雷が怖いので プレイおまけ2

1話戻る→   目次へ→

 移動した防音室で、まず確認されたのは、ちゃんと自宅でも綺麗に洗えているかだった。プラグを外されて、テロっと流れ出てしまうのは、排泄しきれずお腹の奥に残っていたお湯だろう。
「ひぅっっ」
 流れ出る感触も、それが肌を伝う感触も、更には彼の指がそれを掬い取る感触も。全てが恥ずかしさを伴って、ゾワゾワと肌を粟立たせていく。頭を下げてお尻を彼に向かって突き出す格好をしているせいもあるだろうけれど、頭の中が今にも沸騰しそうだ。羞恥と快感と期待とが、グチャグチャに混ざってグラグラと揺れているようだった。
「綺麗だから大丈夫。このまま中も、確かめるよ」
「はい」
 頷くと同時に、つぷりと入り込んだ指先が、そのままずるりと奥まで挿し込まれる。そうして中を探られる。
「ぁ、ぁあっ……ぁんんぅぅっっ」
 ゾワゾワが酷くて、声が抑えられなかった。開始早々ではあるものの、すでにビックリするほど体が敏感になってしまっているらしい。普段と違うことなんて、自宅での洗浄とプラグを装着した状態で外を歩いてきた、ということくらいなのに。
「随分興奮してるな。想像以上の効果があって驚いてる。けど、でもまぁこれは、体調もあるかな」
 いつも以上に中が熱くてトロトロになってると言いながら、容赦なくかき回されて、声も我慢できないし息も上がっていく。
「あ、あっ、ああっ」
「苦しいか?」
 返事を待つ気なんて最初からなかったようで、あっアッと喘ぐだけしか出来なかったのに、埋められていた指が抜けていった。
「よし。家でもちゃんと綺麗に洗えてる。興奮しちゃってしんどそうだし、そこのベッドに横になってな」
 体勢を保てなくて崩れてしまったらおしおきって言われるのはわかっていたし、感じすぎて膝なんてとっくにプルプル震えていたし、こんな時は泣いてもう無理と懇願するか、耐えきれなくなって崩れ落ちるまで弄り倒される可能性が高かったから、体勢を保ちなさいとおしおきをチラつかされることすらないまま、あっさり開放されたのは意外な気もする。ただ、意外だったけど、興奮しすぎてしんどいのは事実で、さっさと横になってていいと言われたのは正直ありがたかった。
 ベットカバーのツルリとした感触が、火照った肌に気持ちが良い。なのに過敏になりすぎた肌は、それだけでゾワゾワとしたものが走って、ぷつぷつと肌が粟立ってしまう。吐き出す息もいやに熱くて、いくらなんでも興奮しすぎだと、思わず小さな笑いが溢れてしまった。
「どうした?」
 少し離れた所で何かを準備している相手にも、その小さな笑い声は聞こえたらしい。ベッドに横になった後は、ずっと相手の背を追いかけるように見つめてせいで、ちらりとこちらを振り向いた相手と目があった。
「なんでも……あ、いや、ちょっと、なんか今日、興奮しすぎって思ったら、つい」
 なんでもないですと誤魔化そうとして、でもすぐに思い直して正直に告げた。別に隠すようなことじゃないし、せっかくこっちを振り向いてくれたから、少しでも何か話していたかったのかもしれない。
「興奮してテンションまで上がってんの?」
「あー……そう、かも?」
「今の状態でそんだけ感じまくってたら、今日はどんだけ気持ちよくなれるんだろって、期待、してる?」
「えっ……えー……」
 さすがに期待してますってはっきり返すのを躊躇って濁せば、相手はおかしそうに少し目を細めて、それからまた手元の方に顔を戻してしまった。ちょっと残念。と思ったのも束の間、すぐに準備を終えたらしい相手が、何かを手に戻ってくる。
 最近はキャスター付きのスチール製棚に、その日使われるだろう玩具類や拘束具やタオル類や水分補給用のペットボトルなどが並べられていることが多いのだけど、戻ってきた彼がその棚に新たに置いたのは、小さな錠剤が入った小さな瓶と、見慣れないチューブ状の何かだった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

