5章 男同士で好きなんて
【夜の住宅街】
半泣きで隆史から逃げ出したものの、とても自宅へ戻る気にはなれない。
祐希LINE:悟史、今どこにいるの?
悟史LINE:どこって、家にいるけど
祐希LINE:わかった、今から行く
悟史LINE:なんだよ突然
:何かあったのか?
:おーい、祐希?
:ダメだ、携帯見てないな
【悟史の家の前】
祐希LINE:家の前、着いた
:ごめん、携帯見てなくて
悟史LINE:いーよー
:ちょっと待ってろ迎えに行く
数分と経たずに目の前のドアが開き、祐希を見て驚いた悟史に手を引かれるまま、部屋へと連れて行かれる。
悟史:ほら入って
:てかマジで何があった?
祐希:その、隆史に呼び出されて……
悟史:やっぱ隆史か
:で、何言われて泣いたんだよ
祐希:泣いては、ない
悟史:ウソつけ、目ぇ真っ赤だっての
祐希:まだ!泣いてない!
悟史:あーつまり、今から泣く?
:あれ?もしかして泣きに来た?
祐希:そゆこと言うなよっ
悟史:あ、図星?
:ははっ、なんか嬉しいな
:俺のとこ来てくれてありがと
笑われて緊張が緩むと同時に、こらえていた涙がボロリとこぼれ落ちた。
祐希:も、ほんと、ばかぁ……
悟史:胸なら貸すけど?
祐希:そんな、の、要らなっ
悟史:泣きに来といてつれないなぁ
祐希:泣き、きたんじゃ、な、っい
悟史:ん、じゃあほら、ティッシュ
:でもって、そろそろ聞かせて?
:隆史に、いったい何言われた?
祐希:その……
:悟史と付き合うなんて許さない、って
悟史:え、ちょ、待って
:俺と付き合ってくれる気、あるの?
祐希:いや、ちがっ、デートが!
悟史:デート?
祐希:悟史と週末デートするみたいなこと言っちゃって
:これ、お前がデートって言いはるからだぞ!
:止めろって言ってんのに
悟史:あー、うっかり言っちゃったって話か
祐希:で、なんか色々ごまかせなくなって……
:悟史に好きって言われてるってこと、言った
悟史:そしたら俺とデートするなって?
祐希:というより、男同士だぞ!?って驚いてた
:その後、許せないって言ってたから、その、ゴメン……
悟史:いや、謝られる意味がわかんないんだけど
祐希:だってこれから先、きっと悟史も
:隆史に気持ち悪いやつって、思われる
:だから、ゴメン
悟史:え、気持ち悪いって言われたのか?
祐希:直接そう言われたわけじゃないけど
:お、男同士で好きだとか、そんなの気持ち悪いって
:絶対そう、思ってる
:(俺に向かってあんな怒ったの、初めてだった……)
思い返したせいでまた涙が溢れてくる。
涙を拭いながら必死で言葉を続けていく。
祐希:それに俺だってわかってるんだ
:男同士で好きだなんて、頭おかしい
:そんなの気持ち悪いに決まってる、って
:(わかってても、自分が思ってるだけならまだ耐えられたけど)
:(好きな相手にそんな態度見せられるのはやっぱ……)
次々と流れ落ちてしまう涙に俯けば、そっと悟史の腕に抱きしめられる。
体は跳ねてしまったが、黙って受け入れ、跳ね除けることはしなかった。
祐希:(優しい悟史に黙って甘えてる俺って)
:(……ほんと、ずるい)
悟史:なぁ……
祐希:ごめん……
悟史:謝んなくていいけどさ
:でも、聞いておきたいことあるんだけど、いい?
祐希:うん
悟史:俺のことも、頭がおかしくて気持ち悪い奴だと思ってる?
:だから付き合ってくれないの?
祐希:そ、れは……
:(違うって言いたいけど)
:(好きって言ってくれるのに好きになれないの)
:(隆史に似てるからだけじゃないのかも?)
悟史:こんな風に頼ってくるのに、俺じゃダメなの?
:祐希を好きになったせいだ、って言うならさ
:俺はどうしたらいいんだろうな?
祐希:悟史の気持ち知ってて、甘えて……
:甘えるばっかで、本当、ごめん
:こんなの、よくないよな
悟史の腕から抜け出そうともがくが、逆にギュッと抱きしめられてしまう。
祐希:悟史?
悟史:謝られたいわけじゃない
:人を好きになる気持ちに性別なんて関係ないだろ
:気持ち悪いなんて思わないし、思って欲しくないよ
祐希:うん……
:(でもそんな簡単に、変われないよ)
:(俺も、きっと、隆史も……)
悟史:祐希を好きになって、俺は幸せを感じてるよ
:だからこそ、祐希にも俺を好きになって欲しい
祐希:それは、やっぱ俺には難しい、よ
:ごめん、だから、ねぇ悟史
:そろそろ放して欲しいんだけど……
悟史:この幸せを祐希にも教えたてやりたいんだ
祐希:そんなこと言われたって、困る
:っていうか、放せってば!
悟史:隆史の許しなんて必要ないし、何を言われようが俺が守るよ
:だからさ、祐希……
グラリと体が傾いで、気づけば悟史に押し倒されていた。
祐希:え、ちょっ、なにを……
悟史:わかんない?
祐希:わかりたく、ない、かも
悟史:俺にしとけよ
:俺なら祐希泣かせたりしない
:俺の気持ちを利用して、甘えまくればいい
祐希:それは、ダメだろ
悟史:祐希はそう言うけど、でも俺はそれで幸せ感じてる
:だからダメじゃない
祐希:でも……
悟史:好きな子にさ、泣きたいって時に頼られて
:目の前で泣かれて、腕の中でも泣かれたら
:こんなのダメだとか、俺を好きになるの難しいって言われたって
:やっぱ期待はしちゃうもんだよ?
祐希:(それは、そうかも……)
:(ああ俺、ほんと、何やってんだろ)
:(こんなの絶対ダメって思ってんのに)
:(優しい悟史に甘えまくった自業自得じゃん)
悟史:もっと慰めても、いい?
祐希:(ダメって言いたいけど、言えないよ……)
:(ああでも、やっぱ気持ちは受け入れられないし)
:(なんか怖い……)
遠くから慌ただしい足音が近づいてくると、ノックもなく突然部屋の扉が開かれる。
隆史:おい、祐希来てんのかっ
:って何やってんだお前ら!?
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