罰ゲーム後・先輩受10

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 相手の子に泣かれでもしたかと聞けば、一週間くらい泣かれましたと返ってきて、さすがに良くわからない。中学生で初めて同士だったなら、相手が十分に感じられる前に挿入しようとして痛がられたのではと思ったけれど、まさか一週間連続でチャレンジして、失敗し続けたなんてことがあるだろうか?
「えっと……」
 相手のトラウマになってるっぽい過去の行為を聞いていいのか迷う。もし自分が過去の彼女との行為の詳細を聞かれても、それを彼に教えはしないだろう。
 それでも、抱えているものの詳細をもう少し知りたかった。なので、前カノとの事だろうし無理に答えなくてもいいんだけどと前置いてから言葉を続ける。
「一週間も泣かれた原因がセックスの失敗だったの? 挿れようとして、相手に痛いって泣かれた……って感じでは、ない?」
「初めて同士だったんで、痛いのはある程度向こうも了承済みで、痛がってたけど止めて欲しいとは言われなかったんすよね」
 でも痛そうな相手に興奮とか全く出来なくてと苦笑するので、それは別に恥ずべきことじゃないだろと思う。
「いやそれ、痛がる相手に興奮するほうがヤバくない?」
「でも俺、焦っちゃったんすよ。このままだとイくまえに萎えそうって思って。痛そうだから無理したくないってちゃんと言って、途中で止めれば良かったんだって、それはあとから気づいたことで、その時は俺、せっかく頑張って受け入れてくれたのに、イケなかったら悪いって思っちゃったんすよね」
 それで相手の体を強引に揺すってしまったらしい。もうちょっと正確に言うなら、力任せにガツガツと腰を振ってしまったようだ。
 中学のどの時期の話かは知らないが、もし既に、体格もペニスも今と同じくらいだったなら、相手の子は肉体的にも精神的にもさぞ怖い思いをしただろう。というか前に大きけりゃいいってもんじゃないと言っていたから、多分、既に今と同じサイズがあったと思って良さそうだ。さすがに相手の子に同情した。
「処女としたら出血する、くらいの知識は俺にもあったんすけど、どれくらいの量とかそれがどれくらい続くとかは全くわかってなくて、なんとかイッて抜いた後、その出血量にまずビビって、それから一週間くらい相手の出血止まんなくて、でも親に相談なんて出来ないし、病院だってそんなの行けっこないって言われて、泣かれて、責められて、」
「ああ、うん。わかった。もういいよ。思い出させてゴメン」
 まだ続きそうだった相手の言葉を、少し強引に遮った。だってなんだか泣き出しそうだ。 
 出血が止まらず不安な相手に一週間も泣かれて責められ続けたのがトラウマになっているなら、抱く側でもセックスするのは怖いと言った相手の言葉にも頷ける。
 初めて同士で、きっと十分に潤っていない状態だっただろう。そんな場所を、あの大きさのペニスで強引に擦りあげたなら、怪我をさせていてもおかしくない。だからこそ、一週間程度で出血が止まったのなら、むしろ運が良かったとも言える気がする。
「お前がセックス怖い理由はだいたいわかった。ならもし、絶対怪我させない、痛い思いもさせないセックスなら、する気になる?」
「それ、本気で言ってんすか?」
「本気だけど」
「男同士って、使うの尻の穴っすよね。女の子以上に、痛くないとか無理じゃないっすか」
「その穴使ってやってる奴らが居て、気持ちよくなれてるんだから大丈夫だろ。たっぷりローション使ってゆっくり慣らして拡げていったらいいんだよ」
 可能かどうかを考えているようだけれど、眉間に力を込めた渋い表情からは、色好い返事は期待できそうにない。
「傷つけるのが怖いだけで、尻の穴に突っ込むのが気持ち悪い、てわけじゃないんだよな?」
「それは、そうす、けど」
「俺が自分で弄って、お前の入っても絶対大丈夫ってくらいに拡げたら、チャレンジくらいはしてくれる?」
「は? えっ?」
「もしくは、俺にお前の尻の穴弄らせて。絶対痛くしないし傷つけたりしない。お前が気持ちよくなれるまで、根気よく慣らして拡げてあげる。突っ込まないセックス慣れてるから、途中で我慢できなくなって無理に突っ込んじゃったりは絶対しないよ。約束する」
「ちょ、待って。待って、下さい」
 慌てる相手にわかったと返して暫く口を閉じて待てば、やがて混乱が落ち着いたのか、おずおずと相手が口を開いた。
「えと、つまり、先輩はやっぱり繋がるセックスがしてみたい、てことすよね」
「そうだね。したい。お前がセックスしたくない理由聞いたら、余計したくなっちゃった、かも」
 余計にしたくなったなんて言ったせいかびっくりされたので、繋がるセックスの気持ちよさをお前にも教えてあげたいよと、出来るだけ甘やかに囁いてやる。
「まるで知ってるみたいな言い方っすけど、先輩、童貞じゃないんすか?」
「は?」
 いぶかしげに問われた内容に驚きすぎて、すぐには意味のある言葉を返すことは出来なかった。

