雷が怖いので プレイ11

1話戻る→   目次へ→

 激しくはないけれど的確に性感を煽ってくるキスを受けながら、下着越しに勃起ペニスを弄られる。基本的にはその動きは緩やかで、形を確かめるように撫で擦るばかりだけれど、時折ぎゅっと握って扱くような仕草をしたり、先端から零れる先走りを拭うみたいに指先で抉ってきたりするから、そのたびにガクガクと腰が揺れて膝が笑った。崩れずに済んでいるのは多分いつもより壁が近いせいで、背中は完全に背後の壁に預けきっていた。
「先走りが染みて、布の色が濃くなってるね」
 キスの合間、下を覗き込んだ相手が腹にかかるシャツの裾を捲り上げて、わざわざ確認してくる。言われなくてもわかってる。
「そろそろ直接、弄られたくない?」
 首を横に振りかけて、でも途中で止めてしまった。たとえ嫌だと言ったって、結局こちらがいいって言うまで、下着の上から焦らされ続けるだけなんじゃないかって、思ってしまったからだった。
「それとももっと、いっぱい焦らしてあげようか? お願いだからパンツ脱がせてって、お前がおねだりするまでさ」
 こちらの躊躇いを拾うように、聞いて確かめずとも肯定されてしまい諦める。
「直接、弄って……ください」
「そんな諦めきった顔して言われても、ねぇ?」
 指先が下着のウエスト部を引っ張って、ほんの少しだけずり下げ指を放した。結果、亀頭部だけが下着の中から露出するという、なんともみっともなく恥ずかしい格好にさせられてしまう。
「えっちなカッコ」
 んふっと笑われて、ますます羞恥が募って顔が熱くなる。
「出てるトコだけ、可愛がってあげような」
「ゃあっ、あっ、ぁあっ」
「さきっぽクルクル気持ちぃ? トントンするほうが好き?」
 尿道口の周りで指先が何度も円を描いたり、尿道口に指の腹を押し付けては離す行為を繰り返された。かと思えば、こういうのもあるけどなんて言って、五本の指全部で亀頭を覆うように摘んでそれを先端に向かって滑らせてくる。しかも少しずつ圧や触れ方を変えて繰り返される。
 特に指の腹ではなく、爪の先で擽るようにされると、ゾワゾワに誘われて先走りではない何かが漏れそうになる。というか、トイレに行きたい気がしてくる。
「やっ、それ、や、だぁ」
「キモチイイから嫌だは聞き入れないよって、言わなかったっけ?」
「だって、だって、ダメっ、きもちく、ない、し」
「うん。気持ち良くなるまで、繰り返してやるから」
「やっ、ヤダって、やめて」
 逃げようともがいたらグッと背後の壁に押し付ける力が加わって、逃がすわけ無いだろと少し低い声が囁いてくる。いつもより少し余裕がなさそうなその声に、ときめいている場合じゃないと思いつつも、鼓動が跳ねてしまう。
「嫌だヤメテは聞き入れない。でも、パンツ脱がせてさきっぽ以外も触って弄って、ってお願いなら、聞いてやる」
 どうするなんて聞かれるまでもなかった。
 脱がせてって言ったら最初にズボンを脱がされたときみたいに、また跪かれてゆっくり下着を抜き取られるのかと思ったけれど、さすがに相手もそこまで焦らしてくる気は無いようだ。ただ、あっさり抜き取った下着を、わざわざ目の前にぶら下げてくる意味がわからない。
「なぁ、さっきもチラッと思ったんだけど、もしかしてこれ、俺が初回にお前にあげた下着だったりする?」
「あ、はい」
「マジか」
「だって今日はズボン脱ぐつもりだったから」
「ついでに下着も脱がしてもらうつもりはなかったんじゃないのか?」
「それはそうです、けど。というかあんな適当に渡された下着に、脱がせるために贈ったとか言わない、でしょ?」
「まぁ確かにそういうつもりで渡したわけじゃないけど、そういう知識が一応あって、贈られた下着つけてきた理由って何かある? お前の言い方だと、わざとこれ着てきたんだろ?」
 なんでそんなことを聞かれるのかわからない。下着を見られる予定だったから履いてきたみたいな言い方をしたけれど、実際は、前回だってこの下着をつけていた。だって自分の立場は、バイトとはいえ愛人なんだから。
「だって俺、あなたの愛人、なんですよね? バイトだけど」
「ああ、それで……」
