今更なのに拒めない13

1話戻る→   目次へ→

 何度かその長さを知らしめるように腰を大きく前後させた後は、小さな動きで奥だけをコツコツと叩いたり、ペニスの先端を結腸の入り口に押し当てた状態でグニグニと押し上げ捏ねられる。
 アナルパールでどう感じたかを覚えていて、ペニスでも同じように刺激してくれているのだ、というのはわかる。
 実際、どんな風に動かれても、ただただ気持ちがいいばかりだった。前立腺ばかり責められて二度もトコロテンを決めた後で中が充分に解れているのもあるだろうし、早くもっと奥へと焦らされまくっていた充足感もあるだろう。
 ただ、ひたすら蕩けるような気持ち良さがあるのに、その快感はいつまでも体の中に蓄積するばかりで、だんだんと苦しくなってくる。
「ぁ、ぁあ、ぃい、きもちぃ、ぁんっ、ぁっ、いき、たいっ、もっ、いぃっ、ぁあ」
 気持ちがいいと喘ぐなかに、イキタイ、という単語が混ざりだす。
「ぁあ、ぁああ、いきた、っ、いき、たいっっ、ぁ、んんっ、もっと、はげし、の、して」
 気持ちがいいのになかなか極められない苦しさに、もっと強い刺激が欲しいとねだった。躊躇するように一瞬相手の動きが完全に止まって、本当に? と確認される。
「ん、んんっ、いぃ。い、から。も、いきたっ」
「わかった。でも、痛かったら言えよ」
「ん、わかっ、ね、も、はや、くっ」
 こんなに気持ちがいいばかりなのだから、多少乱雑に奥を強く突かれたって、多分そこまで痛みなんて感じない。もしくは、痛みを快感が凌駕するだろう。
 そんな予想は当たりで、優しく奥を叩き捏ねていた動きが激しくなって、奥をガツガツと突き荒らすような動きになっても、痛みや嫌悪感や違和感が膨らみはしなかった。
「あっ、あああっ、ぁあ゛あ゛っっ、いぃっっ、きもち゛ぃい゛い゛」
 激しく揺らされて吐き出す声がみっともなく濁る。
「ははっ、すっごい声。激しくされても、ちゃんときもちぃのな」
 そりゃ良かったと、安心と愛しさとを混ぜた声が降った。玩具で散々遊ばれた中で、こんな声で喘いだことはない。
 引かないんだなという驚きと安堵が脳裏をかすめて、でも、そのことをじっくり考えたり堪能する余裕はさすがになかった。体の中のキモチイイが益々膨らんで、それどころじゃなかったからだ。
「ぁあ゛あ゛っ、い゛き゛たいっっ、はぁあん、ぁあ゛っ、もっ、や゛ぁ゛っっ」
 こんなに気持ちがいいのに。激しく突かれたら押し上げられてそのままイケるだろうと思ったのに、蕩けるみたいな優しい快感だったものが暴力的なまでに鋭く強い快感に変わっただけで、出口がないまま体の中にたまっていく。キモチイイが体中を、頭の中まで暴れまわって、おかしくなりそうだ。
「ぁ゛、も゛っ、やぁ、こわ、こわい゛っ、やだっ、いき゛たっ」
 とうとう、いきたい、いかせて、怖いと啜り泣けば、ビックリしたらしい相手がずるるとペニスを引き抜いてしまう。
「あ、あっ、や、やだっ」
 抜かないで欲しいとか、続けて欲しいとか、そんな気持ちが思いっきり漏れた、未練たらしい声を出しながら背後を振り返れば、困ったような苦笑顔が近づいてくるところだった。苦笑顔だけれど口元はおかしそうに緩んでいて、目元も愛しくて仕方がないと言わんばかりに柔らかい。
 ちゅっちゅと何度か軽いキスをされて、それから、体位を変えようと提案される。
「正常位で、抱き合って、こないだみたいにキスしながら、しよう」
 そしたらきっとイケるよと言われて、そう言えば、キスしながら奥を突かれて絶頂したんだっけと思い出す。高校時代に彼とセックスする時は、双方恋愛感情なんてなかったし、少しでもこちらの体の負担を減らす目的で、相手を受け入れるのは後背位でしか経験がなかったから、今日も当たり前みたいに四つ這いで相手に尻を向けてしまった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今更なのに拒めない12