雷が怖いので プレイおまけ1

プレイ29話へ戻る→   目次へ→

 前回バイトの終わりに、そろそろバイト前に自宅で洗浄することを覚えようかと言われて、了承した。その少し前から、自宅でどの程度の洗浄が可能そうか聞かれていたし、自宅の狭い三点ユニットバスの写真を撮ってきて見せたりもしたし、そろそろそう言われるのだとわかっていた。
 必要なものは当然全部彼から支給されたし、それらを使って体の中を綺麗にする。自宅では初めてでも、作業そのものはもう随分と慣れている。
 最後に、渡されていた小さなプラグを自分で嵌めて、いつも通りの時間に家を出た。
 プラグを入れて過ごす、という経験は何度かあるものの、でもその状態で外を歩いたことはない。小さな小さなプラグで、さして違和感が強いというものでもないのに、家を出た瞬間から酷くそれを意識した。たびたびアナルをキュッと引き絞って、そこに普段はないものが確かに存在していることを確認してしまう。
 そんな自分の、ほぼ無意識とも言える体の反応が恥ずかしい。この後すぐに会えるとは言え、彼が居ない所で、勝手に期待を高める体が恥ずかしい。土曜のまだ日が高い時間の、しかも自宅に近い場所の路上を歩きながら、頭の中をイヤラシイことで埋め尽くしている事実が恥ずかしい。
 ペニスも既に緩く勃起してしまっているから、ゆったりとして裾が長めのパーカーを羽織ってきたのは正解だ。けれど、いつもと同じ時間に家を出たのは失敗だったと思う。もう少し、早く家を出ればよかった。
 羞恥と興奮が混ざって、なんだか酷くぼんやりする。どこかふわふわと浮ついた足取りになっているのを、頭の中に僅かに残った冷静な部分が認識できているのが、逆になんとも心もとない。出来れば走って、さっさと彼の家に飛び込みたいのに、とても走れそうにはなかった。
 なんとかたどり着いてチャイムを押した後、へたり込みそうな体をドア横の壁に預けてしまおうかと思った所で、あっさりドアが開かれる。
 ドアの内側から顔を覗かせた相手と目があって、慌てて傾いでいた体を起こして踏ん張った。
「ぁんっ……」
 またキュッとアナルを締めてしまって、思わず零した吐息の甘さが恥ずかしい。羞恥と興奮にまみれながら歩いてきたのは事実だけれど、さすがに、こんな声を零しつつ歩いてきたわけじゃない。多少息が荒かった程度だと思う。だから思わずこんな吐息をあふれさせてしまったのは、どう考えたって明らかに、彼の顔を見て気が緩んだせいだった。
「あ、あの、あの、……遅くなって、すみま、せん」
 羞恥に顔を熱くしながら、少し驚いた様子を見せている相手に、まずは約束の時間に辿り着けなかったことを詫びる。
「いや、それはいいよ」
 こちらを労るような優しい声だった。もう、驚いた様子も消えている。
「お前の顔見たら、理由は、聞かなくてもわかるから」
 今度は笑いをこらえるような顔を見せている彼は、随分と機嫌が良さそうだった。その理由は、こちらも聞かなくてもわかる。どうせ誰も気づきやしないとわかっていても、洗浄したお尻にプラグを入れてお日様の下を歩くという行為に、こんなに羞恥を煽られると思ってなかった。自分はもちろん、きっと相手も。
 早く入っておいでの言葉に従い開かれたドアの中に入れば、その場で軽いキスが幾つか落ちて、頭を撫でられて、ちゃんと一人で洗浄してからバイトに来れたことを褒められる。頑張ったねって言われた後に、今後も自宅での洗浄が続けられそうかと聞かれたら、今後も頑張ります、頑張れますって答えていた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

久々にお題箱にログインしました(雑記)

お題箱に投稿があったら通知がくるはずだったので、随分と放置していたのですが、今日、久々にログインしたら投稿が3件も来ていました。
しかも昨年の11月に……
雷が怖いのでのプレイを書いていた時期で、こういうのも読みたいって感じのリクエストと、後は完結後の日付で本編の感想とプレイをこれから読みます(楽しみ)って報告を頂いてました。
今まで全く気付かず、本当に本当にすみませんでした。

リクエストの、
・ 風邪っぴきの受けくんが体調悪いの隠してバイト頑張る話
・ 2人で子供っぽい口調を使わせてえっち
は後日書かせていただきますが、最低一度は読み直さないとならないのと、そこからネタを練るのに、少々お時間いただきそうです。
気づくまでにこんなにも待たせてしまいましたし、なるべく急ぎます。頑張ります!

感想も、本編を何度も読むほど楽しんで貰えてて、本当に嬉しかったです。プレイも楽しんで貰えてたら良いなと思います。感想送ってくださって、どうもありがとうございました!