「貰ったものは、あなたの前で、使うべきかなって、思ってました」
 お前律儀すぎじゃね? なんて笑うけど、でも多分、自分の選択は間違ってなかったと思う。口に出していい子と言われたわけじゃないけれど、そう言う時と似た顔を見せている。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイ10

1話戻る→   目次へ→

 ひとしきり笑って、最後に大きく息をつく。はぁあと大きなため息にも似たそれは酷く熱を帯びていた。
 頬から首筋を撫でられるみたいに落ちたその後を、小さなゾワゾワが這っていく。ヒクリと体が震えてしまう。
「お前さ、今日、後三万くらい稼いで帰る気、ねぇか?」
 耳に届く声も、やはり随分と熱が込められていた。こんな声、知らない。
 心臓をキュッと掴まれるような気がしたのは一瞬で、咄嗟に相手の腕の中から逃れようともがいた。
「え……っ」
 あっさり離れていく体を見上げれば、多少の困惑を混ぜながらも優しい顔をしているから、なんだか酷く戸惑ってしまう。いつも通りニヤついた顔を見せてくれていたら、こんなにも動揺することはなかったと思う。
 優しい顔を見せてくれているのだから、もっと安心したって良いはずなのに。なぜか未だ胸の中はざわついて不安定だった。
 戸惑うこちらに相手は仕方がないねとでも言うように、ゆっくりと一つ瞬きしながら、小さく息を吐きだしていく。最後にキュッと口を閉じてわずかに喉を上下させたから、それで何かを飲み込んだらしいのは、わかった。
「ん、じゃあ、今日はここまでにしとくか」
 お前希望の一万円はもう超えてるしと続いた声を慌てて遮る。
「待って。え、なんで、だってさっき……」
 今日まだ続ける気があるなら、ご褒美だって渡すつもりだって言ってくれていた。それは多分きっと、蕩けるみたいに気持ちが良くて優しくて、相手に見惚れてふわっとした幸せに包まれる一瞬をもたらすんだろう。そんなの、欲しいに決まってる。
「一人で練習してきたご褒美が欲しいって?」
 自分からご褒美頂戴と言えずに口ごもったら、察したらしく相手の方で続けてくれた。どっちにしろそれに頷いたら、頂戴と言っているのと変わらないのだけれど。
「三万ほど余計に稼ぐ気があるなら今日渡すけど。でも無理そうだから、今日は給料上乗せだけで、キモチイイご褒美は次回な」
「むり、じゃない、です」
「逃げたくせに何言ってんだ」
「だってなんかビックリして」
 驚いたというのとは少し違う気もするけれど、他にどう言えば良いのかわからなかった。一瞬心臓を掴まれるような気がしたけれど、それが恐怖からだったのかはわからない。だって恐怖するようなナニカがあの言葉の中にあったとは思えない。なぜ咄嗟に逃げ出そうとしたのか、自分でもわかってはいなかった。
「いい判断だと思うけどな。そもそも、三万余計に稼ぐってことの意味とか、俺がなんでここまでにしようって言ったか、お前、ちゃんと理解してんの?」
 言われて必死に考える。簡単に思いつくのは、三万円も上乗せするほどの何か酷い目に合わされるってことだったけれど、じゃあ何でそんな事をされるのかはわからなかった。
 ああでもそうか。あれが酷い目に合わすよって意味だとしたら、怖くなって逃げた可能性も確かにゼロじゃない。言葉の意味を頭で理解するより先に、相手の声の調子やら熱やらから何か不穏なものを感じ取って、体が勝手に逃げたのかもしれない。
「酷いことするって宣言、されてる? もしかして、おしおきまだ、終わってない……とか?」
「酷い目に合わされる、ってのは当たり。でもおしおきとしてじゃねぇよ。ご褒美」
「それ、ご褒美って言わないんじゃ?」
「お前可愛すぎて、このまま続けたらご褒美のつもりがお前追い詰めそうだっつってんの。お前が泣いて、もうこれ以上気持ちぃの嫌だって言っても、この前みたいに終わりにしないで、そのままお前の熱煽って泣かせ続けるくらいは余裕でするぞ」
 最後の方はからかうみたいな口調だった。実際、からかわれているんだろう。そんなことを聞かされて、頷くはずがないと、思っている。