1話戻る→   目次へ→

 二回目のトコロテンの後、ようやく根本まで挿入された。ここ最近は結腸の入り口部分を意識する場面が多かったのと、そこでの快感の拾い方を覚えたこととで、お腹の中は見えないけれど、彼のペニスの先端がそこに触れているのがはっきりとわかる。お腹の奥がグッと押し上げられる感じがして、じんわりとしたキモチイイが溜まっていく。
 そしてそれはどうやら彼も同じらしい。それどころか、この後の快感を期待して彼のペニスの先に吸い付く動きまで、きっちり感じ取っているようだ。
「アナルパールずこずこやってる時の抵抗感から、想像はしてたんだけど、これは想像以上だな」
 ちゅうちゅう吸い付かれてるみたいでエロ過ぎる、というのが彼の感想だった。
「少なくともお前の体は、俺を欲しがってくれてる。ってのがはっきりわかるのはいいよな。すげー嬉しい」
 朗らかな声が背中に落ちて、ついでのように唇まで落とされた。だけでなく、その唇がちゅっちゅと肌を啄んでいくから、吸われるたびに小さな快感が弾けて、あっアッと声が溢れてしまう。お腹に力が入ってしまうから、お腹の中のペニスも、より一層リアルにその形を感じ取ってしまう。
 彼のペニスを締め付けながら、少しでも快感を拾おうと浅ましく腸壁が蠢くさまを想像する。事実、彼は腰を動かしては居ないのに、擦られていないはずのお腹の中がキモチイイ。興奮からの錯覚なのか、想像通りに中で浅ましい動きが起きているのか、多分きっと後者だと思う。
 勝手にお腹の中を動かして、勝手に気持ちよくなっていく自分の体が、今は少し恥ずかしくて、なんだかいたたまれない。これが自己開発中のことなら、自分で自分の体を褒めながら、より強い快感を求めて没頭していくとこなのに。
 体は間違いなくキモチイイを感じ取って昂ぶっていくのに、恥ずかしくていたたまれなくて、寂しいような悲しいような気持ちさえ湧いてくる。早くもっとキモチイイに浸りきって、余計なことなんて考えられなくなりたかった。
 ねぇ早く動いて、と思う気持ちを、けれどやっぱり口にできない。だって本当に嬉しそうだから。彼がセックスを楽しんでいるから。彼のペニスを棒扱いして、さっさと気持ちよくしてくれと頼むのはどうしても気が引ける。
 そんな中。
「なぁ、お前の中、めちゃくちゃ気持ちぃ」
 はぁと吐き出す息が近くて、背中が熱い。うっとりと気持ち良さげな声に、なぜか泣きそうだと思った。
「なぁ、お前は? きもちぃ? 俺を好きになれそうな感じとか、してる?」
 ドキッと心臓が跳ねて、次にはきゅうぅと締め付けられて痛い。とてもじゃないが、期待の滲む声に対して、甘やかな声音で俺も好きだよと返せるような心理状況ではない。
「ははっ、ごめん。急かす気はないつもりなんだけど、どうしてもな」
 黙って何も返せなかったせいで、謝らせてしまった。胸の痛みが増していく。
 苦しくて、少しでも楽になろうと、深く息を吐きだした。胸の中の痛みを少しでも一緒に吐き出せればいいのに。
「ん、まずはお前をちゃんと気持ちよく出来てからだよな」
 吐き出した息に何を感じ取ったのか、そろそろ動くよと宣言されて、ゆるりと長いストロークが開始された。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今更なのに拒めない11

