童貞が二人 1

 小さな部屋の真ん中で、成人したばかりとはいえとっくに成長期を終えたそこそこ大柄な男性二人が顔を突き合わせ、二人の間に置かれたゴムとローションとイチジク浣腸を持て余すように見つめる図というのは、なんとも情けないよなと内心思う。
 この後やることはわかってる。知識は一応ある。問題は、どっちがどっちの役をやるかという点だ。
 男同士ではあるけれど、いろいろと紆余曲折あって恋人となったからには、やっぱりセックスだってしてみたい。キスをして、互いの体に触り合って、それだけでも充分に気持ちいいけれど、出来れば好きな人と体を繋げる経験をしてみたい。
 そこまでは互いの気持ちを確認済みだった。二人共がそう思っているなら、これはもう、やるしかないだろう。
 場所は一人暮らし中の相手の家だ。実家から通学圏内の自分と違って、彼は大学近くに下宿している。恋人という関係になる前から、たびたび遊びに来ていた彼の部屋は、割と立地が良い。しかも居心地がいい。思うに、この部屋の存在がなければ、今の関係もなかったかもしれない。
 男二人でラブホという勇気はないので、片方だけでも一人暮らしをしてて本当に良かった。キスも、触りっこも、初めてはこの部屋の中でだった。いやまぁ初めてだけじゃなく、キス以上のことをこの部屋の外でやったことはないけれど。
 だから二人でワーワーギャーギャーマジかよって言いながら方法を調べて、ジャンケンで負けたほうが必要な物を買いに薬局まで行って、でもそこから先が問題だった。
 互いに相手を抱く側になりたいその理由は明白だ。
 童貞に抱かれるなんて怖い。この一言に尽きる。でもお互い童貞だから、相手に強気で出ることも出来なかった。
 自分が傷つくのはもちろん嫌で、でも相手を安心させるだけの材料もない。
「ジャンケン……とか?」
 それで負けたからってちゃんと覚悟が決まるかは甚だ疑問だと思いながらも、このまま二人黙りこんでいても埒があかないと口に出してみた。
「それもありっちゃありだけど、それよりさ、やっぱ上手い方が抱く側になるのが良いと思うんだよな」
「どう判定するんだよそれ」
「そう。俺はそれをずっと考えてた」
 お前、黙ってる間そんなこと考えてたのか。てかそれを言うってことは、何かしら判定方法が見つかったってことなんだろうか。
「それで、結論出たのか?」
「うんまぁ、考えた中で一番良さそうなのはさ、同時に相手のケツ穴弄り合って、先に気持ちよくなったほうが入れられる側。ってのなんだけどどうだろう?」
「っ……」
 かなり想定外の返答に、思わず言葉に詰まってしまった。
「あ、やっぱドン引き?」
 苦笑顔に、うううと唸る。互いに互いのを握って扱き合うのの、アナル弄り版って事らしいが、どうなんだそれ。そんなのってありなの?
「ジャンケンする?」
「ちょっと待って。考えてる」
「俺、お前のそういうとこ、ホント好き」
 へへっと笑った顔が近づいて、軽いキスを一つ奪っていく。
「即バカ言うなって言わないで、一度はちゃんと考えてくれるとこ、好き」
「俺はお前の、その突拍子もない発想が、好きだから」
 口に出したら、なるほどと何故か自分の言葉に納得してしまった。
「ん、じゃあ、取り敢えずそれ、試してみるか」
 言えば相手が嬉しそうに、そして幸せそうに笑ったから、多分これで良かったのだろうと思った。

続きました→

 
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コメント

  • グッとくる設定ありがとうございます。
    しかも2人が可愛いです。

    これは大事な問題ですよね。
    続き、楽しみにしています。

    by 草木 栞 2016年2月29日 11:57 AM

  • 草木栞さん、コメント有難うございます~(^O^)
    これってやっぱ大事な問題ですよね~
    私自身、今の段階で続きを全く考えていないので、結局どっちがどうなるのか書いてみないとわからないんですよね。
    そんなわけで、私自身興味津々に続きを書きたい感じです(^^♪

    by レイ 2016年2月29日 12:22 PM

  • ありそうだなー、と思いながら読みました♪
    準備も済ませて、「いざ! 」となってからの攻防。 男性ならではの悩み?と相手への思いやりがコメディとシリアス混ぜまぜで~~。

    でもお互いが真剣だからこそ、なんでしょうね。 分かる。。
    そして相手の「好きなところ」も(私が。笑)知ることが出来てほのぼのしちゃいました。
    で、リバは、ありですかー?

    by m 2016年3月1日 11:27 PM

  • mさん、いつもコメント有難うございます(^^♪
    必要な物揃えてから、いざって段階で肝心な部分が決まってないなんて、本人たちは大真面目でも、はたから見たらギャグですよね(笑)

    ここの所、恋人になるまでの話が続いてたから、今回はその辺素早く済ませたかったというのもあります。
    互いにどこに惹かれあったのか、ちょっとでも分かってたほうが、後々私自身も書きやすい(目安になる)なと思いまして。

    mさんはリバがお好きなんですね。私も好きです!
    でもこの二人は今回はどっちかが(まだ決めてません)突っ込んで1ラウンド終了した所で終わりかなと思ってます。
    リバップルはリバップルで、また色々とネタ探してみますね~(*^_^*)

    by レイ 2016年3月2日 9:26 AM

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