Wバツゲーム13

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 背を抱いていた手がスルッと背を滑り落ち、グイと腰を引き寄せる。それに慌ててしまって、ひっそりと落ち込んでなどいられなかった。
「ぁっ……」
 自分の上げた小さな声と、相手が安堵で吐き出す息が重なる。
「先輩も、勃ってる」
 身長のあまり変わらない二人が股間を押し付けあっていれば、互いの状態なんてわかりすぎるほどに伝わるのだから、噛みしめるようにしみじみと言わないで欲しい。というかそもそも、そんな確かめ方をしないで欲しい。
 相手の興奮も自分の興奮もまざまざと突きつけられて、それに煽られ益々興奮していくようだった。
「ベッド、行く?」
「はい」
 誘えば躊躇いなく頷かれて背に回っていた腕が外されたが、せっかく作ってくれた夕飯が冷めてしまう事も少しばかり気に掛かる。
「温め直せば平気っすよ。俺が、やりますから」
 運んで欲しいと言われていた皿に、チラリと視線を送ってしまったことに気付いたらしい。
「んっ。じゃあ部屋、行こっか」
「はい」
 再度頷く相手の僅かな声からも、期待と興奮とがはっきりと漏れ出ていた。
 風呂とトイレは別で、後は小さなキッチンと一応のリビングと部屋一つという構造なので、ベッドまでの距離なんて大した事はないのだけれど、そんな素直さが可愛いような愛しいような気持ちで、相手の手をしっかりと握って導くように歩きだす。単に離れがたく、相手に触れ続けていたいだけでもあった。
 ベッド脇に辿り着き、くるりと体の向きを変えて向かい合う。
「脱がして、いい?」
「はい」
 やっぱり短い肯定が返って小さく笑った。
「さっきから、はい、しか言わなくなってる」
 服に手をかけさっさと脱がしに掛かりながら、緊張してるのかと聞いてみる。
「多少は?」
 なんで語尾上げてるんだろうと思いながらも、剥き出しになった相手の肌とその下の筋肉に釘付けで、そんな疑問はすぐにどこかへ消え去った。
 この一ヶ月弱、週末はずっと泊まりだった上に、バスケをして帰った後は順番に汗を流したりも当たり前にしていたけれど、風呂上がりに半裸でうろつくようなだらしない真似をしていたのは自分だけだったので、抱っこされた時に薄い布越しに感じることはあっても、彼の胸筋や腹筋を直接見るのは初めてだ。
 バスケを始めて数ヶ月ではあっても、中学時代も運動部だったという彼の体は程よく引き締まっている。
「触るよ」
「どうぞ」
 疑問符をつけないそれはただの宣言でしかない。それでも一応相手の了承が降りるのを待って、それからその肌の上に手の平を押し当てた。
 男の体を性的な興味を持って撫で回すのも当然初めてだ。この興奮はだからこそなのだろうという自覚は頭の隅にあるものの、興奮した自分が相手の目にどう映っているかまでは思考が回らなかった。目の前の体にうっかり夢中になって、そんな自分を観察されている事に気づかなかった。
 手の平で一通り女の子にはなかった筋肉を楽しんでから、膨らみも柔らかさもない胸を両手で包むようにして揉みながら、小さすぎる乳首を指先で捏ねる。
「ぅっ……」
 初めて何かを耐えるような声が漏れて、慌てて手を外すと同時に俯いていた顔を上げた。相手は眉を寄せ、眉間にわずかなシワを刻んでいる。
 しまった。興奮に任せてやりすぎた。
「ごめん、気持ち悪かった?」
 慌てて謝れば、相手はゆるく首を振ってから大丈夫だと返してくる。
「本当に? 我慢してない?」
「してない、す」
「じゃあもう少し、続けていい?」
「はい」
「ちょっと舐めたりもするけど、気持ち悪くなったらすぐ言ってね」
 やはりはいと返ってくる声を聞きながら、相手の胸の先に頭を寄せた。
 片側をチロチロと舐めながら、もう片側は先程と同じように指の腹で擦ってやれば、声は漏れなかったが腹筋がヒクリと蠢くのを感じた。あまり強い刺激にはならないように注意しつつ、それでもしつこく続ければ、やがて小さいながらもプクリと膨らみその存在を主張してくる。
 でも刺激に対して反応しただけで、この行為を気持ちよく感じては居ないだろう事も、ちゃんとわかっている。女の子だって、胸だけ触って感じてくれる子は少なかった。

