼んだの俺なのに、段取り悪くてゴメン」
 最後にチュッと唇を吸ってから身を起こす。兄の脚を更に開かせその間に腰をおろし、たっぷりのローションを手の中でゆるくこねた。兄がそれをじっと見ている。緊張と興奮が混じったような顔だった。
「焦らすつもりはないんだけど、もーちょい待って」
 冷たいの嫌だろと言えば、緊張を少し和らげて、わかってると頷いてみせる。
「もしかして嬉しいの?」
 じわじわと滲むみたいに兄の頬が緩んでいくから聞いてみた。
「冷たいローションぶちまけたことなんて、今までだってしたことないと思うけど」
「そーなんだけど、だから、余計にっていうか」
 またヘラっとした嬉しそうな笑顔で、大事にされてるのはわかってたつもりなんだけど、と続ける。
「でもそういう気遣いって、お前が優しいやつだからって思ってたんだよ。でも、俺が好きで、好きだから俺を大事に扱ってくれるんだって、今のお前見てるとよく分かるからさ」
 最初っからずっと、ちゃんとお前に愛されてたんだってわかるの、なんか嬉しくて。
 なんてことを、照れくさそうに告げられて、グッと胸が詰まる思いをした。そんな風に思って貰えて、わかって貰えて、嬉しい。可愛い。キスしたい。けれど。
「もーぅっ、なんで今なの!? 俺今、こんな手ぇドロドロにしてんのに」
 ローションは両手で捏ねていたから、濡れた両手を兄に見せるようにして、キスできないじゃんと唇を尖らせる。まぁ、本気でキスしようと思ったら、やりようなんて幾らでもあるんだけれど。
 しかし、こちらの甘えた要求に気づいた兄が、苦笑交じりに上体を起こしてくる。兄の顔が寄せられて、唇が塞がれた。
 兄のキスを受け止めながら、結局、片手のローションをシーツに擦り付けるようにしてざっくり落とした後、兄の腰に腕を回して引き寄せる。腰を持ち上げるような力を掛ければ、察して腰を浮かせてくれたから、脚を開いたまま膝立ちとなった兄の脚の間へ、濡れたままのもう片手を差し込んでいく。
 もちろん唇は触れ合わせたままだったので、兄が腰を浮かせるのに合わせて上向く形になった。この体勢はなかなか珍しい。これで深いキスになったら、啜らなくても兄の唾液が口の中に流れ込んでくるなと思って、誘うように舌を出して、ぺろっと兄の唇をなめてやる。
 同時に、再度窄んだ窪みに指先を押し当てた。
「んっ……」
 甘やかに鼻を鳴らした後で、兄の口が薄く開かれる。招かれるまま舌先を差し込んで口内を探りながら、窪みに押し当てた指先も、奥へと飲み込もうとする動きに合わせてゆっくり侵入させていった。
「ふ、ぅ……んんっ……」
 伸ばした舌で口内を、埋めた指で腸内をじっくりと弄りながら、重力に従い口内に流れ込んでくる兄の唾液を飲み下す。けれどさすがにそう長くは続かなかった。
 こんな体勢で後ろを慣らしたことはないのだから当然だろう。