続きました→

 
 
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罰ゲーム後・先輩受9

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 少し思い詰めたような顔で、セックスするのが怖いんですと告げられたのは、七月最後の土曜の夜だった。
 恋人ごっこからごっこが外れた所で男同士の気安さはやはりあったし、絶対に先輩のほうが甘えたがりで構って欲しがりと指摘された通り、相手の好意が重いとかわずらわしいなんて思ったことは一度もなくて、でもちゃんと恋人として大事にされていることも伝わっていたから、彼の隣はあまりに居心地が良すぎた。このまま相手に甘えることに慣れきって、想いを育ててしまったら、性的な意味でもっと彼が欲しくなるのは避けられないような気がする。子供が出来る心配のない男同士なら、突っ込むセックスだってありだと、一度でも思ってしまったのは大きいかも知れない。
 だから、当初の予定ではもっと頻繁に夕飯を作りに来てと甘える気でいた夏休みを、一人寂しく過ごしている。というのは嘘で、さっさと夏期講習で気が合いそうな友人を作り、授業後も塾が閉まるギリギリまで自習室を利用した。そうすることで、昼食はもとより夕食も塾内もしくはその近辺で新しい友人たちと摂ることが出来るし、帰宅だって必然的に遅くなる。それは恋人を家に呼んでイチャイチャする時間なんてものはまるでない生活だ。
 講習に申込んだ直後、授業そのものは普段の彼の部活終了時刻とそう変わらないと言っていたせいで、夜にはバイトを入れずに居てくれた恋人には悪いと思いながらも、夏期講習が始まってすぐに、自習室を最大限利用したいから夏休み中の平日はほとんど会えそうにないと言ってしまった。
 避けている、という自覚はないわけではなかった。でももちろん、突っ込まれるのも突っ込むのもナシで、こちらがしたいと言ったら別れると言い切った相手に、繋がるセックスができないなんて物足りないと思ったわけじゃない。さすがにまだ、そこまではっきり欲求が湧いているわけじゃない。でもそんな欲求が湧いてしまわないように、少し距離を置いたほうがいいだろうとは確かに思っていた。
 なぜ距離を起きたいのかきっちりと説明せずにそんなことをしたら、彼がどう思うかなんてわかりきっていたのに。繋がるような行為は無理だと言われて思いの外ショックを受けてしまったから、少しくらい彼も傷つけばいいと思って説明を省いたのだとしたら、間違いなく恋人に向かないクズな男だと思う。ほとんど無意識ではあったけれど、そんなものはなんの言い訳にもならないことはわかっていた。
 夏休み最初の週末は、相手もまだ様子見だったんだろう。途中中断後初の触れ合いだったけれど、こちらからそのことには一切触れなかったし、相手も触れては来なくて、つまり互いに極力今まで通りに過ごした。でも更に一週間、簡単なメッセージのやりとりだけで過ごした間に、相手も色々と思うことがあったらしい。
 先週同様、今まで通りを半ば演じるような時間を過ごした後、ベッドに誘ったら相手はゆるく首を振って拒否を示した。話し合いをしましょうと続いた声の冷たさに血の気が引いていく。胸が締め付けられて息苦しい。
 それを見ていた相手は、少し困ったように、先輩が好きなんですと言った。
「先輩は? 俺を、好きですか?」
 もちろん即座に好きだと返せば、繋がるセックスがしたいくらいに? と質問が重ねられる。
「しなくていい。お前と、恋人でいたい」
「じゃなくて。したいかしたくないかの話っす」
 抜きあうだけじゃ物足りなくなってませんかと聞かれて、お前じゃ物足りないって態度を長く続けられたら彼が耐えられないのだと、はっきり忠告されていたことを思い出す。
「まさかこれ、別れ話?」
「違います。先輩が好きだって、言ったばかりっすよ。それより、どうなんすか?」
 したいかしたくないかを再度問われて、興味はあると正直に返した。
「でもどうしてもしたいってほどの欲求はまだない。ただ、今後そうならないとは限らないから、これ以上お前にメロメロしてくのはマズいかもとは思ってる。ちょうど夏休みだし、お前に甘えきった生活を少し改善しようと思ってもいる。それをちゃんと説明せずに、勝手にお前と距離おいたのは、本当に、ゴメン」
「男同士なら子供出来ないから、突っ込んで気持ちよくなりたい、てのとは違うんすよね?」
「もちろん違う」
「俺が好きだから、俺と繋がるセックスをしてみたい。繋がれるなら、どっちが抱く側でも構わない。ってことで、いいんすか?」
「いいよ。抱かれるのは絶対無理でも、抱く側なら出来るってなら、俺が抱かれる側になる」
「怖くないんすか?」
「お前に抱かれること? 別に怖くなんてないけど」
 だって抜き合うだけとは言え既にその肌を知っている。欲に任せて襲いかかられるなんて全く思えないし、乱暴な扱いだってされないと思う。むしろ色々気遣いながら優しく抱いてもらえそうな気さえする。
 まぁ童貞ではないと言っても経験は少なそうだし、男同士なんて互いに初めてなのだからそもそも問題なく繋がれるかがわからないし、相手はともかく抱かれるこちらはそう簡単に気持ち良くなれないだろうなとも思うけれど。
 でもやっぱりそこに、怖いなんて要素はない。
「俺は、セックスするの、怖いっす。抱かれるのはもちろんですけど、俺が、抱く側でも」
 どこか思い詰めた表情に、ああ、なるほど、と思う。中学生時代に既に経験したというセックスで、何かしらトラウマを抱えるような失敗をしたらしい。