 

3件も来てて1件も通知なかったのはなんでなんだと疑問いっぱいですが、今後はもう少し頻繁にログインもしていきたいと思います。

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

ダブルの部屋を予約しました3(終)

1話戻る→   最初から読む→

 多分消極的というよりは、もの凄く優しくて、かなり相手へ気を遣うタイプなんだと思う。気を遣いすぎてタイミングを逃したり、相手を気遣って強引にことを運んだりは決してしないけれど、でもわかりやすく踏み込んで欲しい気持ちを見せれば、躊躇わずにちゃんと踏み込んできてくれる。じゃなければ自分たちは、恋人なんて関係になれたはずがない。
 ただ、はっきりと示したこちらの好意に、優しい気遣いで応じてくれているのではと、疑う気持ちはないわけじゃなかった。他に恋人が居たわけじゃないから、こちらの精一杯の誘いに、乗ってくれたんだろうと思う。
 だからこそ、相手の苦手とするだろうことを押し付けてはいけないし、彼がこの気持ちに応じてくれたことを、酒の席で盛り上がるだけのネタだった旅行をこうして実現してくれたことがどんなに嬉しいかを、自分からもしっかり伝えたいと思っているのに。恋人になってくれてありがとうって気持ちを、こんなに好きだって気持ちを、この旅行でもっと伝えたいと思っているのに。そして彼にも、恋人になって良かったって、少しでも思って欲しいのに。
 初っ端からチェックインを代わってもらって、落ちた気持ちを慰められて、そういう所が本当に好きだし、それが嬉しくてたまらないのに、こんなこと続けたらすぐに愛想を尽かされるって不安がつきまとう。
「まだ不安そうだなぁ。あー、じゃあ、俺の話をしようか。ダブルの部屋予約したって聞いた時、ツインの部屋にチェンジしたほうが良いんじゃないかって、言わなかったろ? だからもし変な目で見られるような事があっても、それはお前だけのせいじゃないから。旅行に浮かれて思わずダブルの部屋取ったってなら、俺は、それが嬉しい」
 大丈夫だよと言いたげに、そっと伸ばされた手がふわりと頬に当てられて、それからゆっくりと、何かを伺うように顔が近づいてくる。了承を告げるように瞼を下ろして、軽く触れるだけのキスを受け取ってから、自分も勇気を出して相手に手を伸ばした。
 ぎゅっと抱きつけば、すぐさま相手もしっかり抱き返してくれる。
「好き。大好き。すぐ不安になってごめん。なのにいっぱい慰めてくれてありがとう。そういうとこ、ホント、好き。旅行も本当に楽しみで、浮かれすぎてこんな部屋取っちゃったけど、ホントに嫌じゃない? 俺に気を遣ってダブル嫌だって言わなかっただけじゃないよね?」
「嫌じゃないよ。旅行中毎晩一緒に寝れるなんて、最高だろ?」
「うん。最高。だから、もし誰かにちょっとくらい変な目で見られたって、全然平気」
 こんな風にギュッと抱きしめられながら寝たり出来るのかなって考えると、気持ちがフワフワしてしまう。でも、抱きしめて寝てくれる? なんて聞くのはさすがに出来なくて、代わりに手を繋いで寝て欲しいなと、少し控えめに言ってみた。
「えっ、手?」
 しかし、あまりに驚かれて焦る。
「え、えっと、ダメだった?」
「いやいやいや。ダメじゃないけど、手繋ぐだけでいいの、っつーか」
「あ、ああ、あと、抱っこ? 抱っこして寝てくれたりも、したり、するの?」
 慌てすぎて何やら口から零す単語がオカシイ。オカシイのは単語だけじゃないけど。
 それは相手も思ったようで、抱っことか可愛すぎかよなんて呟きを拾ってしまったものだから、顔が熱くなっていく。
「あ、のさ。あちこち行きたいとこあるのわかってるし、無理させるつもりないけど、一応、もうちょいエロいこともする想定で準備してきてるから。その、どの程度までならしていいか、少し、考えてみて欲しい、かも」
「あ、ああああ、うん、あー、うん。そう、だね。だよね」
 男同士でダブルの部屋を予約する意味に、チェックイン直前まで思い至らないようなポンコツな頭は、恋人との初めての旅行で、自分からダブルベッドの部屋を予約するって意味も、どうやら全くわかっていなかったようだ。
 とはいえ、相手がそういうことを期待して準備してきたなんて聞いてしまったら、しないなんて選択肢はないに等しいけれど。