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兄は疲れ切っている24

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「お前まで照れるなよ」
 照れくさそうに言われて、無茶言うなと思う。というか言った。
「無茶言うな。てか本当に、いいんだな?」
「ん、いいよ。抱き潰すにしろ、そこまで酷くはされないって、信じてるし?」
「なるほど。そーやって釘は刺す、と」
「本音を言えば、ちょっとは怖い」
 そりゃそうだろう。抱かれる側の負担を訴える、一回イケばもう充分みたいな兄からすれば、イカせまくるだの抱き潰すだ言われて不安がないはずがない。でも、ちょっと、なんだ?
「ちょっと?」
「ん、ちょっと、だよ」
 性欲発散に付き合わされるわけじゃないってわかってるから大丈夫、と続いた言葉に、ああ、そうか、性欲発散って思ってたのか、と思う。辛うじて女代わりになるお気に入りのオモチャを使って、性欲を発散していると、思われていた。
 はっきり言葉にされなければ、オモチャ扱いと言われただけじゃ、そこまで思い至れない自分自身の思慮の浅さにガッカリする。抱かれる側の負担というのは、体のことだけじゃなく、心への負担もきっと含まれていたんだろう。
 両手で顔を覆ってしまった時にこちらは体を起こして傍らに座っていたけれど、顔を覆うのを止めた手は今、だらりと垂らされていた。その手に兄の手が伸びてくる。ゆるっと包み込んで、それからキュッと力を込める。
「今、嬉しくて仕方ないって、言ったろ」
 ヘラヘラふわふわというよりは、優しい顔で笑う兄に、ゴメンと出そうになる言葉を飲み込んだ。謝って欲しいわけじゃないって、その顔を見ればわかったから。
「泣かした分の償い込みで、いっぱい、愛してくれるんだよな?」
 もちろんそのつもりだと頷けば、優しい笑顔をさらに花開かせて、俺たちが両想いなんだって思い知るようなセックスをするんだろと、握られた手を、早くとでも言うように引かれてしまった。
 誘われるまま顔を寄せて、角度を変えながら何度も繰り返し優しく唇を塞ぐ。キスの合間に好きだよと囁けば、兄が嬉しそうに笑って、俺も、と囁き返してくれる。幸せだった。
 キスを深いものへ変えながら片手を下肢へとすべらせて、まだ萎えきっていないペニスは軽く撫でる程度にして、脚の間に差し込んでいく。触れやすいようにと軽く脚を開いてくれるのがわかって、喉の奥で小さく笑ってしまえば、抗議するみたいに開かれた脚がギュッと閉じてしまう。
「嬉しかっただけだって。ね、もっかい脚開いて。俺と繋がる場所、触らせて」
 キスを中断して、けれど顔はほとんど上げずに間近で頼み込めば、もう、と呆れと甘えと照れとほんのちょっとの怒りを混ぜたみたいな声を出しながらも、素直に脚が開かれる。しかも、先程よりもやや広く。
 キスは再開しないまま、奥に伸ばした指先で窄んだ窪みに指先を押し当てる。
「ぁ……」
 ふるりと兄が身震いし、キスの途中で背に回されていた兄の手に、僅かに力がこもったのがわかった。兄が準備をしている間にこちらは下着以外は脱いでいたので、直接肌に圧が掛かってわかりやすい。
 触れた場所はしっとりとしているが、約束通りローションを仕込んではいないらしく、ぬるつき滑る感触はなかった。けれど、指の腹で優しく撫でて軽く押し込むように力を加えて揺すってやれば、慣れた体は指先を飲み込もうとする動きを見せる。まるで指先に吸い付かれるみたいだった。

