口を覆っていた手もペニスを握っていた手も外され、深い呼吸を繰り返す。そうやって呼吸を整える間、背中やら首の後やらに相手の唇が何度も落とされた。
こそばゆくて、でも相手の興奮の余韻のようなものを分け与えられてるみたいで、嬉しい。振り返ったらやっぱり真顔と対面するのかも知れないけれど、と思ってしまって、ついついクフフと小さな笑いが漏れる。
後ろからされる方が相手の気配が濃くて、相手の表情に惑わされにくくて良いかも知れない。もちろん腕を伸ばして相手の体を抱きしめて、好きの言葉をねだるのだって良いんだけど。なんてことをつらつらと考える間に背に降るキスの雨はやんで、けれど今度は手の平であちこちさわさわと撫でられている。
愛しげに、という単語が頭の隅をチラつくくらいに優しい手付きで、ふわふわとした気持ちよさに包まれる。うっとりと吐き出す息は、満足感に満ちている。それはきっと、相手にも伝わった。
「満足、できた?」
「はい」
「体はどう? 体というか、主に足なんだけど」
「足?」
「結構足に来てそうだったから。おちんちん抜いても、もうちょっとこの体勢、一人で維持できそう?」
お腹の中に出したものをそのままにしておけないでしょと言われて、確かにそうだとは思ったものの、体勢を維持しろの意味がわからなかった。
「足は、大丈夫、だと思います、けど」
なんでと思いながらも取りあえず、ペニスを抜かれたからってそのままお湯の中にくずおれる心配はないと伝えれば、じゃあ抜くねと言われてゆっくり腰が引かれていく。射精して幾分萎えたとはいえ、それでもお腹の中をぬるりと擦られる感覚はあって、小さな快感の波が肌の上を走った。
「ふ、ぅぅ……っっ」
柔らかな刺激に、漏れそうになる甘やかな吐息を噛み殺す中、ペニスの抜け出たアナルにすぐさま相手の指先が押し当てられて息を呑む。ただそれは押さえるように触れているだけで、その指が中に入ってくる様子はない。
「え、あの、何を」
何をされているのかわからなくて戸惑いの声を上げれば、ほんっとうに申し訳ないんだけどと、申し訳無さのこもりまくった声が掛けられた。
「あのね、ちょっとだけここ、自分で押さえてて貰える?」
「えっ?」
「手、離したら、すぐにたれてきちゃうと思うんだよね」
「あ、ああ、はい」
中に出されたものが垂れ落ちてしまわないように押さえている、というのはわかった。わかったけれど、じゃあこれどうすんの? という疑問符で頭の中がいっぱいになる。それでも促されるまま、お尻に手を伸ばした。
「じゃあすぐ戻るから、ちょっとだけ待ってて」
「え、ええっ、あの、どこに?」
「脱衣所からタオル持ってくるだけ」
慌てて声を上げれば、既に足早に脱衣所に向かっているらしい相手から、そんな言葉が飛んできた。そしてその言葉通り、あっという間にフェイスタオル片手に戻ってくる。
「ごめんね。いきなり日の出見ながら抱かれたいとか言われて、さすがに焦って余裕なくしてたみたいで。タオルくらい最初から用意しておくべきだったよね。はい、もう手どけていいよ」
足の間に柔らかなタオルが差し込まれて、でも言われるまま手を退けることが出来なかった。だって、お尻の中に出されたものを、そのタオルの上に吐き出せって意味だとわかってしまった。
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