続きました→

 
 
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罰ゲーム後・先輩受8

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 裸で潜り込んだベッドの中、キスを繰り返しながら互いに相手の勃起ペニスを刺激し合う。
 吐き出すタイミングはなるべく合わせたいけれど、相手の興奮を煽りまくって先にイかせる満足感や、逆に先にイかされてしまう場合の抗いきれない快感に飲み込まれる恍惚感も知っているから、そこまで同時に達することにこだわってはいない。だからもうイキたいと訴えた相手の期待を裏切るように、刺激を与えていた手の動きをピタリと止めてしまうなんて意地悪をするのは初めてだった。
「せんぱい……?」
 あと少しで気持ち良く吐き出せるところを突然阻害された相手は、驚きと苦痛を混ぜ込みながら戸惑っている。
「ねぇ、お前にとってこれって、やっぱセックスではない感じ?」
「は?」
「俺にとってはこの時間も十分恋人とのセックスなんだけど」
「知ってます。てか、誰かに何か言われたんすか?」
 噂を気にするとか珍しいと言われたので、噂じゃなくて友人から心配されただけと返した。
「お前、俺とはセックスしてないって、先輩たちに言ってんの? 事実と違うことを認めたり言ったりした時は知らせてって、言ったよね?」
 でもこれはセックスじゃないって認識なら、セックスしてないという主張こそが彼にとっての事実だ。ただこちらがセックスという認識だと知っているのだから、彼自身がセックスと扱わないのであれば、それも知らせておいてもらわないと困る。
「あー……俺に突っ込むのは絶対ナシってのを先輩がオッケーしたから告白した、てのは言ったっすね」
 告白した日の部活の時にと続けたあと、だからセックスしてないとは言ってない、と訴えた相手の声は申し訳無さそうだった。
「そ、っか。ゴメン。それは確かにお前は事実しか言ってないな」
 自分たちの恋人関係が、突っ込むのはナシな関係だというのをそんな初期に明言してたとは知らなかったが、男同士で恋人になってもそこまで下世話な噂があまりたってないのはそのせいかとも思う。誰も知らせてこないだけで、下衆な勘ぐりで聞くに堪えない系の噂もあるんだろうと思っていた。いや実際どうなのかという部分は不明なままだけれど。
 あとちょっとの所を留めてしまったのを詫びるように、止めていた手をゆるりと動かした。
 落ちた興奮を再度煽ろうとキスを仕掛けていけば、今度は相手がそれを押しとどめる。唇が触れる前にスッと頭を引いて、同時にペニスを弄る手も掴まれ動きを止められてしまう。おかげで、こちらのペニスも放り出されてしまった。
「待って下さい。何、言われたんすか。てか何を心配されたんすか」
 今日反応イマイチなのそのせいですよねと言われて、反論ができない。触ってと言ってベッドに誘い込んだのはこちらなのに、相手の興奮を煽る事ばかり必死になっていた。相手に触れたくてたまらない時は触らせてと誘うし、触ってと誘う時は興奮しきって相手に快楽をねだってしまうことも多いから、いつもと違う様子にオカシイと思うのは当たり前だ。
「お前、俺がお前に本気でメロメロっぽいっての、あいつに聞いて確かめたりした?」
「しました」
「あいつそれ、肯定してたろ?」