 彼の言葉に従って、今日は終わりにして貰ったほうが、絶対いいのはわかっていた。彼の告げた言葉の危険性はわかっている。でも、自分相手に興奮してくれているらしい相手を、もっと見ていたいと、思ってしまった。
「へぇ……」
 見上げる相手の口端が上がって、感心と驚きとが混ざったような声が漏らされる。ビクッと肩が跳ねて、思わず後ずさった。もちろんすぐ後ろには壁があって、一歩も下がれないのだけれど。
 その壁の、ちょうど頭を挟んだ両側に、相手の手が押し当てられる。ドン、というほどの衝撃はなく動作も比較的ゆっくりだったけれど、逃げる間なんてあるはずもなく、と言うよりは逃げようという衝動が沸く前に、いとも簡単に腕の檻に囲まれてしまった。
 覆いかぶさるように顔が近づいて、ちぅと唇を柔く吸っていく。それだけで全身に痺れるみたいな甘さが広がる気がした。
「迷う余裕があるなら、もっと続けてって、言ってみれば?」
「もっと、続けて……」
 誘われるまま口に出せば、ますます相手の口元の笑みが深くなる。
「どんだけ迂闊で危機感ないんだよ。どんな酷いことされるか、また確かめもせずにそんなこと言って」
「だって、聞いたらきっと、もっと続けてなんて、言えなくなっちゃう」
 迂闊なのも、危険に危険を重ねる真似をしているのもわかっていた。
 酷いことなんてされたくないし、出来れば優しいご褒美だけが欲しいし、恐怖で体が震えて泣きそうにもなっている。それでも、続けての言葉を撤回しようとは思わなかった。
 やっぱり感心と驚きが混ざったような「へぇ」を零した後、再度顔が寄せられる。唇が触れるのに合わせて、相手へ向かって両腕を伸ばした。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイ9

1話戻る→   目次へ→

 なぜそんなにオナニーを見たがるんだろう。聞いてみたら、逆になぜ見せないのか理解しがたいとまで言われてしまった。
 今までの性愛対象は女だけだったと言うなら、彼には一切触らせず、見せるだけで済むことから選べば良かったのにと言うことらしい。
「オナニー見せるだけで一万も払ってやるの、お試しの時か初回くらいだったのに、お前、それ逃したんだぞ?」
「そんなこと言われても、だってそんなの、知りませんもん。だいたい、俺が初回にオッケーしたの、キスだけですよ。オナニー見せろのがどう考えてもハードル高いのに、そんなの選べるわけない」
「キスのがオナニー見せろよりハードル低いと思うところが、お前は本当に迂闊で可愛いよな」
「ソーデスネ」
 ムッとしつつ棒読みで言い放てば、おかしそうに笑われてしまった。
「というか、慣れたら金額下げていくみたいなことは言われましたけど、したことないことでも、初回でやらなかったり出来なかったら下がってくって事なんですか?」
「それは場合によるな。お前はもう俺に気持ち良くイク顔見られてるし、自分から積極的に腰振る真似もしたから、お前が今からオナニーしてみせるって言ってもその分はマイナスする。今後も、お前のペニスを直接見たり、射精する所を見たあとなら、お前のオナニー披露に対する値段はもっと下がってくよ。ちなみにこれ、最初の一回が、なにより抵抗感が強いという前提での話な」
 なるほど、価格設定は適当と言いつつも、一応そういう基準的なものはやはりあるのか。などと考えていたら、うまく俺を騙せって言ったの覚えてるかと問われた。
「あ、はい」
「中には、経験したからこそもう二度と嫌だって思うこともあるよな。そういうのは逆に値段上がってくから、俺に本気で嫌がってるって思わせたらいい。まぁ、俺だってお前が本気かどうかは見抜くつもりだけど」
「それ、絶対だませないやつ」
 無理じゃんと思いながらぼそりと声に出してしまえば、多分お前にゃ無理だなと笑われながら肯定されてしまった。ですよね。
「オナニーに話を戻すけど、もし今後もお前がずっと抵抗し続けて、一人で処理するところを俺に見せないってなら、後は根比べだな。俺はあの手この手でお前がオナニー見せるように仕向けるけど、それをお前が拒否し続けたら、いつか、むりやりお前にやらせるかも知れない。お前が俺に脅されて震えて泣きながら、仕方なく自分で自分を慰める所を俺に見せるってなら、その時は一万どころじゃなく支払うだろうよ」