続きました→

 
 
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Wバツゲーム12

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 もし恋人になったらしたいエロいことって何ですかと再度聞かれて、だから別にエロいことが出来ないから罰ゲームの延長を断ったわけじゃないんだけどなと思いながら、逆に何が出来るのと問い返す。ついでに、男相手なんて無理って思うことは何かとも付け加えておいた。
 相手が無理だと思っていたから手を出さなかっただけで、してみたい気持ちが自覚出来るレベルで興味があるのは事実だから、こんな据え膳じみた状態をみすみす逃すつもりはない。でも自分が傷つくのは嫌なヘタレな屑だから、やっぱ男相手なんて気持ち悪いですって言われるのは避けたかった。
「キスとか、手で抜くのは多分出来ます。フェラはちょっと、やってみないとわかんないっすね。後、突っ込まれるのだけは絶対無理す」
「俺、突っ込むセックスはしてないって言わなかった?」
「だってそれ、妊娠したら困るって理由だったじゃないすか」
「ああ、まぁ、確かに男は妊娠しないか」
 女の子との突っ込まないイチャイチャに慣れすぎているのか、さすがに目の前の男を抱きたいという方向で考えたことはない。そうか、男相手なら突っ込むセックスも有りか。チラリと想像した感じでは欠片も無理そうではなかったから、相手さえ望めば喜んで抱いてしまいそうだけれど、本人が絶対に無理だと言っているのだからこれは考えるだけ無駄だろう。
「それ、俺に突っ込みたいとは思ってなかったって事でいいんすよね?」
「うん。考えたことなかった」
 正直に肯定すれば相手は酷くホッとした様子を見せた。
「じゃあさ、俺に触られたり舐められたりするのはどうなの?」
 彼に対する興味はどちらかというと、その体を撫で回して気持ちよく善がる姿が見てみたいという気持ちが強かったから、触られるのなんて気持ち悪いと言われたら残念だなと思いながら聞いてみる。
「先輩が俺を触るんすか?」
「うんそう。というか、お前が考える俺のエッチって、相手に色々して貰ってるイメージのが強い?」
 自分が触られるスキンシップももちろん好きなのだけれど、相手に触れたいスキンシップ欲求も強いということを、彼はきっと知らないのだろう。だって抱っこされる時に抱き返す程度のことしかしてこなかった。
「割と。だって先輩、すっげ甘えたがりじゃないすか」
 まんまと肯定されて苦笑する。しかも凄い甘えたがりだと思われてたのか。
 慣れてしまってからは自分から抱っこをせがむ事も多かったから、そう思われていても仕方がないのかもだけど。
「それはお前だからだよ。お前が抱っこなんかして俺を甘やかすから甘えちゃうの」