「もしかしたら俺より先輩のが本気になってきてるかも、なんてことまで言ってたっすけど、さすがにそれは言いすぎっすよね」
 何も知らずに好き勝手噂する見知らぬ他人の言葉と、友人としてそこそこの付き合いがある第三者の目線からの言葉は違う。当事者に見えていないものが見えている場合もあるだろう。今回の場合で言えば、後輩の本気とこちらの本気度合いは、当初と逆転してしまったように見えているようだ。しかも随分と短期間で。
 もちろん、最初っからこちらこそが本気で、後輩を誑かしてマジ惚れさせて告白までさせたのだというイメージを強めたいこちらの意図に、まんまと嵌ってくれているという見方もできるけれど。でもその辺りもなんとなくわかっててなお、こちらの方が本気になってきてると言われたような気もしている。実際、そういう自覚が自分自身にもあるから、余計にそう思ってしまうのかもしれない。
「俺も言われた。俺のほうが本気になってきてるっぽいって。で、そんな本気で今後もセックス無しで大丈夫なのかって心配されたけど、俺はセックスしてるつもりだし、お前が先輩らにそんなことまで話してるって聞いてなかったから、動揺はしたかな」
「それ、なんて返したんすか?」
「それって?」
「セックス無しで大丈夫かって部分」
「言えないからノーコメントで。って言ったら変なこと聞いてゴメンって謝られて終わりだよ」
 それを聞いた相手は、なんとも言えない表情で思い悩んでいる。
「どうした? お前もあいつに、もっと何か言われた?」
 ああきっと、何か言われている。しかもこちらに伝えるのを迷うような何かを。
 言うかを躊躇う様子の相手に、なるべく柔らかな声が響くようにと意識しながら聞かせてと伝えれば、躊躇いは残したままでそれでも口を開いた。
「先輩が今後もっと本気になって、突っ込みたいって言い出したらどーする? って」
「で、なんて答えたの?」
「俺が振られて終わります、て言ったら、爆笑されましたけど」
 その時を思い出したのか、眉間にしわを寄せている。
「言わないよ。そういう約束だから。お前に突っ込むより、お前と恋人してたいよ」
 大丈夫って気持ちを込めて甘やかに囁いたのに、相手の表情が緩むことはなかった。
「逆も、ないっすよね?」
 こわごわと尋ねられる言葉の意味がわからず、小さく首を傾げてしまう。
「突っ込んで、とも言わないで、欲しい、です」
 なるほど。男同士なら逆だって考えるべきだった。
 突っ込んでも子供が出来る心配はないという部分で、繋がり合うセックスをしてみたい興味は確かにある。抱いていいって言われたら喜んで抱くだろうとも思っていた。でも自分が抱かれる側になるという発想はしたことがなかった。出来るかどうかで言えば、出来ないことはないような気もする。この後輩相手なら、喜んで受け入れてしまうかもしれない。
 でもこの様子だと、抱きたいと言ってくれることはないんだろう。
「突っ込んでって言われたらどーする? とも聞かれたの?」
「はい」
「その場合もお前が振られて終わりになるの?」
「はい」
 躊躇うことなく肯定されて、思いの外胸が痛んだ。
「俺がお前と繋がりたいほどお前を好きになったとしたら、その場合はお前が振られるんじゃなくて、俺が振られるんだよ」
 心の底が冷えるような気がして、ペニスはもう完全に萎えている。
 ごめんと謝って、初めて、抜きあうために触れ合ったのを途中で中断した。