 見つめられて、少しだけゾクリとした。オナニーに話を戻すと言われたけれど、オナニーに限った話じゃないことは明白で、これは、どんなに拒否してもさせるときはさせると言われているに等しい。
「俺が本心から本気で嫌がってても、させるの?」
「どうだろうな? なんて言って余計な不安を煽っとくのも楽しそうだけど、お前けっこう涙腺ゆるゆるだから、そこはあんま心配しなくていいよ。ただし、本心から本気で、嫌がった場合な」
 本心から本気でを思いっきり強調された。
「まぁ基本的には、出来ると思ったらやらせるよ。てわけで、少しでも高値払ってもらいたいなら、さっさとオナニーするとこ見せな。それとも、頑張って拒否し続けてみるか? と言っても、お前がさっきやろうとしたのなんてほぼほぼオナニー披露だから、このままなら近いうちに、気付いたら自分で自分の勃起ペニス握って扱いてましたって事になりそうだけど」
 それはものすごくありえそうな展開だ。オナニー見せる気なんかなくっても、気付いたらいつの間にかさせられているんだろう。
「それならそれで、いいです。だって頑張って高値で売りつけなくても、思った以上に高値で買ってもらってる」
「なら、わざわざ練習してきたのはなんで?」
「なんで、って、なんですか?」
「俺の腿に勃起ペニス擦り付けてイク、ってのが一つの課題みたいになってるのはわかってるんだよな? だから、さっさと自分から出来るようになったら、短時間でそこそこの報酬が見込めるって思って練習してきたんじゃないのか?」
「は?」
 まったく考えてもいなかったことを言われて呆気にとられてしまえば、相手も釣られたように呆然とした顔になる。
「違うの?」
「いやだから、さっきも言ったじゃないですか」
「さっき? どれだ?」
「俺が頑張ったら、きっと褒めてもらえるんだろうなって、思ったんですよ。まさか、おしおきされる羽目になるなんて、思わないじゃないですか」
「おしおきしたのは手順の問題。じゃなくって、お前……」
 言葉をつまらせた相手が、じわじわとにやけていく。やがて、フハッと息を漏らすように笑いながら、抱きしめられた。
「あー、えらいえらい。一人で練習してきてホントいい子だな。お前、やること可愛すぎっつーか、面白すぎんだけど。あーお前このバイト受けてくれて、ホント、良かったわ」
 結構盛大に笑われながら、グシャグシャと頭を撫で回される。もしかして褒めてくれているのかもしれないが、コレジャナイ感はんぱなかった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイ8

1話戻る→   目次へ→

 ヒクッと喉が引き攣るような息が漏れる。目の奥が痛くなって、そっと俯き、キュッと唇を噛み締めた。
 上手にイケたら、褒めてくれると、思っていた。また蕩けるみたいな顔で笑って、頑張ったねって、よくイケましたって、そう言ってくれるんじゃないかと思っていた。
 それは期待だったのだと、想像と全く違った反応にショックを受けながら、ようやく理解した気がする。
 顔を上げてという声とともに、有無を言わさず顎をとられて上向かせられた。
「またそんな顔をして」
 半泣きの目元を苦笑とともに指先で拭われたけれど、優しくされると余計に泣いてしまいそうだ。というか実際泣いた。
 本格的に泣き出してしまったこちらに、一瞬呆れた顔をされたことさえ、余計に涙を誘う。更にしゃくりあげるこちらを緩く抱きしめ、宥めるように背をトントンと軽く叩いてくれたから、泣き止んだら今日はもう終わりかなと思って、ますます悲しくなってくる。
 初回も、前回も、びっくりするような給料を入れてくれていたから、今日は自分なりに頑張れたらと思っていただけなのに。
 どれほどの時間泣いていたかは分からないが、少なくとも、初日とは比べ物にならないほど長く、彼の腕の中で無言のままあやされ続けていた。しゃくりあげなくなっても、呼吸の乱れがはっきりと落ち着いても、黙って背を叩かれ続けて、さすがにいたたまれない気持ちのほうが大きくなる。
「ごめん、なさい。も、大丈夫」