「なら女の子には甘えないんすか?」
「そりゃ甘える事もあるけど。でも甘えっぱなしってことないし、甘やかすのだって好きだよ?」
 甘えてくるならお前のことだってちゃんと甘やかすよと言ったら、先輩優しいっすもんねと納得顔で返されてなんだか照れくさい。
「と、とにかく、俺を好きって言ってくれる子相手に、そこまで受け身な態度取らないんだって。お前とは罰ゲームだったから積極的に手ぇ出したりしなかっただけなの」
「そういや、エロいことしちゃうよって、言ってたっすね」
「言ったね。でもお前は、俺がしたいならしてあげたいって言ったんだよな。俺がお前に何かするイメージもなかったみたいだし、俺にアレコレされるの無理ってなら、それでもいいよ」
「無理じゃない、す」
「そ、良かった。なら手始めに、今すぐここで、お前にキスしてみてもいい?」
「あ、はい。どうぞ」
 どうぞなんて言われてキスするのはなんだか調子が狂うというか、ムードもへったくれもないなと思いながら、相手の頬に片手を添えてゆっくりと顔を近づけていく。
「目、閉じて?」
 顔を寄せてもジッとこちらを見つめたままの相手に、唇に触れるギリギリのところで仕方なく声を掛けた。すぐさま無言で相手の瞼が降ろされたが、本当にムードがない。
 ムードはないけれど、むしろそれが彼らしいなとは思った。でもだからこそ、色っぽく変わる姿が見たいし、キスだけでどこまで相手の欲を引き出せるかとも考えてしまう。
 瞼が降りきったのを見届けて、まずはそっと唇を押し当てた。
 何度か角度を変えて、ゆっくりと触れ合わせるキスを繰り返しながら、少しずつ相手の唇を吸い上げ啄み甘噛んで解かせていく。そうしてからやっと舌を差し入れれば、まるで待っていたとでも言うように、相手の舌が積極的に絡んできた。されるがままのつもりかと思っていたから、少しばかり驚いた。
 こちらの驚きが伝わったのか、律儀に閉じたままだった瞼が持ち上がり、こちらの様子を窺ってくる。その瞳を超近距離で見返しながら、別に勝負でもなんでもないのに、負けたくないなと思ってしまった。
 きっと、先程中学で童貞を捨てたと聞いたのと、やはりそれなりに経験があるのだろう様子が原因だ。自分の童貞卒業が高校入学後だったなんてのは相手に全く関係がない、なんて事はもちろんちゃんとわかっている。
「んっ……」
 とうとう相手が甘く鼻を鳴らしたのを合図に、ゆっくりと顔を離していく。
 さすがに長いこと続けすぎたキスにお互い息を整えあった後、先に口を開いたのは相手だった。
「先輩のキス、すっげキモチィすね」
 興奮で目元を赤く染めたまま、余韻に浸るようにうっとりと告げられた言葉に、こういうとこでも素直なんだなと感心する。素直に、お前もかなり上手かったよと返せなかった自分の小ささに、勝手に勝ち負けを感じて躍起になって頑張ってしまった事実に、なんだか落ち込みそうだった。

