雷が怖いので プレイ23

※ ここからは相手への恋愛感情自覚済みです
22話へ戻る→
   本編20話へ戻る→   最初から読む→

 部屋に一歩入った瞬間に気付いてしまった。ギュッと胸が締め付けられる気がして、グッと奥歯を噛み締める。
 わずかに漂う塩素の香りは、汚れてしまった部屋を片付けた後の残り香だと知っている。それは最近ここで、排泄を伴うようなプレイが行われたということを意味していた。
 自分以外にも、彼がお金を払うなりしてプレイする愛人が居る可能性があることはわかっている。それでも今までは、それがはっきりとわかるような何かを、彼が示すことはなかった。この部屋を別の誰かと使ったとわかるような気配が残されているのは初めてだ。
 どうせならずっと隠し続けて欲しかった。気付かせずに居て欲しかった。そうじゃないならせめて、自分の中で彼への想いが育つ前に、知っておきたかった。
 もっと初期に知っていたら、やっぱり他にも相手が居るんだなと、当たり前なこととして受け入れられたと思う。でもずっと自分以外の影がチラリとも見えなかったせいで、今、バカみたいに動揺している。知りもしない相手に、間違いなく嫉妬している。
 自分ではない相手に、彼がどんなプレイをするのか知りたくて、でも同じくらい知りたくないとも思う。
 だってきっと、自分が拒否してしまうようなプレイを、簡単に受け入れてしまうような相手だったり、自分と違って辱められて痛めつけられて、それに興奮するような相手だったりするんだろう。だってそういうプレイがこなせる相手が別に居るから、彼は自分に対してそこまできついプレイを要求してこないのだと考えるほうが自然だ。
 このバイトを始めてそこそこ経つけれど、一回だって、彼自身が気持ち良く達したことがない。それどころか、彼の性器に触れさせてもらったことすらない。自分ばかりが気持ちよくなって終わりになるのは、ちゃんと別の相手で性欲が発散できているからなんだろう。
 彼に対する想いが育つ前なら、ありがたいと思えたかもしれないけれど、彼を恋愛的に好きだと自覚してしまった今は、そんな彼らを羨ましく思ってしまう気持ちがある。間違いなく自分にも被虐性はありそうだけれど、この部屋の本格さから考えたら、ほとんど何も出来ていないと思うし、今後どこまで応じられるようになるかもわからない。
 彼に抱かれたくて一生懸命にはなっても、何をされても嬉しいと思えるようにはなれないと思うし、彼になら何をされてもいいなんて事は絶対に言えない。そう言えないくらいに、自分はこの部屋に設置された器具類の使用例をアレコレ検索して見つけてしまったし、SMのプレイについてもそれなりにハードな部類まで色々調べてしまった。
 この部屋の本格具合からして、どう考えても彼は、相当きついプレイだって出来てしまうんだろう。そしてこれだけ本格的な部屋を構えている以上、彼自身、それを望む相手さえいればそこまでしたいと考えているはずだ。彼が相手の嗜好に応じたいタイプのサディストで、自分が経験値の低い軽めのマゾヒストだから、大仰なプレイにならないだけだとわかっていた。
 はっきり認めてしまうのが嫌でなるべく考えずに居た現実を、とうとう目の前に突きつけられて、心臓が嫌な感じにバクバクと脈動している。彼と会話をしているはずなのに、何を言われて何を返しているのかわからない。頭の中までそれらの言葉が入ってこない。
 その割になんだかんだ体が動いているのは、いつも通りの慣れた手順で準備を進めているだけだからに過ぎない。彼に少しだけ手伝ってもらいながらお尻の中を綺麗にして、最後に軽くシャワーを浴びる。
 シャワーを浴びながら、少しでも気持ちを切り替えようと頑張った。けれど結局、シャワーブースを出た瞬間にまた感じ取ってしまった残り香に、あっさり意識が捕らわれていく。
「体調が悪いってわけじゃなく、いつまでも心ここにあらずな態度取ってると、おしおきすることになるけどいいのか?」
 それでも一応、先程よりは幾分マシになっているのか、ちゃんと彼の言葉を聞き取ることが出来た。

続きました→

 
萌えたらポチッと応援よろしくお願いします。

1話完結作品/コネタ・短編 続き物/ビガぱら短編/シリーズ物一覧

  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す




Menu

HOME

TOP