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兄は疲れ切っている23

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 顔を覆ってしまったので兄の顔は見えていないが、おかしそうに笑っている気配は伝わっている。もしかして遊ばれているんだろうか、と思いながらソロリと顔を覆う手を外した。そんなこちらの恐る恐るな動きが、また兄の笑いを誘ったらしい。
「お前も、今日、ちょっと可愛いな」
「何言ってんの。てか誰のせいだと」
「んー……俺?」
 ヘラっと笑うのすら可愛くてなんだか悔しい。
「自覚あるなら自重して」
「何を?」
「可愛いのを」
 ふははと楽しげに笑ったかと思うと、それは無理かな、なんて返してくるから、コノヤロウと思ってしまう。やっと恋人になれて、自分たちが両想いだって確かめ合うようなセックスをしようって話なのに、このままだとうっかり襲いかかってしまいそうだ。惨めにさせないのは当然にしても、無理を強いるつもりだってないのに。
「想定以上に可愛くなりすぎてて、抑えきかなくなりそうなんだけど」
「抑えきかないとどーなんの?」
「イッちゃうからヤダも、もーむりも無視して、イカせまくって抱き潰す」
 そんな忠告混じりの言葉にすら、ふはっと笑って、情熱的だ、なんて感心したみたいに返してくるのはなんなんだ。ずっとしんどそうな顔ばかり見てきたから、笑っていてくれるのは間違いなく嬉しい。惨めだと思ってないのがわかるから、安心だってする。だけど。
 両袖は通ったままだけれど、前を大きく開かれて肌を晒した身を投げ出すように寝転がって、ツンと尖らせた胸の先は舐め吸われた片側が濡れているし、もう片側だって指で弄りまくったせいかいつもより色が濃いし、元から下着など履いていなかった下半身だって、イキそうだと訴えていた股間のペニスはまだ萎えていないし、先走りをまぶすみたいにぐしゅぐしゅと扱いてやったせいで全体的に濡れたままなのに。そんな姿で、ヘラヘラふわふわ笑いを振りまかれているこっちの身にもなって欲しい。目に毒すぎて困る。
「いいのかよ、そんな笑ってて」
 襲うぞって言ったら、だって、とようやく少し困ったような顔をする。
「お前が俺をちゃんと好きで、俺を恋人って思ってて、しかもその恋人が可愛くて仕方ないって思ってて、めいっぱい可愛がりたいって思ってんの、わかっちゃったらさ、嬉しくて、笑うの我慢できないよ」
 やっぱりヘラっと笑われて、襲ってもいいけどお手柔らかに、なんて言われたら、やっぱり叫ばずにいられなかった。
「もぉおお! ねぇ、ちょっと、ホント頼むから少しくらい自重して。今の聞いて、お手柔らかにが俺に可能とか、本気で思ってんの?」
「んー……」
 閉じた口の中でも笑っているらしく、んふふとこもった音を漏らしながらしばし逡巡した後。
「あのな、」
「なに?」
「お前煽った自覚、ある」
 つまり、手加減なしにイカせまくって抱き潰しても構わないって、そういう意味でいいんだよな? とは思ったものの、さすがにちょっと信じられないというか、あまりに都合が良すぎて不安になる。
「え、で、つまり……?」
「つまり、あー……その、うんと情熱的に可愛がってよ、みたいな?」
 いやこれさすがに恥ずかしいんだけど、だの、何言わせんだ、だの、頬をじわっと赤くしながらへニョへニョに緩んだ顔で言い募る兄を見つめる自分の顔も、じわじわと熱を持っていくのがわかった。