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

ダブルの部屋を予約しました2

1話戻る→

※ 視点が予約を入れた側に変わっています

 意気込んでダブルの部屋を申込んだことを後悔したのは、チェックインのときだった。フロントで名前を告げて鍵を受け取らなければならないのに、この二人がダブルの部屋にと思われることを、思いっきり躊躇してしまった。男二人でダブルの部屋を予約したことを、咎められたりしないかって、不安になってしまった。
 そんなこちらの躊躇いに気づいたのか、お前はロビーの椅子で待ってなよと言い残して、恋人が一人でフロントへ向かっていく。酷く安堵しながらも、言われるまま彼任せにしてただただ待っている自分が、かなり情けなくて泣きそうだった。
 せっかく誘ってもらったのだから、この旅行ではもう少し、自分からもちゃんと動こうって、そう決めてきたはずなのに。彼の方が自分に比べたら少しだけ積極的というだけで、彼だって相手をグイグイ引っ張っていくのが得意なタイプじゃないと知っているのだから、その彼におんぶにだっこでアレコレして貰っていたら、早々に相手が疲れて愛想を尽かされるのなんて目に見えている。
 あっさりと鍵を受け取って戻ってきた彼は、どうやらすぐさまこちらの沈んでしまった気持ちに気づいたようだけれど、どうしたのと聞いてきたのは部屋に入ってある程度落ち着いてからだった。
「さっきはゴメン。この部屋予約入れたの俺なのに、チェックインしてくれて、ありがとう。あの、何も、言われなかった?」
「何も、ってどんな事を? 食事についてとか簡単な案内はされたけど、そんなの定形の説明だろ?」
 どうやら相手は、こちらが何を不安に思ってあの時足を止めてしまったのかまでは、気づいていないらしい。
「えっ……と、その、男二人でダブルの部屋取ってて、変に思われてなさそうだった?」
「あー……いや別に。変な目で見られた感じはなかったけど、俺、そういうとこは鈍いから。気にしてたのそれなら、俺がチェックインで正解だろ」
 大丈夫だよと言ってくれるけれど、そう言ってくれるからこそ、申し訳ない気持ちが膨らんでしまう。
「ほんと、ゴメン。なんでダブルの部屋なんて予約入れちゃったんだろ。男二人でダブルなんて、普通に考えたら、絶対おかしいってわかるのに。浮かれてダブルの部屋なんて取ったの、ちょっと、後悔してる」
「ちょっと待て。サイト経由で予約してんだから、男二人で利用するってのは事前にここだって知ってたはずだろ? 男二人でダブル利用がダメだってなら、事前になんだかんだ理由つけて断ってくるか、ツインの部屋を使ってくれって提案があってもいいはずだ。何も言われてないし、俺が鈍いだけとしたって変な目で見られてる感じもなかったから、意外と男二人でダブルの部屋使う客も居るのかもしれないだろ。だからおかしいって決めつけるのはやめないか?」
 一生懸命こちらの沈んだ気持ちを晴らそうと言い募ってくれるのが嬉しい。そう言われれば、確かにそうだなって思えるし、あまり気にすることではないのかもしれない。
 自分たちは好みや興味の対象が割と近くて、互いに相手の懐にガンガン入り込むような図々しさがない安心感があって、似た者同士だから惹かれ合った部分は確かに多い。それは彼自身も認めている。
 でも自分が彼に惹かれるのは、似た者同士という安心感などではなかった。惹かれているのは、同じように消極的でありながら、自分とは違って物事を前向きに捕らえる、彼の明るく朗らかな性格だ。つまり、似た者同士でありながらも間逆な部分にこそ、惹かれている。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