1話戻る→   目次へ→

 早く彼のペニスで奥を捏ねられたい期待は早々に挫かれて、彼のペニスは浅い場所ばかりを何度も往復する。けれど、射精手前までみっちり前立腺を刺激されていた体だ。カリの段差でゴリゴリと擦られれば、あっという間に射精感が高まって、いとも簡単にトコロテンしてしまった。
「はっや。そんな焦れてた?」
 驚きとからかいとが混じる声が背中に落ちたが、荒い息を吐き出す背中から腰にかけてを撫でてくれる手付きは優しい。もちろん、腰の動きもとめて、こちらが落ち着くのを待ってくれている。
「イクときってさ、中がめちゃくちゃうねって、ちんぽしゃぶりつかれてるみたいで、めちゃくちゃ気持ちぃのな」
 奥でイク時が楽しみだな、なんて言いながら再開した動きは、けれどやっぱり浅い場所を擦るばかりだ。しかもイッたばかりのこちらを気遣ってか、酷くゆるやかな動きで。
「な、んで……」
 早く奥まで来てみて欲しいこちらの気持ちは、多分ちゃんと伝わっている。たったこれだけの単語でも、なぜ前立腺ばかりを狙ってくるのかという答えが返された。
「んー、だって、前立腺も好きだろ?」
「すき、だけどっ」
「まぁ、あれだよ。お前にとっては今日のも結腸開発の延長上にあるのかもだけど、俺にとっては違うからだな。お前が俺のちんぽ気持ちぃって思ってくれてるの、初めて実感できてんだから、最大限堪能してやろうって思うだろ」
 苦笑交じりに告げられ、最後に、お前が好きだからだよと甘やかな声音が降ってくる。胸の奥がキュンと疼く気がした。なお、連動して腸壁もキュンと締まる。んふっと飲み込めきれなかったらしい笑いが相手から溢れて、さすがに恥ずかしい。
「かぁいい反応するよな、お前の体」
 笑われた後だけれど、からかわれていると言うよりは、ただただ愛しくて仕方がないと言いたげな甘い声に、ますます体の熱が上がっていきそうだった。
「後でちゃんと奥もするから、もーちょっと俺に付き合って」
 そんなことを言われてしまえば、早く奥まで入れてくれなんて言えなくなる。それに、結腸開発の延長上と指摘されて、確かにそうだと思ってしまってもいた。
 惚れてるだとか好きだとか、できれば惚れて欲しいと言われて開始した行為なのに、彼のペニスで奥を突かれる快感ばかりを想像している。開発用のアナルパールは一種類しか所持していないから、別のを体験できる、みたいな興味と興奮が先行していた。
 相手はこんなにも、愛しさを込めて抱いてくれているのに。
 なんてことが頭の隅をよぎって、それは確かに事実ではありそうだけれど、そんなことを考えた自身に驚く。そしてそれは、これは彼に愛される行為なのだと、認識してしまった瞬間であったようにも思う。
「ぁ、あぁ、ぁつっ、ぁああ」
 彼のペニスの先端が擦れる辺りがぐわっと熱を持った気がして、優しくゆるりと前立腺をこね続けるペニスに、蠢く腸壁がぎゅうぎゅう絡みついてしまうのがわかる。まるで体が喜んでいるみたいだと思って、そんな思考が恥ずかしくて、なのに恥ずかしいと思うほどに、気持ちよさが増していく。
「ぁあ、ぃい、きも、ちぃ、ぁ、ああ」
「ああ、俺も、きもちぃ。すっげ締まる」
 もっかいトコロテン出来るか、という問いかけに迷わず頷けば、緩やかだった動きが加速する。ペニスの先端で優しく捏ねられていた前立腺を、先ほどみたいにカリの段差に引っ掛けるようにして何度もゴリゴリと擦られる。
「ぁあああ、いくっ、いっちゃう」
 イッていいよの声を聞きながら、ペニスの先端から白濁がこぼれ出ていくのを感じていた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今更なのに拒めない10