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罰ゲーム後・先輩受7

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 夏休みを目前に控えた授業の合間の休憩時間に、友人たちと夏休みの予定を話す。長期休暇中だってやっぱり一人で食事をするのは極力避けたいし、たとえ恋人が居たとしても連日一緒に過ごすなんてさすがに無理だし相手を束縛しすぎだと思うので、友人たちとの予定も積極的に入れていく方針だ。
 ただ今年は受験もあるので、既に夏期講習の予定がびっちりめに入ってもいる。それを知った後輩は部の練習がない時はバイトをすると言っていたから、実際、夏休みだからと一緒に過ごす時間が増える可能性は少なかった。むしろ減りそうな気配が濃厚だ。
 平日も家に連れ帰るようになった件はもちろん友人たちも知っているから、夏休み中は完全に一緒に暮らしだすのかと思ってたとからかい半分に言われたけれど、いくら相手が男でも週末以外は今後も泊める気ないと返せば、今度は本気で驚かれた。
「なんで、って、あんまあいつが居る事に慣れたくないから?」
 あいつが居ないと安眠できない。なんて状態になったら二学期から生活できなくなると続けてやれば、ゾッコンすぎると爆笑された。
 かなり盛ってはいるけど、可能性としてなくはないような気もしてる。
「ほら俺、あいつにメロメロだからねぇ」
 どうせ何言ったって好き勝手解釈して噂されるのだから、仲の良さを見せつけておけばいい。
 それに、クラスメイトの前で大々的な告白を受け入れるという形でスタートしてしまったけれど、自分のほうが相手に執着していると思われていた方が、相手の今後にとっては多少マシなのではと思いはじめてもいた。自分と交際した過去が、彼にとってほんの少しでもプラスになってくれたらいいのにと、そう願ってしまう気持ちがある。
 自分のことはどう噂されたっていいと思っているのは今まで通りだけれど、自分のせいで恋人があれこれ言われるのが嫌だなと思う感覚はなかなかに新鮮だった。自分の交際をネタ扱いされるようになってからは、自分も告白してくる女の子たちも、わかっていて付き合っていたというのが大きいかもしれない。
 やはり罰ゲームさえ無ければ後輩みたいなタイプから告白されることはなかっただろう気持ちが強いんだろう。罰ゲーム中にたぶらかしたのは事実で、恋人本人がいくら納得済みで覚悟済みと繰り返したって、どうにも巻き込んだ負い目が降りかかる。
 告白は向こうからでも、こちらが頼み込んで一緒に居て貰ってるってイメージが定着するくらい、自分こそが相手に執着していると思われたいのかもしれない。とうとう男でも良くなったたちの悪い先輩にロックオンされた可哀想な後輩、というイメージを周りに植え付けたいのかもしれない。
 噂なんてどうでもいいと思っていたのに。それは不思議な感覚でもあった。
 もちろんその友人たちの中には、彼を最初の罰ゲームに巻き込んだ張本人も居たけれど、彼はなんだか渋い顔をしている。お前だって思ったよりメロメロっぽいとか言って笑ってたくせに。
 その彼から一応確認だけどというメッセージが入ったのは夜だった。後輩が帰宅した後を狙ったようなタイミングだった。
 ゲスなこと聞くから答えられないなら無視していいと前置いて、夏休み中に関係進展とかは考えてないのかと聞かれて首を傾げる。
 どういう意味かと返信すれば、お前の方が思った以上に本気っぽくなってきたけど、今後もセックスは無しってスタンスで大丈夫なのかという心配をされてビックリした。バスケ部の先輩相手に、自分たちの関係がどの程度まで進んでいるか話したなんて報告は、一切されていなかったからだ。
 突っ込んでないけどセックスはしてる。と言いたい気持ちはないわけではないけれど、さすがにこれを返信は出来ない。言えばセックスの定義から説明する羽目になりそうだし、突っ込んでないものをセックスと認識しないタイプだったら更に面倒くさい。そもそも彼がどんな風にその話をしたのか詳細を一切知らないのも問題だし、友人に恋人とのリアル性事情を聞かせたくない気持ちもある。抜きあうだけでも間違いなく恋人としてのふれあいで、男同士盛り上がってうっかり互いに抜きあった、みたいなものとは明らかに違う。もちろんそれだって、ネタとして笑い話に出来るタイプもいれば隠し切るタイプだっているだろう。そして自分はネタとしてでも友人にそういった話題を提供出来るタイプじゃない。
 正直に、話せないからノーコメントでと返せば、相手はあっさりわかったと引き下がり、変なこと聞いて悪かったという謝罪が返された。

