雷が怖いので プレイ20

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 リビングの扉をそっと開く。彼の姿はドアの隙間からでも見えるソファにはなかった。
「まだ一時間も経ってないぞ?」
 笑いをこらえるような声が、どう考えても自分に向かって話しかけてくるので、仕方なく大きくドアを開いてリビングの中へ踏み込んだ。少し進めば、テーブルセットの椅子に座り、テーブルに乗せたノートパソコンで何やら作業中の彼と目が合う。彼はやっぱり随分と楽しげな顔をしながら、ノートパソコンの蓋をあっさり閉めた。
「あの……」
「カメラは?」
 こちらが手ぶらなのはすぐに気付いたようだ。でも顔は楽しげなままだから、疑問符をつけて聞いてはいるが、こちらの答えはもうわかっているのかもしれない。
「置いて、来ま、した」
 喉が詰まって言葉が途切れるのは、緊張しているせいだろう。
「どうして?」
「バイト、終わりにしたい、わけじゃない、から、です」
 黙ったまま見つめられて、ますます緊張する。彼の視線はゆっくりと動いて、上から下まで舐めるようにこちらを観察していた。
 やっぱりカメラのレンズとは全然違う。緊張のドキドキと興奮のドキドキが混ざって、少しずつ胸が苦しくなる。息が上がって、顔が熱くなっていく。
「じゃあ、何しに来たか、自分の口で言ってみて?」
 多分もうこちらの意図はわかっているはずだ。だからこれは、指摘して辱めるのではなく、こちらの口からねだらせるというプレイなんだろう。
「あなたを、迎えに、来ました。カメラ、の前に放置、されるプレイ、じゃ、なくて。いつもみたいに、恥ずかしくてキモチイイ、こと、して下さい」
 喋っている間に、少しずつ喉の緊張がほぐれていく。特に、自分から気持ちいいことして下さいと言ってしまった後は、だいぶ楽に言葉が吐き出せた。
「ただ立ってるだけのバイトがしたいとはもう言いません。おしおきも受けます。でも、放置プレイ頑張らずに、あなたを迎えに来たご褒美も、下さい」
 ぶふっと音がして、彼がおかしそうに吹き出したから、ビックリして口を閉じる。
「ごめ、ちょっと待って」
 何がツボだったのか、それから暫く笑われた。
「あー、急に笑って悪かった。つか放置プレイ頑張らなかったご褒美くれって言われるのは、少し、予想外だった」
「だって出ていく時、楽しみに待ってるから頑張るなって」
「うん、言った。言ったけど」
 こっちにおいでと手招かれて、テーブル横まで歩いて近づく。椅子を引いて横向きに座った彼の正面へ立てば、いくら身長差が結構あっても相手を少し見下ろす形になって、つい、前回ズボンをじっくり下ろされた時のことを思い出してしまった。彼に見つめられて少し反応している股間が、更に熱を帯びていく気配がする。
「あそこに立ってるだけで、興奮しちゃった?」
 ちょっと勃ってると言いながら伸ばされた手が、するりと股間を撫でていった。
「こ、れは、今っ」
 慌てて否定の声を上げながら、思わず腰を引きかける。けれどあっさり相手に掴まれて、ぐっと引き寄せる力に従い、さらに一歩分相手との距離を詰める結果になった。
「本当に? 興奮したから、気持ちぃ事して欲しくなって、迎えに来たんじゃないわけ?」
 違うとは否定出来ないけれど、思わず口にした言葉だって嘘じゃない。
 さすがに勃起させたまま迎えに来るのはあまりにも恥ずかしすぎて、しばらく熱を冷ましてから移動した。カメラを置いてきたのは、どっちにしろ五分以上カメラの前から遠ざかっていて、禁止事項は既に破った後だったというのもある。
「それは、でも、収まるの待ってから、来た、し」
 ニヤリと笑われて、うっかり余計なことをバラしたと思ったが、もちろんもう遅すぎる。
「つまり、あそこ立ってるだけでも興奮するし、俺に見つめられるだけでも興奮する、と」
 こうしてるだけでもどんどん興奮していくもんなと断定的に言われて、その言葉通り、股間に熱が集まっていくのを自覚していたから恥ずかしい。
「自分でズボンとパンツ下ろして、勃起ペニス俺に見せつけながら、このはしたない勃起おちんちんにおしおきとご褒美して下さいって、言える?」
「ご褒美、も?」
「そりゃあ、ああ言われてご褒美あげないとかないだろ」
 上手に言えたらおしおきも酷いことはしないよとの言葉が続いて、随分とホッとした。けれど頷いてベルトに手をかけたら、その手をやんわりと掴まれる。
「待って。先に移動しよう。お前の身体すごく素直だから、そのうち、あの部屋に入るだけで勃起するようになるかもだし」
 その言葉に、やっぱりと思いながら聞いてみた。
「もしかしなくても、毎回あの場所に立たせてたのは、それ狙ってました?」
「お前が言い出さなくても、もうちょいしたら一度、放置プレイはしてみるつもりだった。さすがに三回程度じゃ早いかと思ってたけど、一時間も掛からずギブアップだったのは、正直かなり嬉しい誤算かな」
 イヤラシイことが大好きな素直で可愛い体だというその評価は、多分、褒められているようだったけれど、それを喜んで良いのかは微妙だった。というか喜んじゃいけないやつだってわかっているのに、嬉しそうに柔らかな目で見つめられると、胸の中が少し暖かくなって、どこかふわふわした気持ちになる。
「抱いてってやろうか」
「え?」
 じゃあ行くかと立ち上がった彼が、ふと思い立ったようにそんなことを言い出したけれど、ふわつく思考は最初何を言われているかよくわからなかった。
「勃起して歩きにくくない?」
「えっ? と……」
「歩きにくい以前に、おしおきとご褒美に期待しすぎて、それでぼーっとしてる感じか?」
「や、そんな……」
 否定しかけて、いやでもそれもないわけじゃないかもと思ったら、途中で言葉が止まってしまう。
「抱いて連れてって」
 繰り返してという言葉に従い、ほぼ反射的に同じ言葉を繰り返せば、ふわりと体が持ち上がった。

続きました→

 
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