続きました→

 
 
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Wバツゲーム11

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 背に回っていた腕が解かれて、肩を捕まれ引き剥がされる。とは言っても大きく突き放されたわけではないから、正面から見つめ合う距離はかなり近い。
「ちょっと、試してみないっすか」
 真剣な顔に告げられた言葉の意味が良くわからなかった。
「え、何を?」
「スキンシップ、どこまで出来るか」
 先輩がされたいことを教えてくださいと、大真面目に言われてしまって大いに慌てる。
「ちょ、待って待って。少し整理させて。つまり、俺とエロいことしてもいいって思ってる。……って話だったりするの?」
「まぁ、そうかもしれないっす」
「曖昧だね」
「先輩とエロいことしたいって気持ちがあるわけじゃないんすけど、先輩がしたいならしてあげたいとは思うというか。けど、俺だって男相手とか全く経験ないんで、実際先輩が満足出来るまでやれるかわからないし、やってみたらやっぱ男気持ち悪いとか思う可能性もゼロじゃないんすよね」
 だから一回試してみませんかという話らしい。ツッコミどころ満載すぎてどうしよう。
 したいならしてあげたいとか、こっちは先輩なのに随分と上から目線だし。数か月前までは中学生だったくせに、まるで女となら経験あるみたいな言い方だし。やっぱ男気持ち悪いって放り出す可能性あるのにチャレンジしたいとか、気持ち悪いって言われるかもしれないこっちの身にもなれよって話だし。
「えーっと、取り敢えず一番重要そうなとこから聞くけど、それでもし色々クリアして俺とキモチイ事が出来たとして、そしたらお前どーすんの?」
「告白するつもりっすけど?」
 何を当たり前のことを聞いているんだと言いたげな様子に、そこに繋がるのかと少しばかり納得してしまった。
「あのさ、罰ゲームだから続けられないってのは、お前とエロいことが出来ないからって意味じゃなかったんだけど」
「えっ?」
 ビックリされて、やっぱそういう風に思ったんだなとわかって苦笑する。
「でも、俺が先輩とエロいことできれば、先輩的には俺が恋人でも問題ないんじゃないんすか?」
「まぁ確かに俺はそれでいいけどさ。でも俺が問題なくても、お前に問題あるでしょーよ」
「俺の問題? って何っすか?」
「だって俺はどうせ今年で卒業するし、既にあれこれあまりよろしくない噂持ちだから、とうとう男の恋人作ったって思われたって別にいいんだけど。でもお前はまだ、罰ゲームに利用された可愛そうな後輩ってだけだろ。これから彼女作ったり青春謳歌したいだろ。なのに俺の恋人だったなんて期間作ったら、確実にそれ、お前の高校生活での汚点になるからね?」
「彼女作るより先輩とバスケするほうが何倍も楽しいんで別に。汚点になるとか考えすぎじゃないっすか。だいたい、先輩と付き合うのが高校生活の汚点になるなら、なんで先輩に告白する女の子、居なくならないんすか」
 女の子とこの後輩とが同列に語れるわけがない。なのに相手は全く納得がいっていないようだった。
「ほぼ断られないのわかってるから告白しやすいんでしょ。取り敢えず彼氏が欲しいってだけの子でも、フリーだったら喜んでお付き合い始めちゃうからね。でも男のお前が俺の恋人しても対外的に何の特にもならないどころか、高校生活初っ端から男と付き合ったりしたら、女の子から相手にして貰えなくなるよ?」
「だからさっきから、彼女なんて要らないって言ってるじゃないすかっ」
 先程から少々ムッとした様子を見せてはいたが、とうとう苛立ちをぶつけるような怒気を孕む声を吐き出してくる。
「それは経験的な話で言ってんの? 中学時代にモテモテで女の子とは十分楽しんだから今度は男でもいいやって気になったってなら、お互い様だしもう何も言わないけど。でも付き合ったこともないのに、彼女いらないなんて言ってるだけなら、ホント、俺なんかと付き合おうとするの止めときな」
「中学の時には彼女いたし童貞でもないっす。これで満足っすか」
「わかった。もう止めない。お前が本当に告白してきたら、お前と付き合う。これでいい?」
「何言ってんすか」
 それでいい訳がないと呆れながらも、まずは試させて下さいと相手の言葉が続いた。

