昔と違うくすぐり合戦

 自分は脇が、幼稚園からの付き合いのそいつは足の裏が特に弱くて、昔から時々、何かの拍子にくすぐり合戦のような事は起きていた。互いにゲラゲラ笑いあうと、喧嘩だったり不機嫌だったりが、なんとも些細なものに思えてどうでも良くなる感じがするからだ。
 けれど中学に入学以降はそんな戯れはグッと減った。相手の体の成長が早くて、体格差が出来てしまったせいだ。
 力で勝てない圧倒的な不利さに、自分から手を出すことは当然無くなったし、押さえ込まれて泣くほど笑わされるのが数回あって本気で怒ったら、相手からも手を出されることがなくなった。
 しかしとうとう自分にも成長期が来た。ぐんぐんと背が伸び、既に殆ど成長の終わっている相手との身長差が、目に見えて縮んでいくのは嬉しくてたまらない。
 嬉しいついでに、相手の部屋に上がり込んで一緒に借りてきた映画を見ている時、隣で胡座をかいて座る相手の足の裏を指先でツツツとなぞってやった。ビクッと大きく体を跳ねて、驚いた顔で勢いよくこちらに振り向いた相手に、ひひっと笑ってみせる。少しムッとした顔で相手の指先が脇腹を突いて、やっぱりツツッとその指先が脇を撫で下ろしていく。
 ゾワゾワっと肌が粟立って、身を竦めながらも、やっぱりひひっと笑いが溢れた。後はもう、懐かしむみたいに互いに相手の弱い場所を狙ってくすぐり合う。
 しかしやはり体の小さかった子供の頃とは違う。ぎゃはぎゃはゲラゲラ全身で笑って、部屋をのたうち回るようなスペースはもうないのだ。バタバタと暴れれば部屋のアチコチに体を打ってしまう。
「あいたっ、ちょ、ひゃっ、待っ、ひゃうっ、おいぃっっ」
 早々に懐かしさのあまり自分から仕掛けたことを後悔し、相手をくすぐる手を緩めて待ったを掛けたのに、相手の手は容赦がなく、こちらの脇を揉むのを止めない。
「ば、っか、も、あふぁ、や、アハっ」
 バカもう止めろと訴えたいのに、まともに言葉なんて出せないし、体格差はかなり縮んだもののやっぱり相手の方が力は強いしでなかなか逃げ出せない。
 またぐったりするまで泣くほど笑わされるのかもと思いながら、それでも必死に身をよじれば、自分を見つめる相手の顔が目に映ってドキリとした。
 こちらもつい先ほどまでは彼をくすぐりまくって居たのだから、上気して赤らむ頬は笑ったせいだとは思う。思うけど、でもなんか、妙に色気があるというか、エロいというか。え、なんだこれ。
 その顔がゆっくりと近づいてきて、音もなく軽く口を塞がれれた後、またゆっくり顔が離れていく。それをぼんやり眺めながら、あ、くすぐり終わってる、という事に気付いて大きく安堵の息を吐いた。
「お前さぁ」
「あ、うん、何?」
「何、じゃなくて。つか、今、何されたか理解出来てる?」
 キスしたんだけど、と言われて、ああ、あれはキスされたのかと理解した途端、ボッと顔が熱くなる気がした。
「なななな、なんで?」
「反応おっそ!」
 つーかさーと呆れた声音の相手が、ぽすんともたれ掛かってくる。
「お前がひゃんひゃん可愛く喘ぐから勃った」
「喘いでねぇよ」
「後お前、自分で気付いてないかもだけど、お前も勃ってっから。ちんぽおっ勃ててひゃんひゃん喘いでクネクネされんの目の前にして、勃起すんなってのは無理」
「はあああああ??」
 何を言っているんだと盛大に驚けば、無言のまま伸びてきた手に、ふにっと股間を揉まれてしまう。
「ひゃぅんっ」
「ほら、今、ぜったい、ひゃんて言ったろ」
 エロ過ぎなんだよと不貞腐れたように言いながら、股間をグニグニ遠慮なく揉みだす手のがよっぽどエロいと思った。

お題提供:https://twitter.com/aza3iba/status/1011589127253315584

 
 
