気がつけばお前のことばかり考えてる → 目隠ししようか からの続きです。
母から、最近なんだか長風呂になったわねと呆れ口調で言われてドキリとしたが、体臭でも気になるの? と続いた言葉にホッとしつつ適当に濁して自室に戻った。
まさか、風呂場オナニーが止められなくて、なんて言えるわけがない。
あの日以降、自分たちの関係は以前通りに戻った。とまでは言えないが、少なくとも妙な避けられ方はされてないし、してもいない。少しばかり、前より直に接触するようなじゃれあいは減ったけれど、概ね良好な友人関係を続けていると思う。
俺相手にエロい事をしたい欲求を満たして、アイツは満足しきったのかもしれない。少なくとも、相手から2回目を誘う様子は皆無だった。だから尚更、あの日扱きあった気持ちよさが忘れられないだとか、もう一度したいだとかは言い出せないでいる。
代わりに、毎晩のように風呂場であの日を思い出しながらの自慰にふける。
目を閉じて、アイツに体を洗われたところから順に思い出す。足の裏やら指の間やらを、石鹸の泡まみれにした自らの手でゆるゆると撫で擦ると、それだけでぞわぞわと背筋を快感が走り抜ける。くすぐったさが全くないわけではないが、それよりも体は的確に快楽を拾う。熱い息がこぼれでる。
自らを焦らすように、足裏や指の間だけでなく、膝裏や足の付根や脇腹へ手を滑らせてみたりもする。あの日は興奮してさっさと互いのナニを握り合ってしまったから、そんなことはされなかったけれど、されていたらきっと足裏と同じように、くすぐったさと快楽を混ぜて盛大に笑い喘いだに違いない。
そんな想像をしながら、果ては胸の先で指先をくるくると回す。小さな乳首がぷくりと立ち上がり、男も意外と胸で感じるのだと、身を持って知ってしまった。
どうにも我慢できないくらいに自らを高めて、それからようやく張り詰めた性器を握って、アイツの手の動きを真似るようにして扱きたてる。さすがに自宅の風呂場でアンアン喘ぐわけにもいかず必死で声を噛むのだが、そんな自分と、あの日必死でこぼれる息を噛んでいたアイツの姿とが重なって、触れた唇を思い出す。
あれはこちらの言葉を封じる意味と、彼自身がこぼす吐息を誤魔化す2つの意味があったようだ。
絡めあう舌のざらつく感触が、あんなにも気持ちが良いのだとは知らなかった。口を塞いでくれる相手がいないことが、なんだかとても寂しい。
最近は、いっそ彼の頼みが「恋人になってくれ」だったら良かったのに、とまで思うようになった。
考えさせてとは言ったけれど、きっとなんだかんだ断ることはしなかったはずだ。恋人ならキスも触り合いも当たり前みたいにするんだろう。そしてもしかしたらその先も。
アイツのケツ穴に突っ込みたいかというと微妙ではあるが、抱かれたいと言われたら躊躇いなく抱けるとは思う。逆に抱かせてと頼まれても、チャレンジはしてもいいくらいのことは思っている。痛いのは嫌だけど、そこで気持よくセックスしてる奴らがいるんだから、気持ち良いならむしろちょっと興味がある。
なんてことをアイツに言ったら、ドン引きされるんだろうか?
「最近、気が付くとお前のことばっか考えてる」
今度は自分が、相手にそのセリフを告げる番なのかもしれない。
レイへの3つの恋のお題:気がつけばお前のことばかり考えてる/目隠ししようか/ずっと忘れない
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