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罰ゲーム後・先輩受6

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 翌週月曜、相手の部活が終わるのを待たずに帰ったら、火曜日にはもう、あまりうまく行ってないらしいなんて噂が流れたらしいから笑うしかない。
 真相を聞かて事実を話すこともないわけではないが、自分の噂にほとんど興味がないのはそれなりに周知されてもいたから、わざわざ聞きに来られる事はほとんど無く、噂はやっぱり恋人である後輩から耳にした。正直に、買い物と夕飯の下ごしらえをして貰うことになったからだと話してしまったけれど、本当にそれを言って良かったかどうかを確認されたからだ。
 噂に関しては、事実と違うことを言ったり肯定した時には知らせて欲しいけれど、後はどう扱ってもいいし、相手するのが面倒ならそういうのは先輩に聞いてと言って逃げとけと言ってあった。それでも時々こうして、認めてしまった事実について報告してくることがある。今回は相当驚かれてしまったらしく、少々不安になったらしい。
「先輩って、俺にメロメロなんすか?」
 驚いた相手に、そんな指摘をされたようだ。まさか後輩の男相手にここまでメロメロになるとは思わなかったとかなんとか。
 それ友人にも指摘されたなと思いながら、ふはっと息を吐き出すように笑った。恋人にメロメロって、校内で流行ってんだろうか?
 恋人のために、一人でスーパーに買い物へ行ったりキッチンに立つという姿が、今までの自分からはイメージできないんだろうことはわかる。平日に恋人を家に引き入れることも今まではほとんどなかったのも大きいかもしれない。
 つまり、そこまでしてやりたくなるほど、この後輩が特別なんだって思われてしまうんだろう。
 こいつにメロメロを否定する気はない。可愛くて仕方がないと思っているし、少しでも長く恋人関係が続けばいいとも思っている。
 でも特別だからあれこれしてやるわけじゃない。先に買い物して出来る範囲で夕飯の用意をするのは、自分自身の欲求を手早く確実に満たすために必要だからしているだけだ。
「うん。メロメロ」
「まったく本気っぽくないすね」
「俺がお前を置いて先に帰るのは、お前といちゃいちゃチュッチュする時間作るためにだよ?」
「でもそれ、相手が俺じゃなくてもやるっすよね?」
「やらないよ?」
 それは女の子が相手なら家じゃなくてもいちゃいちゃチュッチュ出来るからで、必要になればやるだろうと指摘されてしまい、そこまで言われてしまえばその通りと認めるしか無かった。
「結局、俺が男で、先輩にとって初めての同性の恋人だから、先輩からの扱いが違って見えるてだけなんすよね」
 呆れ混じりの吐息をこぼすが、今までの彼女たちとたいして変わらないのに、と思っているならそれはそれで正しい認識とはいえないかもしれない。
 この後輩を手放したくない、振られたくないという気持ちは、告白されたから取り敢えず付き合ったという彼女たちに感じていた思いより、間違いなく強かった。振られたらまた暫く寂しいフリー期間になる、という以上の喪失感を味わうのがわかりきっていて恐れている。
 それに恋人が可愛くて仕方がないって気持ちだって、久々に思い出して浮かれ気味な自覚があった。
「それはどうかな。多分、ちゃんと本気でお前にメロメロしてるよ。それに俺を長く見てきた友人も、思ったよりお前に本気でメロメロになってるみたいだって言ってたし」
「ホントすか?」
 疑わしそうな目を向けられたので、小さく苦笑しながら指摘してきた友人が誰かを教えてやった。彼にとっても部活の先輩なのだから、気になるなら自分で確かめたらいい。