 告げて自分からそっと相手の体を引き離すように力を込めれば、相手はあっさりと身を離す。本当は自分が身を引ければよかったのだけれど、背後が壁では相手を押しのけるより他なかった。
「いや、俺も悪かった。お前、あんなに迂闊で危なっかしいのに、妙なところが鋭いな」
 そう言って苦笑する。よく意味がわからずじっと相手を見つめてしまったら、ますます苦笑しながら、目が真っ赤と指摘された。そしていたわるみたいなキスを目元に落とされる。
「さっき、もしお前が勝手な判断で脱いでたら、おしおきからスタートだったって言ったの、覚えてるよな?」
「はい」
「つまりそういうことなんだけど。っつったらお前、さっき俺におしおきされたんだって、理解できるか? お前の反応を楽しむための意地悪じゃなくて、明確におしおきだったのを感じ取ったから、お前、泣いたんじゃないのか? 俺に怒られてるって、思ったんだろう?」
「え、と……えっ? いや、そんなの、わかんない」
「やっぱ自覚はないのか。じゃあなんで泣いたの?」
「な、泣いたのは、頑張ったら褒めてもらえると、思ってたのに意地悪されたからで……というか、おしおきって、あれ、おしおきなの。俺、そんなに変なこと、してた?」
「変なことっていうか、お前の勝手な判断で、勝手に腰振って、勝手に気持ち良くイこうとしたろ、って言ってんの。まぁ俺も読みが甘かったよ。自分からズボン脱ぐとか言い出した時に気付いてたら、もうちょいちゃんと、イヤラシク腰振る練習してきたから見てくださいって、先に言えるように誘導してやったんだけどな」
「え、ちょ、ま、待って。待って」
 なんで練習してきたの前提なんだ。というか、さっきは疑問形だったはずで、それに肯定を返した記憶はないのに。
「わざわざ練習してきたお前の努力はちゃんと評価してる。そこは泣く必要ないからな。給料にも上乗せするし、今日まだ続ける気があるなら、ご褒美だって渡すつもりだよ」
「だから待ってって! なんで、練習したって、思うの」
「むしろしてない方がオカシイ動きだったから?」
 何を聞いているんだと言いたげに返されたが、何を言っているんだと言いたい。というかそんなにあからさまに違うものなの?
 このバイトのために、普段しないようなオナニーを必死に頑張って練習してきたのだと、知られていたのがとてつもなく恥ずかしい。
「後で聞けばいいかと思ってたけど、そういや練習って何したの?」
 机? 椅子? ポール? 座布団とか布団丸めた? などと次々上がる候補に、ますます恥ずかしくなるのは、わざわざ抱き枕を買っていたからだ。それは彼の腿を想定できそうな、少し固めの商品だ。
「教えてくれないなら、今言ったの、次回全部揃えておくから、一つずつ目の前で試してもらおうか。あ、それで俺がお前の練習道具当てたら、お前からなんかご褒美出してくれるとかどうよ?」
 言わずに済ませられないかとも思ったが、どうやら逃してくれる気はないらしい。というか放って置いたら次週本気でそれらを実行されそうで、慌てて口を開いた。
「抱き枕、です」
 仕方なく告げれば、今度はそれを次回持ってきて、練習してる所を見せろなどという。もちろん、絶対イヤだとはっきり拒否した。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイ7

1話戻る→   目次へ→

 正直過ぎる自分の体の反応に対する羞恥はもちろんあるが、こちらを観察する彼の視線にも羞恥が募る。顔が熱くなる。
 体ははっきりと興奮を示しているが、それは彼から与えられる刺激に対してというよりも、下着越しとはいえ彼の手に触れられているのだという視覚的な興奮と、これから何をされるのだという、不安と恐怖と期待とがごちゃまぜになったような興奮からだった。
 息をひそめて彼と見つめ合う。視線は外せないままだった。
 そのせいの緊張もあるだろう。与えられる刺激に体は反応していたが、気持ち良くて蕩けて行きそうな快楽は発生していない。
 はしたなく淫らに喘いでしまう事はないけれど、だからこそ戸惑ってもいた。もうズボンは脱がされているのに、これはいつまで、そしてどこまで続けられるのだろう?
