兄の親友で親友の兄4

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 せっかく恋人になったのだからと、週末はデートと称してあちこち出かけ、もちろんセックスもするみたいな生活を続けたおかげで、相手への情はあっさり湧いてしまった。この頻度で同じ相手に繰り返し抱かれるということの威力を、自分はあまりに知らなすぎた。
 だって想う相手がいるからと恋人もセフレも作らず、たまにどうしても誰かとしたくなって相手を探す、みたいな生活だったのだ。同じ相手に抱かれたことが皆無というわけではないけれど、一番多い相手でも三回程度で、しかもその間隔だってかなり開いていた。
 もともとそれなりに気持ちよくなれていたセックスは、回を増すごとにどんどん気持ちよさが増していく。自分の中に相手を想う気持ちが少しずつ湧いていたとかの精神的な話ではなく、もっと単純に、行為を繰り返すほど相手に自分のイイ所を知られて行くという、言われてみれば当たり前の理由によってだ。
 でもそれだって本当は当たり前なんかじゃない。こちらが気持ちよくなれるようにとあれこれ探して、見つけて、それを覚えていてくれることこそが、なんとも恋人っぽいセックスだと思った。
 しかも繰り返すことで知られていくのはイイ所だけじゃない。抱き潰されたりの無茶はされないのに、彼と会わない間、オナニーする気が起きないくらいにはしっかり搾り取られている、という事に気づいたのはいつ頃だっただろう。
 錯覚を許さないという強い意志を感じるセックスは最初だけだったけれど、互いの名前を呼びあっていればそうそう錯覚も起こさないし、オナニーもしないんじゃ本当に好きな相手を想って気持ちよくなる瞬間が激減だった。というか殆ど無くなった。
 気持ちよくなるのは、彼に抱かれている間だけ。しかも好きだ可愛いと甘やかされまくった上に、今まで経験したことない気持ち良さまで教え込まれたら、もう彼とだけ出来ればいいって気持ちになってしまうのも当然だと思う。きっともう、前みたいに一夜限りの相手では満足できない。
 好きと言われて当たり前のようにこちらからも好きと返すようになって、好きな人に抱いて貰っているという精神的な充足感が更にプラスされた、気持ちよすぎる恋人セックスに浸って気づけば、関係がスタートしてそろそろ二桁月になろうとしている。数ヶ月後には一周年だ。
 そして今更ながら、しばらくっていつまでなんだろう、と思うようになった。そろそろ終わりと言われた時に、嫌だ無理だ捨てないでと縋ってしまいそうな自分が怖い。
 お互いに本命相手が別に居て、でも好きって気持ちがあって恋人になっている、という前提ではあるけれど、実のところ、自分の本命が誰なのか今はもうかなり曖昧だった。というよりも、本当に好きだったはずの相手を想っている時間よりも、彼のことを想っている時間のほうが間違いなく多い。ただそれを認めてしまうのが怖かったし、彼に知られるのも嫌だった。
 だって元々兄が好きで、それでも何人もの相手と恋人関係を持ってきた相手だ。相手の中では、今も変わらず、本命の席に座っているのは兄だろう。
 ほんのりと胸の奥が軋んで痛い。この先、この関係はどうなるんだろう、どうしたらいいんだろう。考えるほどに気持ちが沈むようで、重い息を吐きだした。

続きました→

 
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