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兄は疲れ切っている22

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 備え付けの部屋着で戻ってきた兄をベッドに押し倒し、キスを繰り返しながらあちこち撫で擦る。着たばかりの筈の部屋着をはだけて胸元に手を差し入れ、直接その肌に触れれば、戸惑うように視線が揺れるのがわかった。
「楽しくないなんて嘘だから、嫌がんないで?」
 指先で捉えた小さな突起をそっと撫でながら告げれば、触れた瞬間に詰めた息をゆるっと吐き出した後、でも、と躊躇ってみせる。
「胸、俺に弄られたら感じるようになっちゃうんだろ? もう二度と、惨めになんてさせないから、感じるようになってよ。ホントはずっと、ここも可愛がってあげたかったんだ」
 バカ、と溢された声は甘くて、照れ笑うような顔が本当に可愛い。たまらず口を塞いで、指先に触れる突起を捏ねながら、手の平と残りの指を使って薄い胸筋を撫でて揉む。
「ふぁぁ、ァ……ぁふ……んぅ」
 キスの合間に溢れる声が甘えるみたいに響くから、興奮すると言うよりもいっそ感動する。嬉しくて、なのになんだか泣きそうだ。泣く気なんてサラサラないものの、万が一泣き顔なんて見られたら困るので、スススと顔を胸元へ向けて下げていく。
「ぁっ、……ぁんっ……」
 顎にも喉にも鎖骨にも、ちゅっちゅと悪戯に音を立てて、柔く喰んで、吸い上げれば、その度にピクッと体を震わせ小さな声を上げる。
「ぁあああ」
 辿り着いたもう片方の胸の先にしゃぶりつけば、一際高い声が上がってもぞりと腰が揺れた。そのまま両乳首を同時にじっくり責め立てる。甘く響く声が耳に心地いい。
「あ、ぁあ、それっ、ぁっ、ぁん、んんっ、ぁ、だめっ、あっ、やっ、だめっ」
 拒絶されるような気配はないものの、やだ、だめ、と言われてしまえば中断せざるをえない。
「何がダメ? 気持ちよくない?」
「ダメ……て、いうか、そのっ」
 もぞもぞと腰を揺らすから、もしかしてと思いながら片手を下腹へ向かって滑らせれば案の定、すぐに硬くなったペニスが手に触れた。
「あ、がちがち」
 ついでに言うなら、先走りで既にかなり濡れている。
「確かにこれ放置じゃ辛かったよな」
 握って軽く扱いてやれば、微かに安堵の混じった吐息をこぼす。
「じゃ、ここも一緒に気持ちくなろうか」
「えっ?」
 驚くようなことじゃないだろと思いながら、言葉は返さず再度胸元に頭を寄せた。片手と口とで両乳首を、もう片手でペニスを、三点責めだな、なんて思いながら弄ってやれば、兄はすぐにまた嫌だダメだと口にする。でもやっぱり拒絶と言うよりは甘えた感じの声だから、今度はそのまま様子見だ。
「やぁあ、ああ、だめっ、イッちゃう、イッちゃう、からぁ」
 切羽詰まった感じになって、イクのが嫌だと訴えだすから迷う。ずっと胸を弄られるのを拒否していた兄が、このまま両乳首を苛められながら果てるところが見てみたい、と思う気持ちはもちろんあった。
 射精したら賢者タイムが来るのはわかっているし、出してスッキリした体を更に弄られ、突っ込まれて揺すられるのが辛いのも知っている。だから兄だけ先にイかせてしまわないよう気をつけるようになった経緯を思い出せば、どう考えたってこのままイかせるべきじゃない。
 仕方なく、一旦頭を上げて手を離す。一切の刺激が止んでホッとしたらしく、粗い息を吐きながら兄がぼんやりとしている。
「だいじょぶ?」
 声を掛ければ、視線だけがこちらを捉えて、それからふにゃっと口元が歪んだ。
「びっくり、な、気持ちよさ」
 だった、と続く声に被せるように、ちょっとぉと叫びながら両手で顔を覆ってしまう。兄が可愛すぎて、いつも通り双方一回イッたら終わり、なんて、絶対にムリだろと思った。

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兄は疲れ切っている21

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 話題になってる映画を見て食事をするという、随分とオーソドックスなデートだったけれど、兄はずっと機嫌が良かった。嫌な顔せず付き合って、なんて言うから、どこに連れて行かれるんだと思っていた分、若干拍子抜けではあったけれど、ベタなデートをしたがる事そのものをどうやら引け目に感じていたらしい。なんて、バカバカしい。
 でも、兄を初めて抱いてから先、セックス以外の誘いを一切かけてこなかったこちらが悪いのもわかっていた。可愛がって大事にするのはベッドの中だけだと言われたり、デートがしたいと言われるまで、何の疑問も持たずに、相手の体を気遣い想いを込めて抱いていれば、いつかは絆されて好きになってくれるだろうと思い込んでいたなんて。
 本気で相手を好きで、既に体の関係があって、後は心を手に入れたいと思っていたなら、相手の顔色を窺いながら週末にセックスする以外に、やれることなんてもっともっと色々あったはずだった。金銭的な余裕がなくても、抱ける機会をみすみす逃すなんて考えられなくても、ホテルとセックスを諦めて、食事なり行けばよかった。思い返せば、セックスだけが目的じゃないってわかってもらう努力なんて何もしてなかった。
 それだけじゃない。お互い仕事や学業があるとはいえ、同じ家に住んでいるのだから、その気になれば兄との時間なんていくらだって作れただろう。でもどちらかと言うと避けていた。家の中で手を出そうとして、兄を困らせる気がなかったからだ。兄の方から雄っぱいをねだりに来てくれる日もあったが、兄が唯一とろける顔を見せて甘えてくれるその時間さえ、衝動で襲ってしまわないように、ただ耐えるだけだった。
 心がほしいと思いながらも、結局のところ下半身に直結した思考と態度しか取れていなかったのだから、ベッドの中だけ可愛がるお気に入りのオモチャと認識されていたのも、今となっては納得しかない。
 
