雷が怖いので44

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 何よりも彼の心が欲しい。好きだとか恋だとか愛だとか、彼がまだはっきりとは認識できていなくたって、自分にはもう見えている。彼の心のなかに自分の居場所を作って常駐してやりたい。自分のことを考えてくれる時間が一秒でも長くなればいい。
 そんな気持ちを正直に語りながら、だからあなたの心を俺に分けてとお願いし、了承されて彼の心を受け取った印として肌をきつく吸い上げた。
 必死でチュウチュウ吸い付いていたら、頭上から微かに笑うような気配がして恥ずかしい。そっと口を離して顔を上げれば、随分と優しい顔で、まるで愛しいものを見つめる瞳で、彼は自分を見下ろしていた。
「初めてだった? それともわざとか」
 随分おっきくて濃い印を刻んだなと、付いたばかりの赤色を指先で撫でている。キスマークの付け方はわかっていても付けるのは当然初めてで、口を開きすぎた上に吸い付きすぎたのか、確かに随分と大きく色濃い鬱血痕が出来ていた。
「わざとじゃ、ないです。でも、もし初めてじゃなかったとしても、これくらいの付けてたかも」
「うん。嬉しいよ。で、他は?」
 ゆるく首を振ってもう十分だと告げれば、彼はニヤリと見慣れた笑顔を見せる。
「本当に? 今なら俺のペニスをお前専用にだって出来るのに?」
「ぅえぇっっ!?」
 欠片も考えたことのない提案に心底驚いた。
「俺は他の誰かに抱かれるお前や、誰かを抱くお前を見て楽しみたい趣味はないし、俺が居ないところでお前の体を勝手されるのを許す気もないから、ここも、ここも、ここも、今から全部、俺だけ専用になって貰うけど?」
「んぁっ……ぁふ、っ……」
 唇と、ペニスと、更にその奥の窪みとを、順にゆるりとつつかれて、小さく声を零す。
「お前が俺以外の誰かと、触らせたり触ったりのエロいことをしないって約束するのと同時に、俺にもお前以外にはキモチイイことを与えないって、そう誓わせたくないか?」
「そんなことまで、誓って、くれるの?」
「お前に、俺が他の誰かを気持ちよくしてるところを見たいとか、お前にはやらないようなキツいプレイをしてる俺の姿が見てみたいとか、そういった欲求があるなら別だけど。でも多分、ないだろ?」
 ないよな? と重ねて聞かれる理由がわからないと思いながらも、ないとはっきり断言した。
「ない。俺以外とはしないでくれるのが本当なら、凄く嬉しい。あなただけのものになりたいし、俺だけのものにもなって欲しい。というかなんで、俺が俺以外の人とのプレイを見たがるなんて思うの?」
「そりゃ、お前が俺の過去をなんだかんだ色々と聞きたがるからだろ。されたこともしてきたことも、プレイの詳細まではあんま話してないけど、時々もっと知りたそうな顔してる」
「だって、意地悪なこともあるし、散々泣かされてきてこんなこと言うのはおかしいかもだけど、俺には基本的に優しいばっかりだから。でもそれは、俺がそういうのを好きだからってだけで、痛いこととか酷いこととかされたい人には、体に傷を残すことも平気で出来たりするのかなって。前に言われたことはなんでもしたって言ってたし、あなたの所有者は痛くするのが好きなタイプのサディストだって言ってたから、ただ痛めつけるみたいなSMプレイも、その気になれば出来ちゃうんだろうなって。そういうの、考えちゃうから」
 言いながら、ああそうかと納得してしまう。そしてそれはそのまま、ああそっか、と口からこぼれ落ちた。
「だから、あなたのそんな部分を見てみたい気持ちは、確かにある、のかも」
 でも自分以外の誰かとプレイしてるのを見たいなんて気持ちは一切ない。そして自分自身にされるのは、怖すぎて絶対に無理だとも思う。正直消えない傷を付けて欲しい気持ちは強いのに、それを本気で望めないのは、彼が嫌がることよりも痛いのが怖いからという理由のほうが多分大きい。
 前に彼が言っていたように、痛くて怖い許容範囲を少しずつ広げることが可能なら、そうやって痛いばっかりの深い傷を付けられるのを、喜ぶようにしてくれても構わないのだけど。でもそれを彼の方から持ちかけてくることは絶対にないし、いくらキモチイイを混ぜ込みながら褒めてあやしてされたって、少しずつ強い痛みに慣らされるその過程を考えたら、やっぱり自分からそれを望むことは出来そうにない。
「そうだな。確かに出来るよ。詳細は絶対教えないけど、お前に嫌われて恨まれるために、お前が二度と男に抱かれようなんて思わなくなるように、相当エグいプランを考えたくらいには、本気でやろうと思えば人として酷い真似も平気で出来る。でもお前はそういうキツいプレイを、自分がされたいとは思わないだろ?」
「だからって、誰かにしてるのを見たいなんて事は、絶対に思わないから。あなたがまだ俺に見せてない顔を見たい気持ちはあるけど、それは俺へのプレイで見せて。でも痛いのも怖いのも俺にはきっと無理で、だからあなたが隠してくれる顔は、多分俺が知らなくていいものだって、わかってる。俺が大丈夫そうって思ったら、少しずつ見せてくれるんだろうなってことも、知ってる」
「いい子だね。本当に良くわかってる。じゃあ俺のペニスも、お前専用にしような」
 頷いて、どうすればいいのと尋ねれば、まずは口からだなと唇の上へ指先が押し当てられた。
「口を開けて」
 言われるまま従えば、口の中に入ってきた指先がゆるく口内をかき回していく。感じる場所をやはりゆっくり撫でられ掻かれて、ぞわりぞわりともどかしい快感が生まれる。
「気持いいね。そのままたっぷり唾液を溜めなさい。口の中が全部ヌルヌルになったら、ここに俺のペニス入れてあげるから、今触れてる気持ちいいとこに自分で当てて、自分で気持ちよく、なれるね?」
「んっ」
 口を開けたまま小さく頷いた。
「お前が十分気持ちよくなれたら、お前の口の中に出すから、今日はそれを零さず全部ちゃんと飲みなさい。もしこぼしたらそれも綺麗に舐めとって。頑張れる?」
「ふぁい」
 口に彼のものを含んで自分自身が気持ちよくなることも、そうしながら彼のペニスを刺激して吐精に導くことも、吐き出されたものを飲み込むことも、一応は仕込まれ済みだった。彼の吐精に関しては、どこまで自分の技量で導いているのかイマイチわからないけれど。そして吐き出されたものを咽て吐き出してしまわず、綺麗に飲み込むのはまだかなり難しい。
「うん、いい子。ならそろそろ入れてあげるから、俺の情報が詰まった精子たちをお前の中に飲み込んで、俺を、お前のものにして?」
 彼の吐き出すものを、彼の情報が詰まったモノという風に考えたことはなかった。そう言われたらその通りで、それを飲んで彼を自分のものにするのだと言われたら、これはもう一滴たりとも零さず、頑張って飲みきるしか無いなと思った。

続きました→

 
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