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罰ゲーム後・先輩受5

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 玄関を施錠した直後、さっさと奥のリビングへ向かっている数歩先の後輩へ手を伸ばした。
 チョンと指先が触れただけで振り向いた相手に、キスさせてと告げながら短な距離を詰めていく。掴んだ手首を軽く引いたが素直に引き寄せられることはなく、驚いたらしい相手が身を固めてしまったので、それならばと逆に廊下の壁へ追い込んだ。
「えっ、……」
 驚き戸惑う相手を壁に押し付けるようにして、顎を捉えて唇を塞ぐ。呆けて緩んだ唇の隙間へ舌を差し込めば、応じる気になった様子で口が開かれ相手の舌が伸びてくる。それを絡め取って吸い上げて甘噛んでやれば、んっ、と甘やかな音が漏れ聞こえた。
 スキンシップの補給なんてつもりは毛頭なく、めいっぱい感じさせるつもりで繰り返すキスに、相手は応じつつもかなり困惑しているらしい。こんな性急さを見せるのは初めてだから、当然の反応だろう。むしろ嫌がって逃げられるかもと思っていたので、困惑しつつもキスを受け続けている事に、胸の中の愛しさが膨らんだ。
「っは、カワイすぎ」
 思ったままを口からこぼしながら、Tシャツの裾から手を忍ばせる。直接触れた手の平の下、腹筋がビクッとわななくのを楽しんでから、ゆるりと肌を撫で上げた。
 もちろんキスは続けたままだが、指先に意識を向ける分、あまり深くは探らずチュッチュと軽く吸い上げ啄むものが多くなる。顔を離す時間も多くなって、相手と視線が絡むことも増えた。やはり戸惑いと困惑を滲ませた表情をしているけれど、嫌がり耐える様子はないので安心しながら、相手の戸惑いも困惑も丸呑みして封殺するような気持ちでニコリと笑ってやった。
 あまり胸は感じないとわかっているけれど、弄ればきちんと反応して、小さいながらもふっくら尖って存在を主張してくるし、繰り返せばいずれ胸でも感じるようになるかもしれない。物理的な快感を得られるようになるか、胸を弄られるというその行為に興奮できるようになるか、どちらだっていいけれど、そうなったら嬉しいだろうなと思うだけで自分自身も興奮していく。
 乳首が固くなってきた所で、ベロリとシャツを捲り上げた。舌を出して、舐められることを意識させるようにゆっくりと頭を寄せていけば、胸の先へ舌先が触れるより随分と早く、胸と頭との間に差し込まれた相手の左手がそのまま額に押し当てられる。
 押しのけてくるほど強い力は掛からないものの、結構しっかり阻まれてそれ以上頭を寄せることは出来なかった。
「それ以上はダメっす」
 熱に浮かされたような掠れた声が興奮を煽るのに、その内容はきっぱりはっきり拒絶だったし、譲らない意思も見えている。
「なんでダメ?」
 無理強いする気はないので素直に頭を上げながら、未練混じりに問いかけた。相手だってそれなりに興奮できているようなのだから、このままここで抜きあったってさして問題はなさそうなのに。
「制汗剤掛けまくってるんで、多分マズいっすよ。あと、やっぱイロイロ汚い。暑い。食材痛みそう。が理由、すね」
「んんんんっ」
 思わず唸った。確かに日中暑い日も多くなって、閉め切っていた家の中は北向きの玄関さえもムンムンと蒸し暑い。
 よほどあれこれ買い込まない限りは買い物袋は全て相手が持ち帰るのが定着しているが、キスで翻弄されている間も落とすことなく持ち続けたその袋の中に、要冷蔵品がいくつも入っていることは自分だってわかってはいるけれど。何もこんな暑い中で盛らなくたって、冷房効かせてシャワーを浴びて、それからゆっくり触れ合うだけの時間があることもわかっているけれど。
 思いの外冷静ですねと思ったら、残念な気持ちとともにこちらの興奮も流れ落ちていくようだった。
「あー……そういうのは興奮と気持ちよさで頭沸騰させて、忘れてても良い事項じゃない?」