1話戻る→   目次へ→

 ずっと自分だけが脱がされていたから、相手が服を脱いでいくというその動作だけでも、目が釘付けになる。しかもあっさりと下着まで剥ぎ取ってしまったその股間は、確かにしっかりと反応を示していた。
「なっ、勃ってんだろ」
「うん……」
 思わず凝視してしまったソレは、やや角度が違うだけで、昔と変わらない大きさを誇っている。彼のペニスは、そこまで太くはないのだけれど結構長い。
 高校の頃は、これが自分の腹の中に収まる、という事実に興奮していたように思う。長いストロークで腸内をズルっと擦られるのも、それによって快感が得られていたと言うよりは、彼のペニスが自分のアナルを出入りしているという事に興奮を覚えていた。体がと言うよりは頭で拾う快感に酔っていた。
 だから、だんだんと相手の興奮が増して、射精するためにとガツガツ奥を突かれだすと、途端に体が悲鳴をあげた。せっかくの興奮に体の痛みが水を差す。痛いと訴えれば、ごまかすみたいに胸の先を摘まれたり、ペニスを握られ扱かれたりで、なんだかんだ一緒に射精出来てしまうことも多かったけれど、無理やり引き出されるような射精に気持ちが満たされることはなかった。
 でも、それは飽く迄も高校時代の話だ。指で弄る程度のアナニーは既にしていたけれど、前立腺で感じることすら出来なかった頃だ。
 しかし今は違う。前立腺どころか、S字結腸の入り口部分をグイグイ突かれたって、そこはもう、快感を拾うことが出来てしまう。その上、相手もそれを十分にわかっていて、こちらが痛がってもガツガツと腰を振るようなセックスをしていたことを悔いても居る。
 このペニスに、ゆっくりと奥を捏ねられたら、どれだけ気持ちが良いだろう。そんな想像に、ゴクリと喉が鳴ってしまって、慌てて凝視していたペニスから視線を逸らす。
「えっろい顔」
 きっと一部始終を見ていたのだろう相手が、ふふっと小さな笑いをこぼした。からかい混じりの声は、けれど相手の興奮が滲んでもいる。
「な、も、挿れていい?」
 黙って頷き、四つ這いになって相手に向かって尻を差し出した。背後で相手がゴムの封を切り、装着している気配がする。振り返って眺めたいのを我慢して、興奮に加速する自身の鼓動に耳を傾けた。
 既に準備も前戯も済んでいる。彼が服を脱いだのは、たっぷりのローションを馴染ませるように、指でぐちゅぐちゅにかき回した後だ。しかもイッてしまう前に手を引かれてしまったが、結構みっちりと前立腺を弄られたりもした。
 つまり、こちらだって早く挿れてもらいたいのだ。なのに、準備を終えたはずの相手の手は、差し出した尻を優しい手付きで撫でてくる。両手で両尻たぶを包むようにくるくると撫でさすり、尻タブを掴んだかと思うと、左右に広げたり戻したりと、多分、晒されたアナルが空気に触れて収縮するのを見て楽しんでいる。
「おいっ」
「ん、ごめん。久々すぎて、ちょっと緊張してる」
 本当に緊張しているらしい声音に、そういやずっとインポだったんだったと思い出す。いったいどれくらいぶりのセックスなんだろう。元嫁と最後にしたのっていつ? なんてこと、聞けるわけがないけれど。
 これはもう、黙って待つしか無い。と思ったけれど、緊張していると吐き出したことで踏ん切りが付いたのか、とうとうアナルに相手のペニスの先が押し当てられた。
「挿れるよ」
 そんな宣言とともに、ぬぷっとペニスが入り込んでくる。無機質な玩具とはやはり違う。酷く懐かしい感覚に、ぞわりと肌の上を快感が走った。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今更なのに拒めない9

1話戻る→   目次へ→

「お前ちゃんと俺に気を遣って生活してくれてるし、多少の不便には、もう、慣れたし。別に、このままでも、構わないとは思ってたよ。ああ、でも、俺に気ぃ遣って生活するのなんか、お前が嫌か」
 自分の発する言葉に、傷つけられていくのがわかる。そんなこちらの状態に、どうやら相手も気付いているらしい。
「嫌じゃないよ。このままここに居座って、お前と暮らし続けたい気持ちだってある」
 ますます苦笑を深くしながらも、優しい気配を纏って、彼が言葉を重ねていく。
「ただ、やっぱさ、どう考えても、ここってお一人様物件だからさ。同じ時間帯で生活するにはどうしても狭いだろ」
 実はとっくに夜間アルバイトは辞めていて、再就職先も決まっているどころか、既に働きだして二ヶ月は経過している。なんて事を言い出すから、驚いたなんてもんじゃない。
「え、じゃあ、お前、いつ寝てんの? えっ? なんで? どういうこと?」
 わけがわからず頭の中に疑問符が満ちていくまま口に出せば、ここに住んでる振りをしていただけだという答えが返された。
「新しい仕事決まったから出てくよ。じゃあな、ありがとな。ってので、終わりにしたくなかったんだよ。お前が、俺の手を嫌がらないから」
 仕事が決まった頃は、お前を利用したい気持ちと単純にお前と過ごす時間が楽しかった気持ちが半々だったと告げられ、正直だなぁと今度はこちらが苦笑する。
「都合よく利用されてるのはわかってるけど、わざわざお前から言ってくるなよ。もう出てくにしたって、利用し終えたからもういい、みたいな言われ方されたらさすがに傷つく」
「ばっ、違っ!」
 慌てた様子で誤解だと言ったくせに、いや全部が誤解ってわけでもないんだけどと、もごもごと申し訳なさそうに言い募る。
「お前なら、理由話せばある程度は受け入れてくれるんじゃ、って期待してここ来たのは事実だし、お前が出てけって言い出さないライン考えながら気を遣うのは自分のためだったし、お前の懐のデカさに甘えて、可能な限り利用してやろうと思ってたのも事実だよ。お前に手を出したのだって、お前の勃起ちんぽ握ったり射精するの見たらインポ治んないかなぁみたいな期待からだったし、だから、仕事決まってももーちょいお前のそばに居続けたかった理由の中に、お前に触って、お前が気持ちよくなるの見てたら、また、昔みたいに抱きたくなって勃つようになんじゃないかって期待があったのも事実なんだけど、でもっ」
 だんだんと興奮気味に喋っていた相手の腕が伸びてきて、がしっと両肩を掴まれた。
「お前を利用してやろうなんて気持ちは、とっくに全部、このままお前と一緒にいたいって気持ちに取って代わられてる。利用し終えたから出てくんじゃなくて、これから先、お前と対等に付き合っていきたいって思うから、出てくんだよ。さっき言った、俺に惚れてってやつ、かなり本気だから。だから、医者にも行ったんだ」
 真っ直ぐな視線に射抜かれて、ドキドキが加速する。
「対等に付き合いたいって、友人として、ではなく?」
「お前が俺を、どうしてもそういう対象には見れないってなら、セックスもする友人、ってので妥協してもいいけど。でも出来れば、俺に惚れて欲しいって思うよ」
「そういうお前はどうなんだよ。まさか俺に、惚れてんの?」
 まさかってなんだよと笑った顔が近づいて、軽く唇が触れ合った後。
「お前に惚れてる」
 本気を疑う余地がない真剣な声音で囁かれて、ダメ押しとばかりに、好きだよと告げられ再度唇が塞がれた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