 しんみりと悲愴な気配などなく、空元気でもなく、デートの余韻を残して少し興奮気味な兄を連れて、ホテルに入れる幸せを噛みしめる。
「なんか、変な感じ、する」
 お前とホテル入るのは慣れてるはずなのにと、ふへへと照れたように笑う顔さえ、愛しくて仕方がない。
「恋人な俺とは初めてなんだから、慣れてなんかないだろ」
「それはそうなんだけど。てかお前はどうなの」
「期待と興奮でヤバイ、って感じならする」
「なんだそれ」
 やっぱり照れくさそうに笑うから、肩を抱いて引き寄せながら、ちゅ、とその唇を塞いでやった。
「だって今日の兄貴、めちゃくちゃかわいい。すげぇ嬉しい」
「あーうん、それは、ね。半分くらいは多分演技」
「えっ!?」
 本気で驚いたら可笑しそうにケラケラと笑われて心配になる。
「え、ほんとに演技? なんで?」
「ごめん嘘。めちゃくちゃ可愛いなんて言われて恥ずかしくなっただけ」
 そんなに幸せだだ漏れてる? と聞かれたから、なるほど幸せがだだ漏れている結果の可愛さらしいと思って、ますます可愛さと愛しさが増した。
「ほんっと可愛いな、今日」
「えー、もー、それはいいって。それより準備してくるから、手、離して」
「それだけど、手伝ったらダメ?」
「えっ?」
「準備、手伝いたい」
「いやいやいやいや、え、お前、さすがにそれは無理だって」
 軽く肩を抱いていただけなので、慌てたように身を捻った兄はあっさり腕の中から逃げていく。ちぇーと思いながら唇を尖らせたら、そんな顔してもダメなものはダメだぞと、何も言う前に追い打ちが掛けられた。
「じゃあせめて、慣らすのは全部俺にやらせてよ」
 どうせ慣らして拡げてローションを仕込んでから出てきたって、すぐに突っ込んだりはしないのだ。それは兄も思い知っているだろうから、それくらいならと了承されるのは早かった。