 そう言いながらも、続ける気はないから安心してというように、相手を追い越してリビングへ向かって歩きだす。ついでに相手が持ったままのスーパーの袋を、奪うように取り上げてやった。
「逆に、なんでそんなエロスイッチ入ってんのかわかんねーんすけど」
 慌てて追ってきた相手が、再度手の中のスーパーの袋を奪っていく。別にたいした意味があってやったわけではないから、大人しく手を離して食材たちは彼の手に委ねた。
 代わりに、拗ねたふりで口を尖らせて見せる。
「だってお前が可愛くおねだりしてくれるって言ったから」
「は?」
「お前が可愛く俺に甘えてくれるの、夜までなんて到底待てない。ずっと、夜どころか家までだって待ちたくないなー今すぐ引き寄せて抱きしめてチューしたいなーって思ってたの。それを理性で押さえ込んでたのが、家の中入ったらはじけ飛んだよね」
「ちょ、変にハードル上げてくるの止めてくださいよ。その期待に応えられるほど可愛く甘えるのとか多分無理なんで」
「大丈夫。お前が思ってるより、お前ずっと可愛いからね?」
 言えば、可愛い顔して何言ってんすかと、尖らせていた口先をムニッと摘まれてしまった。
「だーってお前が甘やかされてくれないと、俺が甘えるしかないかって気になるし?」
「じゃあさっさと冷房入れて、先にシャワー行って下さい」
 つまりはエロいことは夜までお預けではなく、夕飯の支度を始める前に一度抜き合うのはオッケーらしい。先週の土曜はさすがに即ベッドなんてことはなく、くっついてテレビを見ながら近づいた距離感を噛みしめるように堪能して過ごしたから、そう思うと、やはり今日はしょっぱなから随分と急ぎ気味だ。
 きっと毎日軽く触れるだけのキスで焦らされていた分も大きいんだろう。いやでも、無ければ無いでスキンシップ欲しさにムラムラするんだろうから、結果は同じかもしれない。だったら無いよりあったほうが断然良いな。
 なんて事を考えながらシャワーを浴びていたら、食材を片付け終わった相手がしれっと入ってきたので驚いた。
 もちろんそのまま風呂場で抜きあったし、めちゃくちゃ嬉しかったけれど、この方が手っ取り早いと思ったとか言い放った相手は、相変わらずちょっと情緒が足りない。いやまぁ確かにそうかもしれないけど。この後の彼の作業を思えば当然かもしれないけど。というかそれってもしかしなくても、手伝いもせず出来上がるのをダラダラ待ってる自分のせいか?
「なぁ、俺が手伝えるようなことってある?」
「夕飯の支度ですか?」
「そう。キッチン狭いし、俺が隣に並んだら逆に邪魔?」
「俺の側から離れたくない。って意味で受け取っていいんすか、それ」
 指摘されて、それもないとは言えないと思う。
「えー……えー……あー、じゃあ、まぁ、それでもいい」
「先輩ってどれくらい料理できるんすか? 包丁握ったこと有ります?」
「林檎の皮は包丁で剥ける。程度には出来るよ?」
「凄いっすね。なんだ。やらないだけでやれば出来る系なんすね」
「そういや手伝ってって言われたこと無いな。つまり出来ないからやって貰ってると思われてた、のか?」
「いや多分、あのキッチンで隣立たれたら邪魔だからっす」
「おいこら。結局邪魔なのかよ」
 まぁそうだろうと思ってたけど。結局手伝えることはないらしいと思って小さくため息を吐きだしたら、提案なんですけどと言って相手が口を開く。
「俺が部活上がるの待たずに、先輩が先に買い物して帰って、簡単な下処理とかしといてくれたら、俺がキッチンに立つ時間めちゃくちゃ減りますよ?」
 狭いキッチンに無理矢理二人で立つよりよっぽど効率よくないですかと言われてしまえば、これはもう頷くしかなさそうだ。どうせ一緒に帰ったって、手を繋げるわけでも腰や肩を抱けるわけでもないのだから、二人きりになれる部屋の中でこそ一緒に過ごせる時間を増やしたい。
 決まりですねと笑った相手は、結局可愛く甘えられなくてすみませんと笑顔のまま続けたけれど、笑った顔はやっぱりちゃんと可愛かった。

続きました→

 
 
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