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目隠ししようか

気がつけばお前のことばかり考えてるの続きです。

 さすがにそのままはいどうぞという気にはなれず、シャワーを借りる事にしたら、なぜか一緒に入ることになった。
 体を洗ってやるついでに触って終わりにするというから、ベッドの上であれこれされるよりはマシな気がしてOKした。体を洗ってもらうという理由があったほうが、気分的に受け入れやすいような気がしたからだ。
 もちろん、一人で風呂に入れる年齢になってからは、他人に体を洗われたことはない。
 まずは背中から、たっぷりとボディソープを含ませ泡立てたボディタオルでゴシゴシと擦られるのは、単純に気持ちが良かった。肩から腕にかけてや腿から脛へかけてもも同様に気持ちが良かったが、胸や腹はさすがに擽ったくて笑いを堪えるのが大変だ。手の平や指は全然平気だったが、足の裏や足の指となってくると、もう笑いがこらえられない。
「ちょっ、くすぐってぇ! やめっ、ぅアハっ、あははっおいっっ!」
「もうちょっと」
 風呂椅子に腰掛けた自分の斜め前脇にしゃがみこんだ相手は、片足首をがっちり掴んで持ち上げていて、泡立つタオルをくるくると足裏にすべらせる。
「よーせーって、うはぁっ、……こ、んの、しまいにゃ蹴んぞ」
 風呂の縁にすがりつく格好で締りがないにも程があるが、言いながら掴まれた足をバタバタと振れば、さすがに諦めた様子で手を離された。しかしすぐにもう片足を掴まれる。
「じゃ、反対側」
「えー、もう、足はいいだろ」
「やだよ。めっちゃ楽しい」
 最初で最後なんだからそこは譲れないなと言われれば、今度はこちらが諦めるしかない。ため息を吐いて足を差し出し、さっさと終えろと言ってはみたが、無駄なことは相手を見ればわかる。結局また散々笑わせられる結果になった。
 しかも最後の方はタオルを放り出し、手の平でスルスルと擦られた。ここからが『触る』のメインだなどと言われて、足の指の間に手の指を突っ込んで前後に擦られた日には、笑いとは違った妙な声がこぼれ出た。
「うあッ、…ッん」
「感じた?」
「何言って、ああっ、あっ、っちょっダメ」
 くすぐったさの中に、ぞわりと背筋を這い登るしびれのようなものが混じって、変な声が押さえられない。混乱している間に反対の足も同じように指の間を擦られ、ダメともやめろとも言えなくなって、あッあッと漏れる声だけが風呂場に響く。
「めっちゃチンポ勃ってる」
 ようやく足裏攻撃から開放されると同時に、含み笑いで指摘されたが、言われるまでもなくわかっている。足の裏やら指の間やらを洗われて、こんな状態になるとは正直思っていなかった。
「触っていい?」
 少し上ずった声に相手の興奮を感じて、ゴクリとつばを飲み込んだ。
「い、いーよ」
「目隠し、する?」
「へ? なんで?」
「見えなかったら、女にされてる想像もしやすくね? 俺、しゃべんねーようにするし」
 手のデカさとゴツさは仕方ないにしても、男にされてるとこ見るよりマシじゃないかと提案されたけれど、じゃあ目隠ししようとは思えなかった。
「あー……てか別にいーって。お前に触られる覚悟でここ居るんだし」
「マジか」
「成り行きでいいよって言ったとでも?」
「違うのかよ」
「いや、半分は当たってるけど。でもここまでさせて今更なしも言わねぇって。いいよ。触れよ」
「いや、でも、見られる俺も恥ずかしいっつーか……」
「結局そっちかよ。俺だって握られて擦られたら興奮した恥ずかしい顔晒すんだから、お互い様だろ」
「握られて興奮すんのと、男のナニ握って興奮してんのは違うだろ。つか俺やっぱキモいな」
 眉尻を下げてゴメンと情けない顔を晒すので、仕方ないなと相手の股間に手を伸ばす。互いに裸なので、相手の性器も興奮を示して勃ち上がっていることはわかっていた。
「ったくしょーがねーから俺もお前の握ってしごいてやるわ」
「っえ、っちょっ」
「お互い、握られて興奮してる。ってことでいーだろ」
 ほら早くお前もと急き立てつつ、握った手を軽く上下に動かしてやれば、負けじと伸びてきた手が性器を包む。
 後はもう、衝動のままに手を動かした。
「あっ、ああっ、きもちぃっ」
 さっき笑いながらアンアンしてしまったせいか、握られ擦られ喘ぐことにもあまり抵抗がない。それに比べて、相手はやはり声を上げることに抵抗があるのか、必死でこぼれる息を噛んでいる。
「おまぇ、は? きもちーの?」
 見てわかんだろと言いたげな視線を躱してしつこく繰り返していたら、ぐっと相手の顔が近づいて口を塞がれた。
 触っていいとは言ったがキスしていいとは言ってない。
 なんて野暮なことを言うつもりはなく、自ら舌を差し出した。

続きました→

レイへの3つの恋のお題:気がつけばお前のことばかり考えてる/目隠ししようか/ずっと忘れない

 
 
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