ダブルの部屋を予約しました1

 恋人という関係になる前から、いつか一緒に行きたいね、という話はしていた。どうせ行くならせめて3泊はしたいし、出来ることなら一週間くらい滞在して、その地をあちこち巡りたい。
 なんて話に花を咲かせていたものの、互いに仕事があってそれぞれ繁忙期も違うので、なかなか実現することはなかった。半分くらいは酒の席での社交辞令というか、お互いそこまで本気で言ってるわけじゃないと思っていたのもあると思う。
 どっちも我が強いわけではないというか、互いに、もし相手が本気で誘ってきたら考えてもいい、程度に思っていた節はあると思う。相手か自分のどちらかがもっと強引に、スケジュールを調整するよう促し具体的に予定を立ててしまえば、もっと早くに、友人同士の旅行としてその地を訪れていた可能性は高そうだ。
 ただ、酒を飲みながらいつか行きたいという夢をだらだらと語るだけでも、それはそれで楽しかったし、同じものが好きだったり興味を持っていたりする相手への好意が育つのは簡単だった。恋人になってから聞いて知ったが、それは相手も同じだったらしい。
 自分たちは、多分、かなり似ている。
 何度となく、いつか一緒に行きたいと口にしていた旅行を本気で誘えなかった、かなり積極性に欠ける自分たちが、好意を晒して恋人になりませんかと誘えるはずはもちろんなかった。
 たとえばどちらかが女性だったら、もう少し話は別だったかもしれない。いつか一緒に行きたい、なんて話をノリノリでされるだけで、はなから恋愛対象として見てしまっていた可能性が高いし、男としてもう少し積極性を出すことを考えていただろうとも思う。まぁ、なに勘違いしてるのと笑われるのは怖いから、相当慎重に見極めるための時間を必要としただろうし、男女だったらもっと簡単に恋人になれたはずだ、なんてことは全く思っていないけれど。
 むしろ、男同士だったからこそ、積極性のない二人でもなんとか恋人になれたんじゃないか、という気がしないこともない。結局のところ、自分たちが恋人になれたのは、酒による失態という面が大きい。もしどちらかが女性なら、お互い、深酒をしての失態なんて晒さなかったはずだ。
 あの日彼は、育った好意が漏れ出ないように必死で気持ちを押さえ込みつつお酒を飲んでいたようで、珍しく悪酔いして吐いてしまった。これは相手の方がこちらより酒に弱かったと言うだけで、体質的にもっと飲めるタイプだったなら、吐いたのは自分の方だっただろう。つまり自分も相当、その時点で酔っていた。気持ちを押さえ込んで飲んでいたのは、こちらも同じだった。
 そんな酒で鈍りきった判断力により、その後自分たちは目についたラブホでご休憩し、それが結局ご宿泊になって、結果、翌朝には彼と恋人となっていた。
 ただし、一欠片だってあの日のことに後悔はない。育った好意を持て余すほど、いつの間にかこんなにも好きになっていた相手と、恋人になれて嬉しくないはずがない。
 ただまぁ、自分の消極性を情けなく思う気持ちはあるし、せっかく恋人になったのだから、もう少し積極性を出したほうがいいんじゃないかって、考えても居た。
 だから、今度こそ一緒に旅行をという話を本気で実現しようと思って、どうにか休みを調整できないかと、相手に話を持ちかけた。相手さえ休みが取れたら、こちらは何が何でも休みをもぎ取る気でいた。
 話はトントン拍子に纏まって、めちゃくちゃ喜んでくれた相手に、随分とホッとしたのは一週間ほど前になる。
 日程が決まったので、後は宿泊先のホテルをどこにするかとか、何を使ってその場所へ行くかなどを相談していたのだが、ホテルの予約は自分がと言ってくれた相手に、ありがたいと思う反面、ほんの少し違和感というか、珍しいなと思ったのは確かだ。宿の予約程度で、なんだか随分と意気込んでいるように思えたからだ。
 普段利用しているサイトのポイントだとか、そういう関連かとも思って、そこまで気にしてはいなかったのだけれど、彼が意気込んでいた理由は、もしかしてこれだろうか。
 手元の携帯には、予定していた宿の予約が済んだという連絡と共に、部屋はダブルで申し込みましたという一文が添えられている。
 決定事項だ。
 ダブルしか部屋が空いてなかった結果だとしたら、その前段階で、ダブルでもいいですかと聞いてくるはずだから、これは間違いなく彼自身の選択だと思う。
 たしかに自分たちは恋人で、恋人になってまだまだ日は浅いものの、既に数回、体の関係を持っても居る。だから特別ツインに拘る必要はないし、ダブルベッドで一緒に寝るのは構わない。構わないんだけど。
 この部屋の選択に、旅先でセックスしようという誘いが本当に含まれているのかどうか、皆目見当がつかない。
「いや、これ、お前、あちこち巡ろうって話、どうすんだよ……」
 もし体を繋げるような行為をしてしまったら、経験上、翌日あちこち巡れる元気はきっとない。
 思わず零した独り言が、静かな部屋に落ちて消えた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