そんな気持ちを伝えるために、他にもまだあるかと問いかけた。全て否定してやるつもりだけれど小出しで頼むと言えば、追加ではなく、まだ最初の質問に答えていないと返された。
「あなたが幸せに、なれますか?」
「幸せに、なるつもりだけど。というかそれ、お前を幸せにできるかどうかじゃないんだな」
幸せにしてくれるんですか? と聞かれる方が妥当な気がするのに。と思っていたら、思いもよらない理由が耳に届く。
「だって兄に言われてたでしょう?」
「え、何を?」
「新しい恋人と、兄と付き合っているときよりもずっと幸せになって、って」
「あー……確かに言われた、けど」
「幸せになって貰えないと、兄に知られた時に俺が怒られます」
あの人本気で怒ると結構面倒なんですよと続いたから、思わず、確かにそんな感じはあったねと言いながら、少しばかり別れの日へと思いを馳せた。
兄とのことを思い出していると、すぐに相手も感じたのだろう。
「兄を怒らせたこと、ありました?」
「別れ話した最後の日、初めて怒ってる顔を見たよ。でもあれ、押しかけてきたのお前で、別れろって言ったのもお前だったからなぁ」
あの怒りの矛先が自分だけに向いていたらと考えると、落ち着けさせるのにもっとずっと苦労しただろうとは思う。
「ああ、あの後もかなり怒られました」
「だろうね。たいして知りもしない相手に、ホイホイ体差し出すなってのは言われなかった?」
「まぁそれもありましたけど。でもさすがにそれは、お前が言うなって感じだったので」
「言い返したの?」
「え、そりゃ、一方的に怒られなきゃならない事はしてないですから。最初に誘ったのはあなただし、一応、兄の幸せのためにって理由もありましたし。まぁ他にも色々、こっちの言い分もあったので」
「お前らの兄弟喧嘩、なんか激しそうだなぁ」
「兄はギャンギャン煩いですけど、面倒なだけでそこまで激しくもないですよ。さすがに殴り合いとかにはならないんで」
本当に面倒なだけだとケロリとした顔で言い募るから、どうにもこの兄弟の関係がどんなものなのか、今ひとつ想像がつかない。
「でも多分、俺達が恋人になったとして、それを知ったあいつが何か言うとしたら、俺に対して、弟に手ぇ出しやがってってのが先だろ」
「それは言うでしょうね。でもあなたに幸せになって欲しいとも、本気で思ってるはずなので」
「うん。それはわかってるし大丈夫。でさ、お前が俺と恋人になるって言ってくれたら、それだけでも俺は相当幸せになれるんだけど。まだ、俺の恋人にはなって貰えない?」
聞けばゆるく首が横に振られた。やっとだと思うと喜びで胸が熱くなる。
「あなたの恋人に、なります。色々未熟で心配かけそうですけど、どうぞよろしくお願いします」
律儀な挨拶にふふっと笑いを零しながら、ゆるく抱えていた腕の中の体を、ギュウときつく抱きしめた。
「ありがとう。凄く、嬉しい」
それからまた腕の力を抜いて、今度はしっかりと相手の顔を見つめながら。
「こちらこそ、ヨロシク。お前にも言われたしなるべく気をつけるけど、勘違いや思い込みで動いてそうなら早めに指摘して。さっき両想いの恋人って初めてって言ったけど、俺自身、可愛くて愛しくて仕方ないって思う相手が、真っ直ぐに俺を好きって言ってくれるのホント初めてだからさ。お前が思う以上に俺も慣れないこと色々あると思うけど、一緒に頑張ってくれる?」
ハイと言って軽く頷いた相手の顔にグッと顔を寄せれば、察してそっと瞼が落とされる。チュッチュと軽いキスを何度か繰り返していたら、やがてチロと舌が差し出されて来たので、遠慮なく絡め取って吸い上げた。
<終>
多分この後「お前が俺を好き、俺もお前を好き。って前提でやったら、さっきとは違うものが見つかるかもよ?」を検証することになると思うのですが、さすがに長くなりすぎたのでここで終わりたいと思います。長々おつきあいありがとうございました。
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