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兄は疲れ切っている20

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 好きな相手に女代わりのオモチャ扱いで抱かれているなんて思い込んで、惨めに泣く必要なんてまるでなかったのに。
 そう思わせて泣かせていたのはこちらだってことはわかっていながら、ついそう口に出してしまえば、兄の目にまたぶわっと涙が盛り上がる。慌ててゴメンと口走る中、キュッと唇を噛んで俯きながら、兄がふるふると頭を横に振った。
 抱きしめたい衝動のまま腕を伸ばす。掴んだ手を引くようにして腕の中に抱え込んでも、抵抗はされなかった。
「ねぇ、本当に、都合良くヤれるオモチャなんて思ってないし、女の代わりにしてるつもりなんてない」
 少しでも慰めになるように、想いが正しく伝わるように、なるべく優しい声音になるよう心掛けながら話し掛ける。腕の中の兄は、ん、と小さく頷いてくれたから、宥めるみたいに背を撫でながら、更に言葉を続けていく。
「好きだから抱きたいし、好きだから俺だけのものにしたかったんだよ。本当に、ただそれだけで、彼女作る気だった兄貴が俺を好きだなんて思いもよらなくて、とりあえず体だけでもって思って酷いこと言って、脅して、諦めさせて、結果、惨めな思いさせて泣かせてたのは、本当に悪かったって思ってる」
「うん」
 途中何度か小さな頷きを返してくれていたけれど、とうとう頷いた後でおずおずと抱き締め返された。甘えるみたいに擦り寄られ、胸の中に暖かな何かが広がる気がする。
 嬉しくて、愛しくて、抱き締める腕につい力を込め過ぎた。
「くる、し」
「あ、ごめん、つい」
 嬉しくてと素直にこぼせば、クスッと笑われる気配がしてホッとする。ますます嬉しくて、愛しくなる。
「できる事なら、最初からやり直したい。でもそんな都合のいい事が起こらないのもわかってるから、せめて、泣かした分の償いさせて」
 俺たちがちゃんと両想いだってわかるようなセックスをしようよって言えば、かなり迷われた後、今からするのかと確認されてしまった。声に戸惑いと不安とが滲んでいるから、さすがに肯定するのが躊躇われる。もちろん、今からしたい気持ちは強かったけれど、既に一度抱かれている兄の体はもう疲れているんだろう。
「じゃ、次、する時は、恋人同士のセックスってことで」
「こいびと、どうし……」
「え、恋人同士、でいいんだよな?」
 声だけでも酷く動揺されているのがわかって戸惑う。恋人の居ない二人の間で両想いが発覚したんだから、今後は恋人ってことでいいんだろうと思ったけれど、もしかしてダメなんだろうか。
「あの、本気で?」
 腕の中、おずおずと顔を上げた兄の顔は不安げだ。何度も泣いて赤くなった目元が痛々しいし、どことなくまだ潤んだ瞳がゆらゆらと揺れている。
「本気っていうか、何かダメ?」
「俺、お前の兄貴だけど」
「え、今更何言ってんの」
「いやそりゃ、今更は今更だけど、え、お前、本当に恋人が実の兄でも抵抗ないの?」
「え、だって、兄貴が俺を好きで、俺も兄貴が好きなんだから、恋人になれば良くない?」
 男同士で子供出来るわけじゃないんだから、血が濃いとかはあまり関係がない気がする。いやまぁ、おおっぴらに兄貴と付き合ってます、とは言わないほうがいいという認識くらいはちゃんとあるけれど。
 言えば、安堵と呆れとが混ざったみたいな顔をして、感じ入った様子で、そうか、と呟いている。
「弟が恋人です、とか、もしかして嫌? 恋人隠さなきゃいけないのが面倒、とか?」
「やじゃない。お前が隠しきれなくて、面倒なこと起こる可能性は、ちょっと、心配してる」
「それは、その、気をつける、つもり」
「うん」
「じゃあ、恋人になって?」
「うん」
 良かったぁと思いっきり安堵の息を吐けば、兄も安心した様子で笑っている。本当に、良かった。
「次回、めちゃくちゃ楽しみにしてる」
「あ、のさ、それなんだけど」
「ん、なに」
「ホテル入る前に、できれば、もうちょっとこう、あの、デート……ぽいことも、したい」
「デート!!??」
 思わず叫ぶみたいにデートという単語だけ切り取って繰り返してしまったので、慌てた様子で無理ならいいと言われたけれどそうじゃない。
「したい。する。デートする。っつっても、ホテル代すらほとんど出してもらってるのに、デート代どんだけ捻出できるかわかんね、んだけど」
「それはいいよ。でも金だすの俺だから、じゃあ、俺がしたいことに、嫌な顔せず付き合ってくれる?」
 もちろんと返せば、嬉しそうに楽しみだと言われてまたしても、本当に良かったとしみじみ思った。

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