イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった25

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 待ち合わせた時刻は年末の時と同じだったが、空はまだ充分に明るい。もうすっかり夏だなぁと思いながらも相手の到着を待つこと10分。こちらに気づいて駆け寄ってきた相手は、遅れてごめんと謝った。
「まだ5分前だぞ」
「そうだけど、もっと早く来れるはずだったから」
 待たせたくなくてと言った相手は、その後心配そうに、何かあったって言ってたしと続ける。彼からすれば、約束時間の5分前にここに自分がいること自体が、ことの重大さを意識せずにいられないのかも知れない。
 屋外待ち合わせなら季節関係なく、どこかで時間を潰してギリギリ到着になるように調整するタイプなのは認める。相手の心配を煽ろうと狙ってやったわけじゃないし、無自覚ではあったけれど、確かに、そんな調整をする余裕を失くしてはいるようだ。
「どれくらい待たせた?」
「気にすんなよ。それより行くぞ」
 歩きだしてしまえば、相手も黙ってついてくる。行き先は食事のできる店ではなく、今夜泊まる宿の部屋だ。相手は泊まらないだろうけれど、一応ちゃんとツインの部屋をとってある。
「どういうこと?」
 ホテルに入った辺りからずっと何か言いたげな気配を感じていたが、それでも黙って部屋の中にまでついてきた相手が、部屋のドアが閉まると当時に口を開いた。
「お前に、頼みたいことがあって」
「頼みたいこと? 誰にも聞かれたくない何かヤバい相談ってこと?」
 なにか変なことに巻き込まれてるのかと焦りだす相手は、どうやら何かを誤解している。でもまぁ、そんな誤解も当然かも知れない。
 年末にはホテルの部屋に酔った状態で二人きりになっても手は出されずに帰られているし、相手の中ではもう、自分はそういった対象からは外れたただのオトモダチなのだろうから、ラブホでもない普通のホテルの部屋に連れ込んだところで、エロ目的だなんて思うはずもないんだろう。それに彼女と別れてしまったことだってまだ知らせていないから、相手はいまだこちらを彼女持ちと思い続けているはずだった。
 まずはそこから伝えるか。
「お前のせいで彼女に振られた」
「へ?」
 言いがかりだと言わせるつもりはないし、説明をする気もあるが、取り敢えずで単刀直入に結果だけ伝えれば、相手はなんとも間抜けな顔で口を半開きにしている。イケメン台無しザマァと思うのに、その間抜け面にさえ胸の奥がキュンと疼く気がして鬱陶しい。
「だからお前、俺とセックスしてくれねぇ?」
「は?」
 若干イラっとして、投げやり気味に今日の目的を口に出せば、相手は欠片も想像もしていなかっただろうセリフに目を瞠っている。想定外なのはわかっているが、それでもその反応がどうにも腹立たしくて、零れそうになる舌打ちをどうにか飲み込んだ。
「てか待て待て待て。え、ちょ、なんで!?」
 意味がわからないと苦々しげに吐き出した相手は、ふらふらと部屋の中に進んでいくと、片側のベッドにドサッと腰を下ろして項垂れてしまう。
「「はぁ〜……」」
 二人分の大きなタメ息が重なって部屋に響く。それでも、その一息で、多少は気持ちが落ち着いた。
 相手のせいだけど、相手のせいだけじゃないのもわかっている。
「悪かった。ちゃんと説明する」
「や、待って、ホント、待って」
 八つ当たりじみたことをしてしまった謝罪と、あとは唐突すぎる無茶を言った自覚もあるので、ちゃんと説明しようとしたのに。
 ちょっと思ってた反応と違う。とは思ったものの、相手がこちらの話を聞ける状態にないのは見ていてなんとなくわかっていたので、仕方なく相手の復活を待つことにした。

続きました→

 
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