親父のものだと思ってた16

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 扱いやすく素直な子供を心がけていたって、抱きついたりのベタベタした甘え方をしてなくたって、父親よりもずっと身近に居続けてくれた彼に、甘えてこなかったわけじゃない。彼に甘える方法を自分は知っているし、それは同様に、彼だってこちらを甘やかす方法を知っているってことだ。
 好きな人が甘やかしてくれるってのは多分そう悪い状況じゃないんだけど、でも、いつまでたっても子供だな、なんて思われ続けていたらと思うと気が気じゃない。
 相手が体を任せてもいいと思ってもらえるくらい、頼れる男にならないと。きっといつまで経ってもその体に触れさせて貰えない。
 そんなことを考えて唇をかみしめて居たら、本当に悪いと思っていると、聞こえてきた。俯いていた顔を上げて相手を見れば、わかってるからと言いたげに一度頷かれてしまう。
「俺が提案しようとしたのは、そろそろ、お前に触られても平気かもしれない、って話だったんだ」
「えっ……?」
「自分の体に自信がないって部分はそんな変わってないんだけど、ただまぁ、お前を気持ちよくさせるのにはちょっと自信がついてきたから、お前が俺の体見て萎えてもリカバリー出来そうかな、みたいな?」
「萎えないよ!?」
「まぁ、その言葉も、信じてはいるよ」
 じゃあなんで、と問う前に、トラウマなんだよと言われてしまって口を開けなくなった。
「人にちんちん見られるの、学校行けなくなった原因の一つになってるくらいのトラウマでさ。自信がないっていうか、正直お前が相手でもずっと怖くて」
「は? え? そんなサラッと。てか、え、大丈夫なの?」
 突然の告白に慌ててしまう。そんなのを聞いてしまったら、触っていいよと言われても手が出しにくい。あ、いや、これは性器を見られたくないって話で、触ってもいいけど服は脱がすなってことか?
「大丈夫、だと思ったから言ってる。あと、脱ぐ気もちゃんとあるよ」
「まじ、で。え、ほんと、大丈夫? まじに?」
「ただ自信ないのホントだから、変でも笑わないで」
「変? 形が? って、あっ……」
 包茎ってことか、と察しはしたが、包茎なのかは聞けなかった。
「一応ね、ちゃんと勃起すればそれなりの大きさにはなるんだよ。お前と比べても、そこまで小さいってことはない、と、思う」
「あ、大きさの方?」
 比べてあからさまに小さいってことはないなら、そこまで不安に思わなくてもいいのではと思ったが、相手はゆるく首を振って否定する。
「絶対手術が必要とかではなさそうだし、セックスも出来るっぽいのは調べたんだけど。でも早漏になりがちとか、ちゃんと洗ってるけど衛生面とか気になるかもだし」
「待って待って待って。え、ただの仮性包茎を気にしてるって話? 剥けて洗えるなら何の問題もないだろ? ってか俺だって萎えてるときは皮被ってるよ??」
「えっ?」
「え、まさか知らなかった?」
「だって皮余ったりしてなくない?」
「あ、勃起しても皮余る感じ? いやでも、剥けてるなら問題ないでしょ。てか検索したら日本人の8割包茎とか、普通に出てくるだろ」
 成長過程で、包茎が気になった時期は確かに自分にもあった。でも仮性包茎は何ら問題ない、という認識に落ち着いたし、それを恥じたこともない。
 まぁ、過去に付き合った彼女が、そのへんを一切気にしなかったからというのもあるかも知れないが。もし初めての時に仮性包茎をけなされていたら、自分だって多少はトラウマになった可能性はある。

続きました→

 
 
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