無い物ねだりでままならない17

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 相手のイイところに当たるように腰をふるのは少し難しかったけれど、落ち着いてゆっくり動けば、狙って刺激することも一応ちゃんと出来ているようだ。
 一度イッておいて本当に良かった。一度出してなかったら、きっと自分の快楽ばかりを追いかけてあっさりフィニッシュしていただろう。
 足を抱え続けるのはやはりちょっとキツくて既に下ろしてしまったが、空いた手で、代わりとばかりに先輩の腹や胸を撫でる。
 おへそはくすぐったいと言われて、身を捩って逃げられかけたから慌てて手を離したけれど、胸の尖りはそこそこ感じるみたいで、とくに左右同時に弄られるのがたまらないらしかった。
 色々試した結果、爪の先でカリカリと掻いてやるのが一番反応が大きかったのだけれど、でもこれもしつこく続けすぎたのか、最後は先輩に両腕を取られて止められてしまった。残念。
「無い物ねだりなのわかってるんですけど、先輩の妨害を振り切って、押さえつけて弄り倒せるパワーが欲しいっ」
 掴まれた手はあっさり離されて、その手はまた先輩の胸を嫌がられない程度に揉み撫でているのだけど、その嫌がられない程度を見極めるのが大変で、いっそこちらにもっと力があればと考えてしまう。先輩の体を押さえつけられる筋力を考えるととんでもないマッチョになりそうだから、先輩が小さくなってくれるんでもいいけど。
「んっ、お前、は、自分より体格が優れたものに、押さえつけられて、無理やり気持ちよくされたいと、思うのか?」
 聞き捨てならないと思ったのか、ドMの才能があるぞと告げる先輩の声は、快楽に身を浸している最中とは思えない冷ややかさだ。
「いえ、全く。言い過ぎました、すみません」
 確かに、自分がされる側だったら、そんなの絶対勘弁して欲しい。
「それに、先輩は身体がおっきいからこそ可愛い、みたいなとこありますもんね。ギャップ萌え? みたいな」
 何を言い出してるんだと変な顔をされて、そういや先輩が小さくなるのもいいなと思ったことは口に出していなかった。
 先輩の身体が小さければ〜、なんて、お前が羨ましいと言った先輩に言っていいはずがないので、余計なことを口走らないで良かったと言う他ないし、わざわざ説明する気もないけれど。
「あー、あれですよ。俺は体もちんこも先輩に比べたら小さいですけど、小さいからこそ発揮できる何かがあったらいいなぁ、っていう希望? みたいなもんです」
「もう、充分に、気持ちがいいが?」
「それはまぁ、わかってんですけど」
 言いながら、とろとろと先走りをこぼす先輩のペニスを軽く撫でてやる。触れるとキュッとお尻が締まってこちらも気持ちがいいけれど、まだまだ先輩と繋がっていたいので、それ以上弄るのはやめておく。
「でももっとこう、また俺に抱いて欲しいって思ってもらえるような、何か凄いの、残したいじゃないですか」
 だってもうすぐ卒業してしまうのだし。絶対恋人になってやるつもりでいるけど、一応はまだ、恋人ではないのだし。
「うやむやになってますけど、俺、先輩の恋人になるの、諦めてませんし」
「……そぅ、だったな」
 言われて思い出した、みたいな気まずそうな顔に、ピンとくる。
「もしかして忘れてました? 俺、先輩の中で、もう恋人扱いになってたりします? しますよね? だって今、そんな顔してる」
 そうだと言って、という気持ちを思いっきり出しつつ迫れば、困ったように苦笑する先輩が、そうだなと肯定を返してくる。
「やったぁ!」
 にっこり笑って、再度先輩の両足を抱えあげる。腕だけでなく、つながる腰も使ってぐっと持ち上げるようにしながら前傾していけば、途中で何をしようとしているかわかったんだろう。
 無理な体勢をさせているだろうか。苦しいのか少し顔をしかめながら、それでも先輩自身も上体を持ち上げてくれる。それどころか、最後は、先輩に引き寄せられるようにして唇が触れ合った。
 こうしてキスをしながら、気持ちいいところを責めてイカせてあげられたらいいのに。という脳内イメージから少し大きめに腰を振ったら、ギュッとしがみつかれて嬉しかったんだけど、いかんせん、そのイメージのまま腰を振り続けるパワーが足りない。
「ううっ、もうちょい筋トレします」
 足を下ろして項垂れれば、先輩の大きな手が、慰めるみたいに頭を撫でていった。

続きました→

 
 
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