「このまま、俺の手で直接握って扱いてやろうか?」
 言葉が耳に届いた瞬間、思いっきり頭を左右に振って拒否を示す。
「ゃ、だ……」
 絞り出した声は掠れた上に殆ど音になってなかったかも知れない。
「嫌がり過ぎ。というよりは怯えてる、のか」
 仕方ないから中身拝見はもう少し待ってあげると苦笑された後、股間に当てられた手が離される。立ち上がり見下ろしてくる相手に、安堵して良いのか迷っていたら、苦笑したままの顔が近づき優しいキスが落ちた。
 宥めるみたいな触れるだけのキスを数度繰り返され、ああやっと前回の復習が開始したのだと認識し、少しばかり体の力が抜ける。それを待っていたとばかりに、少しずつキスが深くなっていく。
 彼の舌を受け入れて、キモチイイを逃さないようにと追いかけた。普段はアレコレ気になってしまって、なかなかずっと目を閉じてはいられないのだけれど、今日はぎゅっと目に力を込めて、意識して瞼を下ろし続ける。与えられるキスに集中し、少しでも多くの快感を拾おうと必死だった。
「ん、っふ、」
 甘えるみたいに声をあげながら、両腕を軽く持ち上げて相手の脇腹あたりの服をきゅっと握りしめる。足腰にゾクゾクとした痺れが走るような、立っているのが辛いほどの快楽には程遠いけれど、そうなってしまってからだと前回の二の舞いになるのはわかっていた。
 少しずつ腰を落としていけば、察したように彼の膝が両足を割ってきたので、そのまま腿に股間を押し当てていく。キスは始まったばかりだけれど、さきほどの興奮は当然残っていたし、自らぐっと押し込む強い刺激に体がわななく。
「ん゛ん゛っっ」
 最初の衝撃をやり過ごした後は、少しずつ腰を揺らめかせていく。どうすればより気持ち良くなれるかを考えながら、だんだんと腰の動きを大きくし、彼の腿に勃起ペニスを擦り付けていった。
「ぁ、っあ、……っはぁ……」
 ちょうどいい強度と速度を見つけ出して、少しずつ息が乱れていく。このまま続けていれば、きっともうすぐ射精できる。
 そう、思っていたのに……
「ははっ、今日はそのままイケそうだな。もしかして練習でもしてきた?」
 真面目だねぇと明らかにからかう口調で告げられて、ハッと息を呑みながら閉じていた瞼を押し上げた。彼の顔は予想していた近さにはなく、完全に観察者の顔でこちらを見下ろしていた。
 いつキスが中断されたのかわからないが、わからないほど夢中になって、自分で腰を振って勃起ペニスを彼の腿に擦り付けていたのかと思うと、とたんに酷く恥ずかしい。
「え……っ、ぁ……っ」
「腰、止まっちゃってるよ。ほら、続けて。俺に、お前がオナニーで気持ち良くイク顔見せて?」
 本当に意地が悪い。確かにやっていることは相手の体を借りたオナニーだけど、そんなことを言われて、わかりましたと続けられるはずがない。
 彼の言葉が掛けられた直後から、体は硬直して動けなくなっていた。動けないのに、もっと刺激が欲しいのと羞恥とが混ざって、ふるふる小刻みに体が震えてしまう。そんなわずかな震えが、股間を揺すって刺激してくるから、体と気持ちを落ち着けることも出来ない。
 酷く中途半端な形で留まるように仕向けたのは、明らかに目の前にいるこの男だった。
 何を言われようと腰を振り続けるくらい昂ってしまうギリギリ手前を狙っていたんだろう。彼の言葉に羞恥し、こちらが躊躇い動けなくなるのを、きっと彼はわかっていた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイ6

1話戻る→   目次へ→

 翌週もまた、同じ時間にバイト先を訪れる。玄関先でいくら稼いで帰るか聞かれて、これまた同じように一万円と返したら、それなら前回の復習でと提案されて受け入れた。