今更なのに拒めない8

1話戻る→   目次へ→

 次の木曜が、彼をこの家に住まわせてちょうど半年になる。なのに未だどちらからとも、半年が過ぎた後、どうするのかという話を出していなかった。
 敢えてその件には触れず、このままダラダラと同居生活が続くのかも知れない。別にそれでもいいかなと思っていた。だから、真剣な顔でお願いがあるんだけど、と言われた最初も、このまま一緒に住まわせてくれという話なのかと思った。
「今日はさ、勃ったら、というか多分勃つから、抱かせて欲しい」
「は? えっ? なんで?」
 なんで今日に限って勃つんだという意味での、なんで、だったのだけれど、相手はなぜ抱きたいなんて言い出したのか、という意味で受け取ったらしい。
「玩具じゃなくて、俺で、気持ちよくなってるお前が見たいから。あと、俺の勘違いじゃなきゃ、お前が俺に抱かれたがってるから?」
「え、いや、ちょっと」
 カッと顔が熱くなるのを自覚する。今の彼に抱かれてみたいなと思ったのは事実で、勘違いではないのだけれど、まさか気づかれていた上に、指摘までされるとは思っていなかった。
「やっぱ、抱かれたいって思ってくれてた?」
「あー……あー、まぁ、うん」
 赤面しているだろうところに重ねて聞かれて、誤魔化し方なんて思いつかずに、結局認めて頷いてしまう。
「それは俺に、ってことでいいんだよな?」
「それ、どういう意味?」
「ちんぽ大きな男なら、誰でもいいから本物で奥突かれてみたい、みたいな衝動でも湧いたかと思って」
「ち、違っ」
 確かに、抱かれたい気持ちが湧いたのは奥で感じるようになったせいだけれど、誰でもいいわけがない。
「抱かれたいのは、お前に、だよ。でも、お前、勃たないって……」
 相手は勃たないことをあっけらかんと口に出すから、その状態をどう捉えているのかイマイチわからないのだけれど、勃たないと言い切る相手に、冗談でも抱かれたいなんて口に出せなかった。原因は元嫁関連なのだろうなと思うから、こちらからはなるべくその事には触れないようにもしていた。
「うん。だからさ、医者、通ったわ」
「え、医者?」
「わざわざ治療するほどの事でもないかと思ってたけど、お前抱きたくなって、気が変わった」
 オナニー試して射精も出来たし、絶対本番もイケる。なんてことを、自信満々に言われて、マジマジと相手の顔を見つめてしまう。その視線を受けた相手がニヤリと笑って、だからさ、と続けた。
「上手に抱けたら、俺に、惚れてよ」
「は?」
「お前から惚れてくれるの、待とうって思ってたんだけど、でもほら、木曜には出てかないとだからさ」
「待って。出てくの?」
「ああ、うん。だって、最長でも半年って言ったの、俺だし」
 部屋ももう決まってると言い切られて、途端に泣きたいような気持ちになる。ちゃんと出ていく気があったなら、言っておいて欲しかった。
「このまま、居座る気かと、思ってた」
「このまましれっと居座っても、お前はそれも受け入れちまうんだろなぁ」
 苦笑混じりのそれは、なんだか批判的だった。気分が落ちている自覚はあるし、被害妄想という可能性もあるけれど。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