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Wバツゲーム10

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 寂しい理由は明白だ。
 この一ヶ月を恋人として過ごしたせいで、相手を好きになってしまったからだ。なんて理由だったら、もう少し簡単だっただろうか。
 確かに彼との罰ゲームをなんだかんだ楽しんだ。彼の性格も料理の腕前も、ひいては自分と同じくらいある身長や運動部らしいはっきりと筋肉のついた体だって好ましい。
 相手が無理だと思うから手を出さないだけで、自分だけの感情で言えば、キスもそれ以上もきっとさほど抵抗なく出来てしまうだろう。それどころか、してみたかったとすら思う気持ちまで、実は自覚できている。
 ただそれを、恋愛感情が湧いたからだと言えないところが、つくづく恋人向きじゃない屑な男だと自分自身に対して思う。
 恋愛感情なんてなくたって、恋人という距離感は心地よくて、イチャイチャするのが大好きで、自分の生活を守るために突っ込むことはしないけれど、性欲がないわけじゃないからキモチイイコトだって散々してきた。そんな関係に慣れすぎている。
 寂しい時間を優しく埋めてくれるなら誰だって良くて、それこそ男だって、男だからという理由で嫌悪感なんか湧かない事は、今回のことではっきりしてしまった。ただ、それだけだ。
 なのに罰ゲームの終りが見えてこんなに寂しいのは、罰ゲームじゃなければ、こんな風に律儀で真面目なタイプの男が世話を焼いて甘やかしてくれるなんて機会は訪れないのだと、わかっているせいだった。
 相手も自分を恋愛的に好きではないというのが、こんなに気楽だと思わなかった。二人の間にあるのは罰ゲームを下敷きに、互いの下心をお互い出来る範囲で満たしあうというだけの、言うなればビジネスライクな関係だった。自分がクローゼットの奥に仕舞い込んだバスケットボールを引っ張り出さなければ、彼だって抱っこしてあやすなんて行為を本気でしてはこなかったと思う。ボールを見つけた彼に、やっぱり抱っこしますと迫られたのも、今では笑える思い出の一つだった。
 そしてその関係を、罰ゲームなしに続けることは出来ないのだ。
 罰ゲームでもないのに毎日相手の部活が終わるのを待って、週末には家に泊まりに来てもらう。なんて関係を続けられる訳がない。自分だけの問題なら、とうとう男でも良くなったらしいと思われようが構わないし、そもそも事実でもあるけれど、それをこの後輩に背負わせてまで、この関係を続けたいなんて言えない。
 なのに。
「あの、先輩に次の彼女出来るまで、もう少しこれ、続けないっすか」
 まさか相手側から提案されるとは思わなかった。でもきっと、これを続けることで彼が受ける被害をわかってない。
「続けないよ。罰ゲーム終わってもこんなことダラダラ続けてたら、マジホモになったって思われちゃうよ? こういうのは終わったらお互い、せいせいしたって感じにバイバイするのが正解なんだよ」
 見世物じみたゲームを楽しいまま終えるならそうするべきだ。
「せいせいしたなんて思えそうにないんすけど」
「振りだけでもそうしなって話」
「無理っす」
「そこはまぁ頑張ってよ。俺だけスッキリしてたら、罰ゲーム中に男でも構わず後輩たぶらかして終わったらポイ捨ての酷い男だって噂がたつの、目に見えてる」
 まぁ別に、今更何を言われようといいんだけれど。でも律儀で真面目なこの後輩は、こういう言い方をされるのは苦手だろう。
「それほぼ事実じゃないっすか」
 だから不貞腐れたように言い放たれて、珍しいなと思った。
「何お前、俺にたぶらかされたの?」
「たぶらかされてなかったら、続けませんかなんて言うわけないっす。今、こんなに寂しいって素振り見せてるくせに、終わったらせいせいしたってスッキリするつもりとか、騙された感凄いんすけど」
「せいせいしてスッキリするなんて言ってないだろ。人にはそういう振りを見せなきゃダメだって話をしただけで」
「じゃあやっぱ、寂しいんじゃないすか」
「そりゃ寂しいよ」
「なのになんで続けるのダメなんすか」
「そんなの、これが罰ゲームだからだろ」
「なら俺が、もう一回付き合って下さいって言えば、今度は罰ゲームじゃなく付き合ってくれるんすか」
 一体何を言い出しているんだか。
「お前さ、罰ゲームで恋人ごっこするのと、告白してお付き合いするのが同じだとでも思ってんの?」
 忠告混じりに軽く笑ってやれば、何が違うのかと聞いてくるから、やはり何もわかってないと思う。
「お前が俺に告白してきたら、お前は俺を好きなんだって、恋愛的に惚れてるんだって、そう思っちゃうぞって事だよ。俺を好きなら良いだろって、お前にエロいことしちゃうよ?」
 さすがに黙ってしまった相手に、更に追い打ちをかけていく。
「冗談でも脅しでもないからね? 男に告白されたことないから、男相手にエッチな事した経験ないけど、今回お前のお陰で男だから無理ってならないことわかったし、それなりに興味もあるし」
「それ、やっぱ抱っこだけじゃ、スキンシップ足りてないって事すよね?」
 これで続けようなんて気持ちもなくなるだろうと思っていたのに、相手の返してきた言葉はなんとも斜め上だった。