 どんな復習をするか、何が出来れば終了になるかは、言われなかったし聞かなかった。だって多分きっと、彼の目的はわかっている。
 防音室に入って荷物をおろし、先に部屋の奥へと向かっている背中に声をかけた。振り向いた相手は、こちらの緊張に気付いてか少し不思議そうな顔を見せている。
「あの、ズボンだけ、脱ぎたいんですけど」
「ズボンだけ?」
 確かめるように繰り返されて頷いた。
 前回の復習なら今日だってきっと彼の腿に股間を擦り付けイクことを要求されるだろう。そう考えたら、服の布地は薄いほうがいい。
「わかった。いいよ」
「じゃあ、脱いで」
「いや。そのままこっちにおいで」
 脱いでから行きますの言葉は最後まで言わせて貰えなかった。
 言われた通り彼の元へ歩いていき、いつもと同じ壁際に立って目の前に立つ彼を見上げる。それだけでなんだか体の熱が上がる気がして恥ずかしい。ここに立ってキモチイイ事をされるのは、まだ前回と前々回の二度だけだって言うのに、どうやら体が思い出してしまうらしい。
「じゃあまずは、ズボン脱がせて下さい、ってお願いからして貰おうか?」
 そんなこちらの羞恥に構うことなく、彼がニヤリと笑って告げた。
「えっ……」
「勝手に脱がずに、ちゃんと俺に確認できたご褒美に、俺が脱がせてやるって言ってるの」
 こうなるってわかってたら、素直にここへ来たりせず、荷物と一緒にズボンも置いてくればよかった。そう思ってしまった気持ちはダダ漏れだったのか、彼のニヤニヤ笑いが深くなる。
「ちなみに、勝手な判断で脱いできてたら、今日はおしおきからスタートだっただろうな」
 おしおきの内容なんてとてもじゃないが聞く気になれない。小さく諦めの息をついて、口を開いた。
「ズボンだけ、脱がせて下さい」
「おっと、随分そっけないな。俺に服を脱がされるってことを、もう少し意識してくれていいぞ」
「って、脱がす以外の変なこと、しないでくださいよ」
「何言ってんだ。するに決まってんだろ」
 思わず後ずさったが、ほんの一歩で背中は壁に当たってしまう。その一歩を黙って詰めてきた相手が、すっと腰を落として目の前に跪いた。
 カチャカチャと音を立ててベルトを外され、スルッとフロントボタンを開けられ、ジジジとじれったいくらいゆっくりとした音を立てながらファスナーを下げられていく。音を聞かせたいとでも言うのか、彼は一言だってしゃべらないし、それに釣られるのか、こちらもなぜか息を詰めてしまう。
 しかも相手は手先ではなくこちらをじっと見上げていて、どうしたって気になり下げかける頭を必死で背けて彼と目線が合わないようにした。頬に彼の視線が刺さる気がしてなんとも落ち着かない。
 やがてゆっくりと下ろされ、足に布や布を握る彼の手が何度も振れた。肌を擦るそれらに、くすぐったさともどかしさを感じて、うっかりしていると腰が揺れそうになる。それを必死で堪える中、やっと彼の声が掛かって、言われるまま左右の足を交互に上げればようやくズボンが抜かれていく。
 ホッと安堵の息を吐くのと、フッとおかしそうな吐息が下肢の方から漏れたのは、同時だった。ハッとして下肢を見れば、今にも彼の手が股間に触れそうだ。なのに相変わらず彼はこちらを見上げていて、絡んだ視線に体が硬直する。
「ズボン脱がされただけで、もう、こんなに興奮してんのな」
 楽しげに笑って見せながら、股間の膨らみを確かめるように、彼の右手が下着の上からペニスを覆った。その手をユルユルと上下されるだけで、半勃起程度だったペニスはあっという間に大きさを増していく。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