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Wバツゲーム9

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 夕方帰宅後、汗を流してバスルームを出れば、部屋にはいい香りが漂っていた。先にシャワーを使った後輩が、夕飯の準備をしてくれているからだ。
 日曜日なのでさすがに泊まったりはしないが、それでも相手は最初に頼んだ、なるべく一緒に食事をして欲しいというこちらの願いを叶えるように、ここで夕飯を食べてから帰っていく。
 当然前日から泊まりだし、それがもう四回目になる。つまり、この罰ゲームが始まってから先、週末はずっと一緒に過ごしていた。最近は女の子を泊めなくなってしまったが、泊めていた頃だってさすがにここまでべったり過ごした事はなかった気がする。
 一度親は何も言わないのかと聞いたことがあるが、食費が浮いて喜んでるみたいだと返されて笑ってしまった。初めて夕飯を作ってもらった時、財布役で直前の買い出しも当然付き合ったが、その買い物量に驚いてしまったくらい確かに彼は良く食べる。その時、罰ゲームで一ヶ月限定の恋人ごっこ中という事まで、親に話したと聞いて驚きもした。
 それで毎週末の泊まりを許しているというのだから、彼の親は完全に遊びと思っているのだろうし、きっと何の心配もしていない。それとも、スキンシップに飢えた寂しがり屋の先輩を、時々抱っこしてあやしてるだなんて事まで、親に知らせ済みだろうか。
 さすがに言わないだろうとも思うし、彼なら言っているかも知れないとも思う。どっちにしろ彼が何の迷いも見せずに毎週末泊まりに来ていた事実は変わらないし、彼の親が知っていようがどう思っていようが、今日さえ終えてしまえばどうだって良かった。なぜならこんな週末は今日で最後だからだ。
 後数日で、罰ゲームが始まってから一ヶ月が経過する。
「もう出来ます。この皿、持ってって貰ってもいいっすか」
 小さなキッチンを覗けば、焼きあがった肉を皿に盛り付け終えた所らしかった。うんと答えながらも、持っていって欲しいという皿を無視して相手にぐっと近づいていく。
 一瞬不思議そうにしたけれど、それでも手にしたフライパンと菜箸を置いて、相手はどうぞと言いたげに両腕を広げてくれた。その腕の中へと一歩踏み込めば、広げられていた腕が躊躇いなく背を抱き、軽いリズムで柔らかに背を叩きだす。
 慣れた仕草だ。そしてこちらも慣れてしまって、恥ずかしいなんて気持ちはもう湧かない。でもいつにも増して寂しいなと思う。安心するより寂しさが増してしまったから、ちょっと失敗したなと思った。
「疲れたんすか?」
「そりゃあね。ヘトヘトだよ」
 体を動かすことは嫌いじゃないから、部活をしてなくたってそれなりの自主筋トレはしていたし、気が向けばそこらを走ったりすることも多かったけれど、やはり現役運動部に比べたら圧倒的にスタミナが足りない。楽しくていつもより長時間遊んでしまったのもある。
「だったら尚更、さっさと飯にしましょうって、言えばいいのに」
 なぜか黙ってしまった相手にクスリと笑ったら、本当に疲れてるだけっすかと聞かれてドキリとする。
「なんで、そう思うの」
「先輩たちが、色々仕組んだって聞いて、かなりショック受けてたっすよね」
「それは学食奢って貰うことになったろ。というかお前だって何も知らずに嵌められた側なのに、ショックないわけ? 後、本当に学食奢って貰わなくていいの?」
 学食奢りは最初、二人に一週間という話だった。それを彼がこちらに譲ってくれて二週間になったのだ。
「俺が選ばれたのは俺が今年の新入生で唯一の未経験者だったからってわかってるんで、ショックはあんまないすね。実際上手くなったって言われましたし、むしろ感謝してるくらいで」
「そーなんだ」
「それに学食は先輩たち一緒に食うって話だったすから、さすがに周り三年だらけの中に混じって昼食うのは嫌っすよ。一ヶ月散々夕飯奢られて、週末も食材全部先輩持ちだったんすから、先輩が奢ってもらって下さい」
「そっか」
「あの、ダイジョブっすか?」
「うん。学食奢りで納得できてる」
「じゃなくて。あー……」
 迷うように言葉を探す相手に、どうしたのかと思いはしたが、助け舟は出さなかった。彼の気持ちを読む努力もせず、先を促すこともせず、ただただ相手が次の言葉を吐き出すのを待っている。
 なぜなら、彼が迷う時間分、彼の腕の中にいる時間が増えるからだ。失敗したと思っているくせに、寂しさが募ってどうにも離れがたい。

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Wバツゲーム8

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 結局、高校入学してからバスケを始めたという後輩に付き合って、体育の授業以外で久々にバスケットボールに触った。日曜日は試合でもない限り部活がないから、バスケットゴールのある近くのスポーツ広場に繰り出して、教えるというよりは一緒に遊んだ。遊びつつもなんだかんだ相手に口を出してしまったから、結果としては、彼の望んだ通りになってもいた。
 数年ぶりだろうと、中学時代に詰め込まれた感覚やら知識やらは一応体にも頭の中にも残っていたようで、初心者相手に遅れを取るようなことは一切なかったし、これまた久々に先輩風吹かしてあれこれ後輩に教えるのも、それを尊敬の眼差しで見られるのも、楽しくないと言えば嘘になる。
 そんな週末を重ねた本日、そのスポーツ広場にゾロゾロと顔を出したのは、男子バスケ部の三年生たちだ。三年部員全員ではないようだが、そこに居たのは少なくとも中学時代から知った顔ばかりだった。
 もっかいお前とバスケがしたかっただとか、せっかく同じチームでプレイできると思ったのにガッカリだったとか、ある意味ありがたい言葉を貰いながら、乱入してきた彼らとゲーム形式でのバスケを楽しんでしまった。
 昨年度、当時の三年生が引退した後くらいから、バスケ部からの勧誘が増えたなとは思っていたし、なんで今更と強く思っても居たのだが、まさか戦力を当てにされていたのではなく、一緒にバスケがしたいというだけの誘いだったとは考えつきもしなかった。文句を言いそうな先輩らが引退した後だから、もう大っぴらに誘ってもいいだろうという判断だったらしい。
 出身中学の影響から、即戦力として期待されていたのは知っている。入学した当時は、それこそ当時の部長から直々に呼び出されて、入部するよう促されもした。
 けれど突然の一人暮らしに戸惑って、生活も気持ちも落ち着くまでかなり時間が掛かってしまったし、バスケを嫌いになったわけではなかったが、落ち着いた後でさえ部活を頑張ろうなんて気持ちにはどうしてもなれなかった。というよりも、その頃にはもう、入部するタイミングを完全に逸してしまっていた。
 たいして強くない、そこまで熱心な活動をしている部ではないとは言え、体育会系の面倒な上下関係がしっかり存在していることはわかっていたし、自分なりの事情があったにしろ、中学時代に県大会をスタメンで経験していたような自分が中途で入部することで、部内に波風を立てたくなかったというのも大きい。親から半ば捨てられた状態に気付いて精神的に弱っているところに、好きなバスケでも人間関係を拗らせたらと思うと怖すぎた。
 だからこそ、向こうから好意を示して付き合って欲しいと言ってくれる女の子と遊んだし、バスケにはもう興味がないような素振りをしてきた。興味が無い素振りで、バスケットボールにも触れない生活を続けていれば、いつしかそれが本当になる。実際、未練なんて感じたことはなかった。今だってバスケ部に入らなかったことを未練に思う気持ちはない。
 ただ今回、こうして罰ゲームの延長上で久々にバスケに触れたことで、その楽しさを思い出しはした。でもそれが、最初っから全部仕組まれたことだったとは、全く欠片も気付いていなかった。
 それは自発的に気付いたわけではなく、ゲームの合間の休憩時間に聞かされて知った。
 言われてみれば、思い当たる節は色々とある。
 フリー時の告白をお断りすることなんて殆どないし、結構な頻度で恋人が変わるにしてもよほどの事がなければ一ヶ月も持たずに別れることはないのに、変な罰ゲームだと内容を聞いた瞬間には確かに思っていたのだ。でもあっと言う間に広まった噂に、すぐさまこれは、同じように誰かの罰ゲームの餌になるだろうことも、だから告白してくるのは男の可能性が高いことも理解したし、単純に、そういう遊びに巻き込まれたくらいの感覚で居た。
 まさか始めから全部、自分が負けることも告白してくる相手が彼になることも、決定済みだったなんて思わなかった。
 あの日一緒にゲームをしてた友人らの中にバスケ部は一人しか居なかったし、メインで罰ゲームの内容を楽しげに決めたのはそのバスケ部の友人ではなかった。純粋に勝負に負けたのだと思っていたが、あの時一緒にゲームをした友人らの殆どに根回しされていただなんて。裏で繋がっていたなら、自分に勝ち目なんてあるわけがない。
 まさか嵌められてゲームに負けた上での罰ゲームだったなんて考えたことがなかったから、流石に聞いた直後はショックでテンションが下がりまくったけれど、企画に関わった奴らからの出資による、学食二週間奢りで手打ちにした。
 彼らの誘いを一緒にバスケを楽しもうという意味だなんて欠片も思わず、今更だからとつれなく断り続けた結果だということもわかっていたし、なんだかんだ久々のバスケを楽しんでしまったのも事実だからだ。ついでに言うと、相当賑やかなランチタイムになるだろう、その二週間が楽